ラベル ヒーロー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ヒーロー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年2月10日月曜日

ペドロ


ゲーム「My Friend Pedro」に登場。

記憶を失った主人公の元に突如現れた謎のバナナ。
宙を浮遊し、自我と知性を持ち、
人語を話すバナナであり、主人公の友人を名乗る。
旧市街にある肉屋の倉庫で目覚めた主人公の目の前に現れると、
周辺を牛耳る地獄の料理人ミッチは武器商人で、
従わない者をミンチにしてしまうことを説明し、
このままだと主人公は殺されてしまうという。
助かるにはミッチを始末するしかないと、
主人公は拳銃を手に肉屋からの脱出を図る。

アクロバティック横スクロールガンアクションゲーム「My Friend Pedro」。
記憶喪失の主人公が、目の前に突然現れた謎のバナナ・ペドロとともに
悪党たちとの銃撃戦を繰り広げる。アクロバティックなアクションを駆使し、
さらに様々な銃や環境を利用し、時間の流れを遅くする能力「フォーカス(FOCUS)」を
活用しながら、悪党どもをバッタバッタとぶっ飛ばしまくる本作。
そして友達のバナナ・ペドロ。バナナが友達って!?しかも宙を浮いて、喋ってる!
作中、ペドロは必要性のあるアクションなどをチュートリアルしてくれ、
主人公の行き先を導いてくれる存在。しかし主人公の友人だと語りはすれど、
それ以上のことは何も語らず、唐突に謎の空間に招き入れたり、
何故か悪党どもに詳しかったり、謎めいた存在だ。
むしろ謎が多すぎて、もはや神秘の塊である。
非常にうさん臭い関係のまま、物語が進む。
すると、悪党のボスたちは口々に主人公のことを知っているかのように話す。
そして明かされる衝撃の真実。ペドロとは自身であり、
悪行を重ねる家族との生活に嫌気が差した主人公。
実の家族を殺す決意するも、罪悪感を消すため自身の記憶を消し、
殺害計画のナビゲーターとしてインスタント人格「ペドロ」を作り出したのだ!
あとは自信を消すだけだと、ペドロは主人公の肉体を支配しようとする。
抗う主人公は、自身が作り出した架空の友人にその銃口を向けるのだ!

ジェットコースターのような展開の中、最期の戦いを制すと
なぜかちょっと晴れやかな気分のまま、
実際は非常にサイコでサイケデリックな結末に
プレイヤーは置いてけぼりにされるだろう。

2024年11月2日土曜日

ビートルジュース


映画「ビートルジュース
ビートルジュース ビートルジュース」に登場。

死者の世界で600年以上生きている、いたずら好きな悪霊。
別名ベテルギウス。自称だがジュリアード音楽院に通い、
ハーバード大学ビジネススクールを卒業。
世界中を旅行し、ペストの時代を楽しく生き抜き、
エクソシストが見る度面白くて167回ほど観たらしい。
生前はペスト全盛の時代、墓荒らしを生業にしていた。
その後ドロレスという女性と結婚したが、彼女の正体がカルト教団の指導者であり、
人の魂を奪うことで不死を目指す彼女の目的は、彼の魂であった。
ドロレスが毒を盛ってきた仕返しに、斧で彼女を斬殺。その後死亡した。
現在はバイオエクソシスト(人間驚かし屋)事業を展開し、マネージャーとして活躍している。
常に下卑た笑みを浮かべ、慇懃無礼な態度を崩さず、よくジョークを口にする。
一見すると軽薄だが、悪霊としての実力は本物であり、
自由に空間や時空を歪曲させるなどの現実を改変する事ができ、
物体や人物のテレポートや変身、念動力、腹話術と人の声真似ができる。
冥界に来てからは、冥界ケースワーカーのジューノの助手を務めていたが、
自身の力と野心からか、バイオエクソシストとして独立を画策。
ジューノによって呪われた上に追放され、「ビートルジュース」の名を3回唱えなければ、
現世に干渉できなくなってしまった。
1988年、ビートルジュースはアダムとバーバラのメイトランド夫妻に召喚され、
ディーツ一家を殺そうとしたが、夫妻によって阻止される。
しかしディーツ家の娘リディアと結婚することで、現世へと復活を遂げようと画策。
最終的に夫妻の活躍により、冥界へ強制送還された。
その後36年間は、事業を拡大しつつ、リディアへストーカー行為を働いていた。
いつしか冥界で幽霊相談コールセンターを開くほどになる頃には、本当にリディアに恋していた。
しかし復讐に燃える元妻ドロレスが出現。行方を眩まそうとした時、リディアに呼び出された。
娘アストリッドを命を救うことを求められ、対価として結婚する契約を結ぶ。
娘が助かると、すぐに結婚式を挙げようとする。怒れる元妻を倒し、冥界の警官隊も無力化。
結婚は秒読みだったが、自身が助けたアストリッドに冥界の法を犯したことを指摘されてしまう。
これにより契約が無効化され、またしても結婚を阻止されてしまうのだった…

ティム・バートン監督の初期作にあたる映画「ビートルジュース」。
その当該人物であり、マイケル・キートンが演じるビートルジュースは
主役であり、同時に悪役でもある。常に下卑た笑みを浮かべ、
慇懃無礼な態度を崩さない、ポジティヴ精神の塊であり、
悲劇を喜劇に変え、下品なジョークを口にし続ける。
そんな彼が、生前は一目惚れした相手と即結婚、しかし双方の死により物理的に破談。
その後は死を求める少女リディアと出会い、利害の一致から結婚承諾。しかし即破談。
そして月日が流れ、またしても結婚、またしても破談。
3度もスピード結婚&離婚を繰り返す、最早お家芸である。

2024年10月10日木曜日

サンタクロース


映画「バイオレント・ナイト」に登場。

クリスマスイヴの夜に、酒場で飲んだくれるサンタ姿の老人。
実は正真正銘のサンタクロースである。
オモチャが欲しい、ゲームが欲しい、金が欲しいと
年々物を欲しがるだけで、クリスマスの奇跡を信じなくなった子どもたちに
愛想を尽かしており、今年で引退を考えながらプレゼントを配っていたのだ。
かつてサンタになる前は人間であり、人々から恐れられた凶悪なヴァイキング。
人間時代の名前は「赤いニコムンド」。愛用の大槌「脳天潰し(クラッシャー)」で、
相手の頭をかち割るのが得意だった。今では人間的にだいぶ丸くなり、
妻とは仲睦まじく、1100年連れ添った仲である。
酒場で飲みすぎた後、空飛ぶソリから吐瀉物をまき散らし、プレゼント配りを再開する。
大富豪であるライトストーン家の屋敷に舞い降りたサンタ。
プレゼント配りのささやかな報酬としてクッキーやミルク、酒などを摘まみ食いしつつ、
のんびり仕事を終えようとした。しかしそこへ武装した強盗団が現れ、屋敷を掌握。
強盗たちの目的は屋敷の地下金庫に隠された3億ドル。ライトストーン家の人々は囚われてしまう。
使用人を殺す際の銃声に驚き、屋根からソリごと飛び去ってしまうトナカイたち。
立ち去る手段を失ったサンタは、仕方なく襲い掛かる強盗一人を叩きのめす。
強盗が持っていた無線を奪い、どうするか思案に暮れるサンタ。
偶然にもライトストーン家で一番幼い娘トルーディと通信が繋がった。
トルーディは昨今では珍しい純粋にサンタを信じる良い子であり、
サンタは彼女のために強盗たちと対峙すること決断する。
持ち前の驚異的な戦闘力で強盗たちを一人一人片付けていく。
そしてライトストーン家の活躍もあり、無事強盗たちを壊滅させた。
自身を最後まで信じてくれたトルーディに感謝を告げ、
クリスマスの奇跡を信じようとしてくれたライトストーン家の人々を見直した。
そして自分の使命と最近の人々も満更でないことを再認識したサンタは、
置き去りにしていった薄情なトナカイたちを許しつつ、
世界中の子どもたちへプレゼントを配りに、夜空へと飛び立っていった…

サイレントナイト♪ホーリーナイト♪バイオレントナイト♪
映画「バイオレント・ナイト」を一言で説明するなら
サンタ風ダイ・ハード」と言えるだろう。
実際に作中で「ダイ・ハード」が言及される一幕がある。
後はひたすらにヴァイキングなサンタによるバイオレンスアクションが炸裂!
ついでにトルーディちゃんのホームアローン風のトラップも爆裂!
頭と言わず体と言わず、いろんな部分がエグい描写がたっぷり。
もちろん「赤いニコムンド」のキャラも濃く、何より同じ北欧が出自である
ヴァイキングとサンタクロースを合わせるとは、目から鱗である。

2024年9月16日月曜日

ノーティー・ベア


ゲーム「Naughty Bear」に登場。

クマのぬいぐるみたちが住むパーフェクション・アイランドに住む、
いたずら好きな(Naughty)クマのぬいぐるみ。
茶色の身体は所々ボロボロで、片耳が欠けており、
頭部、背中、腹部に傷跡がある。
基本的に喋ることができず、威嚇するように唸るだけ。
その様子からか、周りに住む他のクマたちから嫌われており、
恐怖や軽蔑、侮蔑の対象となっている。
彼自身は他のクマたちと楽しいゲームやパーティーに参加し、
仲良くしてもらいたいだけなのだが、理解されない。
そして爪弾きにされたお返しに、復讐を図る。
1980年代、パーフェクション・アイランド。
そこに住む、ノーティー・ベアは孤独だった。
島一番の嫌われ者の彼は、常に除け者にされた。
今日はダドルズの誕生日会なのに、自分は招待されなかった。
ノーティーは皆に受け入れてもらいたくて、とにかくいい子になろうとした。
ダドルズと友達になることが、その近道だと思い、お手製のプレゼントを作る。
プレゼントを持って誕生日会に向かう途中、チャビーとギグルズに出会う。
二人はノーティーの小さくて歪なプレゼントを見て嘲笑う。
ショックのあまり、意気消沈して家に帰るノーティー。
遂に彼は我慢ができなくなった。クマたちに復讐することを決意し、
パーフェクション・アイランドの住人を殺戮するのだった…

悲鳴と綿(!?)が舞い散るゲーム「Naughty Bear」。
主人公のノーティー・ベアは一体何故そんなに嫌われているのか
特に説明なく、除け者にされ、蔑まれている。
だが、そんなことはどうだっていい。
可愛い顔してエグいことしてくるクマたちに、復讐するときがやってきた!
鉈、バット、トラバサミ、銃、冷蔵庫、トイレ、あらゆるモノを駆使し
時には発狂させ、自殺に追い込み、今までの鬱憤を晴らすのだ。
しかし、どんなに残虐な行動をとっても、彼の本心は変わらず、
仲間に受け入れられる」こと。色々とはっちゃけてしまったが、
相手がその望みを叶えてくれれば、疎外されたことを許そうとする辺り、
意外と彼の内面はナイーブなのかもしれない。

2024年5月17日金曜日

新カリフォルニア共和国

ゲーム「Fallout」「Fallout 2」「Fallout:New Vegas
ドラマ「フォールアウト」に登場。

西アメリカ、カリフォルニアを勢力下に置く、西ウェイストランド最大勢力とされる組織。
通称NCR(New California Republicの略。以下NCR表記)。
首都は組織名と同じNCRだが、以前はシェイディサンズとして知られていた。
荒廃したウェイストランドでは珍しい現代的な勢力であり、常備軍を有しており、人口は約70万を超える。
国章や国旗として双頭の熊が描かれており、カリフォルニア州旗がモチーフになっている。
NCRはアメリカの民主主義、個人の自由、法の支配という戦前の価値観の継承者であると考え、
ウェイストランドにおいて秩序と文化、民主主義、自由、法治といった旧世界の理念を敷くべく追求している。
そのため帝国主義的で膨張主義な側面があり、近隣地域を「文明化」するために植民地化や軍事遠征を行っている。
これらの政策は内外ともに批判されており、また土地の有力者による議員に対する賄賂や買収などの政治的な腐敗も進行している。
それらの問題点から敵対する勢力も多い。その起源はVault15の住人たちが小さな集落、シェイディサンズを築くまで遡る。
かつてVault15は様々な主義思想を持った人々が暮らしていた。
しかし年々、人口増加によりVault内は過密状態となり、環境は最悪なものとなった。
主張の違いから、住人たちは4つの派閥に分かれ、2097年の春にVault15は開かれた。
派閥はVault15を離れ、内一つはVaultから持ち出したG.E.C.Kを使用して、シェイディサンズを作った。
シェイディサンズ(公的な設立は2142年と記録)は牧畜と農業を主産業に発展していった。
それから月日が経ち、2161年頃。当初シェイディサンズは、あまり開放的なコミュニティではなく、
他の商人や他の町との交易は最小限であった。これは当時の村長アラデシュの考えであり、安全を懸念してのことだった。
同年に同じVault出身のレイダー、カーンズにアラデシュの娘タンディが誘拐される事件が発生する。
また野生動物ラッドスコルピオンの脅威が激化、村は疲弊していた。
そこへVault13からVault15にウォーターチップを探しにきた「Vaultの住人」が訪れた。
「Vaultの住人」はラッドスコルピオンを退治し、さらにタンディを救い、カーンズを壊滅させる。
思わぬヒーローの登場に、シェイディサンズはその功績を称えてVaultの住人の像を建てた。
この時村長アラデシュがヒーローに影響されたかは不明だが、娘タンディが前々から薦めていたこともあり、
シェイディサンズをより大きな町にすべく、>他の町との交易を活発化させることとなった。
「Vaultの住人」によりザ・マスターの脅威が取り除かれた後、数年に渡る貿易ルートの拡大化、町同士の合併、文化の交流が続き、
シェイディサンズはウェイストランドで最も有望なコミュニティの1つとして繁栄した。
そして村長アラデシュは2186年初めて、共和国の構想を提案した。
シェイディサンズの町は名前を「NCR」に変更し、憲法起草のために仮の政府を樹立した。
NCRの理想はカリフォルニア全土に広がり、多くの町がこれに賛同した。
3年後の2189年、ザ・ハブで行われた住民投票の結果、NCRが正式に結成された。
初代大統領はアラデシュが就任した。その後、彼と彼の娘はNCRに尽くした。
2196年、Vault13を求めたアラデシュが遠征中に亡くなると、娘タンディがNCRの市長兼二代目大統領に就任した。
彼女が就任して2年で、シェイディサンズは更なる発展を遂げ、NCRの最初の首都に選ばれた。
その後43年間、シェイディサンズは拡大、発展し、共和国の主要都市であり続けた。
シェイディサンズの名前は歴史に残ったが、頻繁にNCRと呼ばれることとなった。
2241年までには、共和国は5つの州を設けたNCR 、ロサンゼルス、マクソン、ザ・ハブ、デイグロー。
それまでのNCRにおける文明の推移は著しく、戦前の世界に近い、質の高い生活が提供された。
NCRにおける近代的生活の魅力の前に、厳しい自給自足のウェイストランドの日常を捨てるのに戸惑う者はいなかった。 最盛期のNCRにおいては、全国民が幸せになる夢のような生活が待っていた。
しかし安定した民主社会にも陰りはあった。
NCRの主な資源は大量の家畜バラモンの群れとその牧場であり、それで財を成す農民、バラモン長者たちが現れた。
この成金たちの政府への影響力は、タンディの在任期間中は制限されたが、遅くなるか早くなるかの違いだけだった。
2248年にタンディが亡くなった後、生存よりも個人の幸福度が重要視され、集団的福祉の問題、
個人の繁栄に対する懸念、資本主義経済の歪み、様々な問題が現れてきた。
2241年から2281年にかけて、NCR本来の共同体精神は失われていき、無料の奉仕といった活動を目にすることはなくなった。
生きるためのサービスを受けるには労働が必要不可欠になった。
そして工場や農場には雇用主がおり、時に互いに互いの不幸を願った。
有力者たちによる圧力は、軍や警察での賄賂や汚職の原因となった。
NCRが巨大になればなるほど、国民の生活は幸せからかけ離れていった。
国民たちに共通した想いは、“国内ではチャンスがない、本当のチャンスは東にある”ものだった。
領地拡大に伴う資源に対する飽くなき飢えは、更なる領地拡大へ駆り立てた。
そして2281年。かつてネバダ州と呼ばれ、今はモハビ・ウェイストランドと呼ばれる場所。
この頃、NCRはアーロン・キンバル大統領に率いられており、彼らは旧ラスベガス市(現在ニューベガスに改名) を発見する。
そこにはまだ稼働中の大規模水力発電施設フーバーダムが存在した。
比較的核の影響を受けていない、水と土地、そして電力が目の前にある。
NCRは即時占拠を画策した。しかしニューベガスの土地、フーバーダムの水は
Mr.ハウスのセキュリトロン軍と3つの部族によって管理されていた。
両者は短い睨み合いの末、ニューベガス条約を締結。
条約の内容はNCRがフーバーダムの管理、生み出された電力の95%を共和国の中核地域に送ること。
同時にNCRは軍をニューベガスの地に配備する。
またNCR市民はストリップ地区を干渉なく訪れることが許された。
条件としてニューベガスの独立を認め、残りの5%の電力をストリップ地区に供給すること。
NCR政府は条件を呑んだが、モハビ・ウェイストランドの完全支配を諦めたわけではなく外交と武力を振るう機会を伺った。
だが、ここにきて新たな問題が発生した。ブラザーフッド・オブ・スティール(Brothehood of steel=B.O.S)だ。
B.O.Sはテクノロジーを地元民から強引に取り上げるなど、NCR領内で度々問題行動を起こしており、遂には全面戦争に繋がった。
この戦争は結果的にB.O.Sが敗者となり、少なくともB.O.Sの所有する6つの支部とバンカーが失われた。
しかしNCRも大きな痛手を負った。2276年のモハビ、集光型太陽熱発電施設ヘリオス1でのサンバースト作戦。
NCRはヘリオス1を掌握していたB.O.Sを襲撃、最終的に施設を奪取し、B.O.Sを撤退させた。
この時の勝利はモハビ支部B.O.Sをバンカーに引きこもらせるほどの戦果であった。
しかし勝利のために支払った代価は、経済だった。
NCRの経済は金本位制であり、B.O.Sはその保証元である金鉱を破壊した。
新しい金を鋳造できなくなったことで、NCRの貨幣は価値が暴落。NCR領内の経済はパニックに陥った。
モハビにおいても例外ではなく、ニューベガスのストリップ地区ではそのほとんどの価値を失った。
NCR政府は経済崩壊を免れるために金本位制を捨て、貨幣はそのまま「価値を保証する」という口約束の元、続投した。
保証を裏付けられない貨幣が辿る末路は、避けられないインフレであり、多くのウェイストランド人の信用を失った。
これに対して、NCR領のザ・ハブでは水本位制を導入、同時に独自通貨としてボトルキャップが復活を遂げた。
経済の痛手が治る前に、新たな脅威が迫った。86の部族をまとめた巨大組織、シーザー・リージョンの軍勢だ。
リージョン軍はフーバーダムに押し寄せ、かくして第一次フーバーダムの戦いの火蓋が落とされた。
当初は練度で勝るリージョン軍が優勢だったが、NCRの巧妙な作戦の結果、フーバーダムの東側コロラド川にまで押し返した。
以降、両陣営はコロラド川を挟んだ睨み合いを続ける。また2278年ビタースプリングスにて、NCRはモハビのレイダー、
グレート・カーンズの非武装民に対して一方的な虐殺を行い、報復としてカーンズは
同じレイダーのフィーンドを間接的に支援することで、NCRの脅威となった。
さらにNCR矯正施設の囚人たちが暴動を起こし、ニューベガスへの直通道路インターステイト15の脅威となった上、
この騒動が原因で凶悪な獣デスクローを招く結果となった。
災難の連続により補給路は使用困難、人員と物資の不足が加速し、
NCRは迂回路としてハイウェイ93からのルートを選ばざる得なかった。
2281年において、NCRはリージョンとの戦争を目前に控えていた。
そしてモハビの「運び屋」の存在により、その運命を大きく左右される。
第二次フーバーダムの戦いの直後、首都シェイディサンズはVault-tecの理想に反するとして、
Vault-tec社員のある人物によって核爆弾によって攻撃された。
幸運にも生き延びた者は近くの町、居住地、Vault、さらにはB.O.Sに保護された。
戦前の科学者リー・モルデイヴァー率いるNCR残存勢力はグリフィス天文台に
新しい軍事本部を設立した。この部隊は、2296年のグリフィス天文台の戦いで
B.O.Sと交戦し、最終的にはB.O.Sによって全滅させられた。
(画像はNCRのシンボル)

