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2024年5月17日金曜日

新カリフォルニア共和国

ゲーム「Fallout」「Fallout 2」「Fallout:New Vegas
ドラマ「フォールアウト」に登場。

西アメリカ、カリフォルニアを勢力下に置く、西ウェイストランド最大勢力とされる組織。
通称NCR(New California Republicの略。以下NCR表記)。
首都は組織名と同じNCRだが、以前はシェイディサンズとして知られていた。
荒廃したウェイストランドでは珍しい現代的な勢力であり、常備軍を有しており、人口は約70万を超える。
国章や国旗として双頭の熊が描かれており、カリフォルニア州旗がモチーフになっている。
NCRはアメリカの民主主義、個人の自由、法の支配という戦前の価値観の継承者であると考え、
ウェイストランドにおいて秩序と文化、民主主義、自由、法治といった旧世界の理念を敷くべく追求している。
そのため帝国主義的で膨張主義な側面があり、近隣地域を「文明化」するために植民地化や軍事遠征を行っている。
これらの政策は内外ともに批判されており、また土地の有力者による議員に対する賄賂や買収などの政治的な腐敗も進行している。
それらの問題点から敵対する勢力も多い。その起源はVault15の住人たちが小さな集落、シェイディサンズを築くまで遡る。
かつてVault15は様々な主義思想を持った人々が暮らしていた。
しかし年々、人口増加によりVault内は過密状態となり、環境は最悪なものとなった。
主張の違いから、住人たちは4つの派閥に分かれ、2097年の春にVault15は開かれた。
派閥はVault15を離れ、内一つはVaultから持ち出したG.E.C.Kを使用して、シェイディサンズを作った。
シェイディサンズ(公的な設立は2142年と記録)は牧畜と農業を主産業に発展していった。
それから月日が経ち、2161年頃。当初シェイディサンズは、あまり開放的なコミュニティではなく、
他の商人や他の町との交易は最小限であった。これは当時の村長アラデシュの考えであり、安全を懸念してのことだった。
同年に同じVault出身のレイダー、カーンズにアラデシュの娘タンディが誘拐される事件が発生する。
また野生動物ラッドスコルピオンの脅威が激化、村は疲弊していた。
そこへVault13からVault15にウォーターチップを探しにきた「Vaultの住人」が訪れた。
「Vaultの住人」はラッドスコルピオンを退治し、さらにタンディを救い、カーンズを壊滅させる。
思わぬヒーローの登場に、シェイディサンズはその功績を称えてVaultの住人の像を建てた。
この時村長アラデシュがヒーローに影響されたかは不明だが、娘タンディが前々から薦めていたこともあり、
シェイディサンズをより大きな町にすべく、>他の町との交易を活発化させることとなった。
「Vaultの住人」によりザ・マスターの脅威が取り除かれた後、数年に渡る貿易ルートの拡大化、町同士の合併、文化の交流が続き、
シェイディサンズはウェイストランドで最も有望なコミュニティの1つとして繁栄した。
そして村長アラデシュは2186年初めて、共和国の構想を提案した。
シェイディサンズの町は名前を「NCR」に変更し、憲法起草のために仮の政府を樹立した。
NCRの理想はカリフォルニア全土に広がり、多くの町がこれに賛同した。
3年後の2189年、ザ・ハブで行われた住民投票の結果、NCRが正式に結成された。
初代大統領はアラデシュが就任した。その後、彼と彼の娘はNCRに尽くした。
2196年、Vault13を求めたアラデシュが遠征中に亡くなると、娘タンディがNCRの市長兼二代目大統領に就任した。
彼女が就任して2年で、シェイディサンズは更なる発展を遂げ、NCRの最初の首都に選ばれた。
その後43年間、シェイディサンズは拡大、発展し、共和国の主要都市であり続けた。
シェイディサンズの名前は歴史に残ったが、頻繁にNCRと呼ばれることとなった。
2241年までには、共和国は5つの州を設けたNCR 、ロサンゼルス、マクソン、ザ・ハブ、デイグロー。
それまでのNCRにおける文明の推移は著しく、戦前の世界に近い、質の高い生活が提供された。
NCRにおける近代的生活の魅力の前に、厳しい自給自足のウェイストランドの日常を捨てるのに戸惑う者はいなかった。 最盛期のNCRにおいては、全国民が幸せになる夢のような生活が待っていた。
しかし安定した民主社会にも陰りはあった。
NCRの主な資源は大量の家畜バラモンの群れとその牧場であり、それで財を成す農民、バラモン長者たちが現れた。
この成金たちの政府への影響力は、タンディの在任期間中は制限されたが、遅くなるか早くなるかの違いだけだった。
2248年にタンディが亡くなった後、生存よりも個人の幸福度が重要視され、集団的福祉の問題、
個人の繁栄に対する懸念、資本主義経済の歪み、様々な問題が現れてきた。
2241年から2281年にかけて、NCR本来の共同体精神は失われていき、無料の奉仕といった活動を目にすることはなくなった。
生きるためのサービスを受けるには労働が必要不可欠になった。
そして工場や農場には雇用主がおり、時に互いに互いの不幸を願った。
有力者たちによる圧力は、軍や警察での賄賂や汚職の原因となった。
NCRが巨大になればなるほど、国民の生活は幸せからかけ離れていった。
国民たちに共通した想いは、“国内ではチャンスがない、本当のチャンスは東にある”ものだった。
領地拡大に伴う資源に対する飽くなき飢えは、更なる領地拡大へ駆り立てた。
そして2281年。かつてネバダ州と呼ばれ、今はモハビ・ウェイストランドと呼ばれる場所。
この頃、NCRはアーロン・キンバル大統領に率いられており、彼らは旧ラスベガス市(現在ニューベガスに改名) を発見する。
そこにはまだ稼働中の大規模水力発電施設フーバーダムが存在した。
比較的核の影響を受けていない、水と土地、そして電力が目の前にある。
NCRは即時占拠を画策した。しかしニューベガスの土地、フーバーダムの水は
Mr.ハウスのセキュリトロン軍と3つの部族によって管理されていた。
両者は短い睨み合いの末、ニューベガス条約を締結。
条約の内容はNCRがフーバーダムの管理、生み出された電力の95%を共和国の中核地域に送ること。
同時にNCRは軍をニューベガスの地に配備する。
またNCR市民はストリップ地区を干渉なく訪れることが許された。
条件としてニューベガスの独立を認め、残りの5%の電力をストリップ地区に供給すること。
NCR政府は条件を呑んだが、モハビ・ウェイストランドの完全支配を諦めたわけではなく外交と武力を振るう機会を伺った。
だが、ここにきて新たな問題が発生した。ブラザーフッド・オブ・スティール(Brothehood of steel=B.O.S)だ。
B.O.Sはテクノロジーを地元民から強引に取り上げるなど、NCR領内で度々問題行動を起こしており、遂には全面戦争に繋がった。
この戦争は結果的にB.O.Sが敗者となり、少なくともB.O.Sの所有する6つの支部とバンカーが失われた。
しかしNCRも大きな痛手を負った。2276年のモハビ、集光型太陽熱発電施設ヘリオス1でのサンバースト作戦。
NCRはヘリオス1を掌握していたB.O.Sを襲撃、最終的に施設を奪取し、B.O.Sを撤退させた。
この時の勝利はモハビ支部B.O.Sをバンカーに引きこもらせるほどの戦果であった。
しかし勝利のために支払った代価は、経済だった。
NCRの経済は金本位制であり、B.O.Sはその保証元である金鉱を破壊した。
新しい金を鋳造できなくなったことで、NCRの貨幣は価値が暴落。NCR領内の経済はパニックに陥った。
モハビにおいても例外ではなく、ニューベガスのストリップ地区ではそのほとんどの価値を失った。
NCR政府は経済崩壊を免れるために金本位制を捨て、貨幣はそのまま「価値を保証する」という口約束の元、続投した。
保証を裏付けられない貨幣が辿る末路は、避けられないインフレであり、多くのウェイストランド人の信用を失った。
これに対して、NCR領のザ・ハブでは水本位制を導入、同時に独自通貨としてボトルキャップが復活を遂げた。
経済の痛手が治る前に、新たな脅威が迫った。86の部族をまとめた巨大組織、シーザー・リージョンの軍勢だ。
リージョン軍はフーバーダムに押し寄せ、かくして第一次フーバーダムの戦いの火蓋が落とされた。
当初は練度で勝るリージョン軍が優勢だったが、NCRの巧妙な作戦の結果、フーバーダムの東側コロラド川にまで押し返した。
以降、両陣営はコロラド川を挟んだ睨み合いを続ける。また2278年ビタースプリングスにて、NCRはモハビのレイダー、
グレート・カーンズの非武装民に対して一方的な虐殺を行い、報復としてカーンズは
同じレイダーのフィーンドを間接的に支援することで、NCRの脅威となった。
さらにNCR矯正施設の囚人たちが暴動を起こし、ニューベガスへの直通道路インターステイト15の脅威となった上、
この騒動が原因で凶悪な獣デスクローを招く結果となった。
災難の連続により補給路は使用困難、人員と物資の不足が加速し、
NCRは迂回路としてハイウェイ93からのルートを選ばざる得なかった。
2281年において、NCRはリージョンとの戦争を目前に控えていた。
そしてモハビの「運び屋」の存在により、その運命を大きく左右される。
第二次フーバーダムの戦いの直後、首都シェイディサンズはVault-tecの理想に反するとして、
Vault-tec社員のある人物によって核爆弾によって攻撃された。
幸運にも生き延びた者は近くの町、居住地、Vault、さらにはB.O.Sに保護された。
戦前の科学者リー・モルデイヴァー率いるNCR残存勢力はグリフィス天文台に
新しい軍事本部を設立した。この部隊は、2296年のグリフィス天文台の戦いで
B.O.Sと交戦し、最終的にはB.O.Sによって全滅させられた。
(画像はNCRのシンボル)

アメリカの復興はまだまだかかりそうなゲーム「Fallout」。
新カリフォルニア共和国はそんな世も末なウェイストランドで文明的勝利に王手がかかっている組織。だった。
作中で描かれるように一集落から国家に至る過程はちょっとしたサクセスストーリーである。
しかし歴代の主人公が介入するかしないかで命運が決まるというと、ちょっと綱渡り感が強くなる。
牧歌的な集落から近代的な都会の姿へと様変わりし、裏表ある民主主義の街へと変わる姿は
正当な進化の過程だが、賄賂や買収、強引な領土拡大、負の部分が見え始めるのは少し悲しい。
もしNew Vegasをプレイして、この勢力に何某かの思いを抱いて対応する場合は二択を迫られる。
外交的手段をとるか、それとも武力で黙らせるのか。
どちらをとっても、プレイヤーはNCRが他勢力に取る手段と同じように対応せざる負えない。
そう考えると、非常に人間臭い勢力だと筆者は思う。
ドラマ版の内容については、シーズン2が放送されるまで確定した情報とは言い難い。
なので手短に記した。これから更なる情報が公開されるのを待とう。

