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2010年3月28日日曜日

マードック神父

映画「十字架の長い列」に登場。

本名エバーレット・マードック。
唯の神父のようだが、実際は血も涙もない賞金稼ぎ。
手に持つ聖書には手配書が、黒いコートには六連ライフルを隠し持っている。
同じ賞金稼ぎのブランドンと手を組んで、
不法就労を強いる町の実力者ファーゴを追い詰めようとする。
だがブランドンはマードックを信用できず、
マードックを一人置き去りにして、ファーゴを捕らえようとする。
この諍いを原因に、マードックはブランドンを裏切り、
羽振りの良いファーゴ側についた。
しかし最期は満身創痍のブランドンにより、トドメを刺される事となった。

主人公より目立つ悪役マードック。
映画自体はストーリーにメリハリがなくて
始終退屈気味になるが、このマードックの時だけは面白い。
演じたウィリアム・バーガーあって、ニヒルに笑うところを見ると
いつ裏切るのか、いつ裏切るのかと固唾を呑む。
そして得物がこりゃまた漢の子だったら欲しがること間違いなしな
六連ライフルとくるもんだから素晴らしい。
しかしまぁあれだ。映画自体の内容を考えると
悪いのはマードックじゃなくて勝手に置いてけぼりにして
正義に目覚めちゃったブランドンじゃね?と思わずにはいられない。

2010年3月16日火曜日

ロコ

映画「殺しが静かにやって来る」に登場。

極悪非道の賞金稼ぎ。残忍で無頼漢な賞金稼ぎたちの頭目であり、
スノーヒルの悪徳判事ポリカットに雇われ、
賞金首となったポリカットにとって不都合な人々を
殺害することを生きがいとしている。
ロコ(Loco)はスペイン語で「気狂い」を意味する。
賞金首となった男をその母親の目の前で撃ち殺し、
命乞いをする者は散々に甚振り続け射殺、
どうしても姿を見せない賞金首には妻を人質にし、
「姿を見せても殺さない」といって出てきた相手を撃ち殺すという
悪逆の限りを尽くしたが、殺し屋サイレンスを背後から
射殺しようとしたため新任保安官に逮捕されてしまう。
しかし護送途中、人の良い保安官を騙して
雪の中に埋めていたライフルで殺害。
虫の息の状態でも立ち向かってきたサイレンスをも、駆けつけた未亡人ごと射殺。
人質にしていた賞金首たちも皆殺しにし、仲間と共にスノーヒルを去っていった…

残虐!卑劣!そしてアンハッピーエンドで記憶に残る悪党ロコ。
やることなすこと本当に悪党らしく、卑劣ここに極まり!
演じたクラウス・キンスキーの演技あっての賜物であり、
マカロニウェスタンで悪党が映えるってのも変な話だが
この悪辣ぶりは主役を食う勢いがある。
ちなみに吹き替えでは大塚周夫が声を担当しており、
悪辣ぶりに磨きがかかっている。

2010年3月15日月曜日

サイレンス

映画「殺しが静かにやって来る」に登場。

聾唖の殺し屋。かつて賞金稼ぎにより両親を目の前で殺されてしまい、
口封じに喉を切られたことにより、聾唖となった。
それ以来、愛銃モーゼル・ミリタリーを片手に両親の仇を追い求めている。
賞金稼ぎのみをターゲットとし、彼の歩く所に必ず死の沈黙が訪れることから
“サイレンス”と呼ばれ、賞金稼ぎから恐れられている。
1898年、豪雪地帯のユタ州スノーヒル。極悪非道の賞金稼ぎロコと
悪徳判事ポリカットに支配されている町で、
無抵抗の夫をロコに殺されたポーリーンは噂に聞く、
殺し屋サイレンスを呼び寄せた。無償で依頼を引き受けたサイレンスは
酒場で相手を挑発し、銃を抜かせようとする。
彼は殺し屋ゆえに、法から逃れるために相手に銃を抜かせて、
正当防衛で敵を倒さなければならないのだ。
しかし狡猾なロコは銃を抜かず、サイレンスを拳で痛めつける。
サイレンスも負けじと薪で殴りかかる。
ロコを酒場から放り出すと、ロコの仲間が銃を抜く。
サイレンスはこれを早撃ちで全て仕留めるも、肩を撃たれてしまう。
だが、ロコもサイレンスを背後から撃とうとしたため、
新任保安官バーネットに逮捕された。
バーネットは、この無法の町の秩序回復のために邁進していた。
賞金首の悪党たちが山を降りてくるという理由で
ロコを釈放しろと詰め寄る判事ポリカット。
しかしはバーネットは聞く耳を持たず、ロコを護送するという。
悪党たちの正体がポリカットに逆らって追放された、
善良な人間達だと知っていたのだ。一方、サイレンスはポーリンの家で
手当てをうけ、やがて二人は愛し合うようになっていった。
ロコを護送するバーネット。そこへロコを狙い山を下りてきた賞金首たち。
しかし、ロコを殺す事は法の番人として見過ごせないと
保安官は皆を説得し、町外れに食料があると告げ、ふたたびロコを護送する。
護送の途中、ロコが用を足したいというのでバーネットは気が緩んだ。
雪の中に埋めていたライフルを取り出したロコは
保安官を凍った川に沈めるのだった。
その頃、ポーリーン宅では彼女を手篭にしようとポリカットが乱入。
サイレンスは手下に押さえられ、右手を焼かれる。
しかも判事は両親を殺した因縁の相手である事が発覚する。
サイレンスはなんとか手下を倒し、判事を射殺する。
大勢の仲間を連れ、町に引き返してきたロコは
町はずれに集まった賞金首たちを捕らえ、サイレンスをおびきだす。
満身創痍のサイレンスはそれでも愛銃を片手に死地へ赴く。
しかし無情にもロコの銃弾が、サイレンスの命を撃ち抜いた。
その場にかけつけたポーリーンもまた、ロコの銃により命を絶たれ、
無実の賞金首たちもロコとその部下により皆殺しにされた。
賞金稼ぎたちが去り、ゴーストタウンと化した町。
その静寂さえも、無情な雪が包むのであった…

