2009年8月25日火曜日

死の王

映画「死の王」に登場。

少女が描いた絵。生きるのをやめさせる王様らしい。
ひたすら何かの絵を描き続ける少女。
どこかに男の死体が無造作に置かれている。
月曜日、手紙を書く男。手紙を書き終え、会社に辞表を伝える。
身辺整理をすると、睡眠薬を飲んだままバスタブで自殺する。
どこかに置かれている男の死体が徐々に腐っていく。
火曜日、ナチスの拷問ビデオを借りた男は
月曜日の男からの手紙を受け取る。借りたビデオを家で観る男。
同居する女から小言を言われ、女を射殺する。
男は血が飛び散った壁に額をかける、という映像が流れる首吊りした男の部屋。
水曜日、恋人と別れたのか、喪失感の漂う女性が雨の降る公園で一人の男と出会う。
男は妻とのセックスについて苦悩していた。
女性はピストルを取り出すと男に向け引き金を引く。
しかしピストルは装填されておらず弾は出ない。
男はピストルを受け取ると弾を装填し、自らの口内へ発砲する。
木曜日、峡谷にかかる鉄橋。そこは自殺の名所であり、
橋の全貌と自殺者たちの名前が映し出される。
どこかに置かれている男の死体がいよいよ腐敗が進み
皮膚が剥がれ、肉が落ち、内臓に蛆が沸いてくる。
金曜日、一人の夫人が向かいの窓から見える男女の情事を羨望の眼差しで見つめる。
再び男女の姿を間近に見ようとドアから覗こうとするが
部屋からは何の気配もない。ドアの下に挟まった手紙を読むと
それは件の男女の遺書だった。部屋の中、ベッドで血まみれになっている男女。
土曜日、刑事らしき男達がフィルムを検証する。
フィルムには拳銃を持った女が映し出されていた。
自らの体にカメラを取り付けると、ライブハウスに乱入。
女は無差別に客やバンドマン、ライブハウスにいる人間を射殺するが、
最期は女が射殺され、フィルムは終わる。
どこかに置かれている男の死体は白骨化していた。
日曜日、男が悲鳴を上げ、壁に頭を繰り返し繰り返し打ちつけて死ぬ。
絵を描き続けた少女が「死の王」について一言告げる。
描きあがった絵は王冠を被った髑髏のような姿をしていた…

死の王様は生きるのを止めさせる

衝撃的映画「ネクロマンティック」で
あまりにも過激すぎる」という理由でドイツ当局から
マークされている男、ユルグ・ブットゲライト監督。
死の王」は洒落た音楽と共にグロテスクな映像が
流れる本作の幕を閉じるときに現れるだけだが
それだけでも何故かかなーり記憶に残る。不思議な存在である。
ひたすら自殺に関連する登場人物と腐敗する死体がぶっ通しで流れる。
何故かとても芸術的と感じるとともにイヤーな気分になり
そこが面白いとも感じるが、別段映画の物語は面白くない。
そんなんだけど不思議な魅力に満ち、そして死ぬのが嫌になる。
筆者はこの映画と「イレイザーヘッド」「ネクロマンティック
シュラム」を観ると、何故か死にたいなんて思わなくなるんだよ。
登場する死が一様にグロテスクだからなのかは知らないが、
暗い気分のときは、これ一本。
憂鬱な気分を取り払ってくれて、ありがとうユルグ監督!

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