2015年11月30日月曜日

カーンズ(Khans)

ゲーム「Fallout」「Fallout 2」「Fallout:New vegas」に登場。

モンゴル風レイダーの集団。当初はカーンズと名乗っていたが、後にニュー・カーンズに変わり、
現在の名称はグレート・カーンズになっているが、基本的にはカーンズの通称で通っている。
現在、西部のレッドロックキャニオンを拠点にしている。
現存する部族の中でもかなり古い歴史を持ち、暴力的な集団とされているが
実態はヒッピーとアウトローの集団と言った方が適切で、閉鎖的で他勢力を積極的に襲う事は無い。
加入の際には厳しい試練を受けねばならないが、その為もあって各員の戦闘力及びメンバー同士の絆は強い。
その絆はお互いの事を「家族」と呼び合う、仲間の弔い合戦を行う、受けた恩は必ず返す、
決して仲間を見捨てないなどレイダーの中でも倫理を重んじ、掟に従って行動する社会規範を持っている。
エンブレムが入った革のベストを着ており、特殊な格闘術を使う。
ただしこれは現在のグレート・カーンズにいえることであり、新カリフォルニア共和国がない時代では
一つの町を食い物にする、典型的なレイダーだった。
彼らの起源はVault15の住人たちであり、Vaultには異なる信条を持つ人々がいれられており、
後に4つの派閥へと別れることになる。
2097年の春にVault15は開かれ、住人たちは地上へ進出した。
4つの派閥の内、3つはレイダーとなった。その内の一つがカーンズだった。
残り一つの派閥は独自に平和な村を築いたが、その後、皮肉にも同じ先祖を持つ人々から
襲撃されるようになった。2141年の冬に結成されたカーンズは当初、冬の厳しさによる
食糧難からまとまったものだったが、Vault15の元住人あってか
他のレイダーと違い、比較的文化的な生き方をしていた。
彼らの部族名もモンゴル人のチンギス・カーンに由来し、遊牧民的な生き方と
モンゴル帝国のような存在を目指したものだった。
2161年にガルという男が、リーダーだった父を殺してリーダーに収まった。
この残忍な男は仲間を率いて同じVault15の元住人たちが作った村シェイディ・サンズを定期的に襲撃し、
奴隷にすべく誘拐や強盗殺人を繰り返した。また通りすがりの商人への略奪や殺人も行っていた。
だが村のリーダーであるアラデシュの娘タンディを誘拐したのは間違いだった。
たまたま村を訪れた「Vaultの住人」が救出に乗り出し、ガルとその仲間たちはほとんどが皆殺しにされた。
このとき唯一生き延びたのはダリオンという男だけだった。後に彼が第2世代のカーンズの指導者となる。
しかしダリオンが作った、ニュー・カーンズの歴史は長くは続かなかった。
ダリオンは仲間を皆殺しにされて以来、精神を病んでおり、「Vaultの住人」とタンディへの復讐を目論んだ。
当初は生き延びるためにひっそりと暮らしていたが、自分だけ生き残ったことへの罪悪感、
年を重ねる事に被害妄想と強迫観念に駆られた。80年後、人員を集めることだけに時間を割いたダリオンは
遂にニュー・カーンズを結成した。そして新カリフォルニア共和国(NCR)の大統領になったタンディと
「Vaultの住人」への妄執から、より具体的な行動へと移るようになる。
まずNCR議会にファーガスというスパイを置いた。この男は会議内容を報告する役目を担った。
さらにカーンズはNCRやキャラバンを襲うことで水や食料を得て、NCR領内の不法占拠者たちをへと供給した。
不法占拠者たちは見返りにカーンズの住処であるVault15などのアジトを隠蔽した。
そしてNCRが疲弊していく様を見続けるために、高齢のダリオンは誘拐した医師ジョーンズに看護されながら
復讐が完了されるのを待った。しかし運命は皮肉なことに、彼に二度目の悪夢を齎す。
NCR領内の不穏な動きの調査を依頼されて、「選ばれし者」と呼ばれる人物が現れた。
この人物こそ、ダリオンの昔の仲間を殺した「Vaultの住人」の孫であった。
2241年、ニュー・カーンズが結成した年にリーダーであるダリオンは「選ばれし者」によって殺害され、
リーダーを失ったニュー・カーンズもまた、事態解決に動いたNCRにより壊滅させられた。
だが、またしても生き残りはいた。彼らは散り散りになってしまったが時間をかけて力を蓄えた。
自らの生き方を変えることをせず、部族名をグレート・カーンズに改め、
NCRや周辺の人々への襲撃を始め、複数の部落を持つに至った。
新リーダーのパパ・カーン率いるグレート・カーンズは2267年に結成され、
NCR領から離れたモハビ・ウェイストランドに拠点を置いた。
そこで彼らはNCRとは違う、新たな街と勢力に遭遇する。
謎の人物Mr.ハウスと彼の管理するニューベガス・ストリップ地区。
Mr.ハウスは自らの所有する旧時代の技術と文化を提供することを条件に
ニューベガス地区周辺のレイダー三部族を纏め上げ、かつてのラスベガスと同様の街を作り上げようとしていた。
グレート・カーンズもまたMr.ハウスから声をかけられた。
しかしカーンズはすでに得ていた自分たちの土地の権利を主張し、Mr.ハウスからの施しを拒否した。
2274年、カーンズはMr.ハウス率いる三部族によって住んでいた土地を強制的に追い払われた。
それから新たにビタースプリングスに居を構え、いつも通り旅人や村への略奪を行った。
そこへどういうわけかNCRの軍勢が現れた。カーンズがNCR領から離れた後、
NCRは急速にその領土を広げるべく進軍を開始、モハビにもその範囲を広げていた。
NCR軍がMr.ハウスと出会うのは必然と言えるだろう。ここで両陣営はニューベガス条約を締結。
こうしてNCRとMr.ハウスの形だけの同盟が結ばれた。
そしてニューベガス地区の周辺地域にNCRの前哨基地が作られ始めたのだ。
これに対してカーンズはNCRが自分たちの土地を侵略したと感じ、NCR市民や前哨基地を襲撃するようになった。
NCRはこの襲撃者たちに対抗すべく主要拠点を叩こうとした。
2278年。両陣営に深い禍根を残す事件、ビタースプリングスの虐殺が起きる。
事件は、NCR軍はビタースプリングスを静かに包囲したことから始まった。
ビタースプリングスのカーンズは戦闘員のみで、これを徹底的に叩くことで
勢力の弱体化とNCRの武力を知らしめるのが狙いだった。
そのため当時、NCR軍でエリートとされる第一偵察隊も作戦に加わっていた。
だが戦闘員の情報は誤報であり、女子供や老人、怪我人といった非戦闘員しか
ビタースプリングスにはいなかったのだ。誤報であるのが伝わる前に、
NCRの包囲に気づいたカーンズの人々は逃げだそうとした。
当時の指揮官ギレス少佐はこれを戦闘の意思ありと判断。カーンズへの一斉攻撃を開始。
結果、非戦闘員への一方的な攻撃が行われ、誤報が伝わったときにはすでに多くの死傷者を出していた。
この事件は陣営を問わず、その場にいた多くの人に深い心の傷を与えることとなった。
皮肉にも同行していた第一偵察隊の冷静な判断により、一部のカーンズは生き延びた。
カーンズは人目のつかない不毛の地レッドロックキャニオンへの退却を余儀なくさせられた。
NCRはこの予期せぬ事態に、カーンズへの正式な謝罪を行い、生存者への支援提供を行った。
だがリーダーであるパパ・カーンはこれを不服とし、虐殺を行って土地を奪い、
わずかな支援提供で、真実を誤魔化そうとしているとした。
事実、NCRはビタースプリングスから撤退はせず、キャンプ地としていた。
しかしカーンズはNCRを非難しても、ビタースプリングスを取り戻そうとはしなかった。
一介のレイダーに過ぎない彼らにとって、虐殺による痛手を癒す方法はなかった。
怨みと怒りを抱えたまま、それを解消することもできないカーンズ。そこに救いの手があった。
アポカリプスの使徒を名乗る集団は無償でカーンズに支援を施し、さらに医療技術を伝授した。
カーンズはこの善良な組織の支援により、幾許かの力を取り戻した。
だがカーンズは与えられた医療技術を、本来とは違う使い方をはじめる。
支援で得た薬品の知識を応用して、各種麻薬を精製することに成功したのだ。
こうして麻薬分野に秀でるようになったカーンズは、次に取引相手を選んだ。
同じレイダーであり、フィーンドと呼ばれる集団は薬物中毒者で構成されており、
カーンズはニューベガス周辺を根城にするこの集団に麻薬を売りつけ、
生活費を稼ぎつつ、NCRへの牽制とした。麻薬の安定した供給はフィーンドを凶暴化させ、
強化されたフィーンドは麻薬代欲しさにニューベガス周辺を荒らしまわった。
またNCRの物資輸送を担うクリムゾンキャラバン社などの商人とも違法取引しており、
NCR内では麻薬の蔓延が深刻化している。弱体化されても彼らはNCRを悩ますには十分な存在であり、
よりNCRとカーンズの溝は深まるばかりだった。しかしパパ・カーンはNCRへのさらなる報復を与えようと、
NCRと敵対するシーザー・リージョンと同盟を視野に入れている。
カーンズの中ではそれに同調する者や、NCRとの仲を改善すべきとする者とで意見が割れている。
しかしリージョンは薬物の使用と製造の禁止および女性を奴隷としているのだが、
あえてその事実を伏せ、カーンズを利用しようとしている。
2281年、さまざまな問題を抱えたまま存続の岐路に立たされているカーンズは
モハビの「運び屋」の存在により、その運命を大きく左右される…
(画像はカーンズのシンボルと、グレートカーンズのシンボル)

