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2025年2月10日月曜日

ペドロ


ゲーム「My Friend Pedro」に登場。

記憶を失った主人公の元に突如現れた謎のバナナ。
宙を浮遊し、自我と知性を持ち、
人語を話すバナナであり、主人公の友人を名乗る。
旧市街にある肉屋の倉庫で目覚めた主人公の目の前に現れると、
周辺を牛耳る地獄の料理人ミッチは武器商人で、
従わない者をミンチにしてしまうことを説明し、
このままだと主人公は殺されてしまうという。
助かるにはミッチを始末するしかないと、
主人公は拳銃を手に肉屋からの脱出を図る。

アクロバティック横スクロールガンアクションゲーム「My Friend Pedro」。
記憶喪失の主人公が、目の前に突然現れた謎のバナナ・ペドロとともに
悪党たちとの銃撃戦を繰り広げる。アクロバティックなアクションを駆使し、
さらに様々な銃や環境を利用し、時間の流れを遅くする能力「フォーカス(FOCUS)」を
活用しながら、悪党どもをバッタバッタとぶっ飛ばしまくる本作。
そして友達のバナナ・ペドロ。バナナが友達って!?しかも宙を浮いて、喋ってる!
作中、ペドロは必要性のあるアクションなどをチュートリアルしてくれ、
主人公の行き先を導いてくれる存在。しかし主人公の友人だと語りはすれど、
それ以上のことは何も語らず、唐突に謎の空間に招き入れたり、
何故か悪党どもに詳しかったり、謎めいた存在だ。
むしろ謎が多すぎて、もはや神秘の塊である。
非常にうさん臭い関係のまま、物語が進む。
すると、悪党のボスたちは口々に主人公のことを知っているかのように話す。
そして明かされる衝撃の真実。ペドロとは自身であり、
悪行を重ねる家族との生活に嫌気が差した主人公。
実の家族を殺す決意するも、罪悪感を消すため自身の記憶を消し、
殺害計画のナビゲーターとしてインスタント人格「ペドロ」を作り出したのだ!
あとは自信を消すだけだと、ペドロは主人公の肉体を支配しようとする。
抗う主人公は、自身が作り出した架空の友人にその銃口を向けるのだ!

ジェットコースターのような展開の中、最期の戦いを制すと
なぜかちょっと晴れやかな気分のまま、
実際は非常にサイコでサイケデリックな結末に
プレイヤーは置いてけぼりにされるだろう。

2024年11月10日日曜日

ディーラー

ゲーム「Buckshot Roulete」に登場。

浮遊する2つの手と、人間とは思えない異常に鋭い歯の生えた丸顔で構成された存在。
正体不明、本名も不明。ナイトクラブを思わせる建造物の一室で待ち受けており、
ショットガンを使ったロシアンルーレットに興じる。
撃たれると出血し、しかめ面や苦痛の表情に変わる。
少なくとも生き物のようだが、何度撃たれても既定のライフ数と勝負が続く限り、
何度でも起き上がるため、不死に近い存在なのかもしれない。
過去に「神」と名乗る者と勝負したことが示唆されており、
プレイヤーがゲームに使用するアイテムを箱から取り出す際、
稀に血塗れの免責同意書が出てくるときがあり、署名に「神」と記されている。
ゲームの開始時に必ず免責同意書に署名させるところや、
弾の装填は不規則、ルールを都度説明するなど、
律儀な性格をしており、フェアなゲームを楽しんでいるが、
それは同時に、命を賭けたゲームを純粋に楽しんでいる狂人の側面でもある。
最終ラウンド以外ではプレイヤーが死んでも、
何度でも除細動器で甦らせることから、ギャンブル依存症の疑いがある。
ゲームは署名後に開始され、横のモニターに電源が入り、
3ラウンド続くことを示す。第一ラウンドは純粋な確率での勝負であり、
運が悪くなければ、勝ち抜くことができる。
第二ラウンドは新ルールとして「アイテム」の使用が導入される。
戦略性が増し、理詰めで運をモノにする面が強くなる。
第3ラウンドでは4つのライフ数以下になると除細動器が使用不能になり、
この状態で撃たれると、文字通り本当の死が待っている。
プレイヤーが死んだ場合、銅で出来た門がある謎の空間へと飛ばされ、
(死後の世界と推測されるが、詳細不明)無情にも、「死亡」と推定される。
プレイヤーが勝った場合、ディーラーは死亡。
勝利した褒美として、賞金7万ドルとショットガンが贈られる。
プレイヤーは車の助手席に現金の入ったアタッシュケースとショットガンを乗せ
車でその場を後にする。しかしディーラーが本当に死んだかは不明である。
ルールに従ったのか、無力化されたのか、続行する気を失くしたのか。
現金を受け取る際に一瞬現れる、赤く光る眼のようなものが意味するのは…

装填中の沈黙がたまらない。ゲーム「Buckshot Roulete」は
謎の建物で、謎の存在と、謎のギャンブルを繰り広げる。
目的と理由も謎である。ただ、恐ろしい見た目のディーラーから
賞金と自身の自由を勝ち取らなければならない。
このディーラー、明らかに人ではない挙動をする。
薬室を覗かずに、割った虫眼鏡で装弾を確認する、
金属でできた銃身をノコギリで一瞬で両断する、
その両断した銃身をまた生やすなど、
異常なアイテムの力といえばそれまでだが、
プレイヤーが除細動器で甦るのに対して、
一切それを使う様子がないのが恐ろしい。
しかしビールや煙草は普通に使用し、
何故か律儀に手錠を手首にかけるなど、どこか人間臭い。
製作者のQ&Aによれば、彼の体は実際に「頭部と手が浮いてるだけ」であり、
人外であることは確かなようである。

2024年10月10日木曜日

サンタクロース


映画「バイオレント・ナイト」に登場。

クリスマスイヴの夜に、酒場で飲んだくれるサンタ姿の老人。
実は正真正銘のサンタクロースである。
オモチャが欲しい、ゲームが欲しい、金が欲しいと
年々物を欲しがるだけで、クリスマスの奇跡を信じなくなった子どもたちに
愛想を尽かしており、今年で引退を考えながらプレゼントを配っていたのだ。
かつてサンタになる前は人間であり、人々から恐れられた凶悪なヴァイキング。
人間時代の名前は「赤いニコムンド」。愛用の大槌「脳天潰し(クラッシャー)」で、
相手の頭をかち割るのが得意だった。今では人間的にだいぶ丸くなり、
妻とは仲睦まじく、1100年連れ添った仲である。
酒場で飲みすぎた後、空飛ぶソリから吐瀉物をまき散らし、プレゼント配りを再開する。
大富豪であるライトストーン家の屋敷に舞い降りたサンタ。
プレゼント配りのささやかな報酬としてクッキーやミルク、酒などを摘まみ食いしつつ、
のんびり仕事を終えようとした。しかしそこへ武装した強盗団が現れ、屋敷を掌握。
強盗たちの目的は屋敷の地下金庫に隠された3億ドル。ライトストーン家の人々は囚われてしまう。
使用人を殺す際の銃声に驚き、屋根からソリごと飛び去ってしまうトナカイたち。
立ち去る手段を失ったサンタは、仕方なく襲い掛かる強盗一人を叩きのめす。
強盗が持っていた無線を奪い、どうするか思案に暮れるサンタ。
偶然にもライトストーン家で一番幼い娘トルーディと通信が繋がった。
トルーディは昨今では珍しい純粋にサンタを信じる良い子であり、
サンタは彼女のために強盗たちと対峙すること決断する。
持ち前の驚異的な戦闘力で強盗たちを一人一人片付けていく。
そしてライトストーン家の活躍もあり、無事強盗たちを壊滅させた。
自身を最後まで信じてくれたトルーディに感謝を告げ、
クリスマスの奇跡を信じようとしてくれたライトストーン家の人々を見直した。
そして自分の使命と最近の人々も満更でないことを再認識したサンタは、
置き去りにしていった薄情なトナカイたちを許しつつ、
世界中の子どもたちへプレゼントを配りに、夜空へと飛び立っていった…

