2009年3月26日木曜日

屋敷女

映画「屋敷女」に登場。
 
名前不明。妊婦サラのお腹の中の赤ん坊を狙う謎の女。
イライラするとタバコを吸う癖がある。 クリスマス・イヴ。出産を間近に控えたサラは
上司に家まで送ってもらい、自宅で一人、孤独に耐えていた。
夫は4カ月前の車同士の衝突事故で亡くしている。
そんな彼女の家を見知らぬ女が訪ねてきた。
不審に思いサラがとりあわずにいると、女は窓を割って進入を試みる。
サラが警察を呼んだことで一時は撤退する。
警察はしばらくしたら家に警官をパトロールさせることを約束し帰る。
深夜、彼女が陣痛で目を覚ますと、そこには自分に馬乗りになって
腹にハサミを突き立てようとしている女の姿があった。
間一髪少し刺されてすんだサラは、浴室に逃げ込む。
女は執拗に襲い掛かるが、そこへサラの上司が訪れる。
上司は女をサラの母だと勘違いし、世間話をするが
そこへサラの本当の母が現れる。サラの母は女を警戒しながら
娘がいる浴室へ向かう。上司は女がサラを襲った女だとわかる。
浴室にいるサラは女だと間違えて母を刺し殺してしまう。
異変に気がついた上司が浴室へ向かおうとするが女に
ハサミで滅多刺しにされてしまう。サラと女との孤独な戦いが始まる。
女は死体を片付けるためにドアの前に家具を置いてドアを塞ぐ。
女が死体を片付けている間にサラは浴室のドアに穴を開け、
穴から手を伸ばしてドアを開けようとするが女に見つかってしまい、
ハサミで手を壁に磔にされてしまう。そこへパトカーに乗った警官が現れる。
女はサラに扮し、二人の警官たちを帰らせようとするが
警官たちは異常に気がつき、一人は女を拘束しようと
もう一人は浴室のサラを助けようとする。しかし女は拘束しようとした
警官を殺し、サラを介抱しようとハサミを抜いた警官を、
殺した警官から奪った銃で射殺する。追い詰められたサラだが、
パトカーにまだ乗っていた残りの警官が別件の容疑者を連れて助ける。
女はその場から消えたように見えたが、突如家の電気が全て消える。
女の仕業であることは明白であり、サラに安全な場所に隠れるよう促し、
容疑者を連れて警官はブレーカーを上げに行く。
しかし闇に乗じた女に警官も容疑者も殺されてしまう。
サラはただ一人戦うことを決意し、女に激しく殴打され気絶しそうになるが
女がタバコを吸おうとした瞬間スプレーを噴射し、女の顔面に
火傷を負わせる。逃げた女を追うべく、サラはカメラのフラッシュを
頼りに家を捜索し、遂に見つける。サラは殺そうとするが
「また殺すの?」という女の言葉に手を止める。女は4ヶ月前の
事故の相手であり、女は事件時に妊娠しており、事故で流産になったのだ。
サラは女が死んだと医者に聞かされていたのだ。
身寄りのない女にとって赤ん坊だけが心のよりどころであり、
それを奪ったサラに復讐すべく、サラの赤ん坊を奪おうとしたのだ。
サラは同情するが、自分と自分の赤ん坊を守るべく女を殺そうと決心する。
突如家の電気が全て灯る。ブレーカーの方を向くとそこには
さっき殺されたはずの警官が立っていた。だが様子がおかしい。
サラは警官に駆け寄るが警官は叫びながらサラを警棒で執拗に殴打する。
サラに襲い掛かる警官を刺し殺す女。瀕死の状態のサラは
階段を上りながら、遂に出産を迎えようとする。しかしなかなか赤ん坊が
産まれない。女はサラの服をハサミで裂き出産しやすくするが
何を思ったか腹にハサミを突き立て、泣き叫ぶサラを他所に
ゆっくりと着実にサラの腹を裂いていく…静けさに包まれたサラの家。
中は死屍累々としている。階段にサラの腹が裂かれた死体がある。
血だらけの部屋で赤ん坊を抱きながら部屋を歩く女。
女は安楽椅子に腰掛け、産声を上げる赤ん坊をあやし続ける…
(名前は私がつけた仮称です)
 
血と悲しみに満ちた映画「屋敷女」。
ユーロホラーの底力を見せた怪作である。
この映画に登場する二人、サラ」と「女」は突然の不条理で大切なモノを失った。
片方は愛すべき夫を、もう片方はかけがえのない小さな「命」を。
自分が失ったモノに生きるべく活力を奪われた二人。
「サラ」は生きながら死に、ただ赤ん坊が産まれることを待つ。
「女」は一人悲しみにくれながら、凶行に走る。
自分から奪ったモノを「取り返す」べく。
「女」を演じるベアトリス・ダルの迫真の演技は
筆者を久しぶりに画面に向かって謝らせるくらい凄まじかった。

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