アメリカの復興はまだまだかかりそうなゲーム「Fallout」。
新カリフォルニア共和国はそんな世も末なウェイストランドで文明的勝利に王手がかかっている組織。だった。
作中で描かれるように一集落から国家に至る過程はちょっとしたサクセスストーリーである。
しかし歴代の主人公が介入するかしないかで命運が決まるというと、ちょっと綱渡り感が強くなる。
牧歌的な集落から近代的な都会の姿へと様変わりし、裏表ある民主主義の街へと変わる姿は
正当な進化の過程だが、賄賂や買収、強引な領土拡大、負の部分が見え始めるのは少し悲しい。
もしNew Vegasをプレイして、この勢力に何某かの思いを抱いて対応する場合は二択を迫られる。
外交的手段をとるか、それとも武力で黙らせるのか。
どちらをとっても、プレイヤーはNCRが他勢力に取る手段と同じように対応せざる負えない。
そう考えると、非常に人間臭い勢力だと筆者は思う。
ドラマ版の内容については、シーズン2が放送されるまで確定した情報とは言い難い。
なので手短に記した。これから更なる情報が公開されるのを待とう。

2016年11月3日木曜日

フレッド・ニューマン

ゲーム「デッドヘッドフレッド~首なし探偵の悪夢~」に登場。

小さな田舎町ホープフォールズの私立探偵。
何者かに殺害され、死体を狂った科学者の手により改造され蘇った。
緑の液体に包まれた脳と目玉の入ったビーカーを頭代わりに、頭部を交換することで使用できる特殊能力を駆使し、
自身の死の謎を解き明かし、犯人への復讐を誓う。死人になってから毒舌に磨きがかかった。
ある日目を覚ますと、私立探偵フレッドは一切の記憶と、自分の頭をなくしていた。
目覚めた場所は大きな城の中の研究所であり、そこはマッドサイエンティストのドクタースタイナーものだった。
スタイナーはフレッドを実験材料に特殊な体に改造したのだという。
実験は成功し、フレッドは頭を交換して特殊能力を使う不気味な体へと変貌したのだ。
何故本当の頭の代わりに脳と目玉の入った大きなビーカーを使ったのかスタイナーに問い詰めると、
スタイナーの元雇い主である実業家ユリシーズ・ピットをフレッドが調査していたこと、
実験する前からフレッドが死んでおり、残された体のパーツで実験を行ったこと、
フレッドの死と奪われた頭に、ピットが関係している事しか知らないと言う。
何故自分が死んだのか、自分がピットの何を調べていたのか、全て謎の解明と、
自分自身の仇を取るため復讐の鬼となる決意を固めるフレッド。
そこへピットが現れ、スタイナーは拉致されてしまう。
フレッドは自分の頭を取り戻すべく、ピットを追う。
ホープフォールズの町はピットが来て以来、酷い有り様となっていた。
ガイコツ頭のマフィアやゾンビが幅を利かせ、新たに建てられた原子力発電所の放射能が町を汚染し
住人の突然死やミュータントの発生が顕著になっていた。
本来、ホープフォールズの実権はマフィアのドン、ヴィニ・ロッシーニが表と裏の権力を纏めていた。
しかしヴィニは最近、行方不明になったのだ。探偵の生存を知ったピットによる奇妙な化け物や刺客たちとの戦いを越え、
生前自らが追っていた真実をフレッドは知ることになる。
実業家としてのピットは裏の顔も持っており、自らの権力を確実なものにするため、
邪魔なヴィニ・ロッシーニを殺害。その後釜になったピットは町を力で支配したのだ。
そしてフレッドはヴィニの娘ジャンヌからの依頼でピットの調査を行い、ヴィニ殺害の決定的な証拠を入手しようとして
ピットの片腕レフティに殺されたのだ。全てを知ったフレッドは自身の殺害の実行犯であるレフティと戦う。
最終的にピットの事務所で放射能で異形と化したレフティに勝利し、ピットは負けたレフティを罵った結果、生きたまま食われた。
復讐を果たしたフレッドは、良い仲になっていたジャンヌと結ばれる。
一方取り戻したかった自身の本当の頭は事件のドサクサに紛れ見失い、人知れずマンホールから下水へと落ちていくのだった。

俺の頭を返せ!というどこぞのスリーピーでホロウな騎士みたいなことが目的の
アクションゲーム「デッドヘッドフレッド」。
主人公であるフレッドは、物語開始直後、“頭”を失ってしまう。
比喩表現ではなく、物理的に、完全にないのだ!
ビーカーに浮かぶ脳みそと目玉だけの自分の頭。
失ったもの(自称ハンサムな俺様の顔)は大きいけれど、代わりに、自分の頭をいろいろな頭に交換し、
多彩な能力を発揮できる特殊な体を得た!悲惨な境遇を打ち払うようにブラックジョークと
毒舌交え、自分の頭を求めて、敵の頭を引っこ抜く血みどろアクションを展開する。
明らかに人外の力を発揮することに一切の戸惑いはなく、どう考えても「もう元には戻れないよなぁ」と考える猶予も一切無い。
そんなポジティヴなのか一度死んで破れかぶれなのかわからない主人公フレッドは
透明になれ、電撃を放つ力を持つデフォルト“ビーカーヘッド”、超重量級の怪力無双“ストーンヘッド”、
見たまんまだけど汎用性高し“ゾンビヘッド”、骨強しスピーディーな攻撃が得意“ボーンヘッド”、
限りなく人間に近い外見で探偵の交渉力の見せ所“マネキンヘッド”、何故か小さくなれる多分干し首“シュリンクヘッド”、
ポリネシアパワーで活躍!別に魅惑ではない異空間へ出入り可能“チキヘッド”、
唐突な和名と燃えても平気でカラスはトモダチ“カカシヘッド”、放射能汚染も何のその。サイキック族“ミュータントヘッド”。
全9種類のヘッドを駆使して、自分の頭を奪った悪党のピットを追い詰めるのだ!
ちなみに本作のジャンルというか世界観はダシール・ハメットの小説にポール・バーホーベンをぶち込んだ
退廃的SFハードボイルド探偵グロテスクアクションというごった煮具合である。
(むしろポール・バーホーベン成分しかないような気がする)

2015年1月6日火曜日

藤島 昭和(ふじしま あきかず)