サイレントナイト♪ホーリーナイト♪バイオレントナイト♪
映画「バイオレント・ナイト」を一言で説明するなら
サンタ風ダイ・ハード」と言えるだろう。
実際に作中で「ダイ・ハード」が言及される一幕がある。
後はひたすらにヴァイキングなサンタによるバイオレンスアクションが炸裂!
ついでにトルーディちゃんのホームアローン風のトラップも爆裂!
頭と言わず体と言わず、いろんな部分がエグい描写がたっぷり。
もちろん「赤いニコムンド」のキャラも濃く、何より同じ北欧が出自である
ヴァイキングとサンタクロースを合わせるとは、目から鱗である。

2015年4月29日水曜日

グラトン

ゲーム「サイレントヒル3」に登場。

裏世界の雑居ビルで登場する怪物。絵本に登場する怪物が、裏世界の力を受けて実体化したもの。
絵本の中では人間を捕食する怪物として描写されているが、実際には攻撃を仕掛けてくることは無く
動き回ることもない。しかし一切の物理攻撃が通用せず、巨体ゆえに通路を塞いでしまっている。
その先の道へ行くには、この怪物が登場する絵本を全て見つけ出し、
絵本に書かれた呪文「トゥ・フィ・エゴ・エリス」を唱えなければならない。
名前は「飽食家」の意。

何かが語りかけてくる、思い出せと。
ゲーム「サイレントヒル3」に登場する敵は主人公ヘザーに対して
直接に語りかけることはないが、その姿を現すことで彼女の何かに語りかけてくる。
この怪物の存在も、おそらく一作目をプレイしたことあるものなら、既視感を覚えるかもしれない。
その姿に見覚えはないが怪物の登場する絵本の内容は、一作目を髣髴とさせる。
更に畳み掛けるように絵本に登場する呪文の意味。ラテン語で「私はあなたであった、あなたは私になるだろう」。
その意味すること、そしてこの怪物を通じて語りかけてくる者の正体は・・・・
この怪物もまた一つの体に二つの口があり、今度はそれ自体が体の一部なのかサークル状何かに囲われている。
ちなみに間近で見ると、口の部分が震えており、その場で立っているだけとはいえ
非常に不気味である。ヘザーの謎を内包したこいつは何を語りたいのか?
以下、絵本の内容。

童話、始まり
むかしむかし、ある町の門に怪物が住みつきました。
 とてもこわく、とても悪い怪物です。
 人をつかまえては、むしゃむしゃと食べてしまうのです。

 町に住んでいる人は怪物がこわくて、だれも町の門には近づけません。
 町の外に出られなくて、とてもこまりました。
 それを聞いた王さまは、きしたちに命令を出しました。
 きしたちは、はりきって怪物をたおしに行きました。

『えいっ、やぁっ』
 ところがたいへん、怪物はけんできっても、やりでついても死にません。
 そしてきしたちは馬ごと、怪物にぱくぱくと食べられてしまいました。

 王さまはとても困りました。
 こまってこまって、うーん、とうなり声をあげるけれど
 どうしたらいいかわかりません。

 そこへ神さまに仕える巫女さまがやってきました。
 とてもやさしく、とても良い人です。
 王さまは巫女さまに怪物を倒してくれるよう、たのみました。

童話、続き
巫女さまは王さまの願いを聞いて町の門へとむかいます。
 やさしい巫女さまは何とか怪物を死なせたくなかったので
 説得してみようと思いました。

『うるさい、だまれ。食ってしまうぞ』
 だけど怪物は巫女さまの話を聞こうとはしません。

 それでも巫女さまは怪物に話しかけるのをやめません。
『人を食べるのはいけないことです』

 それを聞いた怪物は怒って、巫女さまにおそいかかり、
 なんと、巫女さまを殺してしまいました。

童話、終わり
王さまも町の人もやさしい巫女さまの死んだことになみだをながしました。
 あんまりみんなが泣くのを、かわいそうに思った神さまは
 巫女さまを奇跡の力で助けました。

 朝起きるように、巫女さまは目をさましたのです。
 巫女さまはもう一度、怪物のところへ行きました。

『ばかな奴だ、また死にたいのか』
『いいえ、死ぬのはあなたです』
 巫女さまは今度は怪物を殺すためにやってきたのです。

 やさしいやさしい巫女さまにとって、
 それはかなしいことです。でも仕方ありません。

『けんもやりもやくたたずだ。
 ゆみやもてっぽうもはねかえすぞ』
 おれは殺されないぞと、怪物は
 わらいます。でも巫女さまはけんもゆみやも使いません。
 ただ一言、じゅもんをとなえました。