善が死に、悪が生きる無情なマカロニウェスタン。
それが映画「殺しが静かにやって来る」だ。
本作の主人公であるサイレンスの銃はウェスタンでは
珍しくモーゼル銃であり、リボルバーではなく自動拳銃なところが
なかなかどうしてカッコいい上に聾唖ゆえに喋らず
言葉でなく体で表す」ことを体現している辺り
筆者の心をガッチリ掴んでいる。
しかしそんな彼だが無情にも悪によって滅ぼされてしまうのだ。
悲劇的な主人公の死、このエンディングが衝撃的で、
初めてDVDで見たときはなんともいえない無常感のあまり震えましたね。
幻のもう一つのエンディングではハッピーエンドになっていますが
これだと普通のマカロニウェスタンな感じで、
アンハッピーだからこそこの作品は輝くのだと痛感しました。

2010年1月20日水曜日

ブラインドマン

映画「盲目ガンマン」に登場。

名無しで、盲目の男(Blind man)と呼ばれる。
盲目ながら銃の腕は確かで、策に長けている。
しかし盲目ゆえに騙されやすい。
愛馬にまたがり、何百マイルという旅を続けるという
驚くべき鋭いカンを持つ男、ブラインドマン。
また彼はライフル銃でも、右に出る者はいなかった。
ブラインドマンは、テキサス州サン・ディエゴの鉱夫たちのために
五十人の花嫁を五万ドルの契約金で送る仕事をひき受けた。
ところが、途中五十人の美女たちを山賊ドミンゴに横取りされてしまった。
彼はドミンゴを追いかけ、メキシコ国境に近いある村にやってきた。
ここでドミンゴがメキシコに渡ったことを知ると、
ブラインドマンは山賊の居場所をたずねるために一軒の家に入った。
ところがその家にはドミンゴの弟キャンディが仲間を連れて、
その家の娘ピラーを奪うためにきていたのだ。
ピラーの父親からドミンゴの居場所を聞いた彼は
山賊の砦に赴き、契約書を示し、女たちを返してくれるよう迫った。
しかしドミンゴは契約書を焼きすて、部下たちに命じて
ブラインドマンを袋叩きにして町から追いだした。
腹黒いドミンゴは、彼に劣らぬ悪党の妹スイートと相談して
花嫁たちをメキシコ軍隊向けの売春婦として売り飛ばす算段をした。
軍の将軍以下、幕僚たちを邸に招いたドミンゴは、
女たちを売り渡す取引きを済ませてから計略通り全員を機関銃で射殺し、
捕虜となった将軍一人を邸内に檻禁した。
一方、キャンディを捕えたブラインドマンは花嫁たちと
キャンディの引換えを要求したが、ドミンゴは相手が全盲なのをいい事に
美女の代わりに50人の老婆を引き渡した挙句、彼を捕らえた。
ドミンゴに捕われたブラインドマンは残酷な拷問の末、
遂にピラーの居所を白状させられた。ドミンゴとキャンディが
その場所に向った後で、邸を脱出したブラインドマンは将軍を救出し、
スイートを人質にして、ピラーの隠れている山の洞窟に
駈けつけて、彼らを待ちうけた。ダイナマイトで一味の接近を拒み、
単身でピラーを連れだそうとしたキャンディを罠にかけ殺し
さらに彼は、機先を制してキャンディの葬儀が行われている最中に、
町の各所にダイナマイトを仕掛けて大混乱をひきおこし、
スイートをも殺した。翌日、ブラインドマンとピラーが避難した所に、
ドミンゴの一隊が攻撃を仕掛けてきた。さすがの男も進退きわまったが、
そこに救出したメキシコ将軍が騎兵隊を率いて救援にきた。
ドミンゴ一味は皆殺しにされ、ブラインドマンは仕事を片付けようとした。
だが将軍は行きがけの駄賃に、折角、彼が取り返した五十人の女たちを連れ去った。
それに気づいたブラインドマンは愛馬に跨り、将軍のあとを追うのであった…

こっちが悲しくなるくらい哀れに感じるブラインドマン。
ライフルの腕は確かなんだけど、全盲だから簡単に騙されて、
銃を落とせば手探りで探し、終いにゃガンマンらしからぬ
ダイナマイト殺法で大勢殺して煙に巻く姿は情けない。
しかし基本ストイックな上に、頭を使って敵の裏をかく姿は
非常に好ましい。ちゃんと最後もカッコよく締めて(?)
将軍追っかける姿は、なんとも前向きで微笑ましい。

