2009年3月13日金曜日

ジョルジュ

映画「キャッスルフリーク」に登場。
 
飼い猫にミルクを与え、古城の地下室に数切れのサラミとパンを運ぶ老婆。
地下室の扉を開け、その部屋に繋がれている者にムチを振るう。
その部屋には、虐げられつづけられ異形と化したジョルジョが閉じ込められていた。
血にまみれ泣き叫ぶジョルジョを残し、老婆は食事の入った皿を置いて出て行く。
だが老婆は突然帰らぬ身に。オルシノ家の末裔でアメリカに住むジョン・ライリーは
700年の齢を経たオルシノ城を相続し、妻スーザンと盲目の娘レベッカを連れて
城を売却処分すべくイタリアにやってきた。見た目は立派な城であるオルシノ城。
しかしそこへ入ると、壁に並べ飾られているのはおぞましく不気味な絵画が目につく。
使用人のアニューゼはジョンに「この城に長居してはいけません」と告げる。
その晩、ジョンはスーザンと情事交わそうとするが断られる。
今から九ヶ月ほど前の晩の雨の日、二人の子供を連れてドライブに出かけたジョン。
夕食には帰ると妻に約束して雨の中家路を急いでいた。
雨の中車を走らせていくうちに苛々してくるジョン。後部座席に座っていた息子JJが
落としたゲームを拾おうをチャイルドシートのベルトを外した時、
ジョンは事故をおこしてしまう。ジョンにはたいした怪我はないが、
レベッカは盲目となり、車外へ投げ出されたJJは息絶えていた。
事故の悪夢に目を覚ましたジョンは、城のどこかからか聞こえてくる
子供の泣声に気がつきジョンは声に誘われ、ふらふらと歩いているうちに
キッチンでアニューゼに出会う。子供の泣声が聞こえなかったかと訊ねたジョンに、
アニューゼは先代の公爵夫人にまつわる悲しい話を物語る。
第二時大戦後、アメリカ兵と結婚した公爵夫人は、息子ジョルジョを授かる。
幸福に包まれているかにみえた公爵夫人だが、ジョルジョが5才になった時、
夫は二人を捨て、夫人の妹とアメリカへ駆け落ちしてしまった。
その直後、ジョルジョがこの世を去ってしまう。しかし、気のふれた公爵夫人が、
夫への復讐心から息子に手をかけたのではないかとも噂されていた。
そして四二年間、狂気と復讐心に苛まれつづけた公爵夫人もまた、
帰らぬ人となったのだ。翌日、気晴らしにレベッカを連れて城を歩く。
二人は公爵夫人の部屋へ訪れる。ベッドの下に鉄ビョウが埋めこまれた
ムチを発見するが、ジョンはレベッカに黙っておいた。
そこへアルバムを見つけたジョンは見入ってる内に、レベッカが部屋を
出てしまったことに気づかない。退屈をまぎらわそうと公爵夫人の部屋を出た
レベッカは、隣の部屋で猫に出会う。猫に誘われるように、杖で足元を確かめながら
地下へ下り、鉄の扉に閉ざされた地下の一室へ。
鎖に繋がれたジョルジュがいたが、盲目の彼女にはわからず、そのまま引き返す。
しかし彼女が両親のもとに戻るとき、レベッカの姿を見たジョルジュは、
手かせから逃れるために親指を食いちぎり地下室から逃れた。
ジョルジュは窓の向こうに何者かの姿を見かける。それは鏡であり、
自身の姿を見たジョルジュはふいに込み上げた怒りにまかせて
ガラス窓を叩き割る。その晩、古城の中にはジョンたち以外の何者かがうろつき、
レベッカがその気配に脅かされる。また、原因を探りに地下に降りた
ジョンは、一族の墓所の中にジョルジョの遺影を見つける。
その幼い姿にJJを重ねあわせて咽び泣くジョン。その後警察に事情を話すが
まともに取り合ってもらえなかった。気づくとジョルジョの遺影がなくなっていた。
ジョンはスーザンを連れて墓所にやってくる。JJを失った悲しみも手伝ってか
スーザンにすがりつくジョン。だが、ジョンを許すことのできないスーザンは、
