2010年5月20日木曜日

フランク・ルーカス

映画「アメリカン・ギャングスター」に登場。

ハーレムのヘロイン密売人で組織犯罪のボス。
マフィアでありながら生活は質素。
家族想いで、堅実な“悪事”を働く。
画期的な麻薬ルートを確立し、イタリアン・マフィアを凌ぎ
ニューヨークの実力者にのし上っていく。
