2009年10月21日水曜日

コワルスキー

映画「バニシング・ポイント」に登場。

元海兵隊員、元警察官、元レーサー、
現在は陸送と、複雑な人生を送った男。
盲目のDJスーパー・ソウル曰く「アメリカ最後の英雄」。
車の陸送をやっているコワルスキーは、デンバーから
サンフランシスコまでの70年代型ダッジ・チャレンジャーの陸送を引受ける。
バーに立ち寄った彼は、店の主人とサンフランシスコまで
15時間で行くという賭けをした。全速力で飛ばすコワルスキーの
車を発見したオートバイ警官が追跡しだした。
彼がとっさに車を悪路に乗り入れると、オートバイクはひとたまりもなく転倒した。
警察は面子をかけて、コワルスキーを捕らえようとする。
彼がユタ州に入ろうとすると、国境にバリケードが張られていた。
バリケードを突破し、警察は遂に全勢力を上げて確保に向かう。
このニュースを聞いた盲目のDJ、スーパー・ソウルはコワルスキーに共感し、
警察の通信を盗み取りして、情報をラジオでコワルスキーに流し始めた。
彼は国境を越えネバダ州に入ると、今度はネバダ州の警官が追跡してきた。
彼は自分が警察署に勤めていたときのことを思い出した。
上官が少女を麻薬所持の疑いで取調べ中に、弱みにつけこんで
彼女を手篭めにしようとしたのをとめ、クビになってしまったことを。
彼がさらに走っていると、スーパー・ソウルが情報を流してきた。
警告通り追跡してきた数台のパトカーに追い詰められ、やむなく彼は車を砂漠に向けた。
コワルスキーは警官時代、雪国で恋人のベラと遊んだり
口論したりしたことを思い出した。
また海兵隊員のころ、負傷兵を野戦病院へ運ぶ途中、
ジープに砲弾が命中し、負傷したこと。そのとき大きな爆発音で回想が破られた。
タイヤがパンクしたのだ。タイヤの交換中、彼はガラガラ蛇に襲われそうになるが、
老人に助けられる。老人は、砂漠を脱出する道を教えてくれ、
ガソリンのある集落に案内してくれた。
老人と別れて逃走を続けるコワルスキーに、スーパー・ソウルの情報が入った。
彼のニュースはいまや全世界に広がり、大変な話題となっていて、
彼の向かう道という道には、警察当局の網が張られているらしい。
途中彼はバイクに乗った男エンジェルと出会い、荒野の中にある彼の家に連れていかれた。
そこには全裸でバイクに乗った娘がいて、彼に強壮剤や煙草をくれた。
エンジェルのアイディアで車をパトカーに偽装して
非常線を突破したコワルスキーのゆくてに、巨大なブルドーザーが立ちふさがった。
だが、コワルスキーの顔に笑みが浮かぶと、彼はアクセルを踏み込んだ。
猛然と突っ走るコワルスキーの車はブルドーザーに激突し、火柱をふき上げた…

アメリカン・ニューシネマの虚しい男の挽歌、映画「バニシング・ポイント」。
物語はただ主人公が車を突っ走らせ、警察に追われる。
それだけなのだが、そんなことも忘れてしまうほど
主人公コワルスキーの存在感が強い。
複雑な人生を送り、何を求めているのかわからない男は
無謀な賭けをし、警察との猛烈な逃走劇を繰り返す。
ただただ男は真っ直ぐに、速く、走り続ける。
何がなんだか分からんが、すごく惹かれてしまう。

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