映画「渇き。」に登場。

失踪した娘を探す、暴力的で傲慢でろくでなしの元父親。
元大宮北署の刑事であり、現在は警備員の職に就いている。
かなり粗暴で精神的に不安定な部分があり、向精神薬を服用している。
妻の不倫相手を暴行し、精神を病み、家庭を崩壊させた過去を持つ。
しかしその心には常に夢に見る理想の家族像があり、
荒んだ一人暮らしをしながらも、それを心の拠り所にしている。
娘が抱えていた狂気を知るうちに、その凶暴性は増していくが、
同時に自分が忘れた過去によって、狂気へと駆り立てられる。
コンビニでの大量殺人の現場を発見してから間もなく、昭和に一本の電話が入る。
品行方正だった娘・加奈子が部屋に何もかもを残したまま姿を消したと元妻・桐子からだった。
娘の部屋を調べると覚せい剤を見つけ、公にせずに加奈子を自力で見つけ出そうとする。
加奈子の中学時代の友人や行動を辿るに従い、自身が想像したものとは違う、加奈子の素顔がわかる。
娘の部屋からは精神科へ通院していた記録があり、中学時代の担任だった女性教師の東によれば不登校気味であり、
通院先の精神科医・辻村によれば抗鬱剤を常用していた。女友達の森下と長野によれば不良グループと関係していたとも。
また部屋には同じ年頃の男子学生の写真があり、それは過去に亡くなった加奈子の恋人・緒方だとわかる。
昭和は不良グループのリーダーである松永が娘を誑かして、シャブ中にして監禁しているに違いないと桐子に伝える。
桐子は昭和の表情を見て、実の娘が薬に手を出して嬉しいのかと聞く。呆気にとられる昭和。
昭和は気づかなかったが、桐子には話をしている間の昭和は非常に嬉しそうだったのだ。
夜、寝てい桐子にキスをしようとして拒絶される昭和。昭和は「やり直したい」と言い出す。
桐子は娘の一件をダシに、昭和がよりを戻そうとしていることを察していた。
答えは激しい抵抗だった。そんな妻に襲い掛かる昭和。暴力を振いながら妻にのしかかる。
その翌朝、桐子の家は滅茶苦茶になっており、桐子自身も顔も体も傷や痣だらけだった。
そんな桐子に対して昭和は「愛している」と伝え、また加奈子も桐子も自分が守るという。
こんな訳のわからない発言に桐子は罵声を浴びせるが、昭和は逆に「とっとと朝飯作れ!」と怒鳴り散らすのだった。
元妻との会合を終え、早々と松永を捕えようとする。だが逆に自分が不良グループに捕まってしまう上に、
当の不良グループは謎の集団に襲撃され、行方をくらましてしまう。
自身も謎の集団に気絶させられ、気づいた時には警察に介抱されていた。
後輩だった刑事の浅井によれば不良グループはヤクザと抗争しており、昭和はそれに巻き込まれたのだと。
捜査状況をベラベラと喋る浅井にそこはかとない不信感を抱きつつ、昭和はボロボロな身体で娘を探す。
おそらくまだ隠し事をしていると踏んだ昭和は、娘の友人・森下を問い詰める。
激しく拒絶された後、森下は加奈子によって友人の長野がシャブ中にされたことを告げる。
娘は被害者だと思っていたばかりに昭和の前に、ヤクザたちが襲撃する。
ヤクザたちも加奈子を探していたのだ。さらにヤクザたちは加奈子自身よりも加奈子が“隠したもの”に用があるようだった。
昭和は何も知らなかったため解放されたが、事態の深刻さに精神が追い詰められていく。
そこへ森下から直接会いたいと連絡が来る。用件は長野から預かったロッカーの鍵を渡したいとのことだ。
その鍵は失踪する前に加奈子が長野に渡したものだと聞かされ、さらに長野が昭和が目撃したコンビニでの事件以来、
塞ぎこんでおり、「私も同じようにやられる」と言っていたと森下は告げる。
昭和は森下に長野がいる場所へ連れて行けと言い、長野がアルバイトしている店へと向かう。
しかしその先で待っていたのは、血を流して息絶えた長野の姿だった。
昭和は森下を一人置き去りにし、渡された鍵でロッカーを開ける。
中に入っていたのは写真とそのネガ。中高年の男たちが年端もいかない女児や男児と行為をしていたものだった。
その後、昭和は浅井とレストランで会う約束をするが、昭和はレストランに写真のコピーだけを置いて、電話で浅井と連絡を取る。
レストランに現れた浅井は昭和からの指示で、テーブルの下にあった写真のコピーを確認する。
昭和は写真に写っている男の一人は警察関係者じゃないかと問い詰める。
浅井はそれをあっさりと認め、持っている写真全てを渡すように要求する。
昭和は死んだ長野の携帯電話の発信履歴を確認しており、最後に履歴が昭和の元職場である警察署であったとことから
警察がこの事件に当事者として絡んでいるのではと踏んだのだ。元同僚たちに追われながら、昭和はとある場所へと向かう。
そこで昭和はもう一人の関係者に全てを語るよう脅す。脅されている相手は精神科医の辻村だ。
件の写真の中に辻村の姿を見つけた昭和は彼が真実を知っていると考えたのだ。
辻村は語る。誘惑してきたのは加奈子当人からだったと。加奈子は辻村の幼女に対する暗い欲望に気づいており、
診察中に加奈子から誘惑してきたのだと告白する。さらにチョウという男からその数日後に連絡が来て、
ホテルに向かうように言われたという。ホテルにいた加奈子に連れられ、辻村はとある部屋に向かわされる。
そこで待っていたのが自分と一緒に写っている幼女だというのだ。
加奈子の知られざる一面に、昭和は動揺し、そこへ畳み掛けるように辻村は「昭和が加奈子を暴行した」ことがあると言う。
否定するが脳裏に過去の記憶がフラッシュバックする昭和。自宅で酒を呷っているところ加奈子が家に帰宅する。
父親を一瞬見つめ、黙って自分の部屋へと入っていく加奈子。昭和は娘のそんな態度に怒りが湧き、
鍵がかかった加奈子の部屋を激しく叩き中に入ろうとする。加奈子は自分の部屋に父を招くと、呟く。
「パパは何がしたいの?」。さらに父親にキスをし、耳元で「愛してる」と艶めかしく囁く。
異様なほど冷静に、かつ妖しく誘う娘の様子に何故か激高した昭和は、加奈子をベッドに押し倒して、首を絞める。
しかし加奈子は表情を変えず「私のことが好きだからこういうことをするの?」と問いかける。
答えられない昭和に、加奈子は一人で奇妙にも笑い声を上げる。
辻村の告白と過去の自分の記憶を半濁させながら、一人路上で立ち尽くす昭和。
そこで何者かに襲われ、拉致される。廃屋のような場所で男たちに暴力を振われる昭和。
リーダーらしき男・咲山の言葉から、彼らはヤクザであり、加奈子を追っていることがわかる。咲山の口から加奈子の一連の行動が明かされる。
加奈子は実業家であるチョウのお気に入りであり、チョウはヤクザと不良グループと手を組んでいた。
三者は少年少女を金と薬で支配し児童売春クラブを経営しており、加奈子は少年少女の供給を担当していた。
チョウは街の有力者層をターゲットに儲けており、もしもの事を考えて現場の写真も抑えていた。
しかしそこで誤算が生じた。加奈子がお客全員に写真を送りつけた上、ネガを持ち逃げしたのだ。
チョウとヤクザは事態を収拾しようと、ネガの在り処を知っている人間を次々と始末した。
それが最初のコンビニ事件での真相であり、長野が死んだのもそれが原因だった。
また不良グループのリーダー・松永は加奈子に惚れており、ヤクザたちに反旗を翻したため、抗争へと発展したのだと。
咲山はそう言いつつ、足元の寝袋を蹴りつける。中には瀕死の松永が入っていた。
松永は息も絶え絶えに加奈子に惚れており、かつて加奈子の恋人・緒方を売春クラブに引き込み自殺に追い込んだこと、
そのため加奈子が恋人の復讐の為に自分たちに近づいてきたと分かった上で協力していたと告げる。
娘の仕出かしたことの重大さ、ヤクザたちの立て続けに振るわれる暴力に恐怖しながら昭和は咲山に命乞いをする。
「娘に会わせてくれ、そのためにはどんなことでもする」。咲山はこの言葉に興味を抱いたようで、
何故娘に会いたいのか問うと、昭和はこの手でもう一度ぶん殴りたい、ぶっ殺したいと答える。
咲山は面白いと感じ、ある男を仕留めれるかと提案を持ちかける。
その男とはチョウに雇われて、邪魔な人間を始末する役割を持つ愛川という男。
チョウは写真のことで自棄になっており、その男に依頼しコンビニの事件を起こし、さらに長野を殺したのだ。
さらにその愛川は現職の刑事であり、ヤクザ側としてはこのまま愛川に殺しをやらせると
警察側に余計な介入をされるおそれがあり、チョウの暴走の歯止めになると考えたのだ。
咲山は最後の一押しを昭和に伝える。愛川は昭和が失ったものを全部持っているのだと。
金、可愛い妻、可愛い子供、素敵な家、穏やかで幸せな生活も全部。
提案を受け入れ、愛川の自宅へと向かう。家には愛川はいなかったが、妻と子どもはいた。
昭和の頭の中では精神科医から「夢は見ますか?」と質問されている光景が浮かんでいた。
この問いに対して、昭和はほほえみながら答える。「夢は見ますよ。美人の女房と娘がいて、二人とも自分を愛している」。
現実ではその理想そのもの家に土足で上がりこんで、愛川の妻を銃で脅していた。
頭の中での昭和はさらに言葉を続ける。「そして、俺がその幸せをこの手でぶっ壊す夢だ!」。
言葉通りにその幸せをぶっ壊すために昭和は愛川の妻に襲い掛かった。その場に居合わせた愛川の小さな息子を尻目に。
数分が経過した後、愛川の妻の携帯電話へ電話が鳴る。電話に出る喜色満面な昭和。「ぶっ壊してやった!オマエの大切なもの!」。
電話相手は愛川であり、まだ加奈子は生きており、娘は返すので妻と子供と交換しろと要求される。
とあるデパートの屋上駐車場、愛川がそこへ到着すると、そこには愛川の妻と子供だけが乗っている車が放置されている。
昭和から愛川自身のことを全部聞いたのかと妻に問う。愛川の顔へ唾を飛ばすことで答える妻。
愛川は躊躇無く銃を妻に向けて、命を奪った。その直後、昭和が乗る車が愛川を跳ね飛ばす。
昭和は愛川が倒れている間に愛川の車のトランクを開けようとする。しかし中にいたのは死体となったチョウだった。
車に銃弾が撃ち込まれる。起き上がった愛川が銃を手に迫りながら話す。チョウが人を殺すなと五月蠅く言うので殺した。
これからは自身の考えと自分のルールで好きに人を殺すのだと。激しい銃撃戦の最中、愛川の子供の「パパ!」という呼びかけに
一瞬だけ動きが止まる。その隙に近寄る昭和。もつれ合いになるが、隠し持っていた刃物を使って、愛川の腹を縦に切り裂き、からくも勝利する昭和。
その場を去ろうとする昭和の背後で、しぶとく立ち上がった愛川の姿が。そこへ到着した浅井率いる警察。
愛川を確保し、浅井は愛川を自殺に見立てて、愛川の頭を彼の銃で撃ちぬく。警察の目的は写真だけではなく、身内の不始末の清算だったのだ。
浅井らから逃げるべくすぐさま車に乗って飛び出した昭和は、どこか嬉しそうな表情をして加奈子がいるとされるホテルへ向かう。
しかし加奈子がいると思われたホテルの一室にはもぬけの殻。部屋の中を漁ると、引き出しからは禍々しい刃物や写真が見つかる。
昭和は娘の正体を掴めず、一人絶叫する。時は過ぎ、加奈子が失踪してから約4ヶ月経過したクリスマスイヴ。
加奈子の中学校担任だった東は娘に置き手紙を残して、駐車場に停めていた車に乗り込む。
直後、銃を持った昭和が突如現れ、昭和は銃を突きつけながら東に語り出す。
自分が娘の事を全くわかっておらず、加奈子を探していく内にわかったのは「自分の娘は最悪である」ことだったと。
何もしゃべらない東に昭和は、娘が失踪する前からシャブや売春について知っていたのではないかと尋ねる。
昭和は懐から写真を取り出す。それは件の売春現場の写真であり、そこに映っている少女は東の娘である「昌子」。
加奈子の失踪の真相は自分の娘に売春行為をさせた事に対して激怒し殺害、死体は埋めたと東は認めた。
東は「あの子は悪魔よ!」と自分を正当化するが、それに対して昭和は「そんな悪魔に対して、アンタは何をしたんだ!?」と怒声を浴びせる。
その後、昭和は東に加奈子を埋めた場所へと連れていかせる。冬の豪雪により雪原となった場所へ。
昭和は東にスコップを1本渡して、加奈子を埋めたところを必死に掘らせる。
東が掘る間、昭和は一切手伝わず、タバコを吹かせて待った。数分も経たないうちに東は「無理よ、こんな」と泣き言を言う。
昭和は「何年経とうと見つけないと、アンタの娘には会えないぞ」と言い捨てる。
それに対して東は「狂ってる。あなたもあなたの娘も!」と言い放つ。昭和は「当たり前だ。同じ血が流れているんだから」と返す。
日が落ちたあと、二人は車中で寒さを凌ぐ。「加奈子を見つけるまではずっと続くと思え」と伝え、昭和は車内でシャブを打つ。
翌日、東は隙を見て、雪原の中を逃げようとする。しかし、すぐに昭和に捕まる。
しかし東はスコップで昭和を殴りつけ、再び逃走するが、またしても捕まってしまう。
激昂した昭和は「あいつはどこだ!!」と怒鳴りつけ、東を放っておくと自らスコップを手に持ち
加奈子を見つけるべく掘り始める。呆然とする東を尻目に、昭和は「あいつは俺が、俺の手でぶっ殺す」という呟くのだった。

俺の娘をどこにやったぁ!?

俺が・・・・家族愛して何が悪い?

あいつは俺が、俺の手でぶっ殺す!

別れた女房の頼みで娘探したら、自分の知らない娘の一面を知り、
訳の分からない連中に絡まれ、最終的に自分自身と娘の見たくない部分を見つめて
自分と娘が最悪の人間だと認識しつつ、それでも娘を見つけて
この手で“ぶっ殺さなければならない”と絶叫する映画「渇き。」。
役所広司演じる藤島昭和は、かなりクレイジーである。
暴力と傲慢、そしてすぐにキレるという三重屑が揃った筋金入り。
妻が浮気したことを切欠(この奥さんも浮気したことは一切謝らず、
実家の金と権力で娘の養育権を剥奪、全部お前が悪いとのたまう上に、
娘の悪い所は全て元夫に責任転嫁という類友なお似合い夫婦である)
浮気相手を半殺し、家庭を崩壊させて以降、心のお薬とお酒を仕事終わりに飲んで
喰っては吐いて、喰っては吐いてを繰り返す、ろくでなしだ。
一方で夢に見る理想の家族像を心の拠り所にして、日夜堪える毎日。
そして娘を探すためには自身を刑事だと偽りなど、あらゆる手を尽くす、良い父親・・・のはず。
しかし実は自分が知ってると思っていた娘は、自分以上に手の尽くしようのないものを抱え、
そこら中に問題を山積みにし、消えてしまった。普通なら親の縁を切って、トンズラしてもいいはず。
だがこの親父、明らかに一人では手に負えないレベルの問題なのに、一つ一つの問題を“ぶち壊し”つつ、
(成り行き上、そうなったともいえる)、本来の目的である「娘探し」も一切ブレさせず、突き進む。
何がそこまで彼を動かしているのかわからないが、この最高にアグレッシブかつエキセントリックなお父さんは
原動力が「娘」であることは確かな模様。このブレない部分に限って言えば、作中に登場する他の問題人物に比べると、
一周してマトモなように見えてくる。

2014年8月7日木曜日

X9

アニメ「サムライジャック」第50話「Tale of X9」に登場。

暗殺ロボット。簡素な帽子にコート、革靴に身を包む。
二丁拳銃の使い手であり、引退していたが、愛犬のために今一度銃を取る。
雨の降る街を一台の車が駆け抜けていく。運転するのは一体のロボット。
ロボットは車のオーディオにCDを入れ、車の中をトランペットの音で満たす。
「可愛いルル」。ロボットは一人呟く。ロボットの名前はX9。
彼は雨が嫌いであり、それは感傷的な気分に彼をさせるからだ。
本来ロボットは感傷などという感情を抱かない。何故、その矛盾が生まれたか。
機械の頭から自身の記憶を辿りつつ、自分の出自を独白する。
かつて彼は、アク配下の科学者たちによって生み出された暗殺ロボット「Xシリーズ」の中の一体であった。
Xシリーズが生まれた理由は、アクが世界征服を手早く行うため、反対勢力の制圧のため用いられた。
彼らの仕事に感情は必要なかったが、生みの親の一人である風変わりな科学者が「面白そうだから」という理由で
物事を学んで理解し、感じる特殊な学習チップをその中の一体に組み込んだ。それがX9だった。
彼は起動後、チップによって他のXシリーズが得られない情報を学んだ。感情と善悪の知識を。
自分と仲間が行っていることは悪であると認識しつつ、反対勢力を狩り続ける。
ロボットは死や生を感じることはなかったが、X9は生きるために仕事を続けた。
彼らXシリーズの欠点は死を恐れないため愚直に攻撃し続ける事しかできず、攻撃を避けることをしなかった。
しかし他のXシリーズにはない感情を得たことから、X9は暗殺において戦略的な行動を取ることが出来た。
次々と仲間が破壊されていく中、ただ一体あらゆる攻撃を避け続けながら戦うX9。
全ての仲間が破壊された激戦の最中、湧き上がるのは仲間たちを奪われたことによる怒りの感情だった。
その感情の赴くままに破壊を繰り返す。街を火の海に変えたX9。そんな彼に奇妙な出会いがあった。
それは一匹の犬、大きくて奇妙なハート型の舌を持ち、そんな舌を出す笑顔が特徴的で、犬種はパグだった。
炎が燃え盛る中、彼はこの小さな生き物を見つめ、犬もまた彼を見つめた。
犬の笑顔に釣られてか、X9の金属で出来た顔にも笑顔が浮かぶ。彼は座り込むと犬の頭を撫で、犬を持ち上げて顔に近づける。
犬は嬉しそうに金属の顔を舐め上げた。X9はこの奇妙な出会いに感動を覚え、犬をルルと名づけ、連れ帰った。
この小さな生物との遭遇は怒りに包まれていた彼の感情を和らげ、慈愛を、そして同時に疲れを感じさせた。
彼は自らの感情に従い、仕事を辞める決意をした。丁度その頃、アクの下に主力となる次世代のロボット「バグドロイド」が完成した。
必然的に彼はお役御免となったが、彼は気にしていなかった。ルルとの新しい生活が待っているからだ。
X9はトランペットの演奏に楽しみを見つけ、ルルはそんな彼の演奏を満足そうに聴くのが日課となった。
彼はこの幸せな時間が長く続くものと思っていた。だがある日、ルルが急に姿を消した。
X9の心は嵐のように混乱したが、一本の電話が彼の平和な時間を奪った理由を告げる。
電話はかつての上司であるアクからであり、自身の王国を揺るがす存在、ジャックを始末しろという命令だった。
ルルはアクに誘拐されており、命令に従わなければ、愛犬の身に何が起こるかわからない。
X9は最早手に取ることはないと考えていた銃に手を伸ばし、仕事着に身を包む。
街に車を走らせると、何処かで煙が上がっている。車を止め、煙の発生場所を探る。
バグドロイドの残骸が転々としており、その先にはバグドロイドたちの残骸の山が出来ていた。
自身よりも高性能なはずのドロイドたちが破壊されたのを見て、X9は自身の勝算は低いと感じた。
そして雨の降る街。自身が生み出された工場の前で、X9は車を止めていた。
雨が降るのを待ちつつ、ルルの写真を眺める。雨が止み、ルルを取り戻すためにX9は車を降りた。
薄汚い工場の奥で焚火の音。焚火の明かりがターゲットの影を壁に映す。
壁に背を預け、にじり寄る。ブランクからか足下にボルトがあることに気づかず、音が響く。
銃を構えながら飛び出す。すでに相手は姿を消していた。身を隠せる場所を虱潰しに発砲する。
背後に影と下駄の音。すぐにX9は音がした方へと向かう。迷路のような工場の中での追跡劇。
弾は一発も当らず、いつの間にか電源を入れられて蘇った工場の騒音が、X9を混乱させる。
いつしかパイプが張り巡らされた区間に入り、相手の姿は全く見えなくなっていた。
音と気配のみを頼りに、銃を向ける。弾は一向に相手を捕えず、パイプを打ち抜くだけ。
パイプから溢れ出た蒸気が周囲を巡り、X9の銃身に水滴が垂れ、X9の金属の顔にも汗のように浮かぶ。
彼の焦りを、敵は自分を捉えていながら、自身は敵を捉えていない。そんな状態を水滴が表したようだ。
X9は敵の姿を捉えられないなら、相手も同じ状況に引きずり込もうと考えた。
全てのパイプに銃弾を撃ちこんで破壊すると、蒸気があたり一面を包む。
これでお互いに姿は見えず、障害物となるパイプが消えたことで、銃弾が阻まれることはない。
視界いっぱいの蒸気溢れる中で、影が一つ浮かび上がる。X9はすかさず銃弾を撃ち込む。
影は倒れた。影が倒れた場所に近づき、蒸気が晴れるのを待つ。
そこにあったのはターゲットの死体ではなく、Xシリーズの残骸。
驚愕する彼の背後で影が音もなく現れ、刀の一閃が金属を貫く音を響かせる。
敗北したX9はくずおれ、サムライ・ジャックは静かに刀を鞘に納める。
ジャックはゆっくりとその場を後にする。ジャックの背後で一瞬、倒れたロボットから音声が流れ出る。
「ルル、ルルの面倒を見なければ」。直後にロボットは完全に機能を停止した……