『トゥ・フィ・エゴ・エリス』
 すると何ということでしょう。
 怪物は大きな、くるしそうなひめいをあげると死んで、消えてしまいました。

 おかげで町の人たちは、また門を使えるようになりました。
 だれもが、その巫女さまにたいそうかんしゃしたということです。
 めでたしめでたし。

2013年10月19日土曜日

竜の神

ゲーム「Demon's Souls」に登場。

ストーンファングの先人が祀った竜神の似姿であろうデーモン。
その恐るべき力は、先人の遺した幾重もの厳重な備えが物語っている。
ストーンファング深奥を根城にしている。
かつて先人たちは坑道で見つけた巨大な竜の化石を「竜の神」として認識し、
これを祀り、それに対する畏怖から巨大な弩砲を用意した。
またストーンファング深奥には使用者を炎から守る魔法が付与されている特大剣「竜骨砕き」があり、
これは先人たちにより竜に対するために作られたとされている。
このように竜に対する畏怖と信仰がこのデーモンを生みだした。
八つ目の竜の姿をしているが、攻撃方法は専ら強靭な腕から放つ拳による一撃である。
ただし竜のデーモンだけあって、その吐く息ですら炎の攻撃となる。
翼はあるが、戦闘において飛ぶことはない。しかし飛ぶこと自体はできる。
主人公が楔の神殿に至るまでの道のりで拡散の尖兵を倒した後に待ち受けており、
このとき主人公は為す術なく、一撃で殺されることとなる。
その後のストーンファングの深奥での二度目の戦いで初めて倒すことができる。
弱点は顎に生えた棘であり、巨体故にダメージを与えられないが、
ストーンファングの先人たちが残した弩砲を作動させることで両腕を貫き、
跪かせることで攻撃が可能になる。このデーモンから得られる「竜のデモンズソウル」からは
1つの奇跡と二つの魔法を生み出せる。術者を中心に、強い力場を爆発させる奇跡「神の怒り」は
巨大な悪意に対する、神の力の象徴であり、すべての正しい人を助ける、最も偉大な奇跡のひとつである。
火の玉を放ち、爆発を発生させる魔法「火の玉」は溶岩の湖に浸かる、竜骨から生まれたデーモンが
ごく当然のように、巨大な炎の力を体現していたことから発現できた魔法。
術者を中心に、炎の嵐を発生させる魔法「炎の嵐」は、混沌の暴君たる巨大な竜の力そのものであり、
ただ吹き荒れ、これを制御することはできない。

デモンズソウル」でも、デカさでいったら古の獣にならぶ大きさのデーモン、竜の神。
”とついているのに炎を吐くことよりも先に拳が出るという超武闘派(主に燃えよドラゴン的)な竜である。
チュートリアルにおいては、拡散の尖兵を倒して最高にハイな状態のプレイヤーに対して
無慈悲な鉄拳をブチかまして、楔の神殿送りにしてくれる。いざ戦ってみると、先人の仕掛けを発動させるだけの
作業ゲーになっている。まともな戦闘らしい戦闘をせずに負ける、あんまりな扱いである。
下手をしたら最弱のデーモンに部類に入ってしまうような扱いであり、
もう少しなんとか出来なかったのだろうかと、筆者は常々思う。
話は変わって、基本的にストーンファング坑道内は岩と土と作業具などの坑道らしい部分が多いが、
竜の神がいるところはわざわざ石造りの神殿の様なステージになっており、
ここだけ一気に雰囲気が変わるため、竜への信仰の深さが窺える。
ちなみにオープニングムービーにも登場しており、ストーンファング坑道の外に出没しており、
更にエンディングの空を飛ぶ映像から、坑道内にはあの巨体を外へ出せる抜け道があるのかもしれない。

2013年10月7日月曜日

カタカタ(または赤い服の女)

映画「コワイ女~カタカタ」に登場。

結婚を控えたOL・吉沢加奈子は、前妻と離婚したばかりの婚約者・田崎 晃と会った帰り道で
“カタカタ…”という奇妙な音を聞く。その直後、マンションの上から落ちてきた何かの衝撃に襲われる。
その後、何事もなかったように帰宅した彼女の元に「別れた女房に刺された」という晃からの電話がかかってくる。
そして、加奈子にも外に出ないようにと言って電話は切れる。直後、何者かの視線を感じた加奈子が振り返る。
いつの間にか部屋の中には赤いワンピースを着た女が立っていた。手にした包丁を持って女が襲ってくる。
必死に逃げる加奈子だが、女は恐るべきスピードでどこまでも追いかけてくる。
女の顔は憤怒で歪んでいるように見え、咄嗟に考えたのが晃の妻の存在。
女の正体は晃の妻なのだろう。命からがら逃げ出して交番へ駆け込む。
しかし交番にいるはずの警官の姿はなく、戸惑いながらも携帯電話で友人のみゆきに助けを求める。
電話に出たみゆきによると、晃は加奈子のマンションに行ったが、加奈子に会えず、
みゆきに相談し、二人で加奈子のことを探しているとのこと。
晃が来たという話に疑問を抱き、事情を聞こうとするが電話はノイズ塗れになって不通になる。
絶望的な状況の中、今度は自宅にいるであろう晃に電話をかける。
「加奈子か?」奇跡的に繋がった電話。晃の声に安堵する加奈子。
「加奈子か?」現在の状況を晃に説明しようとするが、そこで奇妙なことに気付く。
「加奈子か?」晃は話し始めてから自分の名前しか呼んでいない。
そうではない。頻りに「加奈子か?」しか口にしていない。
「加奈子か?かなこか?かなこカ?カナコカ?カナコカカナコカカナコカ」
そう言い続けるだけの不気味な晃。異常な状態に思わず携帯電話を叩きつぶす加奈子。
しかし壊れた電話からまだ音声が聞こえる。「カタカタ」という音までも。
何者かの視線を感じた加奈子が上を見上げると、いつの間にか赤い服の女が天井に張り付いていた。
「カナコカ?」聞こえていたのは女の声だったのだ。
加奈子は道路を走りながら、助けを求める。しかし誰もその声に答えない。
奇妙なことに夜中と言えど、人通りのあるはずの町はひっそりと静まり返っていた。
何とか自宅のマンションの前の人だかりを見つけ、助けを求める。
しかし誰一人反応を示すものはいない。人だかりの中心には豹柄の服を着た女の死体。
突然手を掴まれ、振り返った加奈子の目には一人の少女が映った。
パニックになりながら何かを知っているような少女にここは一体何なのか問いかける。
少女は黙って指をさす。その先には倒れた花瓶を見た加奈子は思い出す。
最近、自分が住むマンションで少女が事故で転落死した事、
いつもバルコニーから花瓶を見つめる母親の姿を。
少女の正体を確かめようとするが、突如辺りに「カタカタ」という音が響き渡る。
赤い服の女が加奈子を見つけたのだ。咄嗟にマンションの中に逃げ込み、階段を駆け上がる。
階段の途中で黒服の女性たちを見つけ、助けを求める。
しかし黒服の女性たちには皆生気がなく、誰も加奈子に目もくれず俯いたまま。
もう一度階段を上ろうとすると、また別の黒服の女性が階段前で立ちふさがっていた。
女性の首には痣があり、女性はは女たちの方を指さす。階段の下からはあの女が迫ってきた。
訳がわからないまま指さす方へ向かうと、先ほどの少女がマンションの一室に消えていくのを見る。
遂に同じ階に辿り着いた赤い服の女が黒服の女性たちの前を横切ると、黒服の女性たちは苦しみながら
跡形もなく姿を消していく。迫る赤い服の女から逃げ切り、少女の消えた一室に駆け込む。
部屋の中には異様の光景が広がっていた。部屋中に赤い紐が蜘蛛の巣のように広がり、
赤い紐には玩具が所々に結ばっていた。奥に進むと、写真が壁に貼られた部屋があった。
写真には母親と娘の姿があり、その一室が件の少女とその母親の家だと気づく。
突然部屋が揺れ、倒れこむ加奈子。部屋の扉の前には赤い服の女が立っていた。
「カタカタ」という異様な音と骨が軋む音を響かせながら女が近寄ってくる。
体を強張らせ、首と腕が異様に伸び、明らかに人ではない女の様子に悲鳴を上げながら
カーテンを捲ってバルコニーへ逃げるようとする加奈子。
外は光に包まれ、強い風が加奈子の髪を靡かせる。気付くと加奈子は病室のベッドの中。
自宅のマンション前で加奈子は飛び降り自殺の巻き添えになり、病院に運ばれたのだ。
自殺した女は即死。奇跡的に命を取り留めた加奈子は、落下時の衝撃で女の死体が体に癒着し、
大手術をしなければならなかった。自殺した女は所持品がなく、身元不明のままだった。
一連の出来事は悪夢に過ぎなかったのだ。晃の前妻はその後、別の男性と再婚。
加奈子が考えたような、執拗な女性ではなかった。退院後、加奈子は少女の死んだ場所に花束を置いた。
悪夢の中、助けてくれた少女に感謝をこめて。近所の女性に死んだ少女について聞いてみると
驚くべき答えが返ってきた。死んだ少女の母親は二年前に実家へと帰り、首吊り自殺をしていた。
加奈子は無意識に飛び降りた女が母親だと考えていたが、実際には全く関係のない女だったのだ。
衝撃の事実に戸惑う加奈子の前に、件の少女と母親が現れる。母親の首には痣が。
母親は階段で指さししていた黒服の女性だった。少女の口から「逃げて」という言葉が紡がれる。
突如、少女と母親は苦しみながら跡形もなく姿を消した。「カタカタ」という音が響き渡る。
明るい昼間だった光景は夜の暗闇に変わり、加奈子はいつの間にか何本もの女の手に捕まっていた。
その手を振り払おうとする加奈子だが、抵抗むなしく手すりに押しつけられる。
目の前で異形の顔となった赤い服の女に、絶望に包まれながらその正体を問う。
加奈子に赤い服の女は告げる「オバケだよ・・・」。

