2009年7月25日土曜日

丘の家

小説「山荘綺談」、映画「たたり」に登場。

ニューイングランドの郊外にたたずむ巨大な館。
本来はクレイン邸として知られているが、
その忌まわしい過去のため、近隣住民から「丘の家」と呼ばれ恐れられている。
外観は一見して、普通に見えるが言い知れぬ邪悪な雰囲気を醸し出し
内部は広大で迷いそうになるほどだが、実際はそれほど広くはなく
平面や角度、曲線、屋敷の構造上に若干の歪みがあり、
そのため正常に見えても、斜めだったり、ズレがあるため
人の方向感覚や平衡感覚を狂わせ、迷わせる。
80年前に紡績工場で財産を築いた、ヒュー・クレインという男が
家族と共にこの地に永住するため建造した。
屋敷は完成し、クレインは若い妻を伴って新居にやってくるが、
馬が暴走し馬車が横転して妻が死亡、
彼の妻は亡骸となって、この屋敷にやってきた。
彼は幼い娘二人と共に、この屋敷で暮らしはじめ、
やがてクレインは二度再婚したが、二人目の妻も屋敷の敷地で転落死、
三人目の妻は保養地巡りの甲斐もなく、病で亡くなった。
ヨーロッパでクレインは外国暮らしを決め、
二人の娘は実母のいとこに引き取られた。
クレインは異国の地で妻たちの後を追うように亡くなり、
成長した二人の娘に共同財産として屋敷が残された。
二人は屋敷の所有権で諍いを起こし、結局は姉が屋敷に住むことになった。
だが噂によると妹に恋人を奪われたためとも伝えられている。
姉は近くの村の娘を世話係に雇って、
老嬢になるまで屋敷で過ごし、肺炎で亡くなった。
これにも噂があり、村娘が逢引をしていたがために
医者が呼ぶのが遅くなったとされているが、
屋敷に固執する妹が流した悪意ある噂とされている。
その後も村娘が屋敷の所有権を主張し、訴訟を起こした。
妹夫婦はこれに対して村娘が姉を騙して、
正統な所有権を持つ自分たちから奪おうとしていると反論。
村娘は妹夫婦に屋敷の調度品の窃盗、
妹夫婦は村娘に姉の殺人をと、言い掛かりをつける
醜い争いの結果、村娘が勝訴した。
しかし村娘の幸運は長く続かず、妹夫婦から受ける脅迫と中傷、
成り上がり者への侮蔑から村人たちの反発に合い、
それから逃げるように自殺した。
村娘のいとこにあたるサンダーソン家に所有権が移り
妹はその後も嫌がらせを続けようとしたが、数年後死亡。
サンダーソン家は忌まわしい事が立て続けに起きた屋敷を閉鎖し、
以来、誰も屋敷に住まう者はいなくなった。
その数十年後、人類学教授が奇怪な幽霊屋敷こそ、
心霊研究格好の場所と考えた。博士はこの心霊調査のため、
10歳の時、不思議な経験を持ったという
エレナーと、超感覚的な優れた感受力に恵まれた、
セオドーラの30前後の女性2人を助手として選んだ。
さらに持ち主のサンダーソン夫人の甥であるルークが加わった。
一行がこの建物で顔を合わせた最初の夜、
エレナーとセオドーラを超自然的現象が脅かした。
だがエレナーはその恐怖の中にも拒むことのできない魅力にとらわれた。
エレナーは母の介護と不快な姉夫婦の暮らしのため
人生に希望を見出せず、心の拠り所を求めていたのだ。
屋敷は徐々に彼女をその毒牙にかけようと迫る。
危険を感じた博士はエレナーをここから出すことにした。
が、エレナーは孤独な家に帰りたくなかった。
博士に無理矢理出された彼女は車を運転して
庭を猛スピードで走り回った。
車は横転し、エレナーは死んでしまう。
一行が去った後も、屋敷は新たな住人を求めるように、
待ち続けるように、佇んでいる…

ヘルハウスじゃないよ、ヒルハウスだよ映画「たたり」。
呪われた館、ということになっている「丘の家」or「丘の屋敷」。
実際何故、こんなことが起きるのか具体的にはよくわかっていない。
少なくとも「構造計算書偽造」並みに構造がトチ狂っており、
骨肉の争いとなんだかわからんが人を魅了する魔性、
その他怪奇現象を含め、誰がこんな館に住みたがるかという邸宅。
だけど「嫌よ嫌よも好きの内」で、訪れちゃった人は
必ず誰かが犠牲になり、文字通り永住する羽目になる。
後のお化け屋敷映画に多大な影響を与え、
シャイニング」なんかは最も影響を与えられている。
にしてもこういう映画って、白黒だと映えるねぇ。

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