未来世界に現れたサムライの活躍を描くアニメ「サムライジャック」。
その中の1エピソード、「Tale of X9」。それまでの作風と打って変わって、
主人公ジャックの敵側に焦点をあてた、全体的にシックな映像とどこかノワール風な作品。
引退した暗殺ロボットであるX9の独白で始まる、この話。
本筋は、X9の生い立ちと愛犬ルルとの出会い、そして無常にも敗れ去るというだけの話であり、
X9とルルに対して何の救いもない、ひたすら「やる瀬無さ」だけ残る、子ども向けカートゥーンながら
かなり陰鬱とした話である。ここで注目すべきはX9が勝算は低いことを理解しながらも、愛犬のため、
主人公ジャックとの対決に向かうという、「生きるため」に行動することである。
このロボットには心があり、怒りといった感情、善悪の判断まで備えており、
まぁよくある設定といえるかもしれない。しかし彼の突出した部分はそこではなく、
ロボットにあるまじき「生きる」ということへの執着だろう。
暗殺ロボットとして活躍してきたときも、X9は他の仲間と違い、「破壊」されないよう、
言い換えれば「死なない」ように、立ち回り続けた。
しかし生物の場合、そこに付随する死への恐怖や、生への喜びといったものは彼に備わっておらず、
自らの仕事を「」だと感じつつ、やめるという選択肢はない。
さらに己と同じロボットが破壊されることに怒りは感じても、自らが殺すものに対しては
何も感じないことから、そこに他のロボットと大した違いはなかった。
それはあくまで「戦闘」において、より戦略的行動へと結ばせるための手段に過ぎなかった。
ここまでは彼がまだ、与えられた学習チップに反応していただけと思える。
しかし焼け野原になった街で出会ったちっぽけな犬の存在が、彼に変化を与える。
自分とは全く違う存在に対して、これからの生活を考え、そこから「喜び」や「慈愛」という感情を得た。
そして今までの不毛な生活に「疲れ」を感じ、自らそれを辞退した。
そして「喜び」を与えてくれた犬が消失したとき、彼は「悲しみ」を感じ、
犬に危機が迫ったとき「恐怖」とそこから「愛犬との生活を守るため」、銃を手に取る。
敵との圧倒的戦力差を目の当たりにしても、彼は「戦う」のをやめるつもりはない。
彼は生物が備えている感情を全て持ち、本当に「生きるため」に行動する。
これら一連の行動は彼が作られた本来の理由「戦闘」には全く関連しない事柄であり、彼は本当の意味で逸脱した存在になったのだ。
だが非情にも、彼は敗れ去った。愛犬のことを考え続けた彼の最期は、他のロボット同様に何ら劇的な結末はなかった。
彼の存在の消失は、またしてもジャックに敗れたアクの配下だという、たったそれだけの事実しか残らなかった。
この物語が他よりも悲愴感たっぷり且つ、白眉な理由は、主人公ジャックにとってこれが極「普通」の戦いに過ぎず、
X9の存在は、彼にとって何ら影響を与えない、取るに足らないものなのだという事実なのだ。

2014年2月27日木曜日

スーパーミュータント

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

スーパーミュータント(以下SMと表記)またはメタヒューマンはFEVの産物であり、人間の変異種でもある。
彼らは人間よりずっと体格が良く、肌は緑、灰、黄からなり、病、放射能に対して免疫を持ち、
そして超人に相応しい怪力と頑丈さを兼ね備えている。またFEVにより細胞が絶えず再生しているため
生物学的に死ぬ事はない、不老不死の体を有する(外傷によるものはその限りに在らず)。
SMの出生はコア・レギオン(西海岸)のマリポサ軍事基地、キャピタルウェイストランド(東海岸)のVault87の二つの場所が確認されている。
二つの母集団はそれぞれの歴史があり、そしてこの二つに接点があった記録は確認されていない。
SMの平均身長は約3.2m(猫背のように背中を丸くしているため、約2.43mほどに見えるが)、体重は約360kgにも及ぶ。
肌の色は主に灰色で緑の体毛を持ち、他にも様々な色をしたSMが存在する。
尚且つ肌はとんでもなく頑丈で、筋肉、骨格も同様に強化されている。
SMは純正であろうが変異であろうが、いずれにせよ人間以外の他の生物では再現できない。
その細胞は高い増加率の細胞分裂をうけている。有糸分裂(染色体、紡錘体などの形成を伴う核分裂)は
通常の人間の+15%のスピードで終了するものの、細胞構造はとても良く似ていると言える。
DNA鎖はほぼ完全で、病に対する劣性遺伝子は組織から除去されている。
この劣性遺伝子は通常の人間から見つけられる“それ”であり、細胞分裂で常に最適な結合になるよう操作されている。
RNAもまた、より最適な情報伝達を行うよう操作されている。しかし突然変異は副作用ももたらし、
第一に生殖が行えない。これは生殖系の配偶子が元々割けたDNAを使用、"半分の細胞"で成り立っており、
これはFEVによる損傷だと考えられ、ミュータントは不妊症であると解釈される。さらに肌の色素の変異も含まれる。
マリポサで生み出されたSMは不妊症ではあるが、生殖器官までは失っていない。
逆に、Vault87のそれはFEVの影響で全くと言っていいほど欠落している。彼らは細胞の老化による死は無いが、ボケに似た症状に罹り易い。
主な死の原因となるのは、人や他種との交戦である。SMは進化実験プログラムの一環であった改良されたFEVにより生み出され、
より強大な存在となり、二通りの結果が出来上がった。西海岸はザ・マスターによって、東海岸はVault87の科学者たちによって生み出された。
西海岸のミュータントはザ・マスターの忠実な下僕であり、マリポサ基地に存在したFEVを利用して生み出された。
西海岸と中西部に生息しており、一部は野蛮かつ原始的であるが、遠縁ともいえるVault87の彼らと比べ、多くは遥かに知性溢れかつ文明的である。
マスターズ・アーミーと呼ばれたこれらのSMは、マスターと共にSMによって統一された世界の実現を目論んだ。
またSMの中でもマスターの近衛兵を務めたものはナイトキンと呼ばれていた。
東海岸のミュータントは進化実験プログラムをテーマにしたVault87で極秘研究から生まれた。
改良したFEVによって歳を取ると共に巨大化し、より凶悪な怪物へ成長する新しいSMが誕生することとなった。
西海岸と違い、性別に関するあらゆる特性は消去され、無性別の状態へ変えられてしまう。
彼らは研究者たちが死亡した後も、仲間を増やすために定期的にウェイストランド人を捕えている。
西海岸のSMに比べ知性に劣り、非常に好戦的な存在であるが、極稀に理性的な者がいることが確認されている。
彼らの行動目的は戦うことに尽き、特に人間を殺すことに終始している。
そのためにより多くの仲間を生み出すべく、領土を増やし、戦前に保管されていたFEVの確保を目指している。
西海岸と東海岸に共通するのは、同じFEVから生まれたケンタウロスという従僕をしたがえていることだ。
彼らはこれを番犬代わりにしており、ペットとして飼っていることが多い。

核戦争により全てが終わった・・・・かのようなゲーム「Fallout」。
スーパーミュータント(以下SMと表記)はかつて人間だったものであり、同時に次世代の新人類でもある。
ザ・マスターと呼ばれるイカれた存在に生み出されたものもあれば、Vaultの実験で生まれたものもおり、
とにかくその存在を一言で言えば、マッチョで危険な生き物である。
マスターが倒されて以降の西海岸のSMたちは散り散りになり、一部は人間との共存を目指している者もいる。
ただし基本的に変わりなく人間を襲っている者が大半のようだ。
一方西海岸はVault101のアイツがどう転ぼうと未だ脅威として残っている。
マスターは自分が生み出したSMに対して、究極的な生物だと自負していた。
しかし、自身の作り出した知性溢れるSMが衰退し、愚鈍なSMが増えているのは運命の皮肉だろう。
両海岸共に生き残っている大半のSMは明らかに知的とは言い難いのだ。
ただ一方で、マーカス、フォークス、アンクル・レオといった理性的なSMも確かに存在しており、
彼らの隆盛はまだまだこれからかもしれない。

2014年2月21日金曜日

Military(ミリタリー)

ゲーム「S.T.A.L.K.E.R」シリーズに登場。

ウクライナ内務省からZONEの監視を命じられているウクライナ正規軍。
正式名称はState Security Service。基本的にZONEの人々からは単に「軍(Military)」と呼称される。
ZONEを封鎖し何人の出入りも禁じるのが大きな目的とし、
ZONEの主要な道を監視し、ミュータントやStalkerを見つけると発砲する。
最も長くZONEと対峙している組織であり、ZONEがまだ世界に認知されていなかった頃にまで遡る。
2006年、チェルノブイリ原子力発電所での原因不明の大爆発が発生した。
この影響により半径30kmが放射線汚染の被害に遭った。これに対して一カ所に集結した正規軍は、
汚染地帯を想定される限り最高の制御下に置くべく多くの陣地を確立した。
瓦礫と放棄された要塞での正規軍による監視は単純なもので、汚染地帯のほとんどがその状態だった。
しかし最初と2番目のエミッションの発生により、その管理下は着実に崩壊することとなった。
このとき内務省はZONEに軍人と科学者で構成された調査隊を派遣したが、
汚染地帯の内部での異常現象アノーマリーの発生、ますます蔓延るミュータントたちにより成果はほとんど得られなかった。
この大失敗により、調査は打ち切られ、正規軍は無許可にZONEへ侵入する者は発砲する旨を布告した。
だが不十分な対応とそれまでに伝えられたZONEの驚異的な物語から訪れる者が多く、
正規軍はZONEの立ち入りを全面禁止にし、ZONE内外全てのものを排除の対象とし、現在に至る。
その後、何度かZONE内に陣地を広げようと試みているが、Stalkerたちやミュータントに阻まれている。
彼らはZONEの殆どの派閥と協力関係を持たず、ほとんどの派閥と敵対しており、
皮肉にもZONEを管理する立場ながら、管理しきれていないというのが現状である。
しかし管理しきれていないとはいえ、事実上の最高の武力を持つ派閥であり、
必要と有らば戦闘ヘリの要請や特殊部隊を派遣してくる。
Spetsnaz(エリート部隊)は救出任務やその他の特別任務でZONEに派遣されており、
また正規軍お抱えのStalkerが存在している。これらはMilitary Stalkerと呼ばれ、
特殊な訓練を受けStalkerとして活動している軍人、もしくは軍と契約したStalkerがこれに該当する。
これらのことから過去の失敗を繰り返さないように彼らがZONEを軽視していないことが窺える。
一方で、境界線付近やZONE内の一般の兵士たちの置かれている状況は非常に劣悪であり、
士気も低い為に裏でLoner等と接触し物資の横流しや食糧の調達などをしたり、
Lonerの動向に目を瞑って賄賂を受けたりする者も居る等、決して一枚岩とは言えない。
その状態から最も腐敗している派閥ともいえる。装備は主に東側の物だが、地域や部隊によって装備の質は大きく異なる。
科学者集団Ecologist(Scientist)とは協力関係にあり、援助を行っている。
Dutyの隊員の多くははかつてMilitaryに所属していた者たちであり、しかしZONEの調査を打ち切られると同時に見捨てられた。
その過去から積極的に関わりを持とうとはしないが、一部では交流を行っている。

ZONEとは最も長い付き合いをしている派閥、Military。
なのだが、未だ決定打を与えられず、持て余し続けているのも事実。
そして日々やることは、ZONEに侵入する者、ZONEから出てくるものを攻撃すること。
一部ではStalkerとズブズブな関係だったりと、ほとんど機能してないのには目も当てられない。
1作目、2作目では事実上、文字通り蚊帳の外な組織であり、道中邪魔をしてくる厄介者程度である。
だが3作目になると主人公であるMilitary Stalkerを支援してくる組織として出世する。
3作目にしてやっと重い腰を上げたのだが、すでに1作目の主人公がZONEに決定打を与えてたりするので、
やはり出遅れた感が否定できない、なんとも不遇な組織である。
しかしやはり国家の軍。最大の軍事力を持つことあって、彼ら自体はそのイメージを払拭するが如く、
猛烈な攻撃を仕掛けてくるため、敵としては大変手強い相手である。

2013年11月7日木曜日

グール

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

核爆発による高熱と放射線の影響で、遺伝子が変質したと信じられている人間の総称。
共通して皮膚が焼け爛れたような醜悪な外見となり、肉の腐ったような悪臭に見舞われる。
代わりに肉体的な老化現象が抑制され、寿命が大幅に伸びている(なかには大戦時から現在も生き続けている者もいる)。
基本的にウェイストランド人の間では放射線により変化したと噂されているが、実際はF.E.V(強制進化ウイルス)の影響である。
F.E.Vの影響を受けたものは遺伝子が変化し、必然的に肉体が頑強になる。
しかし放射線を長時間浴びる、または大量の放射線を浴びるとF.E.Vが放射線から肉体を守ろうと
放射線に強い肉体へと変化させようとする。これがグールの成り立ちである。
これにより放射線による害を受けないばかりか、放射線を取り込むことで体力が回復するという副産物が生まれた。
そのため過酷なウェイストランドでの生存能力は著しく高い。ただし生殖能力は失われる。
彼らの多くは人目のつかない場所に住んでおり、これは知性や精神は人間と変わらないが外見のため差別や迫害を受けているためである。
それらの経緯から非グールの人間に恨みを持つ者も少なくない。忌み嫌う者からはその性質も含めてか「ゾンビ」などと侮辱される。
また知性が失われ凶暴化したフェラル・グールも無数に存在し、ウェイストランドに住まう人々の脅威になっている。
これがさらに理性あるグールへの風当たりが強くなる原因にもなっている。
しかしフェラルと通常のグールはもはや別種であり、理性を持った通常のグールがフェラル化することなど無い。
だが理性のあるグールについても「脳が腐りいずれはフェラル化する」という偏見が一部で存在し、
差別どころか問答無用で「害悪」と見なされることもある。これに対してグールたちは自らを「ゾンビ」と呼ぶ、
多くの「普通」のウェイストランド人に対して、皮肉と侮蔑が混じった「スムーススキン」という渾名で呼ぶ。
エンクレイヴやBoSもまた彼らに対して差別的であり、エンクレイヴがウェイストランド全てなのに対し、BoSはデイグローの一件が引き金となっている。
彼らが最も多く住んでいると知られているのは、Vault12と戦前はベーカーズ・フィールドだった都市ネクロポリス。
Vault12の研究テーマは「放射能の人体への影響」であり、本来住人を核戦争から守るはずだったVaultは
意図的に住人が放射能に晒されるよう、Vaultの扉が閉まらないように設計されていた。
これによりVault12の人々は大量の放射能と熱線を浴びることとなった。
しかし本来死ぬだけだったはずの彼らはF.E.V(強制進化ウイルス)によって遺伝子が変化しており、
居住者の一部は耐えきれず死に、一部はグールとなった。グールになって生き残ったVault12の居住者たちだったが、
その後の内乱により更に数は減り、生き残った者は地上へと出て行った。
現在ネクロポリスで確認されているグールはこのVault12の出身者とされている。
こうして悲劇的な結末によって生み出されたVault12のグールたちだったが、
皮肉にもVault-Tec社とエンクレイヴによって意図的に生み出された彼らは特別な存在ではなかった。
彼ら以外にもVault居住者の抽選から落とされた元アメリカ合衆国民の多くは、核の影響により同様の道を辿ったのだ。
グールたちが地上に出た後、自分たちの町ネクロポリスに作るが、ザ・マスターに発見され、Vaultを手に入れるためスーパーミュータントが派遣された。
この襲撃で多くのグールが死んだ。スーパーミュータントは無傷のVaultを発見できなかったことと、
グールの正体がVault12の住人だということに怒り、グールたちを監視し、服従させるために駐屯地を設けた。
その後、浄水チップを求めてやって来た「Vaultの住人」によりスーパーミュータントは倒され、
ネクロポリスのグールたちは別の場所へ移り、デイグローやゲッコなどの町を作った。
ゲッコは比較的に平和だったが、しかしデイグローはBoSの求める戦前の技術がある場所であり、BoSとグールは敵対することとなった。
その後、ザ・マスター率いるスーパーミュータントの軍が敗北して何年も経ち、
スーパーミュータントと人間、そしてグールが共存する町ブロークンヒルズが出来たことで、BoSのグールに対する態度は軟化してきている。
またデイグローのグールたちはハブなど、人間の町との交易を重ねた結果、最終的に2189年にデイグローは
NCR(新カリフォルニア共和国)の領土となった。こういった経緯から、NCR領では比較的グールに対する偏見は少なくなった。
モハビ・ウェイストランドでも同様であり、グールが人間に交じって様々な職業に就いている。
西海岸のグールたちは運があった。しかし東海岸のグールたちには過酷な運命が待っていた。
元ワシントンDCであるキャピタル・ウェイストランドでは、2288年に敵対するミュータントや人間によってグールは地下に追われた。
彼らは自分たちだけの町を作るべく、博物館を利用してアンダーワールドを作った。
彼らの敵はキャピタルの民間人、BoS、エンクレイヴ、レイダー、奴隷商人、タロン社、様々なミュータントや危険なロボットたちである。
キャピタルに平和を与えることを目的としているキャピタルBoSだが、浄水施設を稼働させ、
汚染されていない水の生産に乗り出した現在、グールに対する水の配給は考えられていない。