主人公の選択により、死か繁栄が齎されるゲーム「Fallout」シリーズ。
カーンズは最古のレイダー部族にして、とてもユニークなレイダーである。
Vault15の住人だった彼らだが、外に出てから一致団結し、モンゴル民族を基にした
遊牧民ならぬ「遊奪民」として、レイダー生活を享受している。
なお、彼らの中に本当のモンゴル人はいない。あくまでモンゴル風のレイダーなのである。
しかし所詮はレイダー、場当たり的な部分が多く、その場のノリと勢いで
近くの村娘を浚っちゃったがために、第一作目の主人公「Vaultの住人」により
ほとんど皆殺しにされた挙句、生き残りはトラウマを抱えて精神的に不穏な生活を送らせられた。
そこで大人しくすればいいものをトラウマ故に、精神の安寧のため八つ当たりを敢行。
村娘への見当違いな復讐を誓った残党が、二作目に名前を改めて復活。
だが、二作目の主人公にして仇の孫「選ばれし者」によって復活直後に崩壊させられる。
さらに心機一転、新天地を目指した彼らだが、戦前の亡霊じみた資産家の企みにより
その新天地を追い出され、かつての村から国へと育ったNCRにより根絶やし一歩手前という
シリーズを重ねるごとに扱いが酷いものになっていく。
しかし弱者を殺したNCRに復讐したいという熱心な心がけも、そもNCRに手を出さなければ
何もそんな目に会う必要もなく、更にいえば善意の団体から支援と知識を得て、
恩返しするでもなく悪用する、極悪麻薬中毒集団フィーンドにビジネスライクとはいえ
手を貸した時点で、最早彼らに立つ瀬はないのかもしれない。
だがこれだけ酷い目に会ったせいか、一作目に比べてだいぶマトモになってきたのも事実。
フィーンドがとある村を襲うのを見て、トラウマからフィーンドを倒そうとしたり、
不満たらたらでも仲間の窮地を救おうとする、受けた恩は必ず返すなど、
決して非道なだけの集団ではなく、また新たな出会いの度につっけんどんな対応の中、
カーンズは出会ってもかなり友好的な対応をしてくれる。
ピンきりではあるが、科学や商売や文学に長けているなど、かなり理性的な集団になった。
悪事をしない理由にカルマに良くないからという集団はコイツらぐらいだろう。
しかし切羽詰ってる彼らにはシーザー・リージョンの魔の手が。
リージョンに取り込まれた部族は、本来の部族名や習慣を全て失い、
代わりにリージョンの文化を突っ込まれる上、薬物は禁止、女は皆奴隷という、
今まで文化を大切に保持してきたカーンズにとって、天敵といえる存在だ。
もしこの小物染みた勢力に愛着を覚えたら(各種薬物の販売はかなり助かるので利用することは多いだろう)
少しばかり贔屓目にしてもいいかもしれない。ただし薬物の用がなければ別段いなくても
問題ない集団でもあるので、絶滅させるのも良しである。
筆者は程よいお付き合いとリージョンの同盟を破棄させる程度にしている。
ちなみに場合によって、帝国を築くほどの存在になる。

2014年8月18日月曜日

レイダー(Raiders)

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

ウェイストランドに存在する無法者たちの総称。過酷なウェイストランドで生き残るため
他者に対して略奪、強盗、殺人を躊躇なく行い、ウェイストランドに住む人々の脅威となっている。
ある程度大規模な集団になると部族名を名乗り、中には大戦争(グレートウォー)近くまで遡る歴史を持つものもある。
最も歴史ある部族はカーンズ、ジャッカル、バイパーである。これら三つの部族はVault15の住人たちの子孫であり、
Vault15は50年間閉じたままになるように意図され、全く異なった信条をもつ人々が入れられていた。
Vault15は最終的に4つの派閥を作り出すことでその役目を終えることとなる。
大戦争から20年後、人口飽和により出て行った集団はバイパーとなった。
それから30年後にVault15の扉が解放されたことで住人たちは3つの集団に分かれた。
そのうちの一つがシェイディ・サンズという町を作ったが、残り2つの集団はカーンズとジャッカルになった。
その後、皮肉なことにシェイディ・サンズはレイダーとなった同郷の者たちに襲撃されることとなる。
しかしシェイディ・サンズはレイダーに屈せず、後に新カリフォルニア共和国となり、
レイダーとなった他の同郷の者たちよりも繁栄することとなり、逆にレイダーたちは狩り立てられ、衰退化していった。
逆に歴史は浅いが、繁栄を遂げたレイダーたちもいる。ピットのレイダーやニューベガス・ストリップ地区の3部族とシーザー・リージョンである。
ピットに住むレイダーたちは大量の奴隷を支配下に置き、奴隷たちに武器工場での重労働を強いている。
街全体に充満する濃密な放射能と奇怪な風土病に悩まされながらも、近隣一帯にはない技術力で大量の武器を量産し続けている。
支配する側とされる側、完全に二分化されたこの街の支配構造は元々あったものではない。
レイダーたちはかつてピッツバーグと呼ばれたピットへ、略奪を行うべくやってきたところを
元BoSのイスマイル・アッシャー率いるスカベンジャーの集団によって返り討ちに遭い、吸収合併された。
そのアッシャーによってレイダーたちは統率されており、レイダーたちは奴隷たちの監視役として街の発展に従事している。
ニューベガス・ストリップ地区の3部族は元々ラスベガス跡地のストリップ地区の周辺に住んでいた者たちである。
彼らは小さな部族に過ぎなかったが、突如現れたMr.ハウスにより劇的に変化する。
Mr.ハウスは彼らに新しい名前と服を与えた。3つの部族はそれぞれオメルタ、ホワイトグローブ協会、チェアメンと名乗るようになった。
また彼らはMr.ハウスによってカジノの経営法を教授され、その経営を一任されたことで戦前のカジノ街を復興した。
そうして誕生したのが「ニューべガス・ストリップ地区」である。オメルタは大戦争前のマフィア風になり、退廃的な「ゴモラ」というカジノを経営した。
ホワイトグローブ協会は大戦争前の洗練されたセレブ風になり、高級感溢れるカジノ「ウルトラ・ラグジュ」を経営した。
チェアメンは大戦争前のショーマンシップ風になり、華やかなラスベガスらしいカジノ「ザ・トップス」を経営した。
同じくシーザー・リージョンは元はレイダーながら大国と呼べるほど、大規模な組織を展開していた。
古代ローマを彷彿とさせる服装や名前、君主制が特徴であり、彼らは86の部族からなる複合組織であるが、
組織としての統合の際に元の部族の習慣や生活といったものは全て失っている。
構成員は全て男で、女は所有物という扱いであり、レイダーの残虐性や横暴さが煮詰まった組織ながら
基本的に軍隊のように規律や戒律を順守しており、他にはない統率力がある。
この他にも奴隷商人のレイダーや大戦前から存在する日本人で構成されたヤクザやキャピタル・ウェイストランドの人喰いレイダー、
重度の薬物中毒者で構成されたフィーンド、地下下水道に住むグリーサー、スコルピオン・ギャングなど、
様々なレイダーたちがウェイストランドには存在している。
(画像は一般的なレイダーのシンボル)


世紀末、荒廃した世界、ヒャッハー!という3つの言葉で説明がつく存在、それがレイダーである。
マッドマックスや某世紀末漫画でいうところのモヒカンであり、そもそもraiderの意味は襲撃者や強襲者、侵入者を指し
raid自体が襲うという意味であり、つまるところ映画や漫画、ゲームに出てくる襲ってくる奴らの大半がこの言葉でまとめられるのである。
Falloutに登場するレイダーたちは対外、非生産的(奪えばOK!)な心情の下、日々を過ごす愚か者どもである。
しかし彼らも一応、現代っ子(?)らしくVaultの設備をつかえたり、薬物を作ったりと決してアホではない。
ただ彼らの根っこは「明日のためより、今生きること」なため、後のことなど知ったことではない精神まっしぐら。
それ故に売ってはいけない相手に喧嘩を売ったり、今までの悪行への報いとして根絶されたり、
ともかく後先考えないハイリスクなサバイバル生活を行っている。
一方で他者からの援助ありだが、先進技術をモノに出来れば、一つの街を形成できたりなど
必ずしも繁栄を遂げられないわけではない。というか街一つ作ったり、地域を併合する組織を作るあたり、
BoSやエンクレイヴよりは戦後アメリカ復興に役立ってる。
そういった奴らを除いた極普通のレイダーの場合は、まぁ良くも悪くも、いる時はウェイストランドの日常的風景、
いない時は極端に平和か、極端に環境が劣悪かの二択というウェイストランドの危険指数のバロメーター代わりである。
ただし彼らが現れるということは=そこは人が住める場所であるため、サバイバル的観点からいえば結構重要な存在だったりする。
あと主人公にとっては殺してもケチをつけられない歩くお財布、序盤の金策として丁度いい奴らでもある。

