2024年12月14日土曜日

レイス


ゲーム「デッドバイデイライト」に登場。

本名フィリップ・オジョモ。
顔に三本の白線が斜めに入った模様が特徴の長身痩躯の黒人男性。
頭は泥で覆われ、泥で固まった頭髪はまるで樹木の枝のようになっており、
皮膚もまた樹皮のような質感になっている。
上半身には丈の短いマントとショールとスカーフを、
腰にはユーティリティベルトを巻いて、足は包帯を纏っているが、
一見すると全てボロボロなため服装全体に一種の統一感がある。
就職先の上司に殺人の片棒を担がされた後、謎の存在「エンティティ」によって
霧の森へと召喚された。以来、生存者たちを狩り続けている。
鋭い刃に人間の頭蓋骨と背骨がついた凶器「アザロフの頭蓋骨」を右手に、
左手に持った古代の力が込められた古い釣鐘「悲哀の鐘」を使って、
生存者を奇襲する殺人鬼。この鐘はエンティティ由来の品物であり、
おそらく父の遺品である「幸運の鐘」が変化したか、
またはエンティティによる、悪趣味なオマージュと推測される。
鐘中の鳴子を骨や縄で結んだものと変えることで、音の有無や攪拌を変化させ、
様々なエンティティのシンボルや謎の文字を記すことで、自身に古代の力を付与する。
最大の特徴はこの鐘は鳴らすと魂の世界に入り込むことができるとされ、
鐘の力でレイスは自身の姿を透明にすることができる。
このため気配をほとんど悟られることなく、獲物を追跡することができる。
しかし透明になっている間は攻撃できないため、一度鐘を鳴らして姿を現す必要がある。
また遠目ではわからないが、接近された時に目を凝らせば
光の屈折による空間の歪みが若干発生している。
しかも常に鼻づまりのような息苦しい吐息音をしており、
裸足で移動しているが、歩くたびに大きな足音を立てている。
意外にもある程度接近されれば、生存者側は容易にその存在を察知できる。
この能力に対する一種場違いの行動、その理由は不明だが、
過去の出来事が彼から人間性を奪ったことで獣同然の精神状態からくるものか、
はたまた精神が崩壊した茫然自失の状態からの無意識なものなのか、判断はつかない。
彼の出身はナイジェリア北部の小さな村。幼少期は両親や祖母と共に暮らしていたが、
民族浄化を目的とした虐殺部隊によって、幸せな生活は終わりを告げる。
村人は蹂躙され、少年だった彼は父親の遺品である「幸運の鐘」を握り締めて、
両親の帰りを待ったが、両親は帰ってこなかった。
祖母アビゲイルは可能な限り、残酷な真実からフィリップを守ろうと嘘をついたが、
いつしか二人からは、涙しか出なくなった。そして二度目の襲撃を知らせる鐘の音。
二人は間に合わせの壕の中で過ごした。祖母は外から聞こえる不穏な音から
フィリップの気を逸らすため、算数の問題を出し、フィリップは答え続けた。
彼の両親は算数が出来れば、フィリップが聡明な子に育ち、学校の成績が良くなれば、
人生にチャンスをもたらすと信じていた。その両親がもう存在せず、
勉強も遊びも、話もしてくれない事実を認識せざる終えなかった。
そしてそんな祖母も、壕の外から聞こえた子どもの泣き声を放っておけず、
フィリップを残して、壕の外へと出て行ったしまった。
それから何時になったか、死んだ方がマシと考えたフィリップは外へと出た。
腐臭、焼けた匂いが立ち込める外には、祖母の姿はなかった。
両親も祖母も友人隣人も失った。彼はかすれた囁き声で祖母を呼んだ。
その囁き声はいつしか叫びへと変わり、それに対する応えは夜の沈黙だけだった。
何もかも奪われたフィリップの手元には、「幸運の鐘」だけが残った。
天涯孤独となったフィリップは、死を望んだ。
しかしそこへ、フナニャという女性が手を差し伸べた。
死を懇願した彼に対して、フナニャはそれでも生きなければいけない、
生きて証人になり、何が起きたのか伝えなくてはならないと説得された。
フナニャとフナニャに保護された子供たちと共に新しい生活を始める。
しかし虐殺部隊によって廃墟となった住居に隠れ住む生活は、
未だ心の傷が癒えないフィリップにとって、復讐の呼び水となった。
人殺しで金を貰うもの、人殺しに金を払うものを憎悪した。
そんな彼を見て、フナニャは奴らは多くのものを奪うが
人間性を奪うことはできない、だから自ら人間性を手放してはならないと説いた。
しかしフィリップは彼らは代償を払うべきだと、頑なだった。
フナニャは自分たちが生きて証人になるため、慈悲の天使に自分たちの無事を祈るべきだと言うが
フィリップは彼の父が信じたように、金のある人は犯罪を犯すために余裕があり、
そして罪から逃れる余裕があると考え、死の天使に奴らが苦しむことを祈りたかった。
フナニャ曰く、「目には目を」の精神は自分たちを盲目にし、世界を暗闇に包んでしまうと。
しかしフィリップからすれば、先に盲目になったのは世界であり、
自分たちに起こった出来事に対して世界は無関心であり、それが自分たちが奪われ、
屈服させられる理由であり、この世界の数学的な公式であると考えた。
だがフナニャが語る先人の言葉に対して一瞬だけ、彼は彼女が正しいかもしれないと思った。
復讐より先に、世界は無関心でなくなり、自分たちを助けてくれるかもしれないと。
しかしある日の晩。フィリップが夜の見張りをしているときだった。
彼は何日も眠れておらず、その時、一瞬だけ目を閉じてしまった。
その一緒で眠ってしまい、彼が起きたのは次の日の朝だった
