2011年11月5日土曜日

ガンバンゼル=グロフ

小説、アニメ「戦う司書」シリーズに登場。

「欲望を満たす」ことを教義とする宗教団体「神溺教団」に属する老人。
自称博愛主義者。教団内で欲望の実現に対して一切躊躇しない最高階級の「真人」であり、
年老いるまでは教団とは関係ない普通の人生を送ってきたが、
その内には絶対的な力による破壊と殺戮への欲望を抱えていた。
しかし偶然目撃した武装司書ハミュッツ=メセタの圧倒的な戦闘能力に魅了され、
秘められた願望を神溺教団の総帥カチュア=ビーハインスに認められて入信した。
だが非力な老人に過ぎない自身では願望を叶えることはできないとわかると、
自分の代わりに圧倒的な力を奮える「最強の怪物」を作ることに腐心。
教団内で人間扱いされない最下級「肉」たちを集めて魔法権利を習得させ、
殺し合いをさせることで、死んだものたちから抽出される
魂の結晶『本』を食らう能力者・ザトウに彼らの本を食わせ、
多くの魔法を扱える「怪物」を使って、望みを果たそうとした。
しかしザトウに喰われた「肉」の一人であるエンリケに
ザトウの肉体が支配され、エンリケが戦いを望まないことで望みは潰えたかに見えた。
しかし諦めず、エンリケに怪物の理を説き、自分の下へくるように付きまとい続けた。
最期はエンリケに殺され、自分が作り出した「最強の怪物」に
自分が破壊されることに幸福を感じながら、『本』となった。

筆者が最近好きになった小説「戦う司書」シリーズに登場する、
気味の悪い老人ガンバンゼル=グロフ。
破壊と殺戮の渇望という、良くも悪くもありがちな望みだが
どう見ても身も心も枯れている老人が言う。
老人なのにその欲望が若者が考えそうなものなので、
これが良くある老後の楽しみ的な欲望だったら自然なのだが
身の丈に合わない、テラテラと脂ぎっていると称せる欲望。
老いているのに若いというアンバランスの部分。
この二つが筆者の中でとても醜悪に写り、気持ちが悪く感じ、
これが記憶に残り、筆者はこの老人が好きになった。
他人に力を奮わせることで欲望を叶えようとする姿、
自らが作り出した怪物に滅ぼされ、幸福に至る姿は
この枯れた老体が最高に醜悪で輝いている瞬間である。
ときに老人が若者のように波乱万丈な青春を送る姿を現実で見るが、
この老人はそれの醜悪なパロディともいえる。
ちなみにこの記事は筆者がアニメ版の彼の最期が好きなため、
原作ではなく、アニメ版に準拠した記事にしました。
ついでにいうと本作最大の悪役は主人公。

2 件のコメント:

: さんのコメント...

欲望を満たすことが目的の敵キャラと言えば、「烈火の炎」の森光蘭、「戦国BASARA」の松永久秀とかもいますね。
ただ、森光蘭は「永遠に欲望を満たす」という欲望の為に不老不死を求め、最終的に醜悪な怪物となり、
松永は「欲望に忠実に生きることが真理」を言う様に欲望を満たそうと様々なモノを欲しがるだだっ子の様な人、

松永は目先のモノしか欲しがらない人物で例えるなら「欲望という殻を身に纏った中身のない卵」なんですよね。
他の二人は目的が悍ましいものの、中身がちゃんとあるんですよね。
だからこそ、「醜悪」なんだと思います。
森光蘭は自ら「怪物」となり、ガンバンゼルは「怪物」を造り出し、己が欲望を満たそうとした。
欲望という名の怪物…それが彼等なんだと私は思います。

ちなみにガンバンゼルと森光蘭は声優の納谷六朗さんが演じています。

腐肉喰らい さんのコメント...

>:さん
確かに彼らのような「欲望こそが至高」という悪党は
まさしく欲望そのもの、怪物だ。

欲望を満たそうとあらゆる手を尽くす悪党。
その醜悪さ、悪辣さ、そして他者を顧みず、悪行を重ね続ける、その歪んだ心魂。
醜悪、ひたすらに醜悪な生き物。
だけど何故だろう、時にその醜悪さが美しく感じる
純粋な悪党ってどうしてこう、素晴らしいんだろう!