2010年1月19日火曜日

ハンク“ランキー”フェロウズ

映画「さすらいの一匹狼」に登場。

本名ハンク・フェロウズ。
望遠照準器付きウインチェスターを持つ賞金稼ぎ。
ランキーは渾名であり、“ひょろ長い”を意味する。
賞金稼ぎであるランキー・フェロウズは
ただおたずね者を探しあてて、射殺し、賞金をいただくというのではなく、
銀行から銀行へ移される金を護衛して、護衛した見返りの報奨金、
そして駄賃に賞金首の懸賞金も頂くのであった。
今日もまたお得意の照準付きウィンチェスターで
騎兵隊を護衛し、山賊を全滅させていた。
ある日、彼は盗賊ケネベック一味が金塊を狙っていることを知り
テキサスとメキシコの国境に近い小さな町オマハの銀行へと向かう。
ケネベックはかつて兄弟を殺した憎い仇だったのだ。
盗賊たちは金塊を強奪したが、フェロウズにより邪魔をされ
金塊を奪還されてしまう。盗賊たちは二の足を踏むが
ケネベックには妻子がおり、引くわけにはいかなかった。
フェロウズはオマハに住む女が怪しいと見て、見張りを立たせ
妻子の安否を確認しに来たケネベックの手下を捕らえ、
ケネベックとの関係を聞き出すため、拷問に掛けた。
事情を理解したフェロウズはケネベックの息子を誘拐する。
一計を案じたフェロウズは金塊と息子を餌に、町ぐるみで
ケネベックらを迎え撃った。金塊を運び出したことを
知らない盗賊たちは金庫室に仕掛けられた爆薬で全滅する。
隠れ家に戻ったケネベックは、手下の全滅を知る。
ただ一人生き残ったケネベックは怒りに震え再びオマハへ赴き、
フェロウズに1対1の決闘を挑んだ。お互いの得物を交換し、
ケネベックはフェロウズの銃が高性能で早撃ちの腕は
それほどではないと高を括り、ハンクのウィンチェスターを拾った。
スコープを覗いたケネベックの右目を、ハンクの銃弾が射抜いた。
フェロウズは去り、死体となった盗賊の頭に縋る、妻子の姿が残る。
銀行の石段に偽装した金塊を、到着した輸送部隊が無事運び出した。
その道中、再び山賊が襲撃を仕掛ける。その姿を捕らえたフェロウズは
不敵な笑みを浮かべ、お得意の得物を構える…

冷血非道情け無用、金のためなら親でも殺す
それが賞金稼ぎであり、「さすらいの一匹狼」に登場する
ランキーはリアルな賞金稼ぎといえる。
主題歌でも「残酷鬼畜」と歌われるだけあって
金になること以外容赦ない辺り、実に現実的だ。
「荒野の用心棒」では一文の得にもならないことをイーストウッドが行い
ドラマに彩りを持たせたが、こちらの賞金稼ぎは悪党を拷問にかけ
盗賊の頭の息子を誘拐し、おまつさえなんらかの救いがあるかと思いきや
さっさと復讐して、報酬もらって、はいさよなら。
残された妻子は悲観に暮れるだけなのだから、なんとも後味が悪い。
だが、大抵の作品で主役の賞金稼ぎが英雄的扱いを受けることに対して
この作品では「金のために人殺しをする」現実的な賞金稼ぎが
描かれていることがユニークであり、貴重だと思う。
ちなみに「さすらい~」は「700㎜ズーム殺法」でも有名である。

2009年12月20日日曜日

ダンカン

映画「さすらいのガンマン」に登場。

本名メルヴィン“ヴィー”ダンカン。
無頼の盗賊団の首領。残虐非道な男で、
自身がインディアンと白人の混血であることの劣等感から
インディアンを目の敵にしており、どんな時でも容赦なく殺そうとする。
ナバホ・ジョーの部族を皆殺しにした上に、頭皮を剥いだ。
しかし生き残ったジョーにより盗賊団を壊滅され、
一騎打ちとなり、後ろからジョーを撃って重傷を負わせたが
自身もジョーの斧によって息の根を止められた。

映画「ナバホ・ジョー」はインディアンの復讐を描いた映画であるが
主役であるナバホ・ジョーと同じくらい目立っているのが、このダンカンだ。
ダンカンは自分がインディアンの血が入っていることが
我慢ならず、インディアンを容赦なく殺しまわる。
しかもその残虐さはインディアンに向けられるだけではないのだから
堪ったものじゃなく、苛烈な悪党である。

エルフェゴ

映画「野獣暁に死す」に登場。

本名ジェームズ・エルフェゴ。
残虐非道な強盗団の首領であり、インディアンの混血児。
恋人殺しの汚名をきて、刑務所に入れられていたビル・カイオワは
模範囚として釈放された。かつて幼なじみのエルフェゴにハメられ
恋人を強姦された上に殺害されたのだ。
幼なじみは今では西部に悪名轟かせる残虐非道な強盗団のボスとなっていた。
ビルは強盗団と対決するため、ショットガンの名手ミルトン、
ナイフ使いのモラン、二挺拳銃のフォックス、
怪力のオバニアンら名うての男たちを雇って
フェゴーの手下を次々に倒していく。
怒り狂ったフェゴーはビルを捕らえ、拷問を加えるが、
ビルは必死の抵抗の末、逃亡に成功。
5人の仲間と共に森の中で強盗団と最後の戦いを迎える。
五人は奇襲をかけ、一人、二人と血祭りにあげていく。
手下を皆殺しにされ、一人になったエルフェゴ。
勝負を着けるべく、カイオワは一人で決闘を挑む。
カイオワの仲間たちが見つめる中、銃声が響く。
エルフェゴの死をもって、カイオワの復讐は終わりを告げた…

仲代達矢演じるエルフェゴが
完璧に主役を食っている映画「野獣暁に死す」。
映画自体緩い展開のためか、仲代達矢の演技が濃すぎるためか、
映画自体にそれほど面白みはない。
仲代達矢の目力やらニヒルな笑い方やら、
刀ならぬ鉈を持っている姿が目に残る。