飛び上がりながら彼は周囲を確認する。かつて友人だったものが
一つ、また一つと見つかった。そして変わり果てたフナニャの姿を。
夜中に起きた虐殺部隊の襲撃は苛烈であり、彼らはフナニャを拷問し、
足の腱を切った上に、そこへ蜂蜜を塗り、蟻に生きたまま捕食させたのだ。
フィリップは必死になって蟻を払い続けたが、蟻はいくらでも湧いてきた。
フナニャは必死に喋ろうとするが、口からは血が噴き出ただけだった。
彼女の舌は失われており、話すのもままならなかった。
絶望感と罪悪感から座り込み、「ごめんなさい」と後悔と謝罪を口にした。
しかし、ごめんなさいでは彼女は助からない。
ごめんなさいではアリを追い払うことも、死んだ子供たちを取り戻すこともできない。
そんな彼に対して、フナニャは指で地面に書いた。「許す」と。
フィリップは長い間その言葉を見つめ、しばらくすると静かに涙を流しながら
彼女の顔の上に手を下ろし、彼女の苦しみが終わるのを待った。
彼はそうしたくなかったが、しなければならなかった。
望まぬ形ではあったが、彼は一瞬だけ彼女の慈悲の天使となった。
その晩、フィリップは闇に紛れて別の壊滅した村を見つけ、
そこに虐殺部隊が野営しているのを見つける。
おそらくフナニャを殺した連中。あるいは彼の祖母や両親を殺した連中。
理性ではフナニャが許すべきだと語りかけ、祖母が数学の問題で彼の心を宥めようとした。
しかし彼の激しく狂った憎しみの情動は止まることを知らず、復讐を求めた。
焚き火を囲み上機嫌で酒を呷り、虐殺した人々を動物のように扱い嘲笑する奴らには
地獄の苦しみを与えなければならない。そのとき何か古代の邪悪なものが、
別世界から伸ばされた暗い触手が、自身の若く無垢な心を掴むのを感じる。
彼は自分の血管に灯油が流れるのを感じ、そして行動を開始した。
フィリップは銃や武器で全員を相手することを考えたが、慣れてないものを使えば
彼らはおそらく逃げてしまうだろうと考えた。出来れば彼らが苦しみながら消えることを望んだ。
彼は近くにあった灯油を奪い、寝静まった兵士たちの周りに撒いて火を放った。
突然の炎に恐怖した彼らに次々と火は燃え移り、断末魔を上げて焼死していった。
惨状に気を取られたフィリップの体にも火が移り、彼はその場から逃げた。
そして激痛のあまり、倒れこむ。いつの間にか傍らにあった「幸運の鐘」を叩いた。
死の天使が死を告げるかのように。その後、新たなスタートを求めてナイジェリアを飛び出し、
新生活への期待を胸に、フィリップ・オジョモはアメリカへ渡った。
彼は幸運にも自動車解体の仕事にありつく事ができた。
「オートヘイヴン・レッカーズ」。それが彼の新しい生活の場だった。
小さな廃車置場のオフィスで、ボスが裏社会の仕事や警官への賄賂を行っていることに
フィリップは気づいていた。しかし故郷での悲惨な生活を考慮すれば、
取るに足らないことであり、彼自身はその仕事に巻き込まれなかった。
彼はプレス機を操作し、車を廃車にする作業を淡々と続けた。
車をひたすら小さい鉄の塊へと変えていく。
日々、そんなことを続けていた。トランクから血が流れていることに気づくまで。
ある陰鬱な日、たまたま潰してない車に偶然見つけた変化。
彼は車のトランクを開けることを戸惑わなかった。
中にはパニック状態の縛られた若い男がいた。
彼はその男を解放した。 男が10フィートほど逃げたところで
ボスであるミスター・アザロフが男を引き留め、男の喉を掻っ切った。
フィリップは突然の出来事に、ボスへ説明を求めた。
正確には、何がここで行われていたか理解していたが、理性がそれを拒んだのだ。
しかしアザロフが告げた真実は、予想通りのものだった。
アザロフは故郷にいた人でなしどもと同類だった。
廃車置き場は処刑場であり、フィリップはそこの処刑人である。
すべては客からの依頼であり、車と一緒に人間も「廃車」にしていた。
フィリップは知らぬ内に委託殺人を任され、犯罪の片棒を担がされていた。
そして自身の無関心が、不穏な職場とボスへの警戒心を鈍らせ、
奴らと同じ、他者を食い物にする人でなしに自分を変えたのだ。
この事実は、フィリップの精神を急速に狂気へと追いやった。
彼は激昂し、ボスをプレス機の中に投げ入れ、ゆっくりと粉砕した。
アザロフの頭だけが突き出ていたため、頭と背骨を体から引き抜いた。
そして彼は立ち去り、以降フィリップの姿を見た者はいない。
その後、アザロフの所業は明らかとなり、警察が捜索した結果、
廃車に詰められた数百に及ぶ遺体とそれを生み出した首謀者であるアザロフ。
その遺体も首なし状態でプレス機から発見された。
この廃車置き場のオーナーは、金儲けのために死体処理や委託殺人を行っていたようだが、
いつしか快楽のために殺人を行っていたと推測されている。
アザロフが所有していた給油所「ガス・ヘヴン」周辺で失踪者が続出したこと、
またその住居で奇妙な彫刻や版画が見つかり、地下室には犠牲者を監禁していた痕跡があり、
アザロフの精神状態が不安定だったことが、事件に結びついているとされる。
周辺の街は風評を気にして、廃車置き場を閉鎖。ここの出来事を忘れようとした。
しかし夜に明かりが点灯・消灯する様子を見た者から始まり、
次第にプレス機が動く音を聞く者も現れ始めた。
住民は何かがあると疑ったが、彼らは自分達の生活を守るため、見て見ぬ振りをした…

