2013年6月5日水曜日

エンクレイヴ(Enclave)

ゲーム「Fallout」シリーズに登場。

エンクレイヴ (遠隔地、少数集団) は謎の多い軍事組織であり、
大戦直前、核戦争を予期した極右政治家や軍人、軍産複合体などの有力者が中心に結成した武装結社。
強力な企業に関係している政府高官と軍当局者の子孫で構成されている。
そのためエンクレイヴとその武装軍は、戦前の米国政府と米軍の公式な後継者でもある。
組織体系は米政府とその軍隊を模しており、指導者は「大統領」を自称している。
戦前のアメリカ合衆国政府と軍産複合体を直接の由来とし、安全な場所で核戦争をやり過ごし、
その後に大陸へ帰還、合衆国を復活させようという目的で組織された。
エンクレイヴは開いていないVaultを除けば、最後に残った純系人類の拠点の一つであることを誇りとしている。
この組織の大半は、エンクレイヴの外で生まれたほとんどの人間は根絶するほかないミュータントだと考えている。
放射能と強制進化ウィルス(Forced Evolutionary Virus=FEV)に対する影響により、
ウェイストランド人(現在の本土の人間)は見た目が全く一緒だとしても、もう人間ではないと考えている。
スーパーミュータントやグールといった他のミュータント化した生物同様、人間以下の存在だと見なしている。
良くても奴隷として利用され、最悪の場合は「真の人類」がアメリカの実際の国家を創れるよう根絶される。
現在でも戦前からの技術を保持、発展させ続けている。エンクレイヴの科学者は防具や武器の研究を続けているため、
同様に戦前の物資を保持している組織ブラザーフッド・オブ・スティール(Brotherhood of Steel=B.O.S) より
優れた装備をもっており、また貴重な化石燃料と、進歩したティルトローター機ベルチバードの供給も受けている。
荒廃した国家の支配を主張し続けており、その驚異的な技術と軍事力から他勢力から敵視されている。
エンクレイヴはかつて合衆国の影の政府であり、大戦争を生き抜いた数少ない旧世界組織の一つである。
2073年、わずかに残る天然資源を巡って世界中で開発競争が最高潮に達し、組織は核戦争が起こる可能性を考慮し、
ほとんどの一般市民が生き残れないと結論を出した。しかし合衆国の「重要な人間」が生き残っていれば、
素早く「人類」を再編成し、中国共産主義者を完全に一掃できると信じていた。
そのためにVault-tec社と協力を結び、Vault試験プログラムの実施を計画。
Vaultは米国政府が出資し、政府が管理した。表向きは、大戦争を生き延びる特権を与えられた
合衆国市民を選べるように意図された。だがVaultの大部分は戦後のある目的のために作られた。
宇宙旅行や地球への再入植は非常に難しく、予測不能な問題を伴うものとされた。
したがって平均的なアメリカ人がどのように様々な環境に対処できるかテストするため、
多くのVaultはある種の重大な欠陥があるように設計されたのだ。
2077年、全面核戦争が急速にアメリカに差し迫る中、合衆国大統領ほか多数の米国政府高官は
世界中に散らばった多くの秘密の場所に避難するため持ち場を離れた。
厳密にはエンクレイヴの一部ではないが、エンクレイヴの活動に利益となる多くの強力な企業と研究施設も
2077年の「炎の嵐」から保護された。中枢権力者のほとんどは大戦争が始まったときに
合衆国が確保に成功した世界で最後に残ったとされる原油供給先、「ポセイドン・エネルギー石油掘削施設」。
太平洋の底の何千フィートも下に埋蔵された石油を採掘する海上油田へと避難した。
実験が行われている住民を監視するために、石油掘削施設はVaultを観察・統制できる大量の設備を所有していた。
ここで米国が存続し、中国に対して開戦できるよう大統領自身が秘密基地を設けた。
当初の最終目標は共産主義者の撲滅と、戦後のアメリカ大陸を取り戻すことである。
大戦争から長い間、エンクレイヴは石油掘削施設で静かに留まっていた。
その間も力を蓄え続け、本土の誰よりも技術的に勝る優位性を手に入れた。
最終的に本土が安全だとわかると、外に出てアメリカの再生に向かい始める時期だと決断を下した。
非常に高い能力をもつティルトローター機ベルチバードを使い、最も近いカリフォルニア中に偵察班を派遣した。
そこでは彼らにとって驚くべき事態が待っていた。スーパーミュータント、グール、突然変異した動物、
生きているはずのない国民の子孫たち、本土に突然変異体(ミュータント)が蔓延していたのだ。
あちこちに散らばる突然変異体により引き起こされた破壊や荒廃を目にしたエンクレイヴ偵察班は
このことを上官に報告、全てのミュータントを一掃することが目標の一つに加わることとなった。
このとき屋外の本土で戦後100年以上も生き延びてきた者は放射能によって汚染されたか、
何らかの障害を負った、もしくは更に悪い状態に違いないという考え方が組織内に広まった。
そしてこれらのミュータントも、真の人類、真のアメリカが再び本土を手に入れる前に絶滅されるべきだとされた。
意外にもカリフォルニアの偵察と探査は続いた。エンクレイヴは核兵器で再び世界を破壊すること以外に、
ミュータント大量虐殺の野望を実行する手段を持っていなかったからだ。