2014年2月27日木曜日

スーパーミュータント

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

スーパーミュータント(以下SMと表記)またはメタヒューマンはFEVの産物であり、人間の変異種でもある。
彼らは人間よりずっと体格が良く、肌は緑、灰、黄からなり、病、放射能に対して免疫を持ち、
そして超人に相応しい怪力と頑丈さを兼ね備えている。またFEVにより細胞が絶えず再生しているため
生物学的に死ぬ事はない、不老不死の体を有する(外傷によるものはその限りに在らず)。
SMの出生はコア・レギオン(西海岸)のマリポサ軍事基地、キャピタルウェイストランド(東海岸)のVault87の二つの場所が確認されている。
二つの母集団はそれぞれの歴史があり、そしてこの二つに接点があった記録は確認されていない。
SMの平均身長は約3.2m(猫背のように背中を丸くしているため、約2.43mほどに見えるが)、体重は約360kgにも及ぶ。
肌の色は主に灰色で緑の体毛を持ち、他にも様々な色をしたSMが存在する。
尚且つ肌はとんでもなく頑丈で、筋肉、骨格も同様に強化されている。
SMは純正であろうが変異であろうが、いずれにせよ人間以外の他の生物では再現できない。
その細胞は高い増加率の細胞分裂をうけている。有糸分裂(染色体、紡錘体などの形成を伴う核分裂)は
通常の人間の+15%のスピードで終了するものの、細胞構造はとても良く似ていると言える。
DNA鎖はほぼ完全で、病に対する劣性遺伝子は組織から除去されている。
この劣性遺伝子は通常の人間から見つけられる“それ”であり、細胞分裂で常に最適な結合になるよう操作されている。
RNAもまた、より最適な情報伝達を行うよう操作されている。しかし突然変異は副作用ももたらし、
第一に生殖が行えない。これは生殖系の配偶子が元々割けたDNAを使用、"半分の細胞"で成り立っており、
これはFEVによる損傷だと考えられ、ミュータントは不妊症であると解釈される。さらに肌の色素の変異も含まれる。
マリポサで生み出されたSMは不妊症ではあるが、生殖器官までは失っていない。
逆に、Vault87のそれはFEVの影響で全くと言っていいほど欠落している。彼らは細胞の老化による死は無いが、ボケに似た症状に罹り易い。
主な死の原因となるのは、人や他種との交戦である。SMは進化実験プログラムの一環であった改良されたFEVにより生み出され、
より強大な存在となり、二通りの結果が出来上がった。西海岸はザ・マスターによって、東海岸はVault87の科学者たちによって生み出された。
西海岸のミュータントはザ・マスターの忠実な下僕であり、マリポサ基地に存在したFEVを利用して生み出された。
西海岸と中西部に生息しており、一部は野蛮かつ原始的であるが、遠縁ともいえるVault87の彼らと比べ、多くは遥かに知性溢れかつ文明的である。
マスターズ・アーミーと呼ばれたこれらのSMは、マスターと共にSMによって統一された世界の実現を目論んだ。
またSMの中でもマスターの近衛兵を務めたものはナイトキンと呼ばれていた。
東海岸のミュータントは進化実験プログラムをテーマにしたVault87で極秘研究から生まれた。
改良したFEVによって歳を取ると共に巨大化し、より凶悪な怪物へ成長する新しいSMが誕生することとなった。
西海岸と違い、性別に関するあらゆる特性は消去され、無性別の状態へ変えられてしまう。
彼らは研究者たちが死亡した後も、仲間を増やすために定期的にウェイストランド人を捕えている。
西海岸のSMに比べ知性に劣り、非常に好戦的な存在であるが、極稀に理性的な者がいることが確認されている。
彼らの行動目的は戦うことに尽き、特に人間を殺すことに終始している。
そのためにより多くの仲間を生み出すべく、領土を増やし、戦前に保管されていたFEVの確保を目指している。
西海岸と東海岸に共通するのは、同じFEVから生まれたケンタウロスという従僕をしたがえていることだ。
彼らはこれを番犬代わりにしており、ペットとして飼っていることが多い。

核戦争により全てが終わった・・・・かのようなゲーム「Fallout」。
スーパーミュータント(以下SMと表記)はかつて人間だったものであり、同時に次世代の新人類でもある。
ザ・マスターと呼ばれるイカれた存在に生み出されたものもあれば、Vaultの実験で生まれたものもおり、
とにかくその存在を一言で言えば、マッチョで危険な生き物である。
マスターが倒されて以降の西海岸のSMたちは散り散りになり、一部は人間との共存を目指している者もいる。
ただし基本的に変わりなく人間を襲っている者が大半のようだ。
一方西海岸はVault101のアイツがどう転ぼうと未だ脅威として残っている。
マスターは自分が生み出したSMに対して、究極的な生物だと自負していた。
しかし、自身の作り出した知性溢れるSMが衰退し、愚鈍なSMが増えているのは運命の皮肉だろう。
両海岸共に生き残っている大半のSMは明らかに知的とは言い難いのだ。
ただ一方で、マーカス、フォークス、アンクル・レオといった理性的なSMも確かに存在しており、
彼らの隆盛はまだまだこれからかもしれない。

2013年11月7日木曜日

グール

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

核爆発による高熱と放射線の影響で、遺伝子が変質したと信じられている人間の総称。
共通して皮膚が焼け爛れたような醜悪な外見となり、肉の腐ったような悪臭に見舞われる。
代わりに肉体的な老化現象が抑制され、寿命が大幅に伸びている(なかには大戦時から現在も生き続けている者もいる)。
基本的にウェイストランド人の間では放射線により変化したと噂されているが、実際はF.E.V(強制進化ウイルス)の影響である。
F.E.Vの影響を受けたものは遺伝子が変化し、必然的に肉体が頑強になる。
しかし放射線を長時間浴びる、または大量の放射線を浴びるとF.E.Vが放射線から肉体を守ろうと
放射線に強い肉体へと変化させようとする。これがグールの成り立ちである。
これにより放射線による害を受けないばかりか、放射線を取り込むことで体力が回復するという副産物が生まれた。
そのため過酷なウェイストランドでの生存能力は著しく高い。ただし生殖能力は失われる。
彼らの多くは人目のつかない場所に住んでおり、これは知性や精神は人間と変わらないが外見のため差別や迫害を受けているためである。
それらの経緯から非グールの人間に恨みを持つ者も少なくない。忌み嫌う者からはその性質も含めてか「ゾンビ」などと侮辱される。
また知性が失われ凶暴化したフェラル・グールも無数に存在し、ウェイストランドに住まう人々の脅威になっている。
これがさらに理性あるグールへの風当たりが強くなる原因にもなっている。
しかしフェラルと通常のグールはもはや別種であり、理性を持った通常のグールがフェラル化することなど無い。
だが理性のあるグールについても「脳が腐りいずれはフェラル化する」という偏見が一部で存在し、
差別どころか問答無用で「害悪」と見なされることもある。これに対してグールたちは自らを「ゾンビ」と呼ぶ、
多くの「普通」のウェイストランド人に対して、皮肉と侮蔑が混じった「スムーススキン」という渾名で呼ぶ。
エンクレイヴやBoSもまた彼らに対して差別的であり、エンクレイヴがウェイストランド全てなのに対し、BoSはデイグローの一件が引き金となっている。
彼らが最も多く住んでいると知られているのは、Vault12と戦前はベーカーズ・フィールドだった都市ネクロポリス。
Vault12の研究テーマは「放射能の人体への影響」であり、本来住人を核戦争から守るはずだったVaultは
意図的に住人が放射能に晒されるよう、Vaultの扉が閉まらないように設計されていた。
これによりVault12の人々は大量の放射能と熱線を浴びることとなった。
しかし本来死ぬだけだったはずの彼らはF.E.V(強制進化ウイルス)によって遺伝子が変化しており、
居住者の一部は耐えきれず死に、一部はグールとなった。グールになって生き残ったVault12の居住者たちだったが、
その後の内乱により更に数は減り、生き残った者は地上へと出て行った。
現在ネクロポリスで確認されているグールはこのVault12の出身者とされている。
こうして悲劇的な結末によって生み出されたVault12のグールたちだったが、
皮肉にもVault-Tec社とエンクレイヴによって意図的に生み出された彼らは特別な存在ではなかった。
彼ら以外にもVault居住者の抽選から落とされた元アメリカ合衆国民の多くは、核の影響により同様の道を辿ったのだ。
グールたちが地上に出た後、自分たちの町ネクロポリスに作るが、ザ・マスターに発見され、Vaultを手に入れるためスーパーミュータントが派遣された。
この襲撃で多くのグールが死んだ。スーパーミュータントは無傷のVaultを発見できなかったことと、
グールの正体がVault12の住人だということに怒り、グールたちを監視し、服従させるために駐屯地を設けた。
その後、浄水チップを求めてやって来た「Vaultの住人」によりスーパーミュータントは倒され、
ネクロポリスのグールたちは別の場所へ移り、デイグローやゲッコなどの町を作った。
ゲッコは比較的に平和だったが、しかしデイグローはBoSの求める戦前の技術がある場所であり、BoSとグールは敵対することとなった。
その後、ザ・マスター率いるスーパーミュータントの軍が敗北して何年も経ち、
スーパーミュータントと人間、そしてグールが共存する町ブロークンヒルズが出来たことで、BoSのグールに対する態度は軟化してきている。
またデイグローのグールたちはハブなど、人間の町との交易を重ねた結果、最終的に2189年にデイグローは
NCR(新カリフォルニア共和国)の領土となった。こういった経緯から、NCR領では比較的グールに対する偏見は少なくなった。
モハビ・ウェイストランドでも同様であり、グールが人間に交じって様々な職業に就いている。
西海岸のグールたちは運があった。しかし東海岸のグールたちには過酷な運命が待っていた。
元ワシントンDCであるキャピタル・ウェイストランドでは、2288年に敵対するミュータントや人間によってグールは地下に追われた。
彼らは自分たちだけの町を作るべく、博物館を利用してアンダーワールドを作った。
彼らの敵はキャピタルの民間人、BoS、エンクレイヴ、レイダー、奴隷商人、タロン社、様々なミュータントや危険なロボットたちである。
キャピタルに平和を与えることを目的としているキャピタルBoSだが、浄水施設を稼働させ、
汚染されていない水の生産に乗り出した現在、グールに対する水の配給は考えられていない。

核の炎に包まれた世界、ゲーム「Fallout」シリーズ。
本作に登場するグールは、所謂肉の腐ったゾンビの様な外見とは違い、基本は普通の人間である。
普通の人間と違い長生きで、放射能に対して強い抵抗力があり、放射能で体力を回復する以外は。
勿論良い奴もいれば、悪い奴もいる。さらにフェラルなんていう殆んどクリーチャー扱いな奴もいる。
しかしその見た目から一概に差別的な扱いを受けている。
放射能に適応した人種と言えば凄いのだが、見た目が見た目だけにそれを考える事は滅多にないのだろう。
NCRでの扱いは割と良い方だが、キャピタルでは歩み寄ろうとする団体自体が皆無なため、致し方なし。
(キャピタルには人造人間の権利を守ろうとする団体がいるが、そんなことより奴隷やグールにどうにかしろと言いたい)
比較的穏健派であるキャピタルBoSでも、グールは心底嫌われている。
おそらくデイグローの件を引きずっているようで、デイグローと全く関係のないキャピタルのグールにはとんだとばっちりである。
ちなみにグールの中には戦前から生きているものもいるため、そういったキャラクターから昔話を聞くと
なかなか面白い、ゲームの設定背景が見える為偶に聞くのもいいだろう。