カタカタ、カタカタ、カタカタ・・・・
異様な音と共に現れる女の恐怖を描いたオムニバス映画「コワイ女」の一編「カタカタ」。
最初のタイトル表示が行われるシーンを見ればわかるが、「カタカタ」は「女」の字を崩して、
二つに表わされた言葉であり、つまるところ劇中の「カタカタ」は「女」のことを指しているようだ。
幽霊とも殺人鬼ともわからない女の襲撃、徐々にわかる主人公が住んでいたマンションで起きた事件。
序盤まで中々盛り上げてくれるが、ラストシーンは賛否両論である。
筆者自身は偶発的に遭遇してしまった怪異の存在という結末は、
昨今の何かと理由付けする日本のホラー映画の中では異色ながら、シンプルな答えに好印象を抱く。
しかし些か唐突すぎる感じもあるので万人に薦められるかどうか、なんとも言えない。
ちなみに上で書いたラストシーンは一部書かれていない部分がある。
私自身理解できないシーンだったため、意図的に書いていない。
詳しくは本編を見て、自分なりの答えを見つけてほしい。
私としては正直な話、あまり面白くないシーンだ。

2013年7月12日金曜日

タカアシ鎧蜘蛛

ゲーム「Demon's Souls」に登場。

ストーンファング坑道地下に巣食う巨大な蜘蛛の姿をしたデーモン。
その姿は小さな蜘蛛の群れが地下に張り巡らせた巨大な巣から、人々が想像した「蜘蛛の王」。
想像上の蜘蛛であるため、柔らかいはずの体は硬く尖った外殻に覆われ、
蜘蛛でありながら糸のみならず炎を操る。坑道地下より先の道で待ち構えており、
その巨体故に動き回ることはないが、坑道を訪れる者の行く手を遮る。
相手が長距離にいれば触れれば身動きが出来なくなる粘質の糸の塊を噴射、
巨大な溶岩を単発ないし連続で吐き出し、近距離にいれば硬質な足による一撃を繰り出してくる。
また相手が近くに居続けると、坑道を満たすほどの火炎で焼き払おうとする。
このデーモンから得られる「硬質のデモンズソウル」からは連続で火の飛沫を放つ魔法「火の飛沫」や
術者の手元に大きな炎を発生させる非常に原始的な炎の魔法「発火」、
矢に炎の属性を付与する蜘蛛の節足のような幹を持つ長弓「溶岩弓」を生み出すことが出来る。

ファンタジーにおける鉱山と坑道といえば金銀財宝、鉱石いっぱいを想像する。
ゲーム「デモンズソウル」も例外ではなく、ストーンファング坑道は
鉱石がいっぱいなステージで各種鉱石が手に入りやすい(一部を除く)。
しかし行ってみればわかるが、不気味なウロコを持つ穴掘り人夫や、
燃えるトカゲ、野犬、王の公使が出没する坑道ステージでは
鉱石目当てで軽はずみな行動に出れば、命を落とすギミックが沢山。
そしてここのボスは蜘蛛であり、一転してこの坑道が一種の蜘蛛の巣のように
侵入する者を捉えて離さない地獄の穴のように感じる。
ボスのタカアシ鎧蜘蛛は坑道に住む人々が想像した巨大な蜘蛛であり、
硬い体に、糸と炎で攻撃するというデーモン。
糸で動きを止め、溶岩で仕留めるコンボを使ってくるトリッキーな奴であるが
鎧蜘蛛自体は移動しないため、短期決戦を仕掛けるもよし、
長期戦でチマチマ削るも良しで、そこまで強いボスではない。
ちなみに筆者はこいつとの戦いは、広い蜘蛛の巣のような空間で
追いかけ回されるのかと、勝手に想像していた。
実際に戦ってみた結果、まさかの連続糸吐きで殺されるという、情けない現状でした。

2013年6月5日水曜日

塔の騎士


ゲーム「Demon's Souls」に登場。

かつてオーラント王に仕えていた三英雄の一人、塔の騎士アルフレッドの似姿となるデーモン。
城の外壁と同じくらいの巨体を強固な鎧に包み、さらに巨大な槍と盾を持っている。
その盾は故人であるアルフレッドが使用した「塔の盾」をモチーフにしている。
「塔の盾」はすさまじく重く、使いこなすことは至難とされ、およそ知られている中では最大の大盾。
あらゆる害意を退け続けるといわれ、巨大にして堅牢な「塔の盾」で全てを受け止める
アルフレッドの不動の姿は、ボーレタリアを守る最強の盾と呼ぶに相応しいと言われている。
このデーモンは全身を覆い隠すほどの大盾で攻撃を防ぎ、巨大な槍を振るう。
また盾で押し潰す攻撃も侮れず、槍からは魔法を放つ。
弱点は頭部であり、踵を切りつければ、その巨体を倒れこますことができる。
このデーモンから得られる「鉄のデモンズソウル」からは「完全な防護」という
物理ダメージを大幅に軽減する魔法をを生み出すことができる。
この魔法は塔の騎士が持っていた、巨大な盾を象徴している。

