2024年5月17日金曜日

新カリフォルニア共和国

ゲーム「Fallout」「Fallout 2」「Fallout:New Vegas
ドラマ「フォールアウト」に登場。

西アメリカ、カリフォルニアを勢力下に置く、西ウェイストランド最大勢力とされる組織。
通称NCR(New California Republicの略。以下NCR表記)。
首都は組織名と同じNCRだが、以前はシェイディサンズとして知られていた。
荒廃したウェイストランドでは珍しい現代的な勢力であり、常備軍を有しており、人口は約70万を超える。
国章や国旗として双頭の熊が描かれており、カリフォルニア州旗がモチーフになっている。
NCRはアメリカの民主主義、個人の自由、法の支配という戦前の価値観の継承者であると考え、
ウェイストランドにおいて秩序と文化、民主主義、自由、法治といった旧世界の理念を敷くべく追求している。
そのため帝国主義的で膨張主義な側面があり、近隣地域を「文明化」するために植民地化や軍事遠征を行っている。
これらの政策は内外ともに批判されており、また土地の有力者による議員に対する賄賂や買収などの政治的な腐敗も進行している。
それらの問題点から敵対する勢力も多い。その起源はVault15の住人たちが小さな集落、シェイディサンズを築くまで遡る。
かつてVault15は様々な主義思想を持った人々が暮らしていた。
しかし年々、人口増加によりVault内は過密状態となり、環境は最悪なものとなった。
主張の違いから、住人たちは4つの派閥に分かれ、2097年の春にVault15は開かれた。
派閥はVault15を離れ、内一つはVaultから持ち出したG.E.C.Kを使用して、シェイディサンズを作った。
シェイディサンズ(公的な設立は2142年と記録)は牧畜と農業を主産業に発展していった。
それから月日が経ち、2161年頃。当初シェイディサンズは、あまり開放的なコミュニティではなく、
他の商人や他の町との交易は最小限であった。これは当時の村長アラデシュの考えであり、安全を懸念してのことだった。
同年に同じVault出身のレイダー、カーンズにアラデシュの娘タンディが誘拐される事件が発生する。
また野生動物ラッドスコルピオンの脅威が激化、村は疲弊していた。
そこへVault13からVault15にウォーターチップを探しにきた「Vaultの住人」が訪れた。
「Vaultの住人」はラッドスコルピオンを退治し、さらにタンディを救い、カーンズを壊滅させる。
思わぬヒーローの登場に、シェイディサンズはその功績を称えてVaultの住人の像を建てた。
この時村長アラデシュがヒーローに影響されたかは不明だが、娘タンディが前々から薦めていたこともあり、
シェイディサンズをより大きな町にすべく、>他の町との交易を活発化させることとなった。
「Vaultの住人」によりザ・マスターの脅威が取り除かれた後、数年に渡る貿易ルートの拡大化、町同士の合併、文化の交流が続き、
シェイディサンズはウェイストランドで最も有望なコミュニティの1つとして繁栄した。
そして村長アラデシュは2186年初めて、共和国の構想を提案した。
シェイディサンズの町は名前を「NCR」に変更し、憲法起草のために仮の政府を樹立した。
NCRの理想はカリフォルニア全土に広がり、多くの町がこれに賛同した。
3年後の2189年、ザ・ハブで行われた住民投票の結果、NCRが正式に結成された。
初代大統領はアラデシュが就任した。その後、彼と彼の娘はNCRに尽くした。
2196年、Vault13を求めたアラデシュが遠征中に亡くなると、娘タンディがNCRの市長兼二代目大統領に就任した。
彼女が就任して2年で、シェイディサンズは更なる発展を遂げ、NCRの最初の首都に選ばれた。
その後43年間、シェイディサンズは拡大、発展し、共和国の主要都市であり続けた。
シェイディサンズの名前は歴史に残ったが、頻繁にNCRと呼ばれることとなった。
2241年までには、共和国は5つの州を設けたNCR 、ロサンゼルス、マクソン、ザ・ハブ、デイグロー。
それまでのNCRにおける文明の推移は著しく、戦前の世界に近い、質の高い生活が提供された。
NCRにおける近代的生活の魅力の前に、厳しい自給自足のウェイストランドの日常を捨てるのに戸惑う者はいなかった。 最盛期のNCRにおいては、全国民が幸せになる夢のような生活が待っていた。
しかし安定した民主社会にも陰りはあった。
NCRの主な資源は大量の家畜バラモンの群れとその牧場であり、それで財を成す農民、バラモン長者たちが現れた。
この成金たちの政府への影響力は、タンディの在任期間中は制限されたが、遅くなるか早くなるかの違いだけだった。
2248年にタンディが亡くなった後、生存よりも個人の幸福度が重要視され、集団的福祉の問題、
個人の繁栄に対する懸念、資本主義経済の歪み、様々な問題が現れてきた。
2241年から2281年にかけて、NCR本来の共同体精神は失われていき、無料の奉仕といった活動を目にすることはなくなった。
生きるためのサービスを受けるには労働が必要不可欠になった。
そして工場や農場には雇用主がおり、時に互いに互いの不幸を願った。
有力者たちによる圧力は、軍や警察での賄賂や汚職の原因となった。
NCRが巨大になればなるほど、国民の生活は幸せからかけ離れていった。
国民たちに共通した想いは、“国内ではチャンスがない、本当のチャンスは東にある”ものだった。
領地拡大に伴う資源に対する飽くなき飢えは、更なる領地拡大へ駆り立てた。