2013年9月13日金曜日

ヌカ・コーラ社

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

ヌカ・コーラ社は2044年にジョン・ケイレブ=ブラッドバートンによって設立され、
大戦前のアメリカで大人気となった清涼飲料水を販売していた企業である。
主要工場のヌカ・コーラプラントははワシントンDCに現存しており、
そこでは最高の清涼飲料の生産を維持するため最先端の設備が24時間フル稼働して、
ヌカ・コーラの生産を行っていた。現在は警備ロボットのヌカ・コーラセキュリティや
ラッドローチ、ヌカ・ラークなどのミュータントが徘徊する危険な場所であり、
地下の貯蔵庫はタンクの中身が漏れ出し、青い蛍光色の水で溢れている。
会社を設立する同年、ブラッドバートンの手によってヌカ・コーラは誕生した。
発明した炭酸飲料は瞬く間にアメリカ中で大ヒットを記録し、アメリカで最も人気のある炭酸飲料となった。
その独特な味は大戦後のウェイストランドにおいても、変わらずに愛されている。
このアメリカで広く知られている清涼飲料水は綺麗な青いボトルに入っており、
これは2052年、市場調査で100人中86人が青が好きとの回答が出たため、
ボトルは眩い青色を標準色として採用、定められて以降変わらずの色である。
2067年には冷たいヌカコーラが入った自動販売機が、全米のほとんどの路上で見かけられるようになった。
ヌカ・コーラの主成分は炭酸水、カラメル色素、アスパルテーム、リン酸、
安息香酸カリウム(防腐剤)、天然香料、クエン酸、カフェインとなっている。
独特な風味は17の果実エキスをちょうど良い割合で混合したものである。
しかし2044年のパッションフルーツ大不作により、添加物の変更が余儀なくされた。
この際に人々は味が以前と違うことに気づいていたが、
逆に味に違いが生まれたことによるものか、市場に影響はなかった。
またヌカ・コーラにはビタミン類と滋養強壮の効能も含まれている。
この企業の開発した飲料を飲む際に避けて通れない、重要なことが一つある。
それは微量に含まれる放射能である。現在確認されている全てのヌカ・コーラは
放射能に汚染されており、核戦争後のものかと思われたが、実際は元々放射性化合物が含まれていた。
意外にもこの放射性化合物混合飲料に人気の陰りはなく、各種グッズを販売。
同社の配達用トラックのミニチュア玩具「ヌカ・コーラトラック」などがある。
2077年には更なるシェア獲得、ヌカコーラの不動の人気を確たるものとするため、
新たなるヌカコーラ、ヌカコーラ・クアンタムの発売が決定された。
しかし皮肉なことに2077年10月23日、ヌカコーラ・クアンタムの正式な発売日。
まさにその時、グレート・ウォーが勃発。アメリカのほとんどが核の炎に包まれた。
他にも既に流通していたと思われるヌカ・コーラ・ビクトリーやヌカ・コーラ・クォーツ、
レシピ上のみ存在するヌカコーラ・クリアなどのバリエーションがある。
またウェイストランドにおいて、ヌカ・コーラのボトルキャップは
商人の町ハブで通貨の代わりとして活用されて以降、一般にも浸透し、
戦前の技術が失われて通貨が量産できない事から、代用物として広く活用されている。

カシッ!プシュッ!シュワー、ゴクゴク!ヌカっとさわやか!
ヌカ・コーラ社は「Fallout」シリーズにおいて、数ある企業の中でも
Vault-Tec社同様に注目の的である、戦前のユニークな会社である。
戦前のアメリカ、戦後のウェイストランドにおいても愛されている炭酸飲料ヌカ・コーラ。
しかし驚くべき(笑)ことに、その炭酸飲料は放射能入りだった!
しかも誰一人として、それを飲むことに疑問を抱くことはなかったのだ!
ここまでくると、本当に「放射能入り炭酸飲料美味い」のか気になるところである。
またこの会社は商品のテスターが放射能による健康被害で死んでも、
遺族にはチーズと果物の詰め合わせを送るだけという輪にかけた超絶ブラック企業である。
一度たりとも、訴えられていないのは奇跡としか言いようがない。
そんな凄いというよりも酷い会社であるが、戦後となっては見る影もなく、
施設の大半は使い物にならない状態になっている。しかしヌカ・コーラ自体の人気は衰えず、
さらにはそのボトルキャップが現在は通貨としてウェイストランドでは利用されている。
ちなみに会社のロゴを見ればわかるが、あからさまな某企業のパロディ会社であることを
お分かりいただけるだろう。Falloutシリーズ発売中、製作会社は実際に訴えられたりしなかったのだろうか。
以下、ヌカ・コーラ社商品の紹介。


「ヌカ・コーラ(Nuka-Cola)」

「Fallout」シリーズに登場。

ヌカ・コーラ社の大ヒット商品。同社の商品の中で一番人気があり、
最もアメリカで愛された炭酸飲料水だった。大戦後もその人気は変わらず、
見た目も美味しさも、特徴的な青いボトルの中の放射能も変わらなかった。
触れてみると常時生温かい放射能を発しており、現存するものは全て大戦前の状態を保っている。
モハビでは自家製ヌカ・コーラが作ることが出来る。本物と全く同じであり、
材料はキャップ、ソーダの空ビン、タマサボテンの果肉、ネバダ・アガヴィの果肉で作成が可能。

「冷えたヌカ・コーラ(Ice cold Nuka-Cola)」

「Fallout3」「Fallout:New vegas」に登場。

文字通り冷えたヌカ・コーラ。見た目は普通のヌカ・コーラと同じ。
冷やして飲めば美味しさ倍増で体力回復効果も強化。
永遠に冷たいまま、温くならない画期的な商品。
キャピタルではモイラ・ブラウンから購入できる「原始的な自動販売機」を使えば、
普通のヌカ・コーラを冷えたヌカ・コーラにすることができる。
モハビでは商人が偶に販売している。

「ラム&ヌカ(Rum and Nuka)」

「Fallout:New vegas」に登場。

おそらくヌカ・コーラでラム酒を割ったものと思われる。
「冷えた~」と同じように、見た目はヌカ・コーラと同じ
アルコールが入っているが、アルコール中毒にはならない不思議な飲み物。
扱い的にはヌカ・コーラのようで、モハビのカジノ「アトミック・ラングラー」で偶に販売している。


「ヌカ・コーラ・クリア(Nuka-Cola Clear)」

「Fallout3」に登場。

ヌカ・コーラプラントの金庫に保管されているメモに書かれたレシピ上の存在。
クアンタムに次ぐ、新たな商品として出る予定だったが、生産されることはなかった。
アイスギャングの「オーバータイム・サドンデス」はこのレシピで一儲けしようと狙っている。

「ヌカ・コーラ・クアンタム(Nuka-Cola Quantum)」

「Fallout3」「Fallout:New Vegas」に登場。

暗闇で青く光る、希少かつ特殊な炭酸飲料。
2077年に発売されたが、大戦の勃発により市場にほとんど出回らなかった不遇の商品。
しかし一部出荷されたものや試供品が現存しており、非常に希少なものになっている。
そのためウェイストランドにおいて現存しているものは高値で取引されている。
宣伝文句は「カロリー2倍、炭水化物2倍、カフェイン2倍そして味2倍!」。
その味は「ヌカ・コーラ+片手に一掴みの砂糖+頭をがつんと打撃一発」、
「飲むと頭が回るが意識はハッキリする」とのこと。
ヌカ・コーラ社の一大プロジェクトの成果であり、テレビCM第一弾ではシルエットのみで、
名前は明かされず、最後に「新しい青がやってくる」のメッセージ。
第二弾で暗闇で名前を公開、最後に「クアンタムを体感せよ!」のメッセージ。
第三弾で役者に市場アンケートの結果を自分が飲んだことのように語らせ、
テレビとラジオによる効果的な宣伝戦略を行っていた。
通常のヌカ・コーラよりも重く、パッケージラインがよく詰まってしまうため、
生産性はそれほど高くない。更なる刺激が加えられたこの商品は味の効果向上として
ザクロエキスとマイルドアイソトープと称して原液に微量の放射性ストロンチウム、
いわゆる放射性同位体を追加した。これは視覚的にも斬新さを加えるために
飲料自体が鮮やかに青く発光させるためのもので、食品医薬品安全協会は飲んだ者の尿を輝かせる以外、
人体への悪影響は無いと報告した。分類的には飲料水よりも薬物に近く、中毒性がある。
尚、これを材料に小規模ながら核爆発を起こす手榴弾ヌカ・グレネードが作成可能。
他の材料はアブラクシオ・クリーナー、ターペンタイン、ブリキ缶が必要。
ヌカ・コーラプラント地下貯蔵庫は青い蛍光色の水が溢れており、
もしかしたらクアンタムの素かもしれない。
発売前の実験段階で多くの犠牲者を出しており、安全性は10%という数字ながら
食品医薬品安全協会は「問題ない」と販売を認可した。
開発途中では臓器不全、内的放射性火傷をほとんどの被験者が患っている。
またテスターの一人は深刻な臓器不全で3日以内に死亡した。
最終段階で50人中3人がめまい、吐き気が1人、視力低下が1人である。
企業側は被験者およびユーザーが何らかの健康被害を負った場合は、
遺族に対していつもの「ヌカ社おわびセット(果物とチーズの盛り合わせ)」を送っている。

「ヌカ・コーラ・クォーツ(Nuka-Cola Quartz」

「Fallout:New vegas」に登場。

クアンタム同様にボトルが光っており、こちらは白く光る。
モハビ・ウェイストランド周辺で見かけられる。
飲むと回復効果と防御力上昇、暗闇でもはっきり目が見えるようになる。
もしかしたら試作品、または限定商品かもしれない。
ヌカ・グレネードの材料の一つであり、これにアブラクシオクリーナー、
ターペンタイン、ブリキ缶を加えることで作成可能。

「ヌカ・コーラ・ビクトリー(Nuka-Cola Victory)」

「Fallout:New Vegas」に登場。

クアンタム同様にボトルが光っており、こちらはオレンジ色に光る。
クォーツ共々、モハビ周辺で見かけられる。
もしかしたら名前通り、何かの祝勝記念時のものかもしれない。

「ヌカ・コーラトラック(Nuka-Cola Truck)」

「Fallout3」「Fallout:New Vegas」に登場。

ヌカ・コーラ社のロゴが入ったトラックのおもちゃ。
キャピタルやモハビでよく見かけられる。
何故かロゴが入っているのは片側のみである。
配達トラックをミニチュア化したものだが、旧式をモデルにしたのか、
キャピタルとモハビではモデルとなったトラックは見つからない。
同型と思われるトラックは1台のみ、砂漠のとある場所にて横転した状態で放置されている。
これ自体に特に利用価値はなく、部屋の飾りにしかならない。

2013年7月14日日曜日

ブラザーフッド・オブ・スティール(Brotherhood of Steel)