心が折れそうなRPG「デモンズソウル」。
本作で圧倒的存在感を醸し出しているのが、この塔の騎士。
登場ステージは基本一本道だが、道中の弓矢の一斉射撃、野犬の群れ、
青目騎士を突破しなければならず、そして突破した先の霧へ入るとボス戦へ。
まず塔の騎士が巨体を見せつけ、王の公使がまるで今までの苦労を労ってやろうとばかりに出迎え、
公使の合図で一斉に外壁からボーレタリア兵が弩を構える。
そしてこちらを委縮させるような緊迫感溢れるBGMが流れる。
まさに「さぁ死んでくれ」と言わんばかりの演出。
この演出とその巨体あって、威圧感が物凄い。
序盤のボスながら攻撃力が高い上、その巨体故に妙にゆっくりしているような攻撃は
確実にこちらの動きを追尾し、避けたと思っても攻撃範囲の広さから高確率で当たる。
そして攻撃しようとすると、周りのボーレタリア兵の攻撃でボコボコにされる場合も。
下手をしたら何かする前にYou Diedでゲーム終了となるかもしれない。
しかしここが数ある正念場の一つ。よく動いて、よく考えれば、勝利は簡単。
ボーレタリア兵を先に始末し、それから確実に塔の騎士の踵を切りつけ、
倒れたところで頭を断ち割ってやろう。もしくは魔法で遠距離攻撃もありである。
ちなみに元となったアルフレッド本人は故人らしく、彼の黒ファントムだけ登場する。
「削り取る槍」と「塔の盾」を装備し、場合によってはデーモン以上に苦戦する相手かもしれない。

2012年12月5日水曜日

ファランクス

ゲーム「Demon's Souls」に登場。

ボーレタリア王城の城門内で待ち受けるデーモン。盾と槍を備えた粘泥状の生物の集合体であり、
密集しての防戦陣形を得意とし、その姿は重装兵による会戦陣形を髣髴とさせる。
ゆっくりと動き回りながら盾で防ぎつつ正面から敵に突撃してくる。
全ての守りのファランクスを倒すと、謎の光を放つ巨大な本体が姿を現す。
しかし本体自体に攻撃能力はなく、盾を失うと逃げ惑う無力な存在。
本体とそれを守る多数のファランクスの姿からは、かつてのボーレタリア兵も
この陣形を得意としていたであろう事が窺い知れる。
このデーモンから得られる「鉛のデモンズソウル」からは「削り取る槍」という
対象の装備を削り取り、耐久力を下げる穂先に無数の逆棘のある長槍を生み出すことができる。

ここからが本当のデモンズソウルだ」でお馴染みの「Demon's Souls」。
拡散の先兵がチュートリアルなら、このデーモンは初心者卒業の敵。
コイツを倒してからが、本当の意味で辛い旅の始まりである。
またデーモンは概念すらも己の肉体とすることができ、またボーレタリアでは
現実の世界同様の戦術が用いられていることがわかるなど、世界観の演出にも一役買っている。
話は変わって、コイツの強さは拡散の先兵と比べると、戦う場所が広いだけに
雲泥の差があり、良くも悪くも入門的な敵なため、片手間で倒せたりする。
しかしこいつのデモンズソウルから作れる「削り取る槍」はコイツと違い、凶悪極まりない。
1、2発くらっただけで装備の耐久値がガリガリ削れ、意味を為さないものにしてしまう。
ちなみに私が初めて相手したPCの黒ファントムはその槍を持っていて、私は散々な目に遭った。

2012年11月9日金曜日

原生デーモン

ゲーム「Demon's Souls」に登場。

デーモンとは老王オーラントが古の獣を目覚めさせたことにより現れた、
ソウルを喰らう存在であり、その姿形は様々である。
しかし強大なソウルを手に入れてデーモンになった人間や人為的に作られたもの、
火防女と魔人を除けば、元々のデーモンは古の獣から生まれた原生デーモンと呼ばれるものが
本来の姿であり、多種多様な姿は持たない。このデーモンの幼生は棲み処とする土地の伝承、
伝説、噂や恐怖といったものを理解し、これを具現化、己の姿として定着させる。
そしてその姿に違わぬ、凶悪さでその土地の生物のソウルを奪うのである。
原生デーモン自体は噛みつく以外に、攻撃方法を持たず、非常に非力で脆弱な存在である。
このデーモンから得られる「色の無いデモンズソウル」は、特殊な武器を強化することができる。

世界とは悲劇なのかゲーム「デモンズソウル」。作中に登場するほとんどのデーモンの本来の姿は
この不思議生物ちゃんらしいが、親(?)の古の獣のためにソウルをせっせこ集める、この生き物。
とにかく謎であり、本当に生き物なのかどうかすら怪しい。何なんだろうデーモンって。
もしかしたら、こいつが成長すると古の獣と同じようなものになるんだろうか?
他のデーモンが凄まじく攻撃的なのに、このデーモンだけはよっぽど近づかない限り襲ってくることはなく
大抵は「色の無いデモンズソウル」目当てにプレイヤーにぶっ殺される運命である。
しかしここで大きな落とし穴。ゲームのシステムとしてソウル傾向というものがあり、
これが黒ければ黒いほど難易度が上がり、白ければ白いほど難易度が下がるシステムとなっている。
ソウル傾向には二つ種類があり、一つは自分自身。もう一つはそのステージのもの。
そしてエリアのソウル傾向が真っ黒になると、この原生デーモンが現れるのだが
こいつを見つけるまでがとにかく大変。難易度が最大レベルまで上がると、
道中の敵の攻撃力が高くなり、本来存在しないはずの敵が湧いていたりと、
もれなく真っ黒にしたことを後悔する仕様になっている。
虎穴に入らずんば、虎子を得ずとはよくいったものである。

2012年10月29日月曜日

拡散の先兵

ゲーム「Demon's Souls」に登場。

色の無い濃霧が現れてから先駆けて出現したデーモン。
ゆえに「拡散の先兵」と言う名がついた、悪魔のような姿の魔物。
その剛腕から繰り出される大斧で、相手を叩き潰そうとする。
また背中に生えた羽根で少しの間だけ宙に浮くこともでき、その巨体で押し潰そうとしてくる。
先兵だけあってか、デーモンの中では珍しく同一の姿をしたものがいる。
デーモンとは楔の神殿の深奥に眠っていた古の獣が目覚めたことにより生じた色の無い濃霧から現れた凶悪な怪物。
全ての生き物が持っているソウル(魂)を喰らう存在であり、異形のものもいれば、
人の姿を象ったものも存在する。中には人間からデーモンに堕ちた者もいるという。
デーモンにソウルを奪われた人間は正気を失い、ソウルを求めて他者のソウルを奪おうとする。
デーモンは奪ったソウルを体内に溜め込んでおり、デーモンのソウル、すなわちデモンズソウルは
尋常のソウルとは比べものにならず、手にすれば人外の力をもたらすという。
このデーモンから得られる「灰色のデモンズソウル」からは「ドーザーアクス」という
人間をひとたまりもなくすり潰す、巨大な大斧を生み出すことができる。