核の炎に包まれた世界、ゲーム「Fallout」シリーズ。
本作に登場するグールは、所謂肉の腐ったゾンビの様な外見とは違い、基本は普通の人間である。
普通の人間と違い長生きで、放射能に対して強い抵抗力があり、放射能で体力を回復する以外は。
勿論良い奴もいれば、悪い奴もいる。さらにフェラルなんていう殆んどクリーチャー扱いな奴もいる。
しかしその見た目から一概に差別的な扱いを受けている。
放射能に適応した人種と言えば凄いのだが、見た目が見た目だけにそれを考える事は滅多にないのだろう。
NCRでの扱いは割と良い方だが、キャピタルでは歩み寄ろうとする団体自体が皆無なため、致し方なし。
(キャピタルには人造人間の権利を守ろうとする団体がいるが、そんなことより奴隷やグールにどうにかしろと言いたい)
比較的穏健派であるキャピタルBoSでも、グールは心底嫌われている。
おそらくデイグローの件を引きずっているようで、デイグローと全く関係のないキャピタルのグールにはとんだとばっちりである。
ちなみにグールの中には戦前から生きているものもいるため、そういったキャラクターから昔話を聞くと
なかなか面白い、ゲームの設定背景が見える為偶に聞くのもいいだろう。

2013年10月8日火曜日

コロンバス

映画「ゾンビランド」に登場。

内向的で胃腸が弱い大学生。ピエロ恐怖症。
自分自身に32のルールを課すことで、ゾンビから身を守ってきた。
名乗る際に咄嗟に自分の出身地である州都コロンバスを名乗っており、本名は不明。
謎の新型ウィルスに感染した者がゾンビとなり、猛烈な勢いで全世界へと広まっていった。
それから2か月、地球上は人食いゾンビで埋め尽くされ、人類はほぼ絶滅状態となった。
アメリカも例外ではなく、アメリカはまさに「ゾンビランド」となった。
テキサス州ガーランドでも数少ない生き残りの1人の“ボク”は臆病で胃腸が弱く、
世界が平和だった時は引きこもりで、友達もいなければ彼女もいないゲームオタクだった。
初めて自分の家にやってきた隣人の女性は数時間も立たないうちにゾンビとなり、
身を持って「ゾンビの世界で生き残るための32のルール」の最初の一つを作ることとなった。
慎重にルールを実践して生き延びてきた“ボク”は両親の住むオハイオ州コロンバスへと向かう。
旅の途中、自分以外の生き残りと出会い、お互いに銃を向けるが、相手の車に同乗させてもらうことに。
相手の男はゾンビ殺しを心底楽しんでいる手合いのようだ。名前を聞かれたので“ボク”は
咄嗟に“コロンバス”と名乗る。相手も倣ってか“タラハシー”と名乗る。
タラハシーは過去の辛い経験からゾンビを心底憎み、ゾンビを退治することを楽しんでいた。
タラハシーが好物の菓子トゥインキーを探している最中、2人は廃墟と化した大型スーパーで、
迫りくるゾンビ軍団を倒しながら、ウィチタとリトル・ロックと名乗る姉妹と出会う。
詐欺師の常習犯だった彼女たちは、妹のリトル・ロックがゾンビに噛まれたと偽って、
一度はコロンバスとタラハシーの武器と車を奪い逃亡するが、
やがて安全のためにお互いの必要性を感じ、行動を共にすることになる。
コロンバスは、ウィチタからオハイオがすでに壊滅状態であることを知らされ、
実家に戻ることをあきらめ、3人と旅を続ける。
4人の目的地はロサンゼルス郊外にある遊園地パシフィック・プレイランド。
そこにはゾンビがいないと噂されており、彼らはその噂にかすかな望みをかけたのだった。
途中、彼らはビバリーヒルズの高級住宅街にあるハリウッド・スターであるビル・マーレイの豪邸を物色し、
ゾンビのフリをした本人と出会い、ちょっとした間違いで撃ち殺してしまったりと、楽しい数日を過ごした。
4人の友好関係は深まり、特にコロンバスのウィチタへの想いは強くなるが、
ウィチタとリトルロックはある朝、男たちを残して消えてしまう。
彼女たちはまだ新天地、パシフィック・プレイランドを諦めていなかったのだ。
しかしコロンバスのウィチタへの想いは変わらず、一人で追おうとするが、
その頼りない姿にメキシコへ行くつもりだったタラハシーも協力するのだった。
一方、ウィチタとリトル・ロックは無事パシフィック・プレイランドに辿り着き、
園内の電源を復活させ、稼働したアトラクションを楽しんでいた。
二人が楽しい一時を過ごす間、遊園地の音と光に気がついたゾンビたちが続々と集まってきていた。
コロンバスとタラハシーが着いた頃には、遊園地はゾンビだらけになっていた。
ウィチタとリトル・ロックはフリーウォールに乗って難を逃れたが、
周りにゾンビが集まってしまい、降りられなくなってしまう。
タラハシーがゾンビのを気引いている内に、二人を助けようとするコロンバス。
しかし彼の前に現れたのはピエロのゾンビ。コロンバスはピエロ恐怖症なのだ。
彼はルール17「英雄になるな」そのままに、思わず逃げ出そうとする。
だが、助けを求める愛する女性のために彼は自分のルールを変える。ルール17「英雄になれ」へと。
手近にあったアトラクションのハンマーで見事ゾンビを倒すコロンバス。
ウィチタとリトル・ロックを救い出し、ウィチタは感謝のキスをコロンバスにする。
そこで初めてウィチタは本名のクリスタを名乗る。三人はタラハシーの下へ戻る。
大勢いたゾンビを皆殺しにしたタラハシーは売店でトゥインキーが見つからず、怒り狂っていた。
コロンバスと共に残された他の売店を探ると、お目当てのトゥインキーは流れ弾でハチの巣になっていた。
項垂れるタラハシーと慰めの言葉もないコロンバス。車の発進する音に驚き、飛び出す二人。
またしても姉妹に車を盗られたと思った二人の前で車が止まる。
二人は無事に車に乗り、4人でフロリダに向かうのだった…

アメリカ版「ショーン・オブ・ザ・デッド」とは、はっきりと言えない映画「ゾンビランド」。
どうしても後発なため比べられがちだが、「ショーン~」が駄目な主人公を主軸にしているの対し、
本作は他人と接点を持たない登場人物たちが、如何に成長するかが主軸である。
主人公であるコロンバスは賢く、自分で作ったルールを従うことで生き残れてきた。
けどせっかく作った32のルールの欠点は、他人との接触を図らない事を推奨していること。
一部例外もあるが、全体を見れば自分の生存を第一に考えているため、
他人をどうするか、どうしてやるかなど、具体的には「自分が他人にすべきこと」は何も考えていない。
あくまで他人は二の次、悪く言うと独り善がりだ。
まぁそれもゾンビから生き残るためには、致し方ないこととも言える。
だがクソったれな相棒と異性との出会い、ビル・マーレイや人の死を通じて、
自分が生きるためのルールを敢えて変え、他者と生きるためのルールを敷く。
そして最終的には自分の中の恐怖にすら打ち勝つのだ。
内向的な青年が、人との出会いを通じて、大きく変わろうとする。
王道ながら、主人公以外も成長するのは目新しく感じた。
以下、32のルールの内容。

ルール1「有酸素運動」ルール2「二度撃ちして止めを刺せ
ルール3「トイレに用心」ルール4「シートベルトをしろ
ルール5「ゾンビを発見したらまず逃げろ
ルール6「フライパンでぶっ叩け」ルール7「旅行は身軽であれ
ルール8「クソったれな相棒を見つけろ
ルール9「家族・友人でも容赦しない」ルール10「素早く振り向け
ルール11「静かに行動すべし」ルール12「バウンティ・ペーパータオルは必需品
ルール13「異性の誘惑には注意」ルール14「ショッピングモールは補給基地
ルール15「ボウリングの球をぶん投げろ」ルール16「人の集まる場所は避けろ
ルール17「英雄になるな」ルール18「準備体操を怠るな
ルール19「葬儀・埋葬の必要はない」ルール20「人を見たらゾンビと思え
ルール21「ストリップクラブは避けろ」ルール22「逃げ道を確保しろ
ルール23「金品よりも食料確保」ルール24「生き残るためには犯罪も
ルール25「火の用心」ルール26「肌の露出は最小限に
ルール27「就寝前には安全確認」ルール28「食事と風呂は短時間で
ルール29「二人組で行動しろ」ルール30「予備の武器を持て
ルール31「後部座席を確認しろ」ルール32「小さいことを楽しめ

2013年9月6日金曜日

Freedom(フリーダム)

ゲーム「S.T.A.L.K.E.R」シリーズに登場。

ZONEの二大勢力の一つ。ZONE内外で反政府勢力、アナーキストと見なされている団体。
打ち捨てられたMilitaryの基地を拠点としている。ZONE内での超自然的な事象の情報を共有、
公開することが人類にとって大きな躍進につながると信じており、ZONEの保護、存続を求めている。
その目的上、Dutyやウクライナ軍Military、軍に所属するMilitary Stalkerとの対立が絶えない。
ZONEの無政府主義者と呼ばれる彼らは元々フリーのStalkerたちであり、
超常現象アノーマリーや不思議な物質アーティファクトといったZONEの奇妙な事象を目撃し、
その驚異と神秘性から、ZONEには有用性があると考え、これを守り管理するために発足された。
以来、自分たちはZONEに自由に出入りする戦士であると表明し、ZONEの情報を世界へと公表するため活動している。
彼ら曰く、MilitaryやDutyらの破壊活動は世界を危険に晒しており、
ZONEへの破壊活動はミュータントやアノーマリーを増やし、放射能を強め、
異常な災害ブロウアウトを誘発する引き金であり、ZONEはその度に範囲を広げているらしい。
そのため結果的にZONEの破壊を目的とするDutyや支配を目的とするウクライナ軍Militaryと争うこととなった。
彼らの多くは反社会的なメンバーで構成されており、Dutyとは対照的にその名の通り自由主義であり、
その信条は「したいことをしろ。余計なことはするな」となっている。
Dutyのような厳格な規律とは違い、仲間同士お互いに「ブラザー」と呼び合う、
アルコールやドラッグを娯楽目的で使うなど非常にカジュアルな気風となっている。
Dutyが結束に“規律”を用いるのに対し、Freedomは精神的な繋がりを重視する傾向である。
彼らはZONEは自由の聖地であり、法律や規則、政治といった外の世界のものからは隔絶されていると考えている。
反社会的な行動と思想とは裏腹に、彼らはZONEの秘密や神秘に対する国家の独占に異議を唱えており、
自由にZONEを出入りし、アーティファクトや物資の輸出輸入が出来ることを求めており、
他の国々とZONEに関するすべての情報を共有することを信念としている。
ZONEの存続を謳っている彼らだが、ZONEの拡大に関しては懸念を感じており、
皮肉なことにZONEの破壊を目的とするDuty同様にZONEの危険を排除する活動もしている。
しかしFreedomの目的はあくまで存続なため、破壊するだけのDutyを目の敵にしており、日夜争っている。
主に西側の銃器と対アノーマリー耐性重視の装備で武装しており、装備の質はDutyをやや上回る。
天敵であるDutyとは基本的に敵対しているが、協定を結ぶ場合もあり、
逆にMilitaryとEcorogistとは完全に敵対している。研究者であるEcorogistは軍に支援されているため、
政府寄りなその行動が、彼らの精神を逆なでにしている。またLonersに対しては中立を保っているが、
Lonersと敵対しているならず者Banditsと繋がりを持つこともあり、どちらも無政府主義なために友好的なようだ。
また狂信者Monolithやゾンビのような廃人Zombified Stalkersはミュータント同様、
ZONEの危険の一つであると考え、積極的に排除している。

放射能と異常な世界が待ち受けるゲーム「Stalker」シリーズ。
本作でZONEを二分する勢力であり、ZONEはもっと開放的であるべきだと主張する派閥、それがFreedomだ。
杓子定規なDutyと反し、気風も自由奔放であり、Dutyとつるまない限りはとてもフレンドリー。
なかなか良い装備も持っており、彼らの実力のほどが伺える。
気に入ったら彼らとフリーダムトゥギャザーするのも悪くないかもしれない。
ただ、彼らの仲間になればDutyと敵対せざる負えなくなるため
両方と仲良くしたい人は、程よい距離の空いた付き合い方をしよう。
その自由さと打って変わって、かなり慈善家的な目的を持っており、
ZONEは人類にとって宝箱であり、世界の発展に繋がる重要なものと定義している。
これを存続させることは必然であり、破壊は以ての外、ましてや一国家だけが独占するものではない。
さらに破壊はZONEのバランスを崩し、人類に対する脅威となり得ると考え、
Dutyとはまた違った秩序を築こうとするなど、理性的な部分が目立つ。
しかしその真っ当な主義主張は別として、その自由は反社会的、はっきり言えば悪党然としている部分もあり、
「Stalkerを傷つけるな」とか言いながら、平然とLoner狩りする奴、
創設初期の古株でも平然と裏切るなど、君子豹変の言葉がよく似合う組織でもある。
またBanditsと仲が良かったりするときもあるため、ダブルスタンダードともいえる。
それにDuty同様にその目的が果たせるかどうか、非常に微妙と言わざる負えない。
混沌としたZONEの世界で、彼らがやっているのは普通のStalkerと同じように
アーティファクトを外部に売りつけることで、目的に達する具体的なビジョンは語られていない。
Dutyはその辺によく突っ込み、「金儲けしか考えていない」と指摘されている。
彼らを一概には言えないが、反社会的というよりも、色々な思惑を持ったギャングに近いような気がする。
ZONEという異常な世界において、真っ当な組織などというものは存在しないのかもしれない。

