2012年10月27日土曜日

クロノス

映画「クロノス」に登場。

16世紀の錬金術師ウベルト・フルカネリが不老不死への鍵として造り出した、
不思議な純金製の機械。その実態は不老不死を実現する代わりに、
人を人ならぬ者へと変容させる生ける機械であり、機械仕掛けの吸血鬼。
ある日、骨董商のヘススは天使像に封印されていたクロノスを偶然発見。
そうとは知らずにクロノスを動かしてしまい、ぜんまい仕掛けの小さなその機械に
謎の液体を注入されてしまう。それ以来ヘススの身体に異変が現れた。
若返った気分になり、妻メルセデスへの忘れていた情熱が甦る。
そして癒されないのどの渇き、血を飲みたいという欲望。
ヘススはしだいにクロノスの虜となる。夜な夜な禁じられた機械に血を吸わせる
ヘススを心配した孫娘のアウロラはクロノスを隠し、ヘススはアウロラの思いやりに胸をうたれる。
しかしクロノスの不老不死の力を狙う富豪ディーター・デ・ラ・ガーディアは
乱暴者の甥エンジェルに命じてヘススを襲わせる。甥は勢い余ってヘススを殺してしまうが、
クロノスによってすでに人間ではない存在になっていたヘススは甦った。
怪物じみた己の姿におののきながらも富豪と甥を殺し、その血を啜る。
身も心も怪物になりかけた彼を救ったのは普段は無口なアウロラが言った
「おじいちゃん」の一言だった。我に返ったヘススはクロノスを叩き壊す。
それは彼が不死の力を自ら手放すことを意味していた。
窓から差し込む陽の光の中、家のベッドに横たわるヘススを抱きしめる
メルセデスとアウロラの姿があった・・・

映画「クロノス」は不運にも吸血鬼を作り出す呪われた品を手に入れてしまった
老人の悲しい物語だ。燃え上がる情熱を失わないように生き血を啜る老人、
異形に成り果て、もはやこの身に救いなしと思われた。それを助けたのは孫娘の一言だった。
内容はさておき、問題のクロノス。これが筆者にとって映画に登場するアイテムの中でも
結構お気に入り。最初は謎の文様が彫られた金細工だが、動き始めるとまるで虫のような針で
皮膚を突き刺し、拘束したまま秘薬を注入していく。
ヘルレイザー」のパズルボックス然り、「13ゴースト」のサイラスの屋敷然り、
精緻さと陰惨さ、そして機械としての精巧な動きが筆者の心をつかむ。
正直、現実に存在してたら本来の用途を知らなくても、欲しくなりますね。

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