2013年10月7日月曜日

カタカタ(または赤い服の女)

映画「コワイ女~カタカタ」に登場。

結婚を控えたOL・吉沢加奈子は、前妻と離婚したばかりの婚約者・田崎 晃と会った帰り道で
“カタカタ…”という奇妙な音を聞く。その直後、マンションの上から落ちてきた何かの衝撃に襲われる。
その後、何事もなかったように帰宅した彼女の元に「別れた女房に刺された」という晃からの電話がかかってくる。
そして、加奈子にも外に出ないようにと言って電話は切れる。直後、何者かの視線を感じた加奈子が振り返る。
いつの間にか部屋の中には赤いワンピースを着た女が立っていた。手にした包丁を持って女が襲ってくる。
必死に逃げる加奈子だが、女は恐るべきスピードでどこまでも追いかけてくる。
女の顔は憤怒で歪んでいるように見え、咄嗟に考えたのが晃の妻の存在。
女の正体は晃の妻なのだろう。命からがら逃げ出して交番へ駆け込む。
しかし交番にいるはずの警官の姿はなく、戸惑いながらも携帯電話で友人のみゆきに助けを求める。
電話に出たみゆきによると、晃は加奈子のマンションに行ったが、加奈子に会えず、
みゆきに相談し、二人で加奈子のことを探しているとのこと。
晃が来たという話に疑問を抱き、事情を聞こうとするが電話はノイズ塗れになって不通になる。
絶望的な状況の中、今度は自宅にいるであろう晃に電話をかける。
「加奈子か?」奇跡的に繋がった電話。晃の声に安堵する加奈子。
「加奈子か?」現在の状況を晃に説明しようとするが、そこで奇妙なことに気付く。
「加奈子か?」晃は話し始めてから自分の名前しか呼んでいない。
そうではない。頻りに「加奈子か?」しか口にしていない。
「加奈子か?かなこか?かなこカ?カナコカ?カナコカカナコカカナコカ」
そう言い続けるだけの不気味な晃。異常な状態に思わず携帯電話を叩きつぶす加奈子。
しかし壊れた電話からまだ音声が聞こえる。「カタカタ」という音までも。
何者かの視線を感じた加奈子が上を見上げると、いつの間にか赤い服の女が天井に張り付いていた。
「カナコカ?」聞こえていたのは女の声だったのだ。
加奈子は道路を走りながら、助けを求める。しかし誰もその声に答えない。
奇妙なことに夜中と言えど、人通りのあるはずの町はひっそりと静まり返っていた。
何とか自宅のマンションの前の人だかりを見つけ、助けを求める。
しかし誰一人反応を示すものはいない。人だかりの中心には豹柄の服を着た女の死体。
突然手を掴まれ、振り返った加奈子の目には一人の少女が映った。
パニックになりながら何かを知っているような少女にここは一体何なのか問いかける。
少女は黙って指をさす。その先には倒れた花瓶を見た加奈子は思い出す。
最近、自分が住むマンションで少女が事故で転落死した事、
いつもバルコニーから花瓶を見つめる母親の姿を。
少女の正体を確かめようとするが、突如辺りに「カタカタ」という音が響き渡る。
赤い服の女が加奈子を見つけたのだ。咄嗟にマンションの中に逃げ込み、階段を駆け上がる。
階段の途中で黒服の女性たちを見つけ、助けを求める。
しかし黒服の女性たちには皆生気がなく、誰も加奈子に目もくれず俯いたまま。
もう一度階段を上ろうとすると、また別の黒服の女性が階段前で立ちふさがっていた。
女性の首には痣があり、女性はは女たちの方を指さす。階段の下からはあの女が迫ってきた。
訳がわからないまま指さす方へ向かうと、先ほどの少女がマンションの一室に消えていくのを見る。
遂に同じ階に辿り着いた赤い服の女が黒服の女性たちの前を横切ると、黒服の女性たちは苦しみながら
跡形もなく姿を消していく。迫る赤い服の女から逃げ切り、少女の消えた一室に駆け込む。
部屋の中には異様の光景が広がっていた。部屋中に赤い紐が蜘蛛の巣のように広がり、
赤い紐には玩具が所々に結ばっていた。奥に進むと、写真が壁に貼られた部屋があった。
写真には母親と娘の姿があり、その一室が件の少女とその母親の家だと気づく。
突然部屋が揺れ、倒れこむ加奈子。部屋の扉の前には赤い服の女が立っていた。
「カタカタ」という異様な音と骨が軋む音を響かせながら女が近寄ってくる。
体を強張らせ、首と腕が異様に伸び、明らかに人ではない女の様子に悲鳴を上げながら
カーテンを捲ってバルコニーへ逃げるようとする加奈子。
外は光に包まれ、強い風が加奈子の髪を靡かせる。気付くと加奈子は病室のベッドの中。
自宅のマンション前で加奈子は飛び降り自殺の巻き添えになり、病院に運ばれたのだ。
自殺した女は即死。奇跡的に命を取り留めた加奈子は、落下時の衝撃で女の死体が体に癒着し、
大手術をしなければならなかった。自殺した女は所持品がなく、身元不明のままだった。
一連の出来事は悪夢に過ぎなかったのだ。晃の前妻はその後、別の男性と再婚。
加奈子が考えたような、執拗な女性ではなかった。退院後、加奈子は少女の死んだ場所に花束を置いた。
悪夢の中、助けてくれた少女に感謝をこめて。近所の女性に死んだ少女について聞いてみると
驚くべき答えが返ってきた。死んだ少女の母親は二年前に実家へと帰り、首吊り自殺をしていた。
加奈子は無意識に飛び降りた女が母親だと考えていたが、実際には全く関係のない女だったのだ。
衝撃の事実に戸惑う加奈子の前に、件の少女と母親が現れる。母親の首には痣が。
母親は階段で指さししていた黒服の女性だった。少女の口から「逃げて」という言葉が紡がれる。
突如、少女と母親は苦しみながら跡形もなく姿を消した。「カタカタ」という音が響き渡る。
明るい昼間だった光景は夜の暗闇に変わり、加奈子はいつの間にか何本もの女の手に捕まっていた。
その手を振り払おうとする加奈子だが、抵抗むなしく手すりに押しつけられる。
目の前で異形の顔となった赤い服の女に、絶望に包まれながらその正体を問う。
加奈子に赤い服の女は告げる「オバケだよ・・・」。

