2009年10月22日木曜日

ジョン・ドゥ

映画「セブン」に登場。

キリスト教の七つの大罪をモチーフにした連続猟奇殺人事件の犯人。
本名、経歴、動機、全てが不明。得体の知れない男。
新たな殺人事件が発生し、退職まで あと1週間のベテラン刑事サマセットと
血気盛んな新人ミルズの両刑事が現場に急行した。
被害者は極限まで肥満した大男で、汚物にまみれ、
食べ物の中に顔を埋めた恰好で死んでいた。
死因は食物の大量摂取による内蔵破裂。
男の後頭部に付けられた銃口の痕から、何者かに、死ぬまで食べ続けるよう
強制させられていたことが判明した。
そして現場には、犯人が残したものと思われる
〈GLUTTONY=大食〉と書かれた文字が残されていた。
まもなく次の死体が発見される。凄腕で名高い弁護士グールドが、
高級オフィスビルの一室で、血まみれになって殺されていた。
そして現場には血で書かれた〈GREED=強欲〉の文字が。
サマセットは、犯人がキリスト教における
「七つの大罪=憤怒・嫉妬・高慢・肉欲・怠惰・強欲・大食」に基づいて
殺人を続けていることを確信、ミルズにあと5人殺されるだろうと告げる。
「強欲」殺人の現場を再検証した2人は、壁の絵画の裏に
指紋で書かれた「HELP ME」の文字を発見。
その指紋は前科者の通称ヴィクターのものだった。
ヴィクターの部屋に急行した捜査陣は、舌と右腕を切られた上、
ベッドに縛りつけられて廃人同様となったヴィクターを発見。
部屋には彼が衰弱していく様を撮影した写真と〈SLOTH=怠惰〉と
書かれた紙が残されていた。グールドの部屋の指紋は、
ヴィクターの切り取られた右腕で付けられたものだった。
捜査は振出しに戻り、サマセットはFBIの友人の協力を得て、
犯罪者に利用される恐れのある″要注意図書″リストの
「七つの大罪」に関する図書館の貸出記録から、容疑者を割り出そうとした。
ほどなくある男が該当者に挙がった。
半信半疑のまま、2人は男のアパートを訪ねるが、
その時、帰ってきた男がいきなり拳銃を発射して逃げた。
どしゃ降りの中を追跡したミルズを、男は待ち受けて打ち倒し、
頭に銃口を突きつけるが、なぜかとどめは刺さずに去った。
男の部屋からは、今までの被害者を撮影した無数の写真が発見された。
大胆不敵にも、男は報道カメラマンのふりをして、
ヴィクターの殺害現場に現れていた。男から挑戦の電話が入る。
やがて、第4の殺人〈LUST=肉欲〉として娼婦が殺され、
第5の殺人〈PRIDE=高慢〉として顔を切り裂かれて
悲観した美人モデルが自ら命を絶った。
そんな時、意外にも残る2件を残して、ジョン・ドゥと名乗る男が
警察に自首して来た。拘置された男の過去や身元は全く不明だった。
男は自分は選ばれた人間で、誰もなし遂げなかった偉大なことを行ったと言う。
ドゥは、ミルズとサマセットを伴ってある場所に車を向かわせた。
とある荒野で止まった一行の前に、宅配便の車が現れ、小さな箱を置いて去った。
ドゥはその箱の中に、ミルズの新婚の妻トレイシーの生首が入っていると言い、
これは彼を羨んで彼女を殺した〈ENVY=嫉妬〉の罪だとも語った。
逆上するミルズは怒りにかられ、ドゥに銃口を向けた。
サマセットは必死で止めるが、ミルズは相手の挑発に乗り、ドゥを射殺してしまう。
男の目論見どおり、〈WRATH=憤怒〉の殺人をもって7つの殺人は完結した。
ドゥと名乗る男の正体も動機も闇へと消えた。
サマセットは絶望感に包まれ、再び雨降りしきる町に戻った…
(名前の意味は名無しを指す)

不気味で得たいの知れない男の映画「セブン」。
ジョン・ドゥの目的は一応「罪を罰する」ということなんだが
人間の「」に関する根深い問題がここにはある。
彼が「七つの大罪」をモチーフにした理由もこれにあり、
はっきりいってしまえば人間は「罪深き生き物」だということ。
キリスト教圏において人間は生まれながらに原罪を持っており
ジョン・ドゥは「誰もこれを裁こうとしない」現状を脱するために
自ら裁きを下す。しかも容赦なく老若男女を問わず、
自身をも裁く姿は清いほど「悪」と「善」が両立しており、
名も過去も持たない彼は何物にも属さない。
ただただ純粋な何か、それが恐ろしいのだ。

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