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

ブラザーフッド・オブ・スティール (鋼鉄の騎士団、略称BoS) はテクノロジーを信仰する組織であり、
大戦以前の米国軍部および政府後援の科学コミュニティを起源とする。
軍部士官、兵士、科学者の子孫から構成されている、ほぼ純系の人類である。
他の勢力からは大戦以前、大戦時におけるテクノロジーや文化的遺産の捜索、
回収を目的とした巨大な武装組織と見なされている。アメリカ全土に支部を持ち、テクノロジーを収拾して研究、
前提として自分達で独占する事が目的であり、そのためウェイストランド人からは快く思われていない。
遺産の調査・発掘を目的とした科学者と護衛及び敵対者の排除を担う戦闘員で構成が二分されている。
本部は西海岸のロスト・ヒルズ・バンカーにあり、各地方に支部が存在している。
BoSはいくつかの階級に分けられる。イニシエイトは訓練生であり、訓練過程で十分な成績を上げると
上級イニシエイトに昇進する。その後アプレンティス (見習い) となる。
認められるとアプレンティスは熟練ナイトかスクライブに昇進する。
次の階級は上級ナイト/スクライブで、最後に各階級のリーダーであるナイト長、スクライブ長となる。
スクライブは古代のテクノロジーの複製、現在のテクノロジーの維持、
さらに新兵器や他の有用な装置の調査に責任を負う。スクライブはBoSバンカーの安全な場所から
離れることはほとんどないが、テクノロジー装置を調べたり、専門的な知識が必要な任務を行うため、野外を訪れることもある。
ナイトは武器などのテクノロジー装置の製造に責任を負うが、戦闘活動にも参加する。
何年もの任務と経験を重ねた後、最高のナイトはパラディンに昇進する。
パラディンは軍部の頂点であり、全ての防衛・外部活動を担当する。
パラディンには更に階級があり、下級パラディン、パラディン、上級パラディン、パラディン長となる。
全てのパラディンはナイトでもあるため、パラディン長は通常ナイト長でもある。
最上位の階級はエルダーであり、エルダーは支部におけるリーダーである。
本部では複数のエルダーがおり、BoS統治評議会の一員でもある。
エルダーになるにはBoSで多大な功績と、周囲からの信頼を得られた者が信任する。
ただし評議会とBoS自体のリーダーはハイエルダーで、通常は創設者のマクソン一族が継承している。
この他にもキャピタルBoSでは、「センチネル」という階級があり、
精鋭部隊「リオンズ・プライド」のサラ・リオンズだけが唯一名乗っている。
また同分派では「スターパラディン」や「スクワイア」という階級もあり、
スターパラディンは自身の任務を行える特別許可が与えられており、
スクワイアはイニシエイトより一つ上の階級で、特別な理由で与えられる。
BoSは量より質を重視する傾向で、戦いにおける数の差は戦前・戦後の凄まじい装備類で補っており、
レーザー兵器、パワーアーマー、外科的改造、戦闘用インプラントを所持している。
戦闘においてBoSパラディンは、傷一つ負わずに町一つを地図から消し去る能力をもつ。
BoSメンバーの大多数は組織内で生まれ、部外者を階級に入れることは非常に稀。
しかし組織で生まれたが、スクライブ、ナイト、パラディンになりたくない者は去るのも自由。
組織は意思に反して強制的に仕えさせることはしない。 普通は正当な理由なく他者と敵対しないが、
BoSのメンバーは周りにいる明らかに弱かったり、運に見離された者に対する正義にも興味を示さない。
大抵の場合、人命より秘密を保持し、テクノロジーの保存・開発を尊重する。
確実に言えることは、BoSナイトの一団が不運な人々を助けているように見えたとしても、
相手のためを思ってやっているとは限らない。BoSは最高級のテクノロジーを他者と共有したがらない。
たとえテクノロジーが、ウェイストランドに明らかな利益をもたらすとしてもだ。
BoSが配備しているどんなテクノロジーであろうと、ウェイストランド人ではそれを利用 (そして維持) する責任を負えない、という考え方が BoSの内部では広く認知されているため。
だがテクノロジーの一部は開拓地のコミュニティと交換することが知られており、
NCRは食料などの資源との交換を表明している。だが能力の高いテクノロジーは公には出さない。
テクノロジーに尊敬の念を抱いているが、BoSの多くのメンバーはテクノロジーに
関係しない知識分野は (さらに戦闘に関係ないテクノロジーも) あまり尊重しない。
スクライブであっても、そのほとんどは歴史に関心を示さず、イニシエイトの中には
BoSの創立者であるロジャー・マクソンを知らぬ者さえいる。
BoSのミュータントに対する態度は様々であり、嫌悪感を抱いたり (例えばグールに対して)、
完全に敵対したりする (対スーパーミュータント)。
BoSの創立者は、ロジャー・マクソン大尉だった。ロバート・スピンデル大佐指揮する軍隊の一員であり、
最初は2076年1月3日、ウェストテック研究施設に国家安全の目的で実験を監視するため派遣された。
2077年1月7日、全ての研究は新たに建設されたマリポーサ軍事基地に移され、
スピンデルの一団も一緒だった。 10月10日、マクソンと部下は恐ろしい事実を発見する。
科学者たちは強制進化ウィルス (FEV) の実験で、軍の受刑者を被験者として利用していたのだ。
基地の士気は崩壊し、スピンデルは神経衰弱から5日後に自殺した。マクソンの部下は指導力を彼に求めた。主任科学者のロバート・アンダーソンを尋問し、科学者たちが起こした行動範囲を知ったマクソンはロバートを処刑、他の科学者も同様にした。
10月20日にマクソンはラジオを通じて軍部からの完全離脱を宣言する。
ほかの軍部は、中国と戦うのに忙しかったため反応はなかった。3日後に爆弾が発射され、
大戦争は始まって2時間後に終結した。 マリポーサ軍事基地は生き残り、
内部の兵士はウェイストランドに満ちる放射能やFEVから守られた。
2日後のマリポーサでは、パワーアーマーを着た偵察兵が大気の特性を調べ、施設周りの区域に、深刻な放射能はないと報告。外の荒れ地で科学者を埋葬した後、軍事基地を封鎖した。物資と武器の設計図を携え、砂漠へ向かう。マクソン大尉は部下と家族をロスト・ヒルズの政府バンカーに導き、この出来事は後に「脱出」と呼ばれた。
外で数週間過ごした11月、兵士と家族はロスト・ヒルズに到着する。
道中、マクソンの妻を含め多数の犠牲者を出した (だが10代の息子は無事だった)。
ロスト・ヒルズのバンカーは、新たに結成されたBoSの本部となった。
2134年、デニス・アレン軍曹率いる一派が力を増し、ウェストテックの南東遺跡の遺物を
探索したいとエルダーたちに詰め寄った。そこは核爆弾が直撃した後、グローと呼ばれている。
エルダーが拒否したため、アレンと分離を唱えるグループは BoS と分かれ、テクノロジーと武器の一部を持っていった。
それでもロジャー・マクソンの指揮下で、BoSは力を増してテクノロジーを開発し、
ナイト、スクライブ、パラディンの階級が結成された。2135年にロジャー・マクソンは癌で死に、
息子の二代目マクソンがハイエルダーを引き継いだ。 2150年代にはBoSはバンカー周りの区域を支配し、
その領域の強大な勢力の一つとなっていた。2150年代の初期頃、バイパー団というレイダー集団が
南の荒れ地に権力基盤を作り始める。宗教的な熱狂ぶりによって頻繁に襲撃するようになる。その結果、BoSの注意を惹きつけた。
2155年、BoSは数個の偵察小隊をバイパー団追跡のため派遣した。これはほかならぬハイエルダーが命じた訓練過程の延長だったため、BoSはパワーアーマーを着た小分隊で、レイダー団の規模に関わらず対処するに十分だと確信した。二代目マクソン率いる BoSの一隊が、バイパー団を発見する。レイダーはすぐ逃げ出すと思っていたマクソンは、バイパー団の宗教的な熱意と獰猛さ、毒のついた武器を考慮していなかった。マクソンがヘルメットを外している時、一本の矢によって傷を負い、そのせいでわずか数時間で死に至った。
ロジャーの孫、ジョン・マクソンがエルダーの役割を受け継ぎ、ロンバスがパラディンの新しいリーダーとなった。
ロンバス率いるパラディンは、バイパー団に全面攻撃を始めた。
一ヶ月以内に、一団のほぼ全員を追跡し滅ぼした。バイパー団の中には、北や東の山脈に逃げ延びた者もいた。
活動中、BoSはバイパー団のメンバーを追跡するため数人の偵察兵と使節を商人の町ハブに派遣した。
これを発端として、ハブとBoSは全面的な貿易関係を始めた。
2161年10月、パトロール隊が荒れ地で死んだスーパーミュータントに出くわした。
死体はスクライブたちのもとに持ち帰られ、スクライブ長ヴリーが調査を始める。
長い研究が重ねられた後、検体は全く子供を作れない身体ということが明らかになった。
2162年2月、「Vaultの住人」が基地を訪れ、仲間に加わりたいと申し出た。
真面目に請け合ってもらえず、いつものようにウェストテック施設の廃墟へ無駄足を運ばされることになる。
そこはかつてアレン軍曹率いるBoSの一派が足を踏み入れて戻らなかった地、グローである。
そこは死んだ仲間と戦前の技術の両方があると、BoSが考えるようになった場所だ。
だがかつてはサンディエゴだった街デイグローのグールが守っていた。
BoSのグールとの関わりは限定的であるが、良いとは言えない。
さまざまな回収任務が「グロー」で始まって以来、BoSのグールに対する怒りは更に募ることになる。
しかし「Vaultの住人」は生きて戻ってきただけでなく、何人ものBoSパラディンがグローへ向かった際の、
失われた探検が記録されたホロディスクを持って帰ってきたことで、皆を驚かせた。
その結果、長い歴史で初めてBoSの一員として認められた、最初の部外者となった。
「Vaultの住人」によって、BoSはザ・マスター軍と計画を知ることになる。
全ての人間をスーパーミュータントに変えるものだ。ジョン・マクソンの援助を得て、
「Vaultの住人」はエルダー議会の説得に成功し、パラディン部隊をマリポーサ基地に派遣することになる
そこは皮肉にも、BoSが元々いた場所であり、その頃にはジョン・マクソンさえ覚えていなかった。
BoSの協力で「Vaultの住人」は最終的にザ・マスターを倒すことに成功し、ロスト・ヒルズ・バンカーを去った。
その後しばらくの間、BoSは北カリフォルニア中の様々な都市に小さなバンカーを建設、
テクノロジーの回収に従事していた。この時点でのBoSは最も技術的に進んでいた勢力だったようだ。
スーパーミュータント軍と密輸業者たちも進んだ武器を持っていたが、
BoSにはパワーアーマー、一定の医療技術、スーパーコンピューターがあった。
しかしそれは2241年までであり、ウェイストランドの進んだ技術を管理するのは、
エンクレイヴの出現により、もはや彼らだけではなくなった。
さらにパワーアーマーの独占も失っている (中国工作員の子孫の組織「シ」が台等し始める)。
BoSは80年間全く進歩していないように見えるが、わずかながら確認できることとしては、
進んだ武器と医療技術を依然として所有している。これら本部とその周辺のバンカーの活動範囲は
西海岸に留まっていたため、新たに東海岸にも兵士の派遣団を送った。
しかしこの派遣団は本来の任務であるテクノロジーの保護を後回しにし、
スーパーミュータントの脅威に対する現地住民の保護を最優先にする決断をした。
これに対して本部は増援や物資の支援は一切を断った。
こうしてできた分派は、キャピタルBoSというべき独自の組織と呼べるものになった。
しかしこのキャピタル・ウェイストランドを守る元遠征団の中には、
本来の目標を忠実に守るべきだと考えた一団もいた。
このメンバーは仲間の元を離れ、新たなる組織BoSアウトキャストとなった。
一方、本部BoSは重大な局面に至ろうとしていた。
勢力を拡大し続ける新カリフォルニア共和国(NCR)の存在により、
どちらが戦前のテクノロジーを保持するのに相応しいか、抗争を始めた。
皮肉なことに装備と練度に優るBoSは、それよりも劣るが数で押し寄せるNCRにより追い詰められ、
本部と各支部は分断された。モハビ・ウェイストランド支部は本部との切り離されたことにより
著しく衰退し、NCR軍との交戦の末、大打撃を被ってしまう。
生き残ったモハビBoSは再起を図るべく、ヒドゥンバレー地下のバンカーに籠城し、
NCRから身を隠しつつ、雌伏の時を待っている。これらのことから現在のBoSは西海岸と東海岸で活動している。
(画像はBoSのシンボル。歯車は工学知識、剣は自らを守る意志、翼は高まる希望、
円は仲間(=brotherhood) となる全体を表す)