デッドバイデイライト」において第二のプレイアブルキラーが
このレイスだ。まるで〇レデターのような能力を持ち、奇襲を仕掛ける殺人鬼。
誰もいない。そう思った瞬間、唸り声じみた呼吸音と共に不気味な鐘の音が響き渡る。
まさに神出鬼没。死を告げる天使の前に、恐怖に震え上がるしかない。
しかしリリース直後は便利な透明化のはずが、意外と見えたり、音が聞こえたり、
発動と解除に鐘を鳴らすのが手間だったり、攻撃以外も特定のアクションが行えなかったり。
あらゆる状況において不便というよりも、ゲームにおける不幸を一身に背負った
不憫さは、まるで設定上の生い立ちに比例するようだった。
また板をぶつけられたり、ライトを浴びせられて、「ブモー!」と表現できるような
叫び声を上げたりして、最早ネタキャラ扱い。
しかし度重なるアップデートによるブラッシュアップの結果、
文字通り奇襲に長けた、良いキラーとして地位を得ている。
レイスのゲーム上のあんまりな境遇は置いて、彼の経歴は悲劇としか言えない。
悲劇に悲劇をトッピングした、胃もたれしそうなラインナップ。
人でなしに奪われ続けた結果、慈悲よりも復讐を選び、
自らの不幸の原因に鉄槌を下すが、更なる人でなしの出現により正気を失った。
しかし何より悲劇は、世界が無関心であることを恨んでいた自身が
同じように無関心になってしまった。それに対する罰かのように
彼自身を人でなしに加担させるという、無情な結末。
理性を手放して鐘のように空洞になったと思しき彼が、
時たま出す唸り声や叫び声は、最後に残った人間性が、
鐘のように鳴り響いてるだけなのかもしれない。