2013年7月14日日曜日

タッカーとデイル

映画「タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら」に登場。

不気味で偏屈な二人組の田舎者。
バカンスに来た大学生たちに早々と難癖をつけ、
明らかに怪しげな行動に、森に棲む異常殺人鬼かと思われる。
実際は長年の夢だった別荘を手に入れて、浮かれている
気の良い田舎者であり、ようするにただの中年二人組。
太っちょのデイルは自分自身の体型を含めて劣等感の塊。
しかし誰にでも礼儀正しく、気は優しい力持ち。根本的に無害なデブ。
タッカーは極々平凡な中年であり、デイルの古くからの親友。
劣等感に苛まれるデイルをいつも励ます。友達思いで、時にはお互いを支え合う関係。
気のいい2人の田舎者タッカーとデイルは幼なじみの親友同士。
こつこつ貯めた金でやっと手に入れた別荘(古びた山小屋)に休暇を過ごしにやって来る。
見た目と行動、出会いが悪かったために近くにキャンプをしに来た大学生グループから、
殺人鬼だと勘違いされてしまう。実はこの場所は20年前にスプラッター映画のような
惨殺事件が起きた曰くつきの場所だったのだ。一日目の夜、湖でタッカーたちが夜釣りを楽しんでいると、
大学生たちが近くで泳いでいるのを目撃する。デイルが思わず発した言葉に驚いて
湖に落ちた女子大生アリソンが気を失って溺れかかっているのをデイルが救い出すが、
その様子を遠くから見ていた仲間たちはアリソンが殺人鬼にさらわれたと思い込んでしまう。
翌朝、意識を取り戻したアリソンは、デイルが見た目とは違って心優しい親切な男だと知り、自然に打ち解ける。
一方、リーダー格のチャド率いる大学生グループはアリソンを「殺人鬼」たちから救い出そうとするが、
不幸な偶然が重なり、大学生たちは次々と惨たらしい形で事故死してしまう。
その様子にタッカーたちは自分たちが殺したと疑われてしまうと慌てるが、
運悪くそこに生き残った大学生らが保安官を連れて来る。ところが、その保安官までもが勝手に事故死してしまう。
この事態に大学生グループはタッカーたちに全面対決を挑む。
デイルの愛犬を「犬質」にとってタッカーを捕らえたチャドは、タッカーの指を切断してデイルに送りつけるなど、
徐々に常軌を逸して行く。タッカーたちと親しくなったアリソンは仲間たちの誤解を解こうと話し合いの場を設ける。
チャドは殺人鬼に対する憎しみの感情を露にする。自分の母親が20年前の惨殺事件の唯一の生き残りで、
その事件で父親が死んでいると語ったのだ。ここでも不幸な偶然が重なり、大学生らが次々と死んでしまった上、
タッカーらの山小屋が爆発して燃え落ちてしまう。辛うじて逃げ出し、九死に一生を得たタッカーとデイル、
そしてアリソンだったが、そこに全身に大やけどを追いながらも唯一生き残ったチャドが襲いかかり、
アリソンをさらって行く。怪我をしているタッカーに励まされ、デイルはアリソンを救い出しに向かう。
一方、狂ったチャドはアリソンを縛り付け、意のままにしようとしていた。
そこにデイルが現れ、チャドと格闘の末、何とかアリソンを連れて逃げ出す。
逃げ隠れた場所で見つけた古い新聞記事からアリソンは20年前の惨殺事件の犯人がチャドの父親であることに気付く。
そこに現れたチャドにその事実を告げると、チャドは激しいショックを受けるが、
それでも襲いかかってくるチャドに、デイルはチャドがアレルギーだというカモミール・ティーの茶葉を投げかける。
するとチャドはアレルギーの発作を起こして勝手に窓から落ちて死んでしまう。
事件は、精神的に不安定な大学生らによる異常な「集団自殺」と「殺人」として処理される。
入院したタッカーが切断された指(本人のものではない可能性が高い)を繋ぐ手術に成功する一方、
デイルはアリソンをデートに誘い、想いを伝えると、アリソンもそれを受け入れるのだった…
(画像左がタッカー、右がデイル)

辺鄙な田舎に住む不気味な地元住民=キ○ガイ殺人鬼
この図式を笑いに変えたのが映画「タッカーとデイル~」。
極普通の田舎者の二人、デイルとタッカーはひょんなことから
都会から来た若者たちにサイコ野郎orイカれた殺人鬼扱いにされてしまうという内容。
原題は[Tucker and Dale VS Evil]となっており、Evilの部分が若者たちというわけなのだが、
実は後々に本当のEvilPsychoサイコパスな野郎が混ざっているのだ!
デイルは熊のような体に純朴な精神が宿った、子どもまま大人になったような人柄で
怪我をしたヒロイン(内心ちょっと好みなタイプ)を丁重に持て成そうと、
朝にパンケーキを用意したり、暇つぶしに子ども時代に遊んだボードゲームをしようと誘ったりと、
彼なりに彼女の気を引こうと頑張る姿は、超が付くほどの誠実orお人よし。
本作では彼の行動や葛藤にスポットを当てており、事実上の主役。
タッカーはデイルの兄貴分のような友人。デイルが尻込みしそうな度にここぞと励まし、
喝を入れたり、友人としてアドバイスしたりと、まさにサポート役。
それ故に本作では事実上、一番酷い目に遭う役柄。けどそれすらもデイルのなけなしの勇気や
大胆な行動への起爆剤になり、支える友人の鑑のような人物。
彼自身が何か行動に移すことは少なく、終盤でフェードアウトしてしまう。
しかし別に影が薄いわけではなく、劇中空気にならない辺り、彼の存在は思っている以上に大きい。
そんな彼らのちょっとした行動が、若者たちに勘違いされ、二人を倒そうとする若者たちは
面白可笑しくorグロテスクに死ぬのが本作の笑いである。
ちなみに冒頭は最近流行のPOVを取り入れており、この部分だけホラーな内容になっている。

ブラザーフッド・オブ・スティール(Brotherhood of Steel)

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

ブラザーフッド・オブ・スティール (鋼鉄の騎士団、略称BoS) はテクノロジーを信仰する組織であり、
大戦以前の米国軍部および政府後援の科学コミュニティを起源とする。
軍部士官、兵士、科学者の子孫から構成されている、ほぼ純系の人類である。
他の勢力からは大戦以前、大戦時におけるテクノロジーや文化的遺産の捜索、
回収を目的とした巨大な武装組織と見なされている。アメリカ全土に支部を持ち、テクノロジーを収拾して研究、
前提として自分達で独占する事が目的であり、そのためウェイストランド人からは快く思われていない。
遺産の調査・発掘を目的とした科学者と護衛及び敵対者の排除を担う戦闘員で構成が二分されている。
本部は西海岸のロスト・ヒルズ・バンカーにあり、各地方に支部が存在している。
BoSはいくつかの階級に分けられる。イニシエイトは訓練生であり、訓練過程で十分な成績を上げると
上級イニシエイトに昇進する。その後アプレンティス (見習い) となる。
認められるとアプレンティスは熟練ナイトかスクライブに昇進する。
次の階級は上級ナイト/スクライブで、最後に各階級のリーダーであるナイト長、スクライブ長となる。
スクライブは古代のテクノロジーの複製、現在のテクノロジーの維持、
さらに新兵器や他の有用な装置の調査に責任を負う。スクライブはBoSバンカーの安全な場所から
離れることはほとんどないが、テクノロジー装置を調べたり、専門的な知識が必要な任務を行うため、野外を訪れることもある。
ナイトは武器などのテクノロジー装置の製造に責任を負うが、戦闘活動にも参加する。
何年もの任務と経験を重ねた後、最高のナイトはパラディンに昇進する。
パラディンは軍部の頂点であり、全ての防衛・外部活動を担当する。
パラディンには更に階級があり、下級パラディン、パラディン、上級パラディン、パラディン長となる。
全てのパラディンはナイトでもあるため、パラディン長は通常ナイト長でもある。
最上位の階級はエルダーであり、エルダーは支部におけるリーダーである。
本部では複数のエルダーがおり、BoS統治評議会の一員でもある。
エルダーになるにはBoSで多大な功績と、周囲からの信頼を得られた者が信任する。
ただし評議会とBoS自体のリーダーはハイエルダーで、通常は創設者のマクソン一族が継承している。
この他にもキャピタルBoSでは、「センチネル」という階級があり、
精鋭部隊「リオンズ・プライド」のサラ・リオンズだけが唯一名乗っている。
また同分派では「スターパラディン」や「スクワイア」という階級もあり、
スターパラディンは自身の任務を行える特別許可が与えられており、
スクワイアはイニシエイトより一つ上の階級で、特別な理由で与えられる。
BoSは量より質を重視する傾向で、戦いにおける数の差は戦前・戦後の凄まじい装備類で補っており、
レーザー兵器、パワーアーマー、外科的改造、戦闘用インプラントを所持している。
戦闘においてBoSパラディンは、傷一つ負わずに町一つを地図から消し去る能力をもつ。
BoSメンバーの大多数は組織内で生まれ、部外者を階級に入れることは非常に稀。
しかし組織で生まれたが、スクライブ、ナイト、パラディンになりたくない者は去るのも自由。
組織は意思に反して強制的に仕えさせることはしない。 普通は正当な理由なく他者と敵対しないが、
BoSのメンバーは周りにいる明らかに弱かったり、運に見離された者に対する正義にも興味を示さない。
大抵の場合、人命より秘密を保持し、テクノロジーの保存・開発を尊重する。
確実に言えることは、BoSナイトの一団が不運な人々を助けているように見えたとしても、
相手のためを思ってやっているとは限らない。BoSは最高級のテクノロジーを他者と共有したがらない。
たとえテクノロジーが、ウェイストランドに明らかな利益をもたらすとしてもだ。
BoSが配備しているどんなテクノロジーであろうと、ウェイストランド人ではそれを利用 (そして維持) する責任を負えない、という考え方が BoSの内部では広く認知されているため。
だがテクノロジーの一部は開拓地のコミュニティと交換することが知られており、
NCRは食料などの資源との交換を表明している。だが能力の高いテクノロジーは公には出さない。
テクノロジーに尊敬の念を抱いているが、BoSの多くのメンバーはテクノロジーに
関係しない知識分野は (さらに戦闘に関係ないテクノロジーも) あまり尊重しない。
スクライブであっても、そのほとんどは歴史に関心を示さず、イニシエイトの中には
BoSの創立者であるロジャー・マクソンを知らぬ者さえいる。
BoSのミュータントに対する態度は様々であり、嫌悪感を抱いたり (例えばグールに対して)、
完全に敵対したりする (対スーパーミュータント)。
BoSの創立者は、ロジャー・マクソン大尉だった。ロバート・スピンデル大佐指揮する軍隊の一員であり、
最初は2076年1月3日、ウェストテック研究施設に国家安全の目的で実験を監視するため派遣された。
2077年1月7日、全ての研究は新たに建設されたマリポーサ軍事基地に移され、
スピンデルの一団も一緒だった。 10月10日、マクソンと部下は恐ろしい事実を発見する。
科学者たちは強制進化ウィルス (FEV) の実験で、軍の受刑者を被験者として利用していたのだ。
基地の士気は崩壊し、スピンデルは神経衰弱から5日後に自殺した。マクソンの部下は指導力を彼に求めた。主任科学者のロバート・アンダーソンを尋問し、科学者たちが起こした行動範囲を知ったマクソンはロバートを処刑、他の科学者も同様にした。
10月20日にマクソンはラジオを通じて軍部からの完全離脱を宣言する。
ほかの軍部は、中国と戦うのに忙しかったため反応はなかった。3日後に爆弾が発射され、
大戦争は始まって2時間後に終結した。 マリポーサ軍事基地は生き残り、
内部の兵士はウェイストランドに満ちる放射能やFEVから守られた。
2日後のマリポーサでは、パワーアーマーを着た偵察兵が大気の特性を調べ、施設周りの区域に、深刻な放射能はないと報告。外の荒れ地で科学者を埋葬した後、軍事基地を封鎖した。物資と武器の設計図を携え、砂漠へ向かう。マクソン大尉は部下と家族をロスト・ヒルズの政府バンカーに導き、この出来事は後に「脱出」と呼ばれた。
外で数週間過ごした11月、兵士と家族はロスト・ヒルズに到着する。
道中、マクソンの妻を含め多数の犠牲者を出した (だが10代の息子は無事だった)。
ロスト・ヒルズのバンカーは、新たに結成されたBoSの本部となった。
2134年、デニス・アレン軍曹率いる一派が力を増し、ウェストテックの南東遺跡の遺物を
探索したいとエルダーたちに詰め寄った。そこは核爆弾が直撃した後、グローと呼ばれている。
エルダーが拒否したため、アレンと分離を唱えるグループは BoS と分かれ、テクノロジーと武器の一部を持っていった。
それでもロジャー・マクソンの指揮下で、BoSは力を増してテクノロジーを開発し、
ナイト、スクライブ、パラディンの階級が結成された。2135年にロジャー・マクソンは癌で死に、
息子の二代目マクソンがハイエルダーを引き継いだ。 2150年代にはBoSはバンカー周りの区域を支配し、
その領域の強大な勢力の一つとなっていた。2150年代の初期頃、バイパー団というレイダー集団が
南の荒れ地に権力基盤を作り始める。宗教的な熱狂ぶりによって頻繁に襲撃するようになる。その結果、BoSの注意を惹きつけた。
2155年、BoSは数個の偵察小隊をバイパー団追跡のため派遣した。これはほかならぬハイエルダーが命じた訓練過程の延長だったため、BoSはパワーアーマーを着た小分隊で、レイダー団の規模に関わらず対処するに十分だと確信した。二代目マクソン率いる BoSの一隊が、バイパー団を発見する。レイダーはすぐ逃げ出すと思っていたマクソンは、バイパー団の宗教的な熱意と獰猛さ、毒のついた武器を考慮していなかった。マクソンがヘルメットを外している時、一本の矢によって傷を負い、そのせいでわずか数時間で死に至った。
ロジャーの孫、ジョン・マクソンがエルダーの役割を受け継ぎ、ロンバスがパラディンの新しいリーダーとなった。
ロンバス率いるパラディンは、バイパー団に全面攻撃を始めた。
一ヶ月以内に、一団のほぼ全員を追跡し滅ぼした。バイパー団の中には、北や東の山脈に逃げ延びた者もいた。
活動中、BoSはバイパー団のメンバーを追跡するため数人の偵察兵と使節を商人の町ハブに派遣した。
これを発端として、ハブとBoSは全面的な貿易関係を始めた。
2161年10月、パトロール隊が荒れ地で死んだスーパーミュータントに出くわした。
死体はスクライブたちのもとに持ち帰られ、スクライブ長ヴリーが調査を始める。
長い研究が重ねられた後、検体は全く子供を作れない身体ということが明らかになった。
2162年2月、「Vaultの住人」が基地を訪れ、仲間に加わりたいと申し出た。
真面目に請け合ってもらえず、いつものようにウェストテック施設の廃墟へ無駄足を運ばされることになる。
そこはかつてアレン軍曹率いるBoSの一派が足を踏み入れて戻らなかった地、グローである。
そこは死んだ仲間と戦前の技術の両方があると、BoSが考えるようになった場所だ。
だがかつてはサンディエゴだった街デイグローのグールが守っていた。
BoSのグールとの関わりは限定的であるが、良いとは言えない。
さまざまな回収任務が「グロー」で始まって以来、BoSのグールに対する怒りは更に募ることになる。
しかし「Vaultの住人」は生きて戻ってきただけでなく、何人ものBoSパラディンがグローへ向かった際の、
失われた探検が記録されたホロディスクを持って帰ってきたことで、皆を驚かせた。
その結果、長い歴史で初めてBoSの一員として認められた、最初の部外者となった。
「Vaultの住人」によって、BoSはザ・マスター軍と計画を知ることになる。
全ての人間をスーパーミュータントに変えるものだ。ジョン・マクソンの援助を得て、
「Vaultの住人」はエルダー議会の説得に成功し、パラディン部隊をマリポーサ基地に派遣することになる
そこは皮肉にも、BoSが元々いた場所であり、その頃にはジョン・マクソンさえ覚えていなかった。
BoSの協力で「Vaultの住人」は最終的にザ・マスターを倒すことに成功し、ロスト・ヒルズ・バンカーを去った。
その後しばらくの間、BoSは北カリフォルニア中の様々な都市に小さなバンカーを建設、
テクノロジーの回収に従事していた。この時点でのBoSは最も技術的に進んでいた勢力だったようだ。
スーパーミュータント軍と密輸業者たちも進んだ武器を持っていたが、
BoSにはパワーアーマー、一定の医療技術、スーパーコンピューターがあった。
しかしそれは2241年までであり、ウェイストランドの進んだ技術を管理するのは、
エンクレイヴの出現により、もはや彼らだけではなくなった。
さらにパワーアーマーの独占も失っている (中国工作員の子孫の組織「シ」が台等し始める)。
BoSは80年間全く進歩していないように見えるが、わずかながら確認できることとしては、
進んだ武器と医療技術を依然として所有している。これら本部とその周辺のバンカーの活動範囲は
西海岸に留まっていたため、新たに東海岸にも兵士の派遣団を送った。
しかしこの派遣団は本来の任務であるテクノロジーの保護を後回しにし、
スーパーミュータントの脅威に対する現地住民の保護を最優先にする決断をした。
これに対して本部は増援や物資の支援は一切を断った。
こうしてできた分派は、キャピタルBoSというべき独自の組織と呼べるものになった。
しかしこのキャピタル・ウェイストランドを守る元遠征団の中には、
本来の目標を忠実に守るべきだと考えた一団もいた。
このメンバーは仲間の元を離れ、新たなる組織BoSアウトキャストとなった。
一方、本部BoSは重大な局面に至ろうとしていた。
勢力を拡大し続ける新カリフォルニア共和国(NCR)の存在により、
どちらが戦前のテクノロジーを保持するのに相応しいか、抗争を始めた。
皮肉なことに装備と練度に優るBoSは、それよりも劣るが数で押し寄せるNCRにより追い詰められ、
本部と各支部は分断された。モハビ・ウェイストランド支部は本部との切り離されたことにより
著しく衰退し、NCR軍との交戦の末、大打撃を被ってしまう。
生き残ったモハビBoSは再起を図るべく、ヒドゥンバレー地下のバンカーに籠城し、
NCRから身を隠しつつ、雌伏の時を待っている。これらのことから現在のBoSは西海岸と東海岸で活動している。
(画像はBoSのシンボル。歯車は工学知識、剣は自らを守る意志、翼は高まる希望、
円は仲間(=brotherhood) となる全体を表す)