フロムソフトウェア製作「デモンズソウル」。
過酷なステージを巡り、デーモンを倒すことが目的のゲームである本作。
そのチュートリアルで相手をするのがこのデーモン。
デーモンの中では基本的に弱い部類なのだが、
これといった準備もできないプレイヤーを大斧の一振りで
楔の神殿へと熨斗つけて送ってくれる、憎い奴である。
その後は嵐の祭祀場というステージで一匹だけ、ポツーンとおり、
装備が整ったプレイヤーらによってボコボコにされるのは恒例といっていいだろう。
ちなみにチュートリアルのコイツは倒すことが可能。ただし・・・・

2012年5月5日土曜日

ババサレ

アニメ「学校の怪談
第6話「扉を裂く悪魔の手 惨劇の夜」に登場。

鎌を持った老婆のような容姿をしたオバケ。
子供が一人で留守番をしている家に行き、子供を襲う。
声色を変えて相手を欺くこともできる。
「ババサレ、ババサレ、ババサレ」と唱えることで
霊眠させることが出来るが、街の宅地開発により結界の効果が消え、
霊眠させることが出来なくなってしまった。
熱湯をかけられると一時的に消滅するが弱点というわけではなく、
元々子供の恐怖心に付け込んでくるオバケであり、
オバケを怖いと感じない者、その存在を信じない者には見えない。
そのため怖いと思う限り何度でも襲ってくる。
さつき達に襲い掛かったが、父・礼一郎が帰宅すると同時に消え去った。
その後は姿を現さなくなり、レオは「一種の集団ヒステリーではないか」と考えているが…

子ども時代の懐かしい恐怖、アニメ「学校の怪談」。
このババサレ、どこぞのロリコン殺人鬼のように子供の恐怖を食い物にしており
花子さんがきた!」のトンカラトンやさっちゃんと同様
刃物をチラつかせる現代的なオバケである。
本作のオバケや悪霊、幽霊といったものは基本的に
主人公たちによって退治される役柄なのだが
このババサレのみ、明確に倒されたという描写がなく
子ども心に言い知れぬ恐怖を抱かせられた。

2011年11月30日水曜日

さっちゃん

アニメ「学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!
第8話「さっちゃんのうわさ」に登場。

童謡「さっちゃん」の噂話をした夜、聞いた(話した)者の枕元に現れる存在。
噂話をした(聞いた)夜、突如現れて相手を金縛りにし
身動きできなくした後、相手の手足を鎌でちょん切ってしまう。
これを避けるにはバナナか、その絵を描いて身の回りに置かなくてはならない。
噂話をした少女は絵を描くのを忘れてしまったが、
母が夜食用にバナナを置いていったため、寸前で助かった。
童謡ではバナナが好きとあるが、バナナを見た瞬間
絶叫しながら逃げ出した様子から、実際にはバナナが苦手なようである。
たまたま件の少女の話を聞いてしまった学校の担任の先生が、
手足を刈り取られて死んだことから、話を聞いたものは無差別に襲うようである。

子供向け番組「ポンキッキーズ」で放送されていた2~3分程度のアニメながら
当時見ていた子どもたちに鮮烈な恐怖を残していった「花子さんがきた!!」。
老若男女問わず、話聞いたやつは皆手足刈り取るオバケなのか
幽霊なのか、妖怪なのかもわからない存在、それが「さっちゃん」。
複雑怪奇な上に、現実的な「手足ちょん切る」という恐怖が合わさるという発想は
いつだったか書いたガメラの「大悪獣ギロン」に通じるものがある。
ちなみに筆者は最近「自分が怖いと思えるのは現実だ。フィクションなんてナンボのもんよ
なんて最近思っちゃったりして世の中を舐め腐った感慨を抱いていた。
けど「本当にそうなのか?」と考えると「そうじゃないだろ」と思え、
「これじゃいかん」と原点に帰るべく童心に返って
自分が怖がっていたものを顧みてみると出るわ出るわ。
この記事を書いたのもそういった経緯で、おかげで現実も怖いけど、
フィクションも怖いと再認識できました。

2010年8月15日日曜日

ゲーム「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」に登場。

ムジュラの仮面により作り出された、人のような顔を持つ不気味な月。
仮面の意思そのものであり、悪意の象徴である。
月の内部には一本の巨木を中心に緑の草原が広がり、一見のどかに見えるが
全てはスタルキッドの意識を受け継いだムジュラの仮面の精神世界であると思われる。
巨木の下にはムジュラの仮面をつけた子ども、その周りを亡骸のお面を被った子どもが走っている。
スタルキッドを利用してムジュラの仮面はクロックタウンへと
月を落とし、ハイラルと似たような世界「タルミナ」を滅ぼそうとした。
月が落ちるのは三日後であり、リンクは時のオカリナを使って
これを阻止すべく、ムジュラの仮面によって
封印された四巨人たちを救出し、月の落下を防いだ。
だが覚醒したムジュラの仮面の力により月はさらに力を増し、
タルミナを全て飲み込もうとする。ムジュラの仮面の後を追うリンクとチャット。
遂にムジュラの仮面と最終対決を迎え、これを倒したことにより月は消滅した…

オ、オデは・・・食う
 ぜ、ぜんぶ・・・食う


筆者を怖がらせたゲームの内の一つ「~ムジュラの仮面」。
この月がとにかく怖かった。怒っているように見え、
嘲笑を浮かべているようにも見える、この顔。
そして世界を滅ぼさんと着実に落下し続ける姿に。焦燥し恐怖した。
これほど衝撃的な存在を描いた製作スタッフの才能には脱帽した。
ちなみに関係あるかどうかはわからないが、
筆者の好きな作家・安部公房の本「笑う月」には
月に追いかけられる話があって、この話を読んだ瞬間、
真っ先にこの月を思い浮かべてしまった。

2010年6月4日金曜日

マジカント(MOTHER2)

ゲーム「MOTHER2 ギーグの逆襲」に登場。

8つのパワースポットを全て訪れると現れる、「ぼく」のこころの国。
「ぼく」が心の中に生み出したものであり、
8つのパワースポットを訪れることが、マジカントを心に生み出す条件だった。
この国には「ぼく」の心の中にある美しさも優しさも悲しみも憎しみも
邪悪なものや凶暴なものも存在する。
人に話しかけると「ぼく」の心情に合わせてマジカントの色が変化する。
その中心には宇宙の真理に繋がる「エデンの海」があり、
宇宙の真理を知る事ができ、「ぼく」しか近寄れない。
クラーケンが出現し、最深部には「ぼく」の悪意の現れであり
「ぼく」が心の中で育て続けた、「ぼく」の悪魔がいる。