2024年11月19日火曜日

ABCロボット


映画「ジャッジ・ドレッド(1995)」に登場。

錆色をした戦闘用ロボット。両手に機関銃が内蔵されている。
犯罪者リコが訪れた武器屋に安置されていた。
核戦争後、全て機能不全になったとされたが、
武器屋の店主曰く「探せば手に入る」という。
製造から50年、60年近く経っていたがリコが修理したことで活動を再開。
リコを主人と再認識させ、リコらと共にメガシティで暴れまわる。
その後ファージーを負傷させ、ハーシーを人質に取り、
彼女の首をへし折ろうとしたが、負傷したファージーの決死の行動によって、
背後を取られ、首周辺の動力ケーブルを引きちぎられてしまう。
最終的に前のめり倒れ、活動を停止した…

映画「ジャッジドレッド」に登場する戦闘ロボット。
映画の出来については触れずに、この唐突に登場したロボットについて。
人間的な顔の造形と赤い目、マッシヴなボディ。
一発で悪役かつ、力自慢であることを表現できているのは
素晴らしい。原作コミックには登場しないロボットであり、
元ネタはイギリス・コミック「ABC warriors」からであり、
本作では何故かカメオ出演という扱い。

2024年11月10日日曜日

ディーラー

ゲーム「Buckshot Roulete」に登場。

浮遊する2つの手と、人間とは思えない異常に鋭い歯の生えた丸顔で構成された存在。
正体不明、本名も不明。ナイトクラブを思わせる建造物の一室で待ち受けており、
ショットガンを使ったロシアンルーレットに興じる。
撃たれると出血し、しかめ面や苦痛の表情に変わる。
少なくとも生き物のようだが、何度撃たれても既定のライフ数と勝負が続く限り、
何度でも起き上がるため、不死に近い存在なのかもしれない。
過去に「神」と名乗る者と勝負したことが示唆されており、
プレイヤーがゲームに使用するアイテムを箱から取り出す際、
稀に血塗れの免責同意書が出てくるときがあり、署名に「神」と記されている。
ゲームの開始時に必ず免責同意書に署名させるところや、
弾の装填は不規則、ルールを都度説明するなど、
律儀な性格をしており、フェアなゲームを楽しんでいるが、
それは同時に、命を賭けたゲームを純粋に楽しんでいる狂人の側面でもある。
最終ラウンド以外ではプレイヤーが死んでも、
何度でも除細動器で甦らせることから、ギャンブル依存症の疑いがある。
ゲームは署名後に開始され、横のモニターに電源が入り、
3ラウンド続くことを示す。第一ラウンドは純粋な確率での勝負であり、
運が悪くなければ、勝ち抜くことができる。
第二ラウンドは新ルールとして「アイテム」の使用が導入される。
戦略性が増し、理詰めで運をモノにする面が強くなる。
第3ラウンドでは4つのライフ数以下になると除細動器が使用不能になり、
この状態で撃たれると、文字通り本当の死が待っている。
プレイヤーが死んだ場合、銅で出来た門がある謎の空間へと飛ばされ、
(死後の世界と推測されるが、詳細不明)無情にも、「死亡」と推定される。
プレイヤーが勝った場合、ディーラーは死亡。
勝利した褒美として、賞金7万ドルとショットガンが贈られる。
プレイヤーは車の助手席に現金の入ったアタッシュケースとショットガンを乗せ
車でその場を後にする。しかしディーラーが本当に死んだかは不明である。
ルールに従ったのか、無力化されたのか、続行する気を失くしたのか。
現金を受け取る際に一瞬現れる、赤く光る眼のようなものが意味するのは…