核戦争後の世界、ゲーム「Fallout」シリーズ。
ブラザーフッド・オブ・スティール(以下略BoS)はかつてのアメリカ陸軍の末裔で
事実上、エンクレイヴと同じくらい歴史のある勢力。
戦前の技術を維持、サルベージし、分析、それを独占することを目的にしており、
そのためウェイストランド有数の武装組織であり、研究組織でもある。
ただし戦前の技術に固執する姿はほとんどのウェイストランド人から嫌われている。
一応、知識のない者や無法者から破壊と悪用をさせないのが目的で、
復興の手段として「テクノロジーの保護」を優先している。
最終目標はアメリカの復興なのだが、現在のBoSはそのことを忘れ、
ただ「独占」することだけを優先しており、手段が目的に変わってしまった状態。
その愚かさからエンクレイヴ同様、手段はあるのに目的を完遂できない哀れな集団である。
現在も強引なやり方で現地住民からテクノロジーを喝上げしており、
その高圧的な行動は、新カリフォルニア共和国(通称NCR)の耳にも入った。
ただの村落から一大国家に成長した新カリフォルニア共和国と
古くからテクノロジーを身に着けていたBoSは戦争を開始。
どちらがテクノロジーの保護者に相応しいか競い合った結果、
数に勝るNCRにBoSは押し負けている。
モハビにおいてはアジトにしていた施設を乗っ取られた揚句、壊滅寸前にまで追い込まれた。
しかし中にはキャピタルのように現地住民のために貢献したりする奴らもおり、
エンクレイヴ同様にその動向にはこれからも目が離せない。
本部と連絡を取れないことが尾を引いているようで、本部がどうなったのかはわかっていない。
モハビでの戦いがあったように、本部も未だにNCRと戦っているのかもしれない。
もしくは当の昔に制圧・滅亡しているのかも。

2013年6月5日水曜日

エンクレイヴ(Enclave)

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

エンクレイヴ (遠隔地、少数集団) は謎の多い軍事組織であり、
大戦直前、核戦争を予期した極右政治家や軍人、軍産複合体などの有力者が中心に結成した武装結社。
強力な企業に関係している政府高官と軍当局者の子孫で構成されている。
そのためエンクレイヴとその武装軍は、戦前の米国政府と米軍の公式な後継者でもある。
組織体系は米政府とその軍隊を模しており、指導者は「大統領」を自称している。
戦前のアメリカ合衆国政府と軍産複合体を直接の由来とし、安全な場所で核戦争をやり過ごし、
その後に大陸へ帰還、合衆国を復活させようという目的で組織された。
エンクレイヴは開いていないVaultを除けば、最後に残った純系人類の拠点の一つであることを誇りとしている。
この組織の大半は、エンクレイヴの外で生まれたほとんどの人間は根絶するほかないミュータントだと考えている。
放射能と強制進化ウィルス(Forced Evolutionary Virus=FEV)に対する影響により、
ウェイストランド人(現在の本土の人間)は見た目が全く一緒だとしても、もう人間ではないと考えている。
スーパーミュータントやグールといった他のミュータント化した生物同様、人間以下の存在だと見なしている。
良くても奴隷として利用され、最悪の場合は「真の人類」がアメリカの実際の国家を創れるよう根絶される。
現在でも戦前からの技術を保持、発展させ続けている。エンクレイヴの科学者は防具や武器の研究を続けているため、
同様に戦前の物資を保持している組織ブラザーフッド・オブ・スティール(Brotherhood of Steel=B.O.S) より
優れた装備をもっており、また貴重な化石燃料と、進歩したティルトローター機ベルチバードの供給も受けている。
荒廃した国家の支配を主張し続けており、その驚異的な技術と軍事力から他勢力から敵視されている。
エンクレイヴはかつて合衆国の影の政府であり、大戦争を生き抜いた数少ない旧世界組織の一つである。
2073年、わずかに残る天然資源を巡って世界中で開発競争が最高潮に達し、組織は核戦争が起こる可能性を考慮し、
ほとんどの一般市民が生き残れないと結論を出した。しかし合衆国の「重要な人間」が生き残っていれば、
素早く「人類」を再編成し、中国共産主義者を完全に一掃できると信じていた。
そのためにVault-tec社と協力を結び、Vault試験プログラムの実施を計画。
Vaultは米国政府が出資し、政府が管理した。表向きは、大戦争を生き延びる特権を与えられた
合衆国市民を選べるように意図された。だがVaultの大部分は戦後のある目的のために作られた。
宇宙旅行や地球への再入植は非常に難しく、予測不能な問題を伴うものとされた。
したがって平均的なアメリカ人がどのように様々な環境に対処できるかテストするため、
多くのVaultはある種の重大な欠陥があるように設計されたのだ。
2077年、全面核戦争が急速にアメリカに差し迫る中、合衆国大統領ほか多数の米国政府高官は
世界中に散らばった多くの秘密の場所に避難するため持ち場を離れた。
厳密にはエンクレイヴの一部ではないが、エンクレイヴの活動に利益となる多くの強力な企業と研究施設も
2077年の「炎の嵐」から保護された。中枢権力者のほとんどは大戦争が始まったときに
合衆国が確保に成功した世界で最後に残ったとされる原油供給先、「ポセイドン・エネルギー石油掘削施設」。
太平洋の底の何千フィートも下に埋蔵された石油を採掘する海上油田へと避難した。
実験が行われている住民を監視するために、石油掘削施設はVaultを観察・統制できる大量の設備を所有していた。
ここで米国が存続し、中国に対して開戦できるよう大統領自身が秘密基地を設けた。
当初の最終目標は共産主義者の撲滅と、戦後のアメリカ大陸を取り戻すことである。
大戦争から長い間、エンクレイヴは石油掘削施設で静かに留まっていた。
その間も力を蓄え続け、本土の誰よりも技術的に勝る優位性を手に入れた。
最終的に本土が安全だとわかると、外に出てアメリカの再生に向かい始める時期だと決断を下した。
非常に高い能力をもつティルトローター機ベルチバードを使い、最も近いカリフォルニア中に偵察班を派遣した。
そこでは彼らにとって驚くべき事態が待っていた。スーパーミュータント、グール、突然変異した動物、
生きているはずのない国民の子孫たち、本土に突然変異体(ミュータント)が蔓延していたのだ。
あちこちに散らばる突然変異体により引き起こされた破壊や荒廃を目にしたエンクレイヴ偵察班は
このことを上官に報告、全てのミュータントを一掃することが目標の一つに加わることとなった。
このとき屋外の本土で戦後100年以上も生き延びてきた者は放射能によって汚染されたか、
何らかの障害を負った、もしくは更に悪い状態に違いないという考え方が組織内に広まった。
そしてこれらのミュータントも、真の人類、真のアメリカが再び本土を手に入れる前に絶滅されるべきだとされた。
意外にもカリフォルニアの偵察と探査は続いた。エンクレイヴは核兵器で再び世界を破壊すること以外に、
ミュータント大量虐殺の野望を実行する手段を持っていなかったからだ。
しかし偶然にもエンクレイヴ兵はスーパーミュータント生誕の地、マリポーサ軍事基地を見つけた。
大戦争以前にFEVの研究が行われ、ほかでもないエンクレイヴ最大の脅威となったスーパーミュータントが創られたのだ。
エンクレイヴは軍事基地を発掘し、主に付近の鉱山都市レディングから集められた奴隷労働者を使った。
最終的に基地の地下深くで、複数のタンクを発見する。岩の中に埋没し何十年も忘れられていたが、
そのタンクにはあの泡立つ緑色の汚物、FEVが入っていた。
入手したFEVのサンプルの研究が行われたがほどなく、奴隷の鉱夫が生のFEVに完全に晒されたり、
誤ってタンク内に落ちたりすることも多く、スーパーミュータントの第2世代へと突然変異し始めた。
ミュータントの奴隷はすぐに暴動を起こした。最初のミュータント軍が残した武器や装置、
その他周囲のあらゆるものを手に入れ、スーパーミュータントは基地の上階に雪崩れ込んで
あっという間にエンクレイヴ兵を圧倒した。パニックに陥り退却する中、上階のエンクレイヴ兵は
基地から逃げ出し、入口を爆発物を使って封鎖した。マリポーサ基地を放棄してしまったが、
エンクレイヴは必要なFEVのサンプルを手にしていた。
石油掘削施設に戻り、合衆国化学隊は即座にウィルスの研究を始めた。
結果、FEVから信じられないほど強力で、致命的な毒を作れることが発見された。
だが研究を進めるためには、被験者が不可欠だった。必要なのは2つのテスト班だった。
一つは混じりっ気のない純粋な人間、もう一つは本土中に住む「ミュータント」のグループだ。
何十年も放射能とFEVに晒され、エンクレイヴにとっては汚れた存在だった。
汚れたサンプルはアロヨ村の全住人を拉致することで、簡単に入手した。
だが汚染されていないグループは、手に入れるのが難しかった。
エンクレイヴは化学隊に石油掘削施設の人々を利用することを許可しなかった。
恐らく全員がエンクレイヴの様々な計画にとって、非常に重要だったため。
そのため、別の場所に目を向けなければならなかった。
必要なストックを確保するため、再び本土が利用されることになる。
石油掘削施設の設備から選び出した供給源はVault13の居住者、
リチャードソン大統領が言うところの「管理グループ」に決定された。
ほどなくして、化学隊は強力な毒を開発した。汚れた人間に対しては100%致死性があることがわかった。
エンクレイヴが本土の全住人を殺すためジェット気流に向けて毒を発射する準備をする中、
「選ばれし者」という部族民がサンフランシスコに何年もあったポセイドン・オイル社のタンカーに乗り、
石油掘削施設に到着した。選ばれし者はアロヨの部族のほか、Vault13の住民の生存者も解放し、
石油掘削施設で自爆シークエンスを起動した。そしてエンクレイヴの本部は全て破壊され、
エンクレイヴの恐ろしい殺戮から世界は救われた。本部が決定的に破壊されたことにより、
リチャードソン大統領の痕跡は全て歴史から消滅した。今日では「大統領」の肩書きは、
子供を怖がらせるためのお化けとして使われているに過ぎない。
だが石油掘削施設の破壊で、全てのエンクレイヴが壊滅したわけではない。
ナヴァロなどの本土にある小さな前哨基地は生き延びることができた。
オータム博士に率いられたエンクレイヴ軍の一部が東海岸の施設レイヴン・ロックへ向かった後、
ナヴァロ前哨基地は新カリフォルニア共和国(New California Republic=NCR)によって占拠・破壊された。
彼らはエンクレイヴの存在が、周辺区域にとって脅威だと主張した。
NCRは施設での戦闘に勝利し、まだ残っていたり退却しなかったエンクレイヴの人員は全員殺された。
また逃げたエンクレイヴ軍の大部分はB.O.SやNCRによって捕らえられた。
捕まった者は戦犯として裁かれ、終身刑か死刑に処された。
ナヴァロの破壊後、辛うじて生き残った西海岸のエンクレイヴの残りは皆レムナント(残党、生存者)となった。
キャピタル・ウェイストランドへ逃亡した者、NCRに潜伏した者たちもいた。
NCRに潜伏したレムナントたちはお互いに連絡を取りつつ、新しい生活を始めた。
しかしNCRは生き残りが溶け込もとしているのを察知し、レムナントらは
モハビ・ウェイストランドの各地へと逃れた。その頃、レイブン・ロックのエンクレイヴ軍は
オータム博士という上級科学者の指揮の下、新しい謎の大統領ジョン・ヘンリー・エデンの命令を受けるため
再結集した。本隊はすでに壊滅し、残党に過ぎない東海岸のエンクレイヴだが、
その技術力と兵力はキャピタル・ウェイストランドにとって脅威となった。
もともとは大統領のアドバイザーおよびレイブン・ロックの管理者として従事していたエデンは、
東海岸エンクレイヴ軍を掌握した後、30年以上、レイブン・ロックに籠もりっきりだった。
偵察するためアイボットを派遣し、居住者に向けてエンクレイヴ・ラジオを送信するだけの日々。
その間エデンは新アメリカのビジョンへ導くため、新しい手順を考案した。
すなわち一般民衆へのエンクレイヴの存在を確立・強化、および遺伝子的に不完全な犯罪者の処分だ。
このことから、現在彼らの軍勢はアメリカの西海岸周辺と東海岸周辺で確認されている。
(画像はエンクレイヴのシンボルマーク。アメリカの国旗をモチーフにしている)