「あなたが代わりに死ねばよかった」と悪態をつき、彼を突き放す。
身を投げてしまおうと屋上に駆け上がるジョンだが、そんなことが出来るわけもなく、
バーで酒に溺れ、売春婦と出会い女に溺れる。城のワイン倉庫に連れ込み
一時の情事。再び酒に溺れたジョンはワイン倉庫で酔いつぶれてしまった。
そこへ現れる影。悲鳴を聞きつけ、地下に降りたアニューゼが
次の犠牲者となってしまう。翌朝、売春婦が家に戻ってないと通報があり、
警官がやってきた。夫の不甲斐なさを改めて実感したスーザン。
娘を連れて城を出ようとするが警官によって城に戻される。
そしてジョンは弁護士から意外な事実を聞かされる。
先代の公爵夫人を捨てたアメリカ兵こそがジョンの父親であると。
ジョルジョの墓を暴くジョン。すると、その棺の中は空であった。
ジョルジョは死んだのではなく、狂った公爵夫人によって痛めつけられつつも
生かされていたのだ。そしてジョルジョが繋がれていた部屋には
売春婦とアニューゼの死体が。しかし、ジョルジョの存在が
証明されたわけではなく、嫌疑をかけられたジョンは警察へ連行される。
警官たちに守られながらも不安な夜を過ごすスーザンとレベッカ。
だが一人、また一人と警官がジョルジュの手にかかる。
そしてスーザンとレベッカにも襲いかかり、ついにはレベッカは連れ去られてしまった。
レベッカをさらったジョルジュは、彼女に一枚の写真を見せる。
それはジョルジョの墓から消えた遺影であった。自分を指差し、遺影を指差す。
この写真は自分であると彼女に告げたいのだ。ジョンの推察と、
公爵夫人の噂は事実だった。だが、遺影を見ようとしないレベッカに
困惑するジョルジョはようやく気付く。この娘は目が見えないのだと。
困惑は悲しみにかわるが、それ以上に欲望にかられたジョルジョは
レベッカを手にかけようとする。だが、娘の悲鳴を聞きつけてやってきた
スーザンによってナイフを背中につきたてられ、レベッカは危機を脱する。
城内を逃げ惑うスーザンたちは公爵夫人の部屋へ逃れ、クローゼットに身を隠す。
あとを追ってきたジョルジョはその部屋で自分を痛め続けてきたムチを見つけ
狂気が倍増されたジョルジョは、ムチを振り回して破壊の限りをつくし、
公爵夫人の部屋を出ていった。なんとか難を逃れスーザンたちだったが、
再びジョルジョに見つかってしまう。そして逃げついたところは
それ以上逃れようのない屋上であった。あきらめる二人。
そこへジョンが助けに現れた。警察での取り調べの最中、
隙をついて逃げ出したのだ。屋根の上で闘いの末、ジョルジョを倒したジョン。
安堵し、スーザンとレベッカと抱き合うが、気を失っていただけの
ジョルジョは再び襲いかかる。鎖で打ちのめされるジョンだったが、
その鎖をからめ取り、ジョルジュとともに城壁の外へ身を投げる。
ジョルジュは絶命し、ジョンは死ぬ間際に妻に「許してくれ」とつぶやく。
妻はようやく夫を許し「愛してるわ」と言って泣き崩れるのであった…
 
過去の虐待の日々に囚われるフリーク
過去に亡くなった息子に囚われる夫の悲劇「キャッスルフリーク」。
そんな過去に縛られた男同士が最期は共に死する姿はなかなか印象に残った。
ジョルジュくんは過去の虐待により歪んで育ち、欲望をギンギンにしながら
常に下半身丸出しで歩く変質者。しかし盲目のレベッカが目が見えないことに
気づくと哀れみとも同情ともとれる感情も表す。
人間として愛ある育てられ方をされなかったゆえの所業。
基本ストーリーは陰惨な昼ドラに近いため、暗い気分になりたい、
悲しい気分になりたい方はどうぞ一見。

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