装填中の沈黙がたまらない。ゲーム「Buckshot Roulete」は
謎の建物で、謎の存在と、謎のギャンブルを繰り広げる。
目的と理由も謎である。ただ、恐ろしい見た目のディーラーから
賞金と自身の自由を勝ち取らなければならない。
このディーラー、明らかに人ではない挙動をする。
薬室を覗かずに、割った虫眼鏡で装弾を確認する、
金属でできた銃身をノコギリで一瞬で両断する、
その両断した銃身をまた生やすなど、
異常なアイテムの力といえばそれまでだが、
プレイヤーが除細動器で甦るのに対して、
一切それを使う様子がないのが恐ろしい。
しかしビールや煙草は普通に使用し、
何故か律儀に手錠を手首にかけるなど、どこか人間臭い。
製作者のQ&Aによれば、彼の体は実際に「頭部と手が浮いてるだけ」であり、
人外であることは確かなようである。

2024年11月2日土曜日

ビートルジュース


映画「ビートルジュース」「ビートルジュース ビートルジュース」に登場。

死者の世界で600年以上生きている、いたずら好きな悪霊。
別名ベテルギウス。自称だがジュリアード音楽院に通い、
ハーバード大学ビジネススクールを卒業。
世界中を旅行し、ペストの時代を楽しく生き抜き、
エクソシストが見る度面白くて167回ほど観たらしい。
生前はペスト全盛の時代、墓荒らしを生業にしていた。
その後ドロレスという女性と結婚したが、彼女の正体がカルト教団の指導者であり、
人の魂を奪うことで不死を目指す彼女の目的は、彼の魂であった。
ドロレスが毒を盛ってきた仕返しに、斧で彼女を斬殺。その後死亡した。
現在はバイオエクソシスト(人間驚かし屋)事業を展開し、マネージャーとして活躍している。
常に下卑た笑みを浮かべ、慇懃無礼な態度を崩さず、よくジョークを口にする。
一見すると軽薄だが、悪霊としての実力は本物であり、
自由に空間や時空を歪曲させるなどの現実を改変する事ができ、
物体や人物のテレポートや変身、念動力、腹話術と人の声真似ができる。
冥界に来てからは、冥界ケースワーカーのジューノの助手を務めていたが、
自身の力と野心からか、バイオエクソシストとして独立を画策。
ジューノによって呪われた上に追放され、「ビートルジュース」の名を3回唱えなければ、
現世に干渉できなくなってしまった。
1988年、ビートルジュースはアダムとバーバラのメイトランド夫妻に召喚され、
ディーツ一家を殺そうとしたが、夫妻によって阻止される。
しかしディーツ家の娘リディアと結婚することで、現世へと復活を遂げようと画策。
最終的に夫妻の活躍により、冥界へ強制送還された。
その後36年間は、事業を拡大しつつ、リディアへストーカー行為を働いていた。
いつしか冥界で幽霊相談コールセンターを開くほどになる頃には、本当にリディアに恋していた。
しかし復讐に燃える元妻ドロレスが出現。行方を眩まそうとした時、リディアに呼び出された。
娘アストリッドを命を救うことを求められ、対価として結婚する契約を結ぶ。
娘が助かると、すぐに結婚式を挙げようとする。怒れる元妻を倒し、冥界の警官隊も無力化。
結婚は秒読みだったが、自身が助けたアストリッドに冥界の法を犯したことを指摘されてしまう。
これにより契約が無効化され、またしても結婚を阻止されてしまうのだった…