カタカタ、カタカタ、カタカタ・・・・
異様な音と共に現れる女の恐怖を描いたオムニバス映画「コワイ女」の一編「カタカタ」。
最初のタイトル表示が行われるシーンを見ればわかるが、「カタカタ」は「女」の字を崩して、
二つに表わされた言葉であり、つまるところ劇中の「カタカタ」は「女」のことを指しているようだ。
幽霊とも殺人鬼ともわからない女の襲撃、徐々にわかる主人公が住んでいたマンションで起きた事件。
序盤まで中々盛り上げてくれるが、ラストシーンは賛否両論である。
筆者自身は偶発的に遭遇してしまった怪異の存在という結末は、
昨今の何かと理由付けする日本のホラー映画の中では異色ながら、シンプルな答えに好印象を抱く。
しかし些か唐突すぎる感じもあるので万人に薦められるかどうか、なんとも言えない。
ちなみに上で書いたラストシーンは一部書かれていない部分がある。
私自身理解できないシーンだったため、意図的に書いていない。
詳しくは本編を見て、自分なりの答えを見つけてほしい。
私としては正直な話、あまり面白くないシーンだ。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

最後「オバケだよ」って言ってたんですねえ
なるほど、それは全ての不条理がなくなる魔法の言葉ですね。
私は「お前だよ」に聞こえたので、今まで意味のわからない話だと思っていました。
雨宮慶太さんのクリーチャーは好きですが、カタカタは今一でした。
コワイ女は鋼ちゃんが白眉と感じましたが、腐肉喰らいさんはどれがお好みでしたか?

腐肉喰らい さんのコメント...

>匿名さん
>私は「お前だよ」に聞こえたので、
今改めて聴いてみましたが、確かに「お前だよ」とも聴こえる
僕自身の耳には最初「オバケ」と聞こえたので
こう書いたのですが、どっちですかねぇ?
上にも書いたように、僕にはラストシーンが良く理解できなかったので
自分の中で一番納得のいく、悪く言えば都合の良い解釈、
かなり主観的な文章になってます

コワイ女を部門別にすると
キャラクターでは鋼ちゃんが一番だと思いますね
シチュエーションではカタカタ
ストーリーではうけつぐものですかねぇ

鋼ちゃんは本当に異色ですね
BOX特典の「鋼ちゃん」を見ると、あまりの好体遇ぶりに
びっくりですよ。スタッフに本当に愛されてます