2009年7月12日日曜日

O・ディオ

ゲーム「ライブ・ア・ライブ」に登場。

町を荒らす無法者集団「クレイジー・バンチ」のリーダー。
ガトリング砲を使った強力な攻撃を得意とする。
クレイジー・バンチ討伐の依頼を受けた
凄腕ガンマンのサンダウン・キッド、
サンダウンの首を狙う賞金稼ぎマッド・ドッグと対決する。
スー・シャイアンの連合軍により全滅させられた
第7騎兵隊唯一の生き残りだと言われている。
しかしその正体は第7騎兵隊が乗っていた馬であり、
死んでいった騎兵達の怨念からくる憎しみが人の姿に変えていた。
倒された後は、マッド・ドッグの愛馬となるが
サンダウンに手綱を撃たれ、逃げ出してしまう。

出てきやがれえッ!!
 さもないと酒場ごとハチのすにしてやる!!


わらわせるぜ・・・・野ネズミ1ぴきふえたところで
 この俺の!ガトリング銃に勝てると思うかあッ!?


てめえか・・・・パイク達をかわいがってくれたのは・・・・
 かわいい子分が世話になったとあっちゃ
 たっぷりと礼をしないとな・・・・
 受け取れ・・・・このガトリング銃のタマをな!!


スクウェアの名作ゲーム「LIVE A LIVE」。
その中の「西部編」はウェスタン好きには
たまらんネタが色々仕込んである。
無法者達を罠をかけて迎えうつストーリーは「荒野の7人」、
主人公と賞金稼ぎの関係は「続・夕陽のガンマン」、
主人公の名前が「明日に向かって撃て!」の人物名に似てたり
なのに姿はまんまクリント・イーストウッド
ワイルドバンチ」風のならず者集団は勿論、
(そのうち一人の名前がパイクだったり、
O・ディオの得物がガトリング銃だったり)
ウェイン、ジェンマ、クリントなどなど。
ちなみにオディオの一人であるO・ディオの
ガトリング銃は鬼畜としていいようがないほどの威力を持つ。

2009年4月9日木曜日

ナバホ・ジョー

映画「さすらいのガンマン」に登場。

虐殺されたインディアンの生き残り。虐殺した盗賊たちに復讐を誓う。
インディアンの平和な部落が、ある日突然、ダンカン率いる盗賊に襲われた。
首領のダンカンは残忍な男で、部落を焼き払った挙句、住人を虐殺し、頭皮を剥いだ。
ひきあげて行く一味の後を追う者がいた。
それは部落の生き残りである、ジョーという腕のたつ男だった。
やがてダンカンたちがたどり着いたのはパヨーテの町。
だが頭の皮を売りに訪れたのだが、法律が変わったため
「インディアン殺し」として指名手配されてしまう。
逆上して保安官を殺すダンカン。仕方なく酒場でルーレットに興じていると
そこへリンという前科者の医者が現れる。エスベランツァの町へ向う
現金輸送列車襲撃の計画をもちかけるリン。 だがその密約を
たまたまテーブルの下にいた女給のバーバラが聞いていた。
その直後、ダンカンはインディアンと白人の混血であることの劣等感から、
例によって何の罪もないインディアンを殺し、町を破壊しはじめた。
救援にかけつけたジョーは、その時流れ弾で重傷を負ったバーバラから
一味の列車襲撃計画を聞き、急ぎ馬首を鉄道へ向けた。
凶悪無比なダンカン一味は列車を襲撃、大金を積んだ列車を制圧する。
大成功に気をよくしたダンカンは数名を金の見張りに残して、引きあげた。
そのあと暗闇にまぎれて列車に潜入したジョーは、ダンカンの部下を一人一人殺してゆく。
列車襲撃の報で町は騒然となった。その前へ現われたジョーは
金の無事なことを示し、悪漢退治の報酬を要求する。
列車襲撃の張本人であるリンは危急を知らせに
ダンカンのもとへ向かうが、ダンカンに殺される。
一味は次に銀行襲撃を始めるが、ジョーの妨害に遭う。
だが捕えられていたインディアン娘エステラを助けようとしたジョーは
逆につかまってしまい、激しい拷問を受けた。
そんなジョーを助けたのは酒場のピアニストだった。
ジョーは彼の部族の墓場で、遂にダンカンと対決する。
そしてダンカンから奪われた亡き妻のペンダントを取り返すが、
背後からダンカンに撃たれてしまう。ジョーは撃たれるとすぐに斧を投げつけ、
ダンカンを仕留める。致命傷を負ったジョーは力無く亡き妻の墓の近くにうずくまる。
一方、町の住民達がこれからどうしようかと相談している
そこへジョーの愛馬がやって来る。鞍にはダンカン達が奪った金があった。
金を取り戻して喜ぶ住民達が馬を保護しようとするのを制止するエステラ。
ジョーの死を悟ったエステラがジョーの愛馬にささやく「さぁ、彼の元に行ってあげなさい…」
ジョーの愛馬は亡き主の元へと荒野を走るのであった…

バート・レイノルズ主演「さすらいのガンマン」。
主人公ナバホ・ジョーはインディアンだけあって、
銃だけじゃなく、斧やナイフも使う。
それがスンバらしく、まるで殺人鬼のように忍び寄る姿は、
悪党がどっちかわからなくなる勢い。
ダンカンの鬼畜ぶりモリコーネ卿の音楽
陰惨無残な物語バイオレンスサスペンス
どれをとってもスンバらしい。タランティーノが絶賛したのも頷ける。
ついでにいうとレイノルズはチェロキーの血を引いており、ナバホではない。