ティム・バートン監督の初期作にあたる映画「ビートルジュース」。
その当該人物であり、マイケル・キートンが演じるビートルジュースは
主役であり、同時に悪役でもある。常に下卑た笑みを浮かべ、
慇懃無礼な態度を崩さない、ポジティヴ精神の塊であり、
悲劇を喜劇に変え、下品なジョークを口にし続ける。
そんな彼が、生前は一目惚れした相手と即結婚、しかし双方の死により物理的に破談。
その後は死を求める少女リディアと出会い、利害の一致から結婚承諾。しかし即破談。
そして月日が流れ、またしても結婚、またしても破談。
3度もスピード結婚&離婚を繰り返す、最早お家芸である。

2024年10月10日木曜日

サンタクロース


映画「バイオレント・ナイト」に登場。

クリスマスイヴの夜に、酒場で飲んだくれるサンタ姿の老人。
実は正真正銘のサンタクロースである。
オモチャが欲しい、ゲームが欲しい、金が欲しいと
年々物を欲しがるだけで、クリスマスの奇跡を信じなくなった子どもたちに
愛想を尽かしており、今年で引退を考えながらプレゼントを配っていたのだ。
かつてサンタになる前は人間であり、人々から恐れられた凶悪なヴァイキング。
人間時代の名前は「赤いニコムンド」。愛用の大槌「脳天潰し(クラッシャー)」で、
相手の頭をかち割るのが得意だった。今では人間的にだいぶ丸くなり、
妻とは仲睦まじく、1100年連れ添った仲である。
酒場で飲みすぎた後、空飛ぶソリから吐瀉物をまき散らし、プレゼント配りを再開する。
大富豪であるライトストーン家の屋敷に舞い降りたサンタ。
プレゼント配りのささやかな報酬としてクッキーやミルク、酒などを摘まみ食いしつつ、
のんびり仕事を終えようとした。しかしそこへ武装した強盗団が現れ、屋敷を掌握。
強盗たちの目的は屋敷の地下金庫に隠された3億ドル。ライトストーン家の人々は囚われてしまう。
使用人を殺す際の銃声に驚き、屋根からソリごと飛び去ってしまうトナカイたち。
立ち去る手段を失ったサンタは、仕方なく襲い掛かる強盗一人を叩きのめす。
強盗が持っていた無線を奪い、どうするか思案に暮れるサンタ。
偶然にもライトストーン家で一番幼い娘トルーディと通信が繋がった。
トルーディは昨今では珍しい純粋にサンタを信じる良い子であり、
サンタは彼女のために強盗たちと対峙すること決断する。
持ち前の驚異的な戦闘力で強盗たちを一人一人片付けていく。
そしてライトストーン家の活躍もあり、無事強盗たちを壊滅させた。
自身を最後まで信じてくれたトルーディに感謝を告げ、
クリスマスの奇跡を信じようとしてくれたライトストーン家の人々を見直した。
そして自分の使命と最近の人々も満更でないことを再認識したサンタは、
置き去りにしていった薄情なトナカイたちを許しつつ、
世界中の子どもたちへプレゼントを配りに、夜空へと飛び立っていった…

サイレントナイト♪ホーリーナイト♪バイオレントナイト♪
映画「バイオレント・ナイト」を一言で説明するなら
サンタ風ダイ・ハード」と言えるだろう。
実際に作中で「ダイ・ハード」が言及される一幕がある。
後はひたすらにヴァイキングなサンタによるバイオレンスアクションが炸裂!
ついでにトルーディちゃんのホームアローン風のトラップも爆裂!
頭と言わず体と言わず、いろんな部分がエグい描写がたっぷり。
もちろん「赤いニコムンド」のキャラも濃く、何より同じ北欧が出自である
ヴァイキングとサンタクロースを合わせるとは、目から鱗である。

2024年10月7日月曜日

ピラニア(リメイク)