核戦争後の世界、ゲーム「Fallout」シリーズ。
ブラザーフッド・オブ・スティール(以下略BoS)はかつてのアメリカ陸軍の末裔で
事実上、エンクレイヴと同じくらい歴史のある勢力。
戦前の技術を維持、サルベージし、分析、それを独占することを目的にしており、
そのためウェイストランド有数の武装組織であり、研究組織でもある。
ただし戦前の技術に固執する姿はほとんどのウェイストランド人から嫌われている。
一応、知識のない者や無法者から破壊と悪用をさせないのが目的で、
復興の手段として「テクノロジーの保護」を優先している。
最終目標はアメリカの復興なのだが、現在のBoSはそのことを忘れ、
ただ「独占」することだけを優先しており、手段が目的に変わってしまった状態。
その愚かさからエンクレイヴ同様、手段はあるのに目的を完遂できない哀れな集団である。
現在も強引なやり方で現地住民からテクノロジーを喝上げしており、
その高圧的な行動は、新カリフォルニア共和国(通称NCR)の耳にも入った。
ただの村落から一大国家に成長した新カリフォルニア共和国と
古くからテクノロジーを身に着けていたBoSは戦争を開始。
どちらがテクノロジーの保護者に相応しいか競い合った結果、
数に勝るNCRにBoSは押し負けている。
モハビにおいてはアジトにしていた施設を乗っ取られた揚句、壊滅寸前にまで追い込まれた。
しかし中にはキャピタルのように現地住民のために貢献したりする奴らもおり、
エンクレイヴ同様にその動向にはこれからも目が離せない。
本部と連絡を取れないことが尾を引いているようで、本部がどうなったのかはわかっていない。
モハビでの戦いがあったように、本部も未だにNCRと戦っているのかもしれない。
もしくは当の昔に制圧・滅亡しているのかも。

2013年6月7日金曜日

Duty(デューティー)

ゲーム「S.T.A.R.K.E.R」シリーズに登場。

ZONEを二分する大勢力の一つで、ZONEに秩序をもたらす為に活動する民兵組織。
軍隊同様の規律を規範とする、準軍事的な派閥として知られている。
かつてZONEがまだ形成直後だった頃に、調査に送り込まれ、
そのまま取り残された軍人が中心となって組織した派閥である。
創立経緯から、現在でも組織の人員は正規の軍隊のような厳格な規律を守っている。
彼らの活動方針はZONEの危険から外の世界を守ることを第一としており、
最終的にはZONEそのものを消滅させることを目標としている。
2009年にウクライナ軍がZONEの調査に踏み切った。
主目標はZONEの調査だが、核兵器によるZONE中枢の破壊も視野に入れての調査隊が組まれた。
当時の調査隊のメンバーは軍人が占めており、ZONEに対する予備知識を持たずの行軍は
調査隊を最悪の事態に陥らせた。放射能と異常現象アノーマリーが翻弄し、
ミュータントの襲撃による恐怖が訪れ、休みなき戦闘による疲労困憊が
物資の困窮と飢餓を招き、多くの死傷者を出す結果となった。
軍は最善の結果を導き出せない事に二の足を踏み、この遠征を失敗と見なし、調査を放棄した。
生き残っていた調査隊に対して物資も援軍も送られず、連絡は途絶えた。
見捨てられた彼らはStalkerにZONEの探索を認めることで、調査の協力を取りつけようとした。
これが後のDutyの発足へと繋がった。彼らは「ZONEは脅威である」という考えを、
内外に広めるために情報の統制を行っており、また一部の役に立つアーティファクトは全て科学者に渡し、
それ以外は外へ持ち出すことを禁じている。目下の活動内容は危険なミュータントやBandtisのような
ならず者を排除すること、アノーマリーとアーティファクトの調査などを行っている。
科学者であるEcorogistとは同盟を結んでおり、発足当初のDutyはミュータントとアノーマリーの研究を行っており、
アーティファクトや残された記録の分析を行い、情報の精査を行っていた。
その後EcologistがZONEを訪れたため、研究を引き継ぐ形で同盟を結び、専門家である彼らに研究を任せている。
元は軍関係者だけあって、他のStalkerに対して容赦がないと思われたが、
Lonersに対しても分け隔てなく、友好的な対応をし、稀にStalkerのトラブル解決に手を貸すこともある。
主に東側の武装で身を固めており、元は軍属であることを差し引いても、高い戦闘力を持つ。
しかし慢性的な人手不足であり、LonersなどのStalkerに呼びかけて、団員を募っている。
同じく勢力を二分する相手Freedomとは一時的な協定を結ぶこともあるが、
自警団のような行動と「世界をZONEから守るのは我々の義務(duty)」とする思想は
Freedomには受けいられず、DutyにとってはZONEの物を外の世界にばら撒く行動は看過し難く、
またFreedomを金目当てのアナーキストと考えているため、その相反する思想から基本的に敵対しており、
宿敵といえる関係である二つの勢力はずっと戦争を続けている。ならず者であるBanditsは犯罪者と認識し、
狂信者Monolithやゾンビのような廃人Zombified Stalkers同様に秩序を保つために積極的に排除している。
過去のことから、なるべくmilitaryとの接触を避けようとしているが、一部では交流を行っている。

多彩な派閥たちが織りなす、勢力争いも見物なゲーム「S.T.A.R.K.E.R」シリーズ。
今回紹介するのはJoin Duty!の一言でお馴染み、二大派閥の一つである組織Duty。
彼らはZONEの治安を安定させるために日夜、ミュータントやBanditsのような
Stalkerにとって恐ろしい存在を討伐しようとする、珍しく殺生な心がけをしている。
本人たちは「これが俺たちの義務ですから」と言い切るのだから、凄い。
その志を鼓舞するように、拠点内ではプロパガンダ放送を行っており、
悪を打ち倒す為に、常に正義の心を絶やさぬようにしており、また同じ考えを持つ者を常に求めている。
ここまでは彼らの良い部分の紹介、ここからは彼らの悪い部分を紹介する。
しかしこれらの行動は軍にいた頃、調査隊の当初の目的とは外れている。
そもそも対象を破壊することが目的なのに、秩序をもたらすというのは、最終目標と矛盾が生じている。
これは軍属として厳格な命令を遵守する矜持と軍に見捨てられたことに対する反発の間で、
ZONEでの任務よりも、自分たちの生存を優先したがためである。
またDutyの発足により組織の維持が重なったことで、元軍属としてではなく、
やはりDutyとしての活動に重点を置くようになったと考えられる。
これらのことが重なって、建前としては立派な目的を持っているが、
その最終的な目的に対しての活動は形骸的になっており、
この辺のことはFreedomや商人のTraderがよく指摘している。
また稀に物資を他勢力に横流ししている者や、裏切り者がいたりするため、
彼らも一枚岩というわけではない。結局のところ、彼らもZONEに生きるStalkerなのだ。

2013年6月5日水曜日

エンクレイヴ(Enclave)

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

エンクレイヴ (遠隔地、少数集団) は謎の多い軍事組織であり、
大戦直前、核戦争を予期した極右政治家や軍人、軍産複合体などの有力者が中心に結成した武装結社。
強力な企業に関係している政府高官と軍当局者の子孫で構成されている。
そのためエンクレイヴとその武装軍は、戦前の米国政府と米軍の公式な後継者でもある。
組織体系は米政府とその軍隊を模しており、指導者は「大統領」を自称している。
戦前のアメリカ合衆国政府と軍産複合体を直接の由来とし、安全な場所で核戦争をやり過ごし、
その後に大陸へ帰還、合衆国を復活させようという目的で組織された。
エンクレイヴは開いていないVaultを除けば、最後に残った純系人類の拠点の一つであることを誇りとしている。
この組織の大半は、エンクレイヴの外で生まれたほとんどの人間は根絶するほかないミュータントだと考えている。
放射能と強制進化ウィルス(Forced Evolutionary Virus=FEV)に対する影響により、
ウェイストランド人(現在の本土の人間)は見た目が全く一緒だとしても、もう人間ではないと考えている。
スーパーミュータントやグールといった他のミュータント化した生物同様、人間以下の存在だと見なしている。
良くても奴隷として利用され、最悪の場合は「真の人類」がアメリカの実際の国家を創れるよう根絶される。
現在でも戦前からの技術を保持、発展させ続けている。エンクレイヴの科学者は防具や武器の研究を続けているため、
同様に戦前の物資を保持している組織ブラザーフッド・オブ・スティール(Brotherhood of Steel=B.O.S) より
優れた装備をもっており、また貴重な化石燃料と、進歩したティルトローター機ベルチバードの供給も受けている。
荒廃した国家の支配を主張し続けており、その驚異的な技術と軍事力から他勢力から敵視されている。
エンクレイヴはかつて合衆国の影の政府であり、大戦争を生き抜いた数少ない旧世界組織の一つである。
2073年、わずかに残る天然資源を巡って世界中で開発競争が最高潮に達し、組織は核戦争が起こる可能性を考慮し、
ほとんどの一般市民が生き残れないと結論を出した。しかし合衆国の「重要な人間」が生き残っていれば、
素早く「人類」を再編成し、中国共産主義者を完全に一掃できると信じていた。
そのためにVault-tec社と協力を結び、Vault試験プログラムの実施を計画。
Vaultは米国政府が出資し、政府が管理した。表向きは、大戦争を生き延びる特権を与えられた
合衆国市民を選べるように意図された。だがVaultの大部分は戦後のある目的のために作られた。
宇宙旅行や地球への再入植は非常に難しく、予測不能な問題を伴うものとされた。
したがって平均的なアメリカ人がどのように様々な環境に対処できるかテストするため、
多くのVaultはある種の重大な欠陥があるように設計されたのだ。
2077年、全面核戦争が急速にアメリカに差し迫る中、合衆国大統領ほか多数の米国政府高官は
世界中に散らばった多くの秘密の場所に避難するため持ち場を離れた。
厳密にはエンクレイヴの一部ではないが、エンクレイヴの活動に利益となる多くの強力な企業と研究施設も
2077年の「炎の嵐」から保護された。中枢権力者のほとんどは大戦争が始まったときに
合衆国が確保に成功した世界で最後に残ったとされる原油供給先、「ポセイドン・エネルギー石油掘削施設」。
太平洋の底の何千フィートも下に埋蔵された石油を採掘する海上油田へと避難した。
実験が行われている住民を監視するために、石油掘削施設はVaultを観察・統制できる大量の設備を所有していた。
ここで米国が存続し、中国に対して開戦できるよう大統領自身が秘密基地を設けた。
当初の最終目標は共産主義者の撲滅と、戦後のアメリカ大陸を取り戻すことである。
大戦争から長い間、エンクレイヴは石油掘削施設で静かに留まっていた。
その間も力を蓄え続け、本土の誰よりも技術的に勝る優位性を手に入れた。
最終的に本土が安全だとわかると、外に出てアメリカの再生に向かい始める時期だと決断を下した。
非常に高い能力をもつティルトローター機ベルチバードを使い、最も近いカリフォルニア中に偵察班を派遣した。
そこでは彼らにとって驚くべき事態が待っていた。スーパーミュータント、グール、突然変異した動物、
生きているはずのない国民の子孫たち、本土に突然変異体(ミュータント)が蔓延していたのだ。
あちこちに散らばる突然変異体により引き起こされた破壊や荒廃を目にしたエンクレイヴ偵察班は
このことを上官に報告、全てのミュータントを一掃することが目標の一つに加わることとなった。
このとき屋外の本土で戦後100年以上も生き延びてきた者は放射能によって汚染されたか、
何らかの障害を負った、もしくは更に悪い状態に違いないという考え方が組織内に広まった。
そしてこれらのミュータントも、真の人類、真のアメリカが再び本土を手に入れる前に絶滅されるべきだとされた。
意外にもカリフォルニアの偵察と探査は続いた。エンクレイヴは核兵器で再び世界を破壊すること以外に、
ミュータント大量虐殺の野望を実行する手段を持っていなかったからだ。
しかし偶然にもエンクレイヴ兵はスーパーミュータント生誕の地、マリポーサ軍事基地を見つけた。
大戦争以前にFEVの研究が行われ、ほかでもないエンクレイヴ最大の脅威となったスーパーミュータントが創られたのだ。
エンクレイヴは軍事基地を発掘し、主に付近の鉱山都市レディングから集められた奴隷労働者を使った。
最終的に基地の地下深くで、複数のタンクを発見する。岩の中に埋没し何十年も忘れられていたが、
そのタンクにはあの泡立つ緑色の汚物、FEVが入っていた。
入手したFEVのサンプルの研究が行われたがほどなく、奴隷の鉱夫が生のFEVに完全に晒されたり、
誤ってタンク内に落ちたりすることも多く、スーパーミュータントの第2世代へと突然変異し始めた。
ミュータントの奴隷はすぐに暴動を起こした。最初のミュータント軍が残した武器や装置、
その他周囲のあらゆるものを手に入れ、スーパーミュータントは基地の上階に雪崩れ込んで
あっという間にエンクレイヴ兵を圧倒した。パニックに陥り退却する中、上階のエンクレイヴ兵は
基地から逃げ出し、入口を爆発物を使って封鎖した。マリポーサ基地を放棄してしまったが、
エンクレイヴは必要なFEVのサンプルを手にしていた。
石油掘削施設に戻り、合衆国化学隊は即座にウィルスの研究を始めた。
結果、FEVから信じられないほど強力で、致命的な毒を作れることが発見された。
だが研究を進めるためには、被験者が不可欠だった。必要なのは2つのテスト班だった。
一つは混じりっ気のない純粋な人間、もう一つは本土中に住む「ミュータント」のグループだ。
何十年も放射能とFEVに晒され、エンクレイヴにとっては汚れた存在だった。
汚れたサンプルはアロヨ村の全住人を拉致することで、簡単に入手した。
だが汚染されていないグループは、手に入れるのが難しかった。
エンクレイヴは化学隊に石油掘削施設の人々を利用することを許可しなかった。
恐らく全員がエンクレイヴの様々な計画にとって、非常に重要だったため。
そのため、別の場所に目を向けなければならなかった。
必要なストックを確保するため、再び本土が利用されることになる。
石油掘削施設の設備から選び出した供給源はVault13の居住者、
リチャードソン大統領が言うところの「管理グループ」に決定された。
ほどなくして、化学隊は強力な毒を開発した。汚れた人間に対しては100%致死性があることがわかった。
エンクレイヴが本土の全住人を殺すためジェット気流に向けて毒を発射する準備をする中、
「選ばれし者」という部族民がサンフランシスコに何年もあったポセイドン・オイル社のタンカーに乗り、
石油掘削施設に到着した。選ばれし者はアロヨの部族のほか、Vault13の住民の生存者も解放し、
石油掘削施設で自爆シークエンスを起動した。そしてエンクレイヴの本部は全て破壊され、
エンクレイヴの恐ろしい殺戮から世界は救われた。本部が決定的に破壊されたことにより、
リチャードソン大統領の痕跡は全て歴史から消滅した。今日では「大統領」の肩書きは、
子供を怖がらせるためのお化けとして使われているに過ぎない。
だが石油掘削施設の破壊で、全てのエンクレイヴが壊滅したわけではない。
ナヴァロなどの本土にある小さな前哨基地は生き延びることができた。
オータム博士に率いられたエンクレイヴ軍の一部が東海岸の施設レイヴン・ロックへ向かった後、
ナヴァロ前哨基地は新カリフォルニア共和国(New California Republic=NCR)によって占拠・破壊された。
彼らはエンクレイヴの存在が、周辺区域にとって脅威だと主張した。
NCRは施設での戦闘に勝利し、まだ残っていたり退却しなかったエンクレイヴの人員は全員殺された。
また逃げたエンクレイヴ軍の大部分はB.O.SやNCRによって捕らえられた。
捕まった者は戦犯として裁かれ、終身刑か死刑に処された。
ナヴァロの破壊後、辛うじて生き残った西海岸のエンクレイヴの残りは皆レムナント(残党、生存者)となった。
キャピタル・ウェイストランドへ逃亡した者、NCRに潜伏した者たちもいた。
NCRに潜伏したレムナントたちはお互いに連絡を取りつつ、新しい生活を始めた。
しかしNCRは生き残りが溶け込もとしているのを察知し、レムナントらは
モハビ・ウェイストランドの各地へと逃れた。その頃、レイブン・ロックのエンクレイヴ軍は
オータム博士という上級科学者の指揮の下、新しい謎の大統領ジョン・ヘンリー・エデンの命令を受けるため
再結集した。本隊はすでに壊滅し、残党に過ぎない東海岸のエンクレイヴだが、
その技術力と兵力はキャピタル・ウェイストランドにとって脅威となった。
もともとは大統領のアドバイザーおよびレイブン・ロックの管理者として従事していたエデンは、
東海岸エンクレイヴ軍を掌握した後、30年以上、レイブン・ロックに籠もりっきりだった。
偵察するためアイボットを派遣し、居住者に向けてエンクレイヴ・ラジオを送信するだけの日々。
その間エデンは新アメリカのビジョンへ導くため、新しい手順を考案した。
すなわち一般民衆へのエンクレイヴの存在を確立・強化、および遺伝子的に不完全な犯罪者の処分だ。
このことから、現在彼らの軍勢はアメリカの西海岸周辺と東海岸周辺で確認されている。
(画像はエンクレイヴのシンボルマーク。アメリカの国旗をモチーフにしている)