2009年4月7日火曜日

リー

映画「荒野の七人」に登場。

凄腕の賞金稼ぎでクールな皮肉屋。
しかし、銃の腕前の衰えから自信を失い始め、
いつか自分以上の賞金稼ぎに殺されると思っている。
金に困っていたので、自分からクリスたちの仲間に加わる。
過去に倒した敵の亡霊に怯える日々を送っており、
守るべき村人から逆に励まされる事もあった。
最終決戦では、人質にとられた村人を救出するため家に飛び込み、
瞬時に3人の盗賊を倒す活躍を見せるが、その直後カルヴェラに射殺される。

過去の亡霊にうなされるリー。演じたのはロバート・ヴォーン。
自分の腕の衰えから自信を失い、男としての誇りさえも失おうとしていた。
しかし、村人たちを助けるために自らを奮い立たせ悪漢どもを倒す。
リーは誇りを取り戻すが、カルヴェラにより殺される。
だが誇りを取り戻した男の最期は、漢として最も輝いた時となった

ハリー・ラック

映画「荒野の七人」に登場。

クリスの旧友で山師。金の匂いを嗅ぎつけ、自分から仲間に加わる。
クリスが20ドル程度で護衛の任に就くとは思わず
「実は物凄い報酬がある」と思い込んでおり、
よく村人に鉱山のありかを尋ねる。
7人の中で一番現実的且つドライな性格で、 村を追われたときは
一旦6人と袂を分かつが、結局最終決戦では彼らの元に駆けつける。
しかし落馬の隙をつかれて銃弾を受け、クリスに見取られながら7人最初の犠牲者となる。
今際の際まで報酬を気にかけており、「村には50万ドル相当の金があり、分け前は1人7万ドル」という
クリスの心遣いから出た嘘を聞いて、「来て良かった」と満足しながら息を引き取った。

ブラッド・デクスター演じる七人の中で
一番悪人っぽい男ハリー・ラック。
旧友がただ働き同然の報酬で護衛を受けるわけがなく“でかいヤマ”と信じる。
こうやって書くと悪人然とした様子。もちろん村民が契約を反故に
するやいなや、すぐさま別れを告げる。 だがなんだかんだで彼も、
良心の呵責(報酬も含め)を無視することができなかった、
良いお人よしでもあることも忘れてはいけない。

ブリット

映画「荒野の七人」に登場。

ナイフ投げの達人で、報酬に興味はなく、戦うことを目的としている
寡黙かつ求道的な孤高の男。牧童として味気ない生活していたところを
クリスたちにスカウトされる。含蓄のある言葉や行動でチコから慕われる。
最終決戦では、敗走する敵の銃弾に倒れるが、
死の間際までナイフを投げる構えを崩さなかった。

ジェームズ・コバーン演じるブリットは戦いを求める男。
台詞は少ないが、只管クールに佇み、銃も使うが、ナイフが一番な男の姿は
コバーンを一躍人気役者にするほどの強烈な印象を残した。

ベルナルド・オライリー

映画「荒野の七人」に登場。

メキシコ人とアイルランド人の混血。ライフルの名手。
薪割りの下働きをしていたところを、ハリーから話を聞いたクリスにスカウトされる。
特に愛想が良い訳ではないが、素朴で屈託の無く温かい人柄から、
村の子供達に慕われる。 盗賊団の復讐を恐れた村人達によって7人が追われた際、
自分達の親を弱虫で卑怯だと非難した子供の尻を叩き、
「銃を持って戦うより土地と家族を守るほうがよほど勇気がいる。
お前達の親は村と家族を守るために決断したのだから悪口を言ってはいけない。」と叱った。
最終決戦では、助けに駆けた子供達を注意している際に隙を突かれ命を落とした。

うう、オライリー!と思わず咽び泣きながら叫びたくなる最期を迎える
オライリーを演じたのはチャールズ・ブロンソン
気難しく、農具を持つことができず銃を持つことしかできないと
生きることに不器用だが、子どもたちを最後まで守ろうとする姿は理想の父親像だね。

チコ

映画「荒野の七人」に登場。

7人の最年少のメンバーで、黒人の死体を白人の墓地に
埋める埋めないの揉め事を鮮やかに片付けたクリスに憧れ、
クリスがガンマンを募集すると一番最初に彼の下を訪れた。
若過ぎることを理由に一度は却下されるが、あきらめずについて行き仲間となる。
村娘のペトラと出会い、親密になっていく。
若さ故ひたむきで純粋、感情的になりやすいところがある。
実は農民の出で、彼らが真っ先に戦いの犠牲になっている事を
身に知っているため、自分が憧れているガンマン、
ひいては仲間達にもわだかまりを抱いている。
戦いで生き残って最後は村に残り、村娘ペトラ達と共に生きる道を選ぶ。

若いっていいねぇ。若き血潮が滾る!
チコを演じたのはホルスト・ブッフホルツ
チコは男の子なら一度は無茶やりたいという青春の真っ只中。
戦い、恋して、空回りしながらも少しずつ成長していく。
やはりこういう成長していく人物ってのはそそられる。

2009年4月6日月曜日

ヴィン

映画「荒野の七人」に登場。
 
七人のサブリーダー格で、早撃ちの達人。
厳格で真面目なクリスに比べて軽妙洒脱なところがあり、
しばしば冗談を言って場を和ませる。しかし、自分達のようなガンマンが
もはや時代遅れである事を自覚しているなど、根はとてもまじめな人格者。
七人の中で最後まで生き残った一人で、クリスとともに村を去った。
 