自分の心と向き合うのは重要だけど、向き合うまでが難しい。
ゲーム「MOTHER2」に登場するマジカントはそれを具体的に訴えかける。
マジカントからエデンの海道中に登場する敵は強く、
セーブポイントもなければ回復場所もないとくる。
そしてそれを越えた先には主人公の「悪」の部分が待ち受けている。
これを倒すと主人公はパワースポットの力により
各種ポテンシャルが上昇するわけですが、
自分の「悪」の部分と向き合うことで成長するなんて
筆者はこの辺の憎らしい演出が好きです。

2010年5月23日日曜日

バクテリアン軍

ゲーム「グラディウス」シリーズに登場。

戦艦や戦闘機、生物など無機物・有機物入り乱れた
さまざまな形態と膨大な数の兵器を駆使する凶悪な軍団。
正式には「亜時空星団バクテリアン」と呼ばれる。
本体にして中枢のバクテリアンを筆頭に、幾度となくグラディウス帝国、
その同盟国であるラティス共和国を壊滅寸前まで追い詰める。
しかしその都度、少数の超時空戦闘機の突撃により
逆に壊滅させられている。だが中枢であるバクテリアンが
人間の欲望により生み出された存在であり
人間が存在する限り、何度でも復活する。
主な戦法として攻撃目標の近くに要塞を形成し、
そこから攻め入るという方法を繰り返している。
軍団の一部にはゴーファー司令官率いる特殊部隊や
ゼロスフォース率いる精鋭部隊「沙羅曼蛇軍」がおり、
独自にグラディウス帝国、ラティス共和国の侵略を企てている。
またその背後には元グラディウス帝国科学技術庁長官・ヴェノム博士がおり、
グラディウス帝国に怨みを持つヴェノム博士は、バクテリアンの力を借り
その技術力でグラディウス帝国に害を為している。
またあらゆる物質を吸収し成長する未知の生命体「ライフフォース」の軍や
星々を亜空間へ次々と引き込む亜空間生命体「ドゥーム」の軍は
バクテリアン軍、沙羅曼蛇軍に似ており、何らかの関係があると思われる。

東野美紀の音楽が耳に残り、独特な敵キャラと
難易度の高さで有名な作品「グラディウス」。
グラディウス帝国をしつこく攻める軍団バクテリアン。
そのアレな設定のためにいつまでもどこまでも
襲ってくるしつこいヤツラだ。
毎度毎度、超時空戦闘機の前に灰燼と化すのだが
その兵器群を見ると、勝つ気があるのか疑いたくなってくる。

2010年5月4日火曜日

ムーンサイド

ゲーム「MOTHER2 ギーグの逆襲」に登場。

イーグルランドにある大都市フォーサイドによく似た町。
「まちのちず」には載っていない不気味な町。
町中が暗く、町自体の構造が物理的におかしくなっている他、
建物などは怪しい色に輝いており、人々の会話も意味不明。
歩いていると必ず見えない何かにぶつかるため
自由に移動することが出来ず、主な移動手段として
ワープを繰り返して探索する事になる。
この町では、「はい」が「いいえ」で
「いいえ」が「はい」という謎の法則があり、
これを認識していると立派なムーンサイド人だと言われる。
探索を進めるとこの町の意外な正体が判明する。
全てはギーグがもたらした幻影マシンである
「マニマニの悪魔」が見せた幻であり、
ネスたちは幻影によりフォーサイドの倉庫の中を
ぐるぐる回っていただけだったのだ。
「マニマニの悪魔」を破壊することでムーンサイドは消滅する。

はい」が「いいえ」で「いいえ」が「はい」。
 ここ、ムーンサイドじゃそれが常識。


ようこそムーンサイドへ。
 ようこそムーンサイドへ。
 ムよーンサうイこドそへ。


お前その1とお前その2を…病院送りにしてやる!

ハロー!そして…グッドバイ!

あんた達ったら郵便ポストのくせしてふらふら歩き回ったりして。
 おかしいったらありゃしない。
 ムムーーンンササイイドドへへよよううここそそ。


ケッハ、モルタア!ケッハ、モヌラタア!
 銀色の大きな球で夏の国、黒焦げのあなたはどっこい大丈夫
 …私には見えるのです。

 
スープがさめないうちにマニマニをなんとかしないと。
 ナイフがさびないうちにマニマニをなんとかしないと。


おはようございま…せん。
 ここ、ムーンサイドの町はいつだって真夜中なんですよ。
 今夜のムーンサイドプレスにほうら、こんなニュースが
 「マニマニはマニマニにいつもすべてのマニマニの
 マニマニがマニすべてマママニマニ


ここに展示中の骨、何の骨かわかりますか?
 答えはですね…あなたの骨。私の骨。骨の骨。骨、骨、骨。


ようこそムーンサイドへ。
よう、こそムー、そムー、ンサイ、ンサイ、ンサイ…ドへ。
ケバケバしいネオンのような建物と
奇天烈な言動の住人たちが特徴的な幻影の町ムーンサイド。
これほど「狂・妖・怪・奇」の言葉が似合う町も存在しないだろう。
では、ハロー!そして…グッドバイ!

2010年5月2日日曜日

マジカント(MOTHER)

ゲーム「MOTHER」に登場。

クイーン・マリーが統治する幻想的な世界。
一面にピンク色の大地が広がる。防具が買える唯一の場所。
女王であるクイーン・マリーは大切なことが思い出せず
体の具合も悪く、ニンテンに世界中に散らばっている
メロディーを集め、それを聴かせてくれるよう頼んでくる。
マジカントに住む人々はニンテンたちに、優しさを持って接してくれる。
マジカントにはクイーン・マリーの住む城だけではなく
テレパシーを使うとおじさんが現れるクイーンマリーの泉、
地下には元の世界への出口がある地下大河があり、
6つ目のメロディーが書かれた楽譜を守るドラゴンや
「おれのことは忘れろ」という問いをかける忘れられた男がいる。
またこの地にはニンテンを守るために
生まれたフライングマン五人兄弟が住んでおり、
フライングマンの家に行けば仲間になってくれるが
マジカントの外へ彼らを連れ出すことは出来ない。
普通の世界とは少し違うマジカントの国。
その正体は最後のメロディーを集め、クイーン・マリーに聴かせることでわかる。
実はクイーン・マリーはニンテンの曾祖母マリアであり
死して尚、彼女の思いはなおも生き続け
曾孫であるニンテンや勇気ある子どもたちを助けるため、
ひいては実の子どものように可愛がったギーグを止めるために
クイーン・マリーとして、現世に留まり続けた。
メロディーを聴いたことで全ての記憶を取り戻し、
自分を取り戻したマリアは夫ジョージの待つ天国へと旅立った。
マリアが去ると、マジカントの国もまた消えてしまう。
マジカントはマリアの意識が生み出した幻だったのだ…