核戦争で焦土と化したアメリカを舞台にしたゲーム「Fallout」シリーズ。
エンクレイヴはかつてのアメリカ政府の末裔で、
その歴史は戦前からと、意外と古く、どの勢力よりも深い。
戦前の技術を維持、もしくはサルベージしたり、分析するのが精々の他勢力と違い、
新技術を開発、生産できる高度な技術力・生産力を所有している。
そのため事実上ウェイストランド最強の武力を保有する勢力のはずだった
しかしその排他的な思想から、ほとんどの勢力に喧嘩を吹っかけており、
その愚かさ(他勢力も似たようなもの)から、まともにアメリカを復興できない哀れな集団である。
彼らは過去の悪行(人体実験、奴隷、略奪、無情な襲撃etc.)、人を人と思わない思考から、
他勢力から恐ろしいほど憎悪されており、かなり文明的なNCR共和国においても
残党は見つけ次第殺害、または役立ちそうな技術、物資は没収。
死ぬまで強制労働を課せられる終身刑か処刑を言い渡される。
彼らがアメリカの復興を願う志自体は、素晴らしいものだが、
その手段が「戦前からVaultで国民を使った人体実験」、「自分たちは安全な場所に引きこもる
戦後に備えた武装の開発に勤しむ」、「我々だけの国家を建立しよう」という
生産性の欠いた独善的なもの。しかも長い間引きこもったおかげで、
その傾向は子孫たちに脈々と受け継がれ、極端すぎる思考が極限に達しており、
いざ本部から出てるとウェイストランドの破壊と荒廃、スーパーミュータント、グール、
その他諸々のクリーチャー、ヒャッハー!な奴らを目撃。
温室育ちな彼らに戦後のアメリカ本土の現状は受け入れられず、アメリカ復興は二の次に
俺たちのアメリカを返せ!」という見当外れな考えを持つに至ってしまった。
そして本土の全生命体の抹殺を目標に、現在邁進している。
同じく旧組織の末裔として陸軍が祖先のB.O.Sがおり、政府と軍隊という間柄から
協力を得られそうだが、何故か敵対(お互いの手段の違いから)しており、
明日も見えないほどの戦いを繰り広げているときがある。
現況はFallout2のラストで本部消滅、Fallout3の時代ではすでに本隊は壊滅しており、
そのため現在ウェイストランドでみられるエンクレイヴは残党である。
しかし本隊が壊滅した後も、最高司令部という存在がいることが発覚しており、
彼らのウェイストランド支配の野望は未だ潰えていない。
ただし彼らの中には自分たちの行為を恥じる者、脱走する者、
ウェイストランドに溶け込もとする者もおり、少しづつだが変わってきている。
もしかしたら、これから彼らの転換期が訪れるのかもしれない。
ちなみに彼らは独自のパワーアーマーと重火器、光学兵器などで武装しており、
本人たちは「我こそ正義」と語るが、パワーアーマー姿はどう見ても悪役っぽい。

ハベルの戦士

ゲーム「DARK SOULS」に登場。

亡者化した為、友人の手により城下不死街と狭間の森の境にある見張り塔に閉じ込められた英雄。
ハベルはグウィン王の古い戦友であり、彼と彼を信奉した戦士たちは「岩のような」と称された。
古竜を裏切った白竜シース、その敵対者でもあったハベルは魔法を嫌い、それに対する手段も怠らず、
奇跡「大魔法防護」をハベルの司祭に伝えている。これは使用者の全身を強い魔法防護の膜で覆って
魔法属性への防御を向上させるものである。後にこの奇跡は白教の都合にあわせて一般化され、
奇跡「魔法防護」としてハベルの司祭のように質実な戦士たちに、魔法に対する手段を与えることとなる。
この英雄が身につけている鎧は岩塊を彫って作られたもので、すさまじい重さと、防御力を誇り、
この鎧に身を包むハベルの戦士は決して怯まず後退せず、敵としたものを必ず叩き潰すという。
正気を失い、目につく者全てを襲う亡者となってもこの英雄の戦法は変わらず、
頑丈な鎧と強固な大盾「ハベルの大盾」によって攻撃を防ぎつつ、巨大な大槌「大竜牙」を持って迫ってくる。
「大竜牙」は朽ちぬ古竜の牙をそのまま武器にしたというハベルの伝説の大槌であり、
その牙は岩よりも硬く、決して折れず、また使用者に魔法と炎に耐える力を与える。
また「ハベルの大盾」は鎧同様に岩塊を彫って作られた伝説の大盾であり、大竜牙と並ぶハベル本人の聖遺物である。
すさまじい重さと防御効果を誇り、さらにはハベルの魔力すらも秘めており、
魔力を開放することで使用者の強靭度を大きく上昇させる効果を持つ。
またこの英雄は「ハベルの指輪」を所持している。その指輪は装備できる重量を増やす効果を持っており、
ハベルを信奉する戦士達が好んで身に付けたと言われている。
この英雄がハベル本人なのか、信奉していた戦士なのかは不明。

序盤で会うことが出来る敵対NPC、ハベルの戦士。道中に会うNPCに一切喧嘩を売らなければ、
劇中初めて戦うことになる敵対NPCかもしれない。ただし未だチュートリアル気分で相手にすると
手酷い一撃必殺をお見舞いされるだろう。道中度々会う黒騎士を除けば、かなり強い部類であるハベルの戦士は
武器防具の中でも、とりわけ優秀な(大竜牙は除く)一式で固めており、ほぼ初期レベルなプレイヤーは
まともにダメージを与えられず、無駄にソウルと人間性を散らす羽目になるだろう。
しかし決して倒せないわけではなく、パリィとスタブを駆使すれば初期レベルでも倒せる。
なんにしろ、適度な大胆さと慎重さがあれば自ずと勝てるはず。
筆者としては黒騎士に次いで、欲しい装備一式(手に入れるのは中盤以降)ベスト2に値する。
ついでにハベルについてだが、ハベルが一体何者なのかは最後までわからない。
グウィンの戦友となっているが、人間なのかはたまた別のものなのか言及されておらず、
ハベルにまつわる品々でも、具体的なことはあまり書かれていない。
わかっていることは信奉者共々「岩のような」存在だったとしかわからない。
こんな謎多き存在であるハベルだが、ゲームの根幹には関わらないため、
劇中では何ら謎が解き明かされることなく、結局謎のままである。

2013年3月12日火曜日

湊斗 景明(みなと かげあき)

ゲーム「装甲悪鬼村正 -FullMetalDaemon MURAMASA-」に登場。

陰鬱な雰囲気を持つ青年。非公式のパート警察官・内務省警察局鎌倉市警察署属員を名乗り、
白銀の劔冑・通称「銀星号」が行う虐殺事件を調査している。
漂う雰囲気の暗さは、初対面の相手ならばあまりの陰鬱さに「暗黒星人」とあだ名されるほど。
しかしその雰囲気とは反して、生真面目でおおらかな青年。
少々天然なところがあり、会話中に相手を脱力させることが多い。
拘置所に収監されている囚人であり、容疑は殺人罪十二件うち一件は尊属殺人。
その正体は殺戮者「銀星号」となった義妹である湊斗光を討つべく紅の劔冑・村正を纏って、
親王の後援の下、虐殺事件の裏で暗躍している。自分は死ぬべき人間だと考えており、
銀星号討伐の暁にはその罪の元に処刑されることを望んでいる。
その理由は彼の持つ劔冑、千子右衛門尉村正は呪われた妖甲と名高いもののひとつであり、
敵一人殺したならば味方一人殺さねばならない「善悪相殺」の呪いを持っているため。
かつて養母を守るために、養母を殺し、銀星号によって力を与えられた悪逆を働く代官や
連続殺人犯をもその刃で断ち斬る度に、無辜の人々の血に染まる自分を悪鬼と自嘲し、悩み苦しみながら戦い続ける。
戦闘能力は高く、免状には至っていないが「吉野御流合戦礼法」を修めている。
しかし天才の域ではなく、格上には策を弄して勝利することを狙う。
当初村正とはお互いに利害の一致あって、行動を共にしていたが、
いつしか心が通じ合い、相棒と呼べる存在になっていく。

鬼に逢うては鬼を斬る、仏に逢うては仏を斬る。ツルギの理、ここにあり

「例え汚物に満ちた街であっても、屑を一つ一つ拾う行為が意味を失うことはない」

本当に善良なら、最初から人を殺したりはしないのだ!
 殺しておいてから流す涙など、最も醜悪な偽善に過ぎん!
 人を殺すことは悪業であり、悪業を為す者は悪鬼なのだ!
 俺は悪鬼なのだ!

武道とは何か……?そんなことを俺に訊くのか……どう答えて欲しいのだ?
 正義をかざし悪を討つ刃か、力なき者を守る盾か。クッ……クックックックックッ……
 武道が何かを知りたければ、剣でも槍でも好きな道具を持って来るがいい
 武道を云々するくらいなら、何か使える得物があるだろう?
 それを自分でも他人でも好きな奴に叩き込んでみることだ
 どうなる?何が起こる?そうだそれが答えだ!それが全てだ!!それが武道だ!!!
 そんなものを振りかざして正義?守る?平和?
 クククフフフハハハハ!!この世を平和にしたいなら武道が消えてなくなればいい!!
 あらゆる武器あらゆる武人が、剣も槍も鉄砲火器も、貴様も俺も!!

――これは英雄の物語ではない。英雄を志す者は無用である。
なんとも重い言葉がキーワードな、そんな18禁ゲーム「装甲悪鬼村正」。
この物語の主人公であり、そして悪鬼。それが湊斗景明である。
悪を殺せば、善を殺し、善を殺せば、悪を殺す。その存在は悪ではない、あくまで悪鬼なのである。
物語は義妹を殺すべく、多くの善と悪を殺しながら邁進していく彼の姿を描いたもので
彼の人物像はかなり独特な性癖と多趣味な部分を除けば、優しい好青年といったところ。
自分が行う殺人を「仕方ない」といって割り切ることはせず、
あくまで自分が殺したかった、必要だったから殺したと言い続ける。
その心は殺した人々の命が無駄ではないということの証明であり、
そのために死ぬわけにはいかないと考えてはいるが、
我が身可哀さで死のうとせず、殺すのをやめない自分を許せないという気持ちから
いつか自分を裁く人が現れることを心の支えにしている。
これ以降の話はネタバレすると面白くないので控えるが、各エンディング、後のファンディスクや
外伝作品を考えると、ひたすらに邪悪として、悪鬼としての人生を全うしようとする姿は
ありのままを受け入れて血道をあげているわけではなく、その人柄、優しさ故の行動なんだと、そう思いたい。
ちなみに筆者は彼の劔冑を纏う際の口上で「柳生一族の陰謀」を思い出し、非常に懐かしい気分になった。

2012年10月28日日曜日

権藤 吾郎(ごんどう ごろう)

映画「ゴジラvsビオランテ」に登場。

陸上自衛隊に所属する叩き上げの一佐。
自衛隊陸幕調査部から国土庁特殊災害研究会議に出向していた。
事態を他人事のようにとらえた不謹慎かつ呑気な発言が目立つが、
冷静な判断力と高い行動力を持つベテラン自衛官。
ゴジラに対して有効打になりえる、抗核バクテリア(略称ANEB)が
米国のバイオメジャーによって奪われ、取引としてゴジラ細胞を要求。
研究者である桐島と権藤が引き渡しに応じるが、謎の男によりバイオメジャーのエージェントが殺されてしまう。
男の正体はサラジア共和国のサラジア・オイル・コーポレーションの工作員であり、
二人の前でANEBをも奪っていった。その後サラジアのアジトが大阪にあることを知り、
権藤と桐島の二人によって無事奪還。損傷したスーパーX2の捨て身の一撃により、
ゴジラに一瞬の隙を作り出し、権藤が率いる特殊部隊がこれに乗じて
ANEB弾をゴジラに撃ちこむ作戦を決行する。無事ANEB弾の撃ちこみを完了し、
あとは脱出のみと思われたが、権藤一佐のみANEB弾の再装填を始める。
彼が潜伏するツイン21にはゴジラが接近していたのだ。部下からの警告を無視しながら
装填を続ける権藤一佐に、怒りの咆哮を上げるゴジラ。
その口腔に、ANEB弾が発射された。苦しそうに唸るゴジラを尻目に余裕の笑みすら
浮かべながらゴジラに啖呵を切る。次弾を発射しようとするが直後、
ゴジラの攻撃を受けてツイン21は倒壊。単身怪獣に挑んだ男の姿は瓦礫の中へと消えていった・・・・・

薬は注射より飲むのにかぎるぜ。ゴジラさぁん!

平成「ゴジラ」シリーズの中でも、権藤一佐のような人物は珍しい。
たった一人でゴジラと対等に渡り合い、軍人として任務を遂行し
散り際でもゴジラ相手に悪態をつける男。ストーリー上、なくてはならない人物ではないのに
この圧倒的な存在感は歴代「ゴジラ」シリーズ中でも遜色ない英傑と言えるだろう。
後に彼の妹、親友もゴジラに関わっていく辺り、ゴジラシリーズの中でも破格の扱いといえるだろう。