しかし偶然にもエンクレイヴ兵はスーパーミュータント生誕の地、マリポーサ軍事基地を見つけた。
大戦争以前にFEVの研究が行われ、ほかでもないエンクレイヴ最大の脅威となったスーパーミュータントが創られたのだ。
エンクレイヴは軍事基地を発掘し、主に付近の鉱山都市レディングから集められた奴隷労働者を使った。
最終的に基地の地下深くで、複数のタンクを発見する。岩の中に埋没し何十年も忘れられていたが、
そのタンクにはあの泡立つ緑色の汚物、FEVが入っていた。
入手したFEVのサンプルの研究が行われたがほどなく、奴隷の鉱夫が生のFEVに完全に晒されたり、
誤ってタンク内に落ちたりすることも多く、スーパーミュータントの第2世代へと突然変異し始めた。
ミュータントの奴隷はすぐに暴動を起こした。最初のミュータント軍が残した武器や装置、
その他周囲のあらゆるものを手に入れ、スーパーミュータントは基地の上階に雪崩れ込んで
あっという間にエンクレイヴ兵を圧倒した。パニックに陥り退却する中、上階のエンクレイヴ兵は
基地から逃げ出し、入口を爆発物を使って封鎖した。マリポーサ基地を放棄してしまったが、
エンクレイヴは必要なFEVのサンプルを手にしていた。
石油掘削施設に戻り、合衆国化学隊は即座にウィルスの研究を始めた。
結果、FEVから信じられないほど強力で、致命的な毒を作れることが発見された。
だが研究を進めるためには、被験者が不可欠だった。必要なのは2つのテスト班だった。
一つは混じりっ気のない純粋な人間、もう一つは本土中に住む「ミュータント」のグループだ。
何十年も放射能とFEVに晒され、エンクレイヴにとっては汚れた存在だった。
汚れたサンプルはアロヨ村の全住人を拉致することで、簡単に入手した。
だが汚染されていないグループは、手に入れるのが難しかった。
エンクレイヴは化学隊に石油掘削施設の人々を利用することを許可しなかった。
恐らく全員がエンクレイヴの様々な計画にとって、非常に重要だったため。
そのため、別の場所に目を向けなければならなかった。
必要なストックを確保するため、再び本土が利用されることになる。
石油掘削施設の設備から選び出した供給源はVault13の居住者、
リチャードソン大統領が言うところの「管理グループ」に決定された。
ほどなくして、化学隊は強力な毒を開発した。汚れた人間に対しては100%致死性があることがわかった。
エンクレイヴが本土の全住人を殺すためジェット気流に向けて毒を発射する準備をする中、
「選ばれし者」という部族民がサンフランシスコに何年もあったポセイドン・オイル社のタンカーに乗り、
石油掘削施設に到着した。選ばれし者はアロヨの部族のほか、Vault13の住民の生存者も解放し、
石油掘削施設で自爆シークエンスを起動した。そしてエンクレイヴの本部は全て破壊され、
エンクレイヴの恐ろしい殺戮から世界は救われた。本部が決定的に破壊されたことにより、
リチャードソン大統領の痕跡は全て歴史から消滅した。今日では「大統領」の肩書きは、
子供を怖がらせるためのお化けとして使われているに過ぎない。
だが石油掘削施設の破壊で、全てのエンクレイヴが壊滅したわけではない。
ナヴァロなどの本土にある小さな前哨基地は生き延びることができた。
オータム博士に率いられたエンクレイヴ軍の一部が東海岸の施設レイヴン・ロックへ向かった後、
ナヴァロ前哨基地は新カリフォルニア共和国(New California Republic=NCR)によって占拠・破壊された。
彼らはエンクレイヴの存在が、周辺区域にとって脅威だと主張した。
NCRは施設での戦闘に勝利し、まだ残っていたり退却しなかったエンクレイヴの人員は全員殺された。
また逃げたエンクレイヴ軍の大部分はB.O.SやNCRによって捕らえられた。
捕まった者は戦犯として裁かれ、終身刑か死刑に処された。
ナヴァロの破壊後、辛うじて生き残った西海岸のエンクレイヴの残りは皆レムナント(残党、生存者)となった。
キャピタル・ウェイストランドへ逃亡した者、NCRに潜伏した者たちもいた。
NCRに潜伏したレムナントたちはお互いに連絡を取りつつ、新しい生活を始めた。
しかしNCRは生き残りが溶け込もとしているのを察知し、レムナントらは
モハビ・ウェイストランドの各地へと逃れた。その頃、レイブン・ロックのエンクレイヴ軍は
オータム博士という上級科学者の指揮の下、新しい謎の大統領ジョン・ヘンリー・エデンの命令を受けるため
再結集した。本隊はすでに壊滅し、残党に過ぎない東海岸のエンクレイヴだが、
その技術力と兵力はキャピタル・ウェイストランドにとって脅威となった。
もともとは大統領のアドバイザーおよびレイブン・ロックの管理者として従事していたエデンは、
東海岸エンクレイヴ軍を掌握した後、30年以上、レイブン・ロックに籠もりっきりだった。
偵察するためアイボットを派遣し、居住者に向けてエンクレイヴ・ラジオを送信するだけの日々。
その間エデンは新アメリカのビジョンへ導くため、新しい手順を考案した。
すなわち一般民衆へのエンクレイヴの存在を確立・強化、および遺伝子的に不完全な犯罪者の処分だ。
このことから、現在彼らの軍勢はアメリカの西海岸周辺と東海岸周辺で確認されている。
(画像はエンクレイヴのシンボルマーク。アメリカの国旗をモチーフにしている)