マックィーンが小洒落たガンマン演じる映画「荒野の七人」。
村人の子ども達にご飯を分けながら、「君、お姉さんいる?」と
聞くあたりかなりふざけているようだが、ヴィンはたった20ドルで
村人たちを助けようとするクリスを愚かといい、
そういいながらも「馬鹿は二人目だ」と仕事を請け負う。
この台詞がグッとくるんだよ。

クリス・アダムズ

映画「荒野の七人」に登場。
 
七人のリーダー格。冷静沈着な性格で、盗賊団と戦うための戦術から、
他のガンマンや村人達のまとめ役となり、チームワークを乱す者に対しては
決して容赦しない厳しさも見せる。毎年刈り入れの時期になると、
カルヴェラ率いる盗賊に作物を奪われ、生活が追いやられていた
メキシコの寒村イストラカンの村人が、盗賊を追い払うために
七人のガンマンを雇おうとする。村人たちの熱意に打たれ、
二束三文のはした金で同意したクリスは腕の立つガンマンを探し始めた。
最初に仲間に入ったのは金の匂いを(実際は二束三文の仕事)
嗅ぎつけたクリスの古い友人ハリー・ラックだった。
先に一仕事した相手であるヴィンも仲間に入った。
ナイフ使いのブリットと賞金稼ぎのリーも加わり、薪割りをしていた
オライリーも仲間に入れた。そんな中にチコという男がいた。 経験も浅く
40人もの敵を相手に戦うには若過ぎた。 だが融通が利かず、しかたなくチコも仲間に入れることに。
7人のガンマンを迎えて村は一変した。クリスは村人達に戦う準備をさせた。
いつしか7人の男達と村人の間には奇妙な友情が生まれていった。
カルヴェラ一味が村を襲ってきたが、簡単に蹴散らした。
全て順調だったが、村人のソテロは臆病者で戦いにまき込まれるのを恐れていた。
クリスは機を逃さず一味を全滅させようと深夜野盗のキャンプを襲った。
しかし誰もいなかった。ソテロの裏切りでカルヴェラは7人の逆をついて
村を占領していたのだ。7人は村を追い払われた。
が、しかしクリスはもう一度村へ引返し戦うことを皆に告げた。
ハリー一人が去り、残った一行は奇襲をかける。カルヴェラ一味の隙をついた。
壮絶な戦闘の中、そこへハリーが現われた。ハリーはクリスが
ただ働き同然の仕事を請けるわけがないと踏んでおり、戻ってきたのだ。
しかし彼は凶弾に倒れる。その次にリーが斃れた。
悲しみに暮れる余裕もなく、戦いは続く。ブリットも、オライリーも斃れた。
だがなんとかカルヴェラ一味を全滅できた。チコはペトラと暮らすことになり、
クリスとヴィンは村を去った。クリスは村を眺めながら云った。
「本当に勝ったのは農民たちだ。俺たちじゃない。」…
 
七人のガンマン現る!映画「荒野の七人」。
そのリーダー格であるクリスは異色的でしたね。
眼光鋭い黒尽くめ。こりゃまるで悪人じゃないか。
しかし黒尽くめだからって悪人とは限らない。
夕陽のガンマン」しかり「西部悪人伝」しかり「傷だらけの用心棒」しかり。
現代でも黒尽くめなヒーローは五万といる。そのへん、漢の美学ともいえるかもしれない。

2009年3月29日日曜日

ビル・マニー

映画「許されざる者」に登場。
 
本名ウィリアム・マニー。
列車強盗や殺人で悪名を轟かせていたアウトローだった男。
妻クローディアと出会ってからは銃を捨て、2人の子供と農場を
営みながら密かに暮らしていた。1880年のワイオミング州。
小さな牧場を営むウィリアム“ビル”マニーは11年前に妻と出逢ってから
改心し酒も止めた。二人の子供にも恵まれたが作物は満足に育たず
3年前に妻にも先立たれてしまった。そんなマニーのもとに
スコフィールド・キッドという若いガンマンが訪ねてくる。
とある売春宿で客の牧童が「1人の娼婦の顔を切り刻み、
目玉を抉り出し、乳首を切り取る」凶悪事件が発生。
しかも街を取り仕切る保安官のビル・ダゲットは自らの権力を
盾に馬7頭分の賠償金を支払うだけで牧童を解放したらしい。
そして娼婦仲間が加害者の牧童二人に1千ドルの賞金を懸けたとのこと。
キッドは冷酷無比であるという伝説を持つマニーと手を組み
賞金を得ようと考えたのだ。しかしマニーには11年という永いブランクがあった。
馬も自由に乗りこなせなくなり、二人の子供もまだ幼い。
それでも、不当に殺された娼婦の敵討ちをすれば大金が手に入り、
生活が楽になると考えたマニーは悩み抜いた末、11年ぶりに銃を手にする。
マニーのかつての相棒ネッド・ローガンが同行することになり、
3人は町へ向かった。その頃、保安官のリトル・ビル・ダゲットは
強引なやり方で町を牛耳っていた。伝説的殺し屋のイングリッシュ・ボブと
同行していた小説家ボーチャンプが町を訪れるとボブを痛めつけ、
町から追放するダゲッド。マニーら一行が町に到着すると、
ひとり酒場にいたマニーをダゲットは激しく殴りつけ、重症を負わせる。
そんなマニーを献身的に看護したのは傷つけられた娼婦だった。
結局のところ、噂に尾鰭がついており、娼婦は顔を傷つけられただけだった。
立ち直ったマニーはネッドとキッドに追いつき、追っていたカウボーイを発見して
1人を射殺するが、ネッドはもう人を撃てないと悟る。マニーは去ろうとする
ネッドに「賞金は三人で山分けなのは変わらない」と言い、ネッドに別れを告げた。
カウボーイたちの家を見つけ、残るひとりを仕留めたキッドは、
マニーに初めて人を撃ったと告白する。その頃、町では捕まったネッドが
ダゲットの激しい拷問にあい、命を落とした。賞金を受け取る際に
その話を聞いたマニーは、キッドから拳銃を受け取り、子どもたちと
ネッドの妻とキッドの4人で賞金を分けるように言うと町へと向かった。
酒場の前にネッドの死体が放置されているのを見つけたマニー。
店に入ると容赦なく店主を射殺し、ダゲットに銃を抜かせる暇を与えず、
店にいる者のほとんどを殺す。そして子どもたちの待つ家へ
マニーは帰っていった。その後クローディアの母が娘の墓参りにきたが、
マニーとその子どもたちの姿はなかった。噂では西海岸で繁盛したらしい。
クローディアの母は最後まで札付きの悪党だった男と
一緒になった娘の気持ちがわからなかった…
 