映画「ピラニア3D」に登場。

学名「パイゴセントラス・ナッテリー」。
アメリカのアリゾナ州ビクトリア湖の地底湖に生息する
超攻撃的な古代のピラニア。
先史時代におけるピラニアの祖先にあたり、
200万年以上前に絶滅したと考えられていたが、
共食いによって生き延びたと推測される。
その凶暴性は共食いによって、より先鋭化され、
数秒で獲物を喰らい尽くすことができる。
突発的な地震によって湖に亀裂が入り、地底湖から解き放たれた。
地元の漁師を皮切りに、地震を調査しに来た地質学者、休みに浮かれた大学生など、
春休みを利用して湖にバケーションしにきた観光客が次々と犠牲になる。
湖を閉鎖することも検討されたが、観光で収入を得る町にとって死活問題であり、
既に観光客で溢れている時点で、後の祭りだった。
最終的に難破した船に積まれたプロパンタンクを爆発させることで、群れのほとんどは爆死した…

ジョーズ」の正統な姉妹篇ともいえる映画「ピラニア」を
リメイクした映画「ピラニア3D」。
オリジナル「ピラニア」が公開されてから、30年の月日を超えて
しかも3D映画として復活させた結果、興行収入は公開3日で1000万ドルを超えた。
それはさておき、本作のピラニアはロブ・ボッティンのデザインした
オリジナルを現代的にブラッシュアップさせた非常に凶悪な姿で、
オリジナル同様、本編内で全容をバッチリ映している。
しかも鰓がまるでエリマキトカゲのようにおっぴろげて、威嚇するという
目に映るもの全てに襲い掛かる凶暴性が、より分かりやすく表現されている。
ちなみに学名である「パイゴセントラス・ナッテリー」は本来、
よく知られているピラニアの品種の名前であり、古代種は映画の独自設定である。

2024年9月16日月曜日

ノーティー・ベア


ゲーム「Naughty Bear」に登場。

クマのぬいぐるみたちが住むパーフェクション・アイランドに住む、
いたずら好きな(Naughty)クマのぬいぐるみ。
茶色の身体は所々ボロボロで、片耳が欠けており、
頭部、背中、腹部に傷跡がある。
基本的に喋ることができず、威嚇するように唸るだけ。
その様子からか、周りに住む他のクマたちから嫌われており、
恐怖や軽蔑、侮蔑の対象となっている。
彼自身は他のクマたちと楽しいゲームやパーティーに参加し、
仲良くしてもらいたいだけなのだが、理解されない。
そして爪弾きにされたお返しに、復讐を図る。
1980年代、パーフェクション・アイランド。
そこに住む、ノーティー・ベアは孤独だった。
島一番の嫌われ者の彼は、常に除け者にされた。
今日はダドルズの誕生日会なのに、自分は招待されなかった。
ノーティーは皆に受け入れてもらいたくて、とにかくいい子になろうとした。
ダドルズと友達になることが、その近道だと思い、お手製のプレゼントを作る。
プレゼントを持って誕生日会に向かう途中、チャビーとギグルズに出会う。
二人はノーティーの小さくて歪なプレゼントを見て嘲笑う。
ショックのあまり、意気消沈して家に帰るノーティー。
遂に彼は我慢ができなくなった。クマたちに復讐することを決意し、
パーフェクション・アイランドの住人を殺戮するのだった…

悲鳴と綿(!?)が舞い散るゲーム「Naughty Bear」。
主人公のノーティー・ベアは一体何故そんなに嫌われているのか
特に説明なく、除け者にされ、蔑まれている。
だが、そんなことはどうだっていい。
可愛い顔してエグいことしてくるクマたちに、復讐するときがやってきた!
鉈、バット、トラバサミ、銃、冷蔵庫、トイレ、あらゆるモノを駆使し
時には発狂させ、自殺に追い込み、今までの鬱憤を晴らすのだ。
しかし、どんなに残虐な行動をとっても、彼の本心は変わらず、
仲間に受け入れられる」こと。色々とはっちゃけてしまったが、
相手がその望みを叶えてくれれば、疎外されたことを許そうとする辺り、
意外と彼の内面はナイーブなのかもしれない。