2008年11月6日木曜日

D-フェンス

映画「フォーリング・ダウン」に登場。
 
本名ウィリアム“ビル”フォスター。
「D-フェンス」という名は、彼が乗っていた彼が勤めていた会社の車のナンバーが
会社名になっており、そこから彼を追いかける
プレンダーガスト刑事が取ったニックネーム。
少し自己中心的で暴力的だが娘を愛している、
どこにでもいる真面目なサラリーマン。
だが妻ベスは彼の暴力性に嫌気がさし、娘アデルを連れて離婚した。
その後彼は勤めていた軍事会社「D-フェンス」にリストラされるが
一緒に暮らしている母親にはリストラのことは告げず、
毎日ネクタイとワイシャツを着てカバンにはサンドイッチだけ入れて
会社に通う振りをし続けていた。
1991年6月12日ロサンゼルスのハイウェイが
工事により大渋滞になり、彼の車は渋滞に嵌る。
太陽が車を照りつける。車のエアコンは故障し、窓も壊れて開かない。
車内に入り込んだ蝿が彼の周りを飛び回る。
他の車からは野次や子どもの泣き声が聞こえ
隣のスクールバスからは一人の子どもが彼を見つめている。
彼は突然車を乗り捨て、妻と娘に電話をするため歩き出した。
電話を掛けようとするが小銭がなく、コンビニのアジア系の店主に両替を頼むが断られる。
仕方なくコーラを買おうとするが値段が通常よりも高く、それに怒り狂った彼は
店主から奪ったバットで店内を破壊するとコーラの通常の値段の50セントを置いて店を出た。
やっと電話をかけたが相手は話し中。難癖をつけてきたチンピラ2人を撃退した後
再び電話をかけると繋がった。妻は家に来ることを拒否するが、
彼は娘の誕生日プレゼントを持って訪ねると伝え電話を切った。
その時、さっきのチンピラが仲間を連れて車で現れるとマシンガンを乱射。
だが一発も弾は当たらずチンピラたちは車の運転を誤り、事故を起こす。
彼はチンピラの銃器を奪い、「もっとよく狙え」とチンピラの足を銃で撃ち抜く。
その場を立ち去り、ファーストフード店で朝食を頼むが
規定時間を3分過ぎているので時間外だと言われてしまう。
3分過ぎているだけで断られたことに激怒し、銃を取り出して脅す。
だが気が変わり昼食を頼むと出てきたモノを見て
「実物と広告じゃ違うじゃないか」と怒り店内でマシンガンを乱射して出て行った。
途中公衆電話でもう一度妻に電話を掛けるが繋がらない。
後ろで並んでいた男に罵られ、電話ボックスを破壊。
靴の底が擦り切れたので近くにあった払い下げ軍用品店で靴を求めると
そこを営んでいたのはネオナチの店主で勝手に革命家と勘違いされ、
そうじゃないとわかると殺そうとしてくるので逆に殺す。
店の商品を持ち出して歩いて行くと、その先は道路工事で行き止まり。
彼は「来年の予算のための工事だろ!」と憤りを感じ、
店から奪ったバズーカで工事現場を爆破する。
敷地の壁を乗り越えながら最短コースで妻の家に向かうと会員制ゴルフコースに出て、
そこでも「ゴルフコースより遊園地を作れ」と怒りをぶつけ、ゴルフカートに散弾をぶちまける。
それを見た会員の老人は心臓発作になるが、彼は無視して妻の家へと急ぐ。
そしてついに、彼は妻の家に辿り着くが、妻と娘はさっき掛けた電話から
危機を感じて逃げ出していた。彼は彼女らの居場所を突き止めるが
そこにプレンダーガスト刑事が現れて説得を始める。
だが彼はポケットに銃があると脅しをかけ、撃ち合いを申し込んだ。
そして3つ数え、懐に手を入れるのを見て、刑事は反射的に彼を射殺する。
だが彼が持っていたのは水鉄砲だった。彼はそのまま海へと落ちる…
 
この人が家で昔のホームビデオを眺めてるシーンで
娘が小さかった頃は皆幸せだったという思いで見つめる彼を見ると。
もうなんだか。色々な感情が湧いてくる。
映画ではロバート・デュバル演ずるプレンダーガスト刑事は事件で撃たれ、
それが原因となって妻が病的に心配するようになり、内勤ばかりうけるようになった
彼は署内から軽蔑されていた。そして娘を病気で失った過去もある。
ようするにD-フェンスと共通するものがある。それは一方は正義であり、一方は悪である
対比描写から彼らは全く違うようだが社会に翻弄された境遇同士なのだ。
その関係はバットマンとジョーカーのよう。更に刑事の私物には『ロンドン橋落ちる』の置物があり、
D-フェンスも娘への誕生日プレゼントに似たような物を買っている。
そして、「ロンドン橋落ちる」という歌は、D-フェンスが「社会の悪」に堕ちていく様を表しているようだ。
「社会」というものは一見素晴らしいもののようだが、その「社会」はいつ何時不幸をもたらすか分からず
その不幸に反抗する「被害者」は悪と見なされる。
彼はその理不尽な理に対して不満をぶつける。
映画のラストで彼の希望だったものを表すシーンがあり、そこで彼はただの人間だったことを思い出させる。
彼が気に入ったなら彼の生き様である「フォーリング・ダウン」をぜひ観てください。

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