エンディングまで泣くんじゃない」のコピーが
心に響くゲームMOTHER。今回久しぶりに場所の紹介である。
一作目のマジカントと二作目のマジカントは
別の場所なのでここでは一作目のマジカントを紹介します。
一作目のマジカントはプレイヤーの心に
安らぎを与える空間として登場し、衣食住には困らず
住人には優しく接してもらえ、安住の地といっても過言ではない。
だがこの世界は理想の世界であるが、理想ゆえに手に入らない。
理想は手に入れられるものではなく、想うものだからこそ理想である。
それを突きつけるように理想の世界は一人の女性が
世界を救うために生み出したものであり、
マジカントの消滅が、それは現実には存在しないことを我々に伝える。
筆者はこの消失感が堪らず、なんともいえない複雑な心境になる。
理想の世界は存在して欲しいけど、理想は所詮理想であり、存在し得ない。
人間は「どこかに理想が存在してほしい」という、ジレンマを抱えているのかもしれない。

2010年4月19日月曜日

スカーマン

映画「CUT カット!」に登場。

「熱い血(Hot blood)」というホラー映画に登場する殺人鬼。
ラバーマスクを被り、巨大な鋏を凶器として使う。
架空の存在だったが、フィルムから誕生し、映画に関わる者全てを殺していく。
1985年、ホラー映画「熱い血」の撮影中に殺人事件が発生した。
女性監督ヒラリーがスカーマン役の男優ブラッドによって、舌を切り落とされたのだ。
主演女優ヴァネッサも襲われたが逆にブラッドを撃退、ブラッドは死んだ。
あたかも映画が現実になったかのような惨劇に撮影は中止、フィルムはお蔵入りとなった。
それを完成させようとした監督も収録部分の上映中に何者かによって惨殺され、
さらにプロデューサーは深夜の編集室で感電死した。
血塗られた未完成映画「熱い血」は、いつしか一部のホラー・マニアの間で
“呪いの映画”として語り継がれるようになっていた。
それから12年後、大学の映画学科の女学生ラフィをリーダーとする
映画学科の学生グループが、「熱い血」を完成させることになった。
当時『熱い血』の助監督を務めていた講師ロスマンの反対にもかかわらず、
学生たちは何かに取り憑かれたように忌わしい映画を
完成させることにのめりこんでゆく。
既に他界した「熱い血」のプロデューサーの未亡人マーサも
また得体の知れない不安を感じたものの、スタッフの説得に折れ、
渋々と資金を出すことになり、遂に伝説の映画の製作が再会する。
ラフィはプロデューサーのヘスターと共に、オリジナル版の主演を務め、
今はハリウッド女優として活躍しているヴァネッサの再出演交渉に乗り出した。
やがてヴァネッサが出演を承諾し、12年ぶりに『熱い血』の撮影が再開。
ロケ地には、12年前と同じ場所が選ばれた。
撮影クルーは現場に漂う空気を無視して仕事に取りかかる。
しかし、撮影が始まって間もなく、クルーが次々と行方不明に。
あの殺人鬼が再び撮影現場に現れ、凶器のハサミで撮影クルーを
1人また1人と切り刻んでいたのだ。犯人は予想外の人物だった。
死んだはずの男優がフィルムに怨念として残り、実体化して蘇ったのだ。
超常的存在の前に為す術がないかと思われたが、
フィルムを燃やすことで殺人鬼を倒すことが出来た。
しかしその後、別の場所でオリジナルのフィルムとは
別のフィルムが上映されようとしていた…

真面目に犯人探しなんてのは無駄なんだと実感できる
オーストラリアの映画「カット!」。
なんてたって相手は超常的存在なのだから
謎解きがあるようで全然ないのである。
しかも後半になるとまるで某スプリングウッドのロリコンみたいになってしまう。
挙句、スラッシャー映画の殺人鬼にあるまじき行動を起こしたりと
色々な意味で映画の内容はボロボロである。
しかしボロボロな内容でも、こんな馬鹿げた殺人鬼が私は好きである。

2009年8月25日火曜日

死の王

映画「死の王」に登場。

少女が描いた絵。生きるのをやめさせる王様らしい。
ひたすら何かの絵を描き続ける少女。
どこかに男の死体が無造作に置かれている。
月曜日、手紙を書く男。手紙を書き終え、会社に辞表を伝える。
身辺整理をすると、睡眠薬を飲んだままバスタブで自殺する。
どこかに置かれている男の死体が徐々に腐っていく。
火曜日、ナチスの拷問ビデオを借りた男は
月曜日の男からの手紙を受け取る。借りたビデオを家で観る男。
同居する女から小言を言われ、女を射殺する。
男は血が飛び散った壁に額をかける、という映像が流れる首吊りした男の部屋。
水曜日、恋人と別れたのか、喪失感の漂う女性が雨の降る公園で一人の男と出会う。
男は妻とのセックスについて苦悩していた。
女性はピストルを取り出すと男に向け引き金を引く。
しかしピストルは装填されておらず弾は出ない。
男はピストルを受け取ると弾を装填し、自らの口内へ発砲する。
木曜日、峡谷にかかる鉄橋。そこは自殺の名所であり、
橋の全貌と自殺者たちの名前が映し出される。
どこかに置かれている男の死体がいよいよ腐敗が進み
皮膚が剥がれ、肉が落ち、内臓に蛆が沸いてくる。
金曜日、一人の夫人が向かいの窓から見える男女の情事を羨望の眼差しで見つめる。
再び男女の姿を間近に見ようとドアから覗こうとするが
部屋からは何の気配もない。ドアの下に挟まった手紙を読むと
それは件の男女の遺書だった。部屋の中、ベッドで血まみれになっている男女。
土曜日、刑事らしき男達がフィルムを検証する。
フィルムには拳銃を持った女が映し出されていた。
自らの体にカメラを取り付けると、ライブハウスに乱入。
女は無差別に客やバンドマン、ライブハウスにいる人間を射殺するが、
最期は女が射殺され、フィルムは終わる。
どこかに置かれている男の死体は白骨化していた。
日曜日、男が悲鳴を上げ、壁に頭を繰り返し繰り返し打ちつけて死ぬ。
絵を描き続けた少女が「死の王」について一言告げる。
描きあがった絵は王冠を被った髑髏のような姿をしていた…

死の王様は生きるのを止めさせる

衝撃的映画「ネクロマンティック」で
あまりにも過激すぎる」という理由でドイツ当局から
マークされている男、ユルグ・ブットゲライト監督。
死の王」は洒落た音楽と共にグロテスクな映像が
流れる本作の幕を閉じるときに現れるだけだが
それだけでも何故かかなーり記憶に残る。不思議な存在である。
ひたすら自殺に関連する登場人物と腐敗する死体がぶっ通しで流れる。
何故かとても芸術的と感じるとともにイヤーな気分になり
そこが面白いとも感じるが、別段映画の物語は面白くない。
そんなんだけど不思議な魅力に満ち、そして死ぬのが嫌になる。
筆者はこの映画と「イレイザーヘッド」「ネクロマンティック
シュラム」を観ると、何故か死にたいなんて思わなくなるんだよ。
登場する死が一様にグロテスクだからなのかは知らないが、
暗い気分のときは、これ一本。
憂鬱な気分を取り払ってくれて、ありがとうユルグ監督!