この馬、昔の俺に仕返ししてるんだ。死んだ母さんに出会う前の
若い頃の俺にな。気が小さくて、よく動物をいじめたもんだ。
だから、この馬や向こうにいる豚どもは仕返ししてる、残酷な父さんにな。
いつもこんな馬をひどくムチ打ったもんだ。そんな俺を諌めたのは母さんだった。
 
女房のクローディアのおかげだ。酒もきっぱりやめた。
今度殺しをやるからって、昔の俺に舞い戻るわけじゃない。
金が必要なんだ、子供たちのためにな

俺は見た…死の天使と会ったんだ。死の川も見たよ…。ありゃ蛇の目だ
死の天使だよ。ネッド…ネッド…俺は死ぬのが怖い…
クローディアと会った
顔はウジ虫で覆われていた。ネッド、俺は怖いよ…もうすぐ死ぬんだ。
いいか、誰にも喋らないでくれ…子供たちにも言うな
 
殺しは非道な行為だ。人の過去や未来をすべて奪ってしまう

人間はみんな罪深い

ダゲットお前さん、実に卑劣な野郎だ。丸腰の男を撃ったんだ!
マニー銃を持つべきだ、店の前に俺の友だちをさらした以上
ダゲットミズーリのウィリアム・マニーだな、女、子供を殺した…
マニーそうだ。女も子供も殺した。歩いたり、這ったりした者は皆殺しにした
今夜はお前を殺しに来た

俺に銃を向けるやつは殺す。その女房も子どももだ!
ネッドを埋葬しろ!娼婦を人間らしく扱え!さもないと皆殺しにするぞ!
 
イーストウッド渾身の西部劇「許されざる者」。
登場人物の全てが「許されざる者」のこの映画。
筆者、彼を語る言葉が見つからない。

2009年3月27日金曜日

ニグロス(ブラッキー)

映画「拳銃のバラード」に登場。
 
黒尽くめの若い賞金稼ぎ。クッドと同じ黄金の拳銃を象ったペンダントを持つ。
西部の町マリンタンを支配する賞金首エル・ベドジャと
その弟キンキたち強盗団。その賞金を狙うニグロスが町にやってくる。
町の酒場に寄ると、殺されかけているクッドを見つけ、彼を救う。
二人は意気投合するが、自分たちの目的が同一であることを知ると対立する。
銃の腕前を競い合い、銃に関して互角の腕を持つことがわかると
協定を結び、ニグロスは賞金の全額を、クッドはベドジャと決闘する権利をもつことに。
かくして二人は手を組み、強盗団ベドジャ一味を追うことになった。
銀行を襲って逃げたベドジャたちを、古い鉱山に追いつめる。
しかし、肝心のベドジャは弟と共に盗んだ金を持って逃亡していた。
悪党どもを蹴散らし、二人はついにベドジャ兄弟と対決の時を迎え、勝利する。
ベドジャを保安官に引き渡したクッドに問うニグロス。
クッドは黄金の拳銃のペンダントをニグロスに見せて父の話をした。
そして二グロスもクッドと全く同じペンダントを見せる。やはり二人は兄弟だった。
兄である男が去り、ニグロスは去り際の言葉「自分の腕に溺れるな」を
胸に刻むのであった…
 
若き賞金稼ぎベテラン中年のガンマンとの友情(?)を描いた
映画「拳銃のバラード」。ときにお互いの腕を競い合い、協力するニグロスとクッド。
そして二人の意外(?)な関係が発露するラスト付近。
この辺の生き別れの兄弟同士の戦いってのが現代のモノにも通じると思う。
まぁ死闘をやるわけじゃないけど、そこがやっぱり非常にカッコいいんだよ!