そして2281年。かつてネバダ州と呼ばれ、今はモハビ・ウェイストランドと呼ばれる場所。
この頃、NCRはアーロン・キンバル大統領に率いられており、彼らは旧ラスベガス市(現在ニューベガスに改名) を発見する。
そこにはまだ稼働中の大規模水力発電施設フーバーダムが存在した。
比較的核の影響を受けていない、水と土地、そして電力が目の前にある。
NCRは即時占拠を画策した。しかしニューベガスの土地、フーバーダムの水は
Mr.ハウスのセキュリトロン軍と3つの部族によって管理されていた。
両者は短い睨み合いの末、ニューベガス条約を締結。
条約の内容はNCRがフーバーダムの管理、生み出された電力の95%を共和国の中核地域に送ること。
同時にNCRは軍をニューベガスの地に配備する。
またNCR市民はストリップ地区を干渉なく訪れることが許された。
条件としてニューベガスの独立を認め、残りの5%の電力をストリップ地区に供給すること。
NCR政府は条件を呑んだが、モハビ・ウェイストランドの完全支配を諦めたわけではなく外交と武力を振るう機会を伺った。
だが、ここにきて新たな問題が発生した。ブラザーフッド・オブ・スティール(Brothehood of steel=B.O.S)だ。
B.O.Sはテクノロジーを地元民から強引に取り上げるなど、NCR領内で度々問題行動を起こしており、遂には全面戦争に繋がった。
この戦争は結果的にB.O.Sが敗者となり、少なくともB.O.Sの所有する6つの支部とバンカーが失われた。
しかしNCRも大きな痛手を負った。2276年のモハビ、集光型太陽熱発電施設ヘリオス1でのサンバースト作戦。
NCRはヘリオス1を掌握していたB.O.Sを襲撃、最終的に施設を奪取し、B.O.Sを撤退させた。
この時の勝利はモハビ支部B.O.Sをバンカーに引きこもらせるほどの戦果であった。
しかし勝利のために支払った代価は、経済だった。
NCRの経済は金本位制であり、B.O.Sはその保証元である金鉱を破壊した。
新しい金を鋳造できなくなったことで、NCRの貨幣は価値が暴落。NCR領内の経済はパニックに陥った。
モハビにおいても例外ではなく、ニューベガスのストリップ地区ではそのほとんどの価値を失った。
NCR政府は経済崩壊を免れるために金本位制を捨て、貨幣はそのまま「価値を保証する」という口約束の元、続投した。
保証を裏付けられない貨幣が辿る末路は、避けられないインフレであり、多くのウェイストランド人の信用を失った。
これに対して、NCR領のザ・ハブでは水本位制を導入、同時に独自通貨としてボトルキャップが復活を遂げた。
経済の痛手が治る前に、新たな脅威が迫った。86の部族をまとめた巨大組織、シーザー・リージョンの軍勢だ。
リージョン軍はフーバーダムに押し寄せ、かくして第一次フーバーダムの戦いの火蓋が落とされた。
当初は練度で勝るリージョン軍が優勢だったが、NCRの巧妙な作戦の結果、フーバーダムの東側コロラド川にまで押し返した。
以降、両陣営はコロラド川を挟んだ睨み合いを続ける。また2278年ビタースプリングスにて、NCRはモハビのレイダー、
グレート・カーンズの非武装民に対して一方的な虐殺を行い、報復としてカーンズは
同じレイダーのフィーンドを間接的に支援することで、NCRの脅威となった。
さらにNCR矯正施設の囚人たちが暴動を起こし、ニューベガスへの直通道路インターステイト15の脅威となった上、
この騒動が原因で凶悪な獣デスクローを招く結果となった。
災難の連続により補給路は使用困難、人員と物資の不足が加速し、
NCRは迂回路としてハイウェイ93からのルートを選ばざる得なかった。
2281年において、NCRはリージョンとの戦争を目前に控えていた。
そしてモハビの「運び屋」の存在により、その運命を大きく左右される。
第二次フーバーダムの戦いの直後、首都シェイディサンズはVault-tecの理想に反するとして、
Vault-tec社員のある人物によって核爆弾によって攻撃された。
幸運にも生き延びた者は近くの町、居住地、Vault、さらにはB.O.Sに保護された。
戦前の科学者リー・モルデイヴァー率いるNCR残存勢力はグリフィス天文台に
新しい軍事本部を設立した。この部隊は、2296年のグリフィス天文台の戦いで
B.O.Sと交戦し、最終的にはB.O.Sによって全滅させられた。
(画像はNCRのシンボル)

アメリカの復興はまだまだかかりそうなゲーム「Fallout」。
新カリフォルニア共和国はそんな世も末なウェイストランドで文明的勝利に王手がかかっている組織。だった。
作中で描かれるように一集落から国家に至る過程はちょっとしたサクセスストーリーである。
しかし歴代の主人公が介入するかしないかで命運が決まるというと、ちょっと綱渡り感が強くなる。
牧歌的な集落から近代的な都会の姿へと様変わりし、裏表ある民主主義の街へと変わる姿は
正当な進化の過程だが、賄賂や買収、強引な領土拡大、負の部分が見え始めるのは少し悲しい。
もしNew Vegasをプレイして、この勢力に何某かの思いを抱いて対応する場合は二択を迫られる。
外交的手段をとるか、それとも武力で黙らせるのか。
どちらをとっても、プレイヤーはNCRが他勢力に取る手段と同じように対応せざる負えない。
そう考えると、非常に人間臭い勢力だと筆者は思う。
ドラマ版の内容については、シーズン2が放送されるまで確定した情報とは言い難い。
なので手短に記した。これから更なる情報が公開されるのを待とう。

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