2012年12月28日金曜日

ハロルドとモナ

絵本「おぞましい二人」に登場。

子どもばかりを狙う連続殺人犯のカップル。
ハロルド・スネドリーは、5歳にして病気の小動物を叩き殺しており、
成人後は頻繁に本屋で色本を万引きしていた。
モナ・グリッチは酒浸りの両親のもとに産まれ、成人後は装身具売りの職につき、
売り物にすぐ痛むよう細工をしていた。似た者同士のこの2人の男女は出逢い、
犯罪映画を見るなど交際をするようになり、やがて共に暮らし始めたた。
やがて2人は一生をかけた仕事として殺人を計画し、
数か月かけた計画の末、1人の子供を家に誘って一晩かけて殺害し、土に埋めた。
翌朝、慎ましい食事の後、殺した子供の写真をアルバムにおさめた。
その後も2年をかけて3人の子供を殺害した。
後にハロルドが殺した子供の写真を落としたことで罪が明らかになり、2人は裁判にかけられた。
罪状は有罪だが精神疾患と診断され、2人は精神病院に入れられ、別れ別れとなった。
ハロルドは43歳に持病の肺炎で死亡。モナはその生涯を壁の染みを舐めて過ごし、80歳を過ぎて死亡した。

ちょっと変わった「大人向け」の絵本作家エドワード・ゴーリー作「おぞましい二人」。
もう何年も本の中で子供たちを殺してきた」と語るゴーリーが思わず「描かずにいられなかった」作品であり、
1965年に明るみに出た「ムーアズ殺人事件」を基に書いた作品である。
二人の男女が4年にわたり5人の子供を殺して荒野(ムーア)に埋めていた事件に心底動揺させられ、描いたらしい。
登場人物のハロルドとモナの二人が悪行を重ねる理由はよくわからない。
子どもの頃のハロルドを除けば、残虐な素振りはなく、よくもわるくも育ちの悪い貧乏人カップル程度だった。
しかしその後急に殺人計画を練り始め、子どもを殺害。死体の写真を撮るなど
残虐性を現し、些細なことで捕まって裁判を受ける。
笑顔を浮かべる時もあるが、二人は始終淡々としており、
子どもを殺すのも、とくに何かを感じている素振りはない。
徹底的に理解不能、その辺が事件に対する作者の思うところなのだと思う。

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