核戦争で焦土と化したアメリカを舞台にしたゲーム「Fallout」シリーズ。
エンクレイヴはかつてのアメリカ政府の末裔で、
その歴史は戦前からと、意外と古く、どの勢力よりも深い。
戦前の技術を維持、もしくはサルベージしたり、分析するのが精々の他勢力と違い、
新技術を開発、生産できる高度な技術力・生産力を所有している。
そのため事実上ウェイストランド最強の武力を保有する勢力のはずだった
しかしその排他的な思想から、ほとんどの勢力に喧嘩を吹っかけており、
その愚かさ(他勢力も似たようなもの)から、まともにアメリカを復興できない哀れな集団である。
彼らは過去の悪行(人体実験、奴隷、略奪、無情な襲撃etc.)、人を人と思わない思考から、
他勢力から恐ろしいほど憎悪されており、かなり文明的なNCR共和国においても
残党は見つけ次第殺害、または役立ちそうな技術、物資は没収。
死ぬまで強制労働を課せられる終身刑か処刑を言い渡される。
彼らがアメリカの復興を願う志自体は、素晴らしいものだが、
その手段が「戦前からVaultで国民を使った人体実験」、「自分たちは安全な場所に引きこもる
戦後に備えた武装の開発に勤しむ」、「我々だけの国家を建立しよう」という
生産性の欠いた独善的なもの。しかも長い間引きこもったおかげで、
その傾向は子孫たちに脈々と受け継がれ、極端すぎる思考が極限に達しており、
いざ本部から出てるとウェイストランドの破壊と荒廃、スーパーミュータント、グール、
その他諸々のクリーチャー、ヒャッハー!な奴らを目撃。
温室育ちな彼らに戦後のアメリカ本土の現状は受け入れられず、アメリカ復興は二の次に
俺たちのアメリカを返せ!」という見当外れな考えを持つに至ってしまった。
そして本土の全生命体の抹殺を目標に、現在邁進している。
同じく旧組織の末裔として陸軍が祖先のB.O.Sがおり、政府と軍隊という間柄から
協力を得られそうだが、何故か敵対(お互いの手段の違いから)しており、
明日も見えないほどの戦いを繰り広げているときがある。
現況はFallout2のラストで本部消滅、Fallout3の時代ではすでに本隊は壊滅しており、
そのため現在ウェイストランドでみられるエンクレイヴは残党である。
しかし本隊が壊滅した後も、最高司令部という存在がいることが発覚しており、
彼らのウェイストランド支配の野望は未だ潰えていない。
ただし彼らの中には自分たちの行為を恥じる者、脱走する者、
ウェイストランドに溶け込もとする者もおり、少しづつだが変わってきている。
もしかしたら、これから彼らの転換期が訪れるのかもしれない。
ちなみに彼らは独自のパワーアーマーと重火器、光学兵器などで武装しており、
本人たちは「我こそ正義」と語るが、パワーアーマー姿はどう見ても悪役っぽい。

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