核戦争で焦土と化したアメリカを舞台にしたゲーム「Fallout」シリーズ。
エンクレイヴはかつてのアメリカ政府の末裔で、
その歴史は戦前からと、意外と古く、どの勢力よりも深い。
戦前の技術を維持、もしくはサルベージしたり、分析するのが精々の他勢力と違い、
新技術を開発、生産できる高度な技術力・生産力を所有している。
そのため事実上ウェイストランド最強の武力を保有する勢力のはずだった
しかしその排他的な思想から、ほとんどの勢力に喧嘩を吹っかけており、
その愚かさ(他勢力も似たようなもの)から、まともにアメリカを復興できない哀れな集団である。
彼らは過去の悪行(人体実験、奴隷、略奪、無情な襲撃etc.)、人を人と思わない思考から、
他勢力から恐ろしいほど憎悪されており、かなり文明的なNCR共和国においても
残党は見つけ次第殺害、または役立ちそうな技術、物資は没収。
死ぬまで強制労働を課せられる終身刑か処刑を言い渡される。
彼らがアメリカの復興を願う志自体は、素晴らしいものだが、
その手段が「戦前からVaultで国民を使った人体実験」、「自分たちは安全な場所に引きこもる
戦後に備えた武装の開発に勤しむ」、「我々だけの国家を建立しよう」という
生産性の欠いた独善的なもの。しかも長い間引きこもったおかげで、
その傾向は子孫たちに脈々と受け継がれ、極端すぎる思考が極限に達しており、
いざ本部から出てるとウェイストランドの破壊と荒廃、スーパーミュータント、グール、
その他諸々のクリーチャー、ヒャッハー!な奴らを目撃。
温室育ちな彼らに戦後のアメリカ本土の現状は受け入れられず、アメリカ復興は二の次に
俺たちのアメリカを返せ!」という見当外れな考えを持つに至ってしまった。
そして本土の全生命体の抹殺を目標に、現在邁進している。
同じく旧組織の末裔として陸軍が祖先のB.O.Sがおり、政府と軍隊という間柄から
協力を得られそうだが、何故か敵対(お互いの手段の違いから)しており、
明日も見えないほどの戦いを繰り広げているときがある。
現況はFallout2のラストで本部消滅、Fallout3の時代ではすでに本隊は壊滅しており、
そのため現在ウェイストランドでみられるエンクレイヴは残党である。
しかし本隊が壊滅した後も、最高司令部という存在がいることが発覚しており、
彼らのウェイストランド支配の野望は未だ潰えていない。
ただし彼らの中には自分たちの行為を恥じる者、脱走する者、
ウェイストランドに溶け込もとする者もおり、少しづつだが変わってきている。
もしかしたら、これから彼らの転換期が訪れるのかもしれない。
ちなみに彼らは独自のパワーアーマーと重火器、光学兵器などで武装しており、
本人たちは「我こそ正義」と語るが、パワーアーマー姿はどう見ても悪役っぽい。

2013年5月9日木曜日

Vault-Tec社

ゲーム、ドラマ「Fallout」シリーズに登場。

Vault-Tecインダストリーはアメリカ合衆国と契約を結んでいた企業であり、
大規模核戦争グレートウォー以前にセーフハウス計画と呼ばれるVaultシステムの立案、製作に携わった。
本社はワシントンDCのダウンタウンに位置し、核戦争後も本社は残っている。
VaultとはVault-Tec社が設計、建造した地下核シェルターの総称であり、本来の意味は地下室や墓地の意味。
合衆国市民の安全を目標とし、市民にはVaultでの快適な暮らしを約束しており、
初となったデモンストレーション型のVaultはロサンゼルスに建造され、
その後瞬く間にワシントンDCだけでなく、アメリカの主要都市にいくつものVaultが
国内の至る所で建造されていった。またマスコットキャラクターのVault-boyも人気を博し、
ランチボックスやボブルヘッドなど、グッズが販売された。
しかしVaultは、市民を救うために建造されたものではなかった。
Vault-Tec社は市民の安全を考えてなどいなかったのだ。
2077年における合衆国の総人口は約4億人。合衆国が要求したVault数は40万を超えた。
その後、Vault-Tecが受注できたVaultの数は、122しかなかった。
Vaultの真の存在理由は、国民の中から選定し、孤立主義のもとでストレスによる
反応を研究することであり、あわれな当選者はまんまと実験施設の被験体として入植する事となった。
当時存在していた有名企業の一部も計画に賛同し、研究内容も立案していた。
この計画はエンクレイヴによるもので、狂気の実験の立ち上げに、企業を利用したのだった。
極右政治家や軍人、軍産複合体などの有力者が中心に結成した武装結社エンクレイヴは
当時の合衆国を事実上掌握し、来たる核戦争に対する予測を立てていた。
核戦争により多くの市民が失われることから、地下シェルターの名を借りた
大規模実験施設Vaultの建造を決定した。これは戦後世界の復興のための技術の研究と、
その実験台である変異していない「純粋な人類」を確保することが目的であった。
エンクレイヴ指導の下、実際に核シェルターとしての本来の機能を持ち、
会社関係者や研究員らが避難して実験を行い、各Vaultの研究データを回収、
または再入植を目的とした「管理Vault」と呼ばれるVaultも存在した。
しかし元々核戦争前に準備が完了していなかったこと、根本的な管理やシェルター自体の設計が
杜撰なこともあり、核攻撃が多数の管理Vaultに致命的なダメージを与え、
また実験施設としてのVaultには元々シェルターとして欠陥を抱えていたこともあったが、
運営側すら手におえない無茶な研究、内紛、設備の故障など、様々な要因から
管理Vaultと実験Vaultの多くは崩壊へと向かった。
しかしいくつかのVaultの住民は、製作者の意図通りに、または思惑を外れて生き残った。

アメリカンライフは最高ですね。平和に自由、それにベーコンと卵
 完璧ですよね?でもそうでなかったら?
 皆様、未来は予想以上に危うい物です
 核戦争が起きたらどうしますか?
 Vault-Tec社の地下シェルターを予約すれば、家族の未来も安心

人は過ちを繰り返すゲーム「Fallout」。
そのFalloutシリーズで基本的に切っても切れない存在が、Vault-Tec社。
この会社に関連するものは大抵主人公が一番最初に見たり、手にしたりするもので、
多くの場合、全く触れないということはない存在である。
合衆国市民の安全と繁栄を守るために頑張る企業、などではなく
戦後復興のために、Vaultの人々にはその礎になってもらうという、碌でもない理由で
平和と理想の象徴を謳い文句にした実験施設に市民たちを放り込んで、モルモットにした最低の企業である。
しかもその実験内容は多くは意味不明を通り越して、「とりあえずやったことないから研究したい」という
マッドサイエンティストな思いから溢れだした妄想の産物、体のいいおもちゃ箱である。
そのためこの会社に関連した出来事は大抵、特にVault関連は物凄く嫌な気分になること請け合いである。