クッド(ロッコ)

映画「拳銃のバラード」に登場。
 
父親を殺され、その罪を着せられた中年のガンマン。
西部の町マリンタンは暴虐な男エル・ベドジャとその弟キンキたちによって
支配されていた。そこへベドジャに父を殺され、自分もベドジャの偽証により
十五年間牢獄につながれたクッドが復讐すべく町で悪業のかぎりを
つくすベドジャたちの下へと向かった。同じ頃、ベドジャの首にかかっている
賞金をわがものにしようと、ニグロスという若いガンマンも町にやって来た。
町の酒場でカードの勝負のことから危うく殺されかけたクッドを、
ニグロスが救ったことから、二人は知り合い、自分たちの目的が
同一であることを知った。はじめ二人はどちらがベドジャを倒すかで揉め、
銃に関して互角の腕を持つことがわかると一転してニグロスは賞金だけを
自分のものにし、クッドはベドジャと決闘する権利をもつという協定を結んだ。
かくして二人は手を組み、強盗団ベドジャ一味を追うことになった。
このときクッドは、ニグロスが身に付ける黄金の拳銃のペンダントが気になり始める。
銀行を襲って逃げたベドジャたちを、古い鉱山に追いつめた二人は、
得意の銃捌きで一味を倒していった。しかし、肝心のベドジャは
弟と共に盗んだ金を持って逃亡していた。再び追跡を開始し、
二人はついにベドジャ兄弟と対決の時をむかえた。ニグロスの絶妙な
銃捌きがまず弟のキンキを射ち殺し、次いでクッドが宿敵ベドジャの
銃を射ちとばす。自分を守る以外に人を殺してはいけない、
と言った父の言葉が彼の手を止めたのだ。ベドジャを保安官に引き渡した
クッドは黄金の拳銃のペンダントをニグロスに見せて父の話をした。
そして二グロスもクッドと全く同じペンダントを見せる。やはり二人は兄弟だった。
今は弟であることがわかったニグロスに、腕前におぼれるな、
との言葉を残してクッドは再び放浪の旅に出るのだった…
 
拳銃のバラード」。そうバラードなんだよ!
クッドとニグロス、音楽含め全てがカッコいい、それが「拳銃のバラード」!
筆者が観たマカロニ・ウェスタンの中ではなかなか拳銃の撃ち方が
スタイリッシュでしかもビジュアル面においてもカッコいいという、
まっこと素晴らしい!ものだった。どう語ればいいのかわからないのでこの辺で〆。

2009年3月26日木曜日

マヌエル

映画「傷だらけの用心棒」に登場。
 
元殺し屋。右手に黒手袋をつけてから拳銃を撃つ癖がある。
とある町で牧場主のロジャース一家が暴虐の限りを尽くしていた。
マリアの夫、ベンも彼らに殺されてしまう。マリアは復讐を誓い、
かつて愛した男、ベンの友人でもあり、元殺し屋であるマヌエルの下へ。
殺し屋家業を引退した彼にマリアは無き無しの金を報酬とするが
マヌエルは「そんなものはいらない。お前のためにやってやる」といい承諾する。
かつて愛した女マリアの願いにより、マヌエルはふたたび銃を取る。
殺されたベンの葬儀を殺した側であるロジャース一家に執り行わせること。
それが彼の果たすことだった。ロジャースの息子たちが
酒場でならず者に絡まれているのを見つけた彼は自身の早撃ちを
ロジャースの息子に見せつけるように披露し、ならず者たちを倒す。
その腕を買われて難なく、ベンの仇であるロジャースの元へ
用心棒として潜入できた。そしてその夜にロジャースの一人娘を
誘拐するマヌエル。可愛い娘を人質を取られたロジャースは
マリアの要求通り、夫の葬式に参列する。しかし牧場主に土地を
奪われたケイン兄弟が自分たちの命と金欲しさにロジャース一家の味方につき、
人質の娘を奪おうとするが、マヌエルに阻まれる。
兄弟はロジャース一家にリンチにされ、兄はもう一度チャンスを与えられるが、
弟は人質に捕られてしまう。兄はもう一度娘を奪還すべく
マヌエルを殺そうとするが、返り討ちに遭い死ぬ。
その次の日娘は解放されるが、それを知らずに業を煮やした
ロジャース一家はマリアを襲う。マヌエルは彼女の下に駆けつけるが
時既に遅く、マリアは重傷を負っていた。最期に自分を殺った
ロジャース一家のこと、マヌエルが殺し屋になって町を去ったとき
自分は捨てられたと思ってベンと結婚したことを告げ、
マヌエルに愛していると呟くと息を引き取った。
彼は復讐を誓い、ロジャース一家と決闘すべくゴーストタウンに行く。
同じ頃、ロジャース一家もマヌエルを殺そうとケインの弟と共に
ゴーストタウンへ。しらみつぶしにマヌエルを探していたが、
そこへケイン兄が馬に乗って現れる。様子がおかしいことに
気づいたロジャースたち。それはケイン兄の死体であった。
ケイン兄が奪還に失敗したとわかり、ケイン弟をリンチに処しながら
マヌエルを探すと、マヌエルが自分から姿を現す。
ロジャースたち三人はゆっくりと歩き、マヌエルは黒手袋をつけながら歩く。
そして一定の距離となったとき、彼らの歩みが止まる。
それからは一瞬であり、マヌエルの早業でロジャースたちは倒される。
手袋を外し、その場を去ろうとするマヌエル。しかしそこへ人質だった娘が銃を携えて現れ、
彼女によって彼もまた倒されるのであった…
 
ダークノワール・ウェスタン映画「傷だらけの用心棒」。
早撃ちシーンと手袋をつけるシーンが印象に残るマヌエルは
女に愛されてなくても(本当は愛していたんだが)女の為に一仕事する男。
この辺の感じが「シン・シティ」のマーヴにも繋がるあたり
「傷だらけの用心棒」はノワール作品として素晴らしいものである。
救いのないラスト、マヌエルのカッコよさの二粒が旨い映画だった。