体重200ポンドのセントバーナード犬。
子ども好きで穏やかな性格をしており、
飼い主に忠実だったが狂犬病により、肉体と精神を蝕まれる。
その名前は「シンバイオニーズ解放軍」の主要幹部に由来する。
メイン州の海辺の町キャッスル・ロック。
ドナとヴィックのトレントン夫妻の一人息子タッドが、
夜中に押し入れにモンスターがいるとおびえる。
両親はなだめるが、タッドの恐怖心は解消されなかった。
ある日、ヴィックは車が故障したので、
妻子をつれてジョー・キャンバーの修理工場へ行く。
キャンバー家の飼犬クジョーとタッドは穏やかな一時を過ごす。
ある日、ドナは夫と息子が出かけた昼間の空虚な時間に耐えきれず、
いつしかスティーヴと浮気を重ねていた。
しかし、それも空しく感じられ、彼に別れを告げる。
妻の情事を知ったヴィックは、うつろな気持ちで
出張のためボストンに出かけていった。
クジョーはジョーの友人ゲイリーを襲ってかみ殺し、
尋ねて来たジョーも同じく惨殺する。
ドナは車がまた故障したのでタッドをつれて、ジョーのところへ行く。
途中、なんどもエンストを起こした車は、
ジョーの家の納屋の前で動かなくなってしまった。
車から出ようとしたドナに、クジョーが襲いかかった。
必死でクラクションを鳴らすが、聞こえる距離には誰もいない。
一夜が明け、朝が来た。強い陽ざしに照らされ、
熱せられた車内では、脅えたタッドが脱水症状を起こした。
ボストンから自宅に電話をしたヴィックは応答がないので、
もどってきて部屋が荒らされているのを発見する。
犯人はドナに振られたスティーヴで、腹いせにやったことを白状。
だが、ドナたちの行方は知れない。
ヴィックは思い当たる節があり、ジョーの修理工場に
パトカーを向かわせた。何も知らぬパトロール警官は
クジョーに襲われて殺されてしまうが、ドナによってクジョーは殺される…
「彼は常に愛されるよい犬であろうと努力していた、
といっても間違いはないだろう。
彼は「男」と「女」のためなら、とりわけ「少年」のためなら、
命令されればどんなことでもするつもりだった。
死ねといわれれば彼らのために死ぬこともいとわなかった。
彼は誰かを殺したいなどとは一度も思ったことがなかった。
ただ、何かが、おそらくは運命が、あるいは狂犬病と呼ばれる
変性神経疾患が彼を襲ったのだった。
人を殺したのは彼の意思ではなかった。」
映画とは雲泥の差とは言わないが
小説の方がクジョーの心理描写を描いて面白い「クージョ」。
クジョーが心ならずも飼い主や気の良い人々に
牙を向ける姿はとても悲劇的であり、
小説ラストにおける、「人を殺したのは彼の意思ではなかった」の一文に
筆者、感動を禁じえない。
ある日、ヴィックは車が故障したので、
妻子をつれてジョー・キャンバーの修理工場へ行く。
キャンバー家の飼犬クジョーとタッドは穏やかな一時を過ごす。
ある日、ドナは夫と息子が出かけた昼間の空虚な時間に耐えきれず、
いつしかスティーヴと浮気を重ねていた。
しかし、それも空しく感じられ、彼に別れを告げる。
妻の情事を知ったヴィックは、うつろな気持ちで
出張のためボストンに出かけていった。
クジョーはジョーの友人ゲイリーを襲ってかみ殺し、
尋ねて来たジョーも同じく惨殺する。
ドナは車がまた故障したのでタッドをつれて、ジョーのところへ行く。
途中、なんどもエンストを起こした車は、
ジョーの家の納屋の前で動かなくなってしまった。
車から出ようとしたドナに、クジョーが襲いかかった。
必死でクラクションを鳴らすが、聞こえる距離には誰もいない。
一夜が明け、朝が来た。強い陽ざしに照らされ、
熱せられた車内では、脅えたタッドが脱水症状を起こした。
ボストンから自宅に電話をしたヴィックは応答がないので、
もどってきて部屋が荒らされているのを発見する。
犯人はドナに振られたスティーヴで、腹いせにやったことを白状。
だが、ドナたちの行方は知れない。
ヴィックは思い当たる節があり、ジョーの修理工場に
パトカーを向かわせた。何も知らぬパトロール警官は
クジョーに襲われて殺されてしまうが、ドナによってクジョーは殺される…
「彼は常に愛されるよい犬であろうと努力していた、
といっても間違いはないだろう。
彼は「男」と「女」のためなら、とりわけ「少年」のためなら、
命令されればどんなことでもするつもりだった。
死ねといわれれば彼らのために死ぬこともいとわなかった。
彼は誰かを殺したいなどとは一度も思ったことがなかった。
ただ、何かが、おそらくは運命が、あるいは狂犬病と呼ばれる
変性神経疾患が彼を襲ったのだった。
人を殺したのは彼の意思ではなかった。」
映画とは雲泥の差とは言わないが
小説の方がクジョーの心理描写を描いて面白い「クージョ」。
クジョーが心ならずも飼い主や気の良い人々に
牙を向ける姿はとても悲劇的であり、
小説ラストにおける、「人を殺したのは彼の意思ではなかった」の一文に
筆者、感動を禁じえない。
2 件のコメント:
この一文を読むために、何度もこのページに来てしまう。
小説だとキャンバー少年を襲いそうになるんですけど
理性で抑えたシーンがあり、
クジョーが如何にこの一文通りの犬だということを実感させられる
忠犬過ぎた犬、故の悲劇。
犬好きには堪ったもんじゃない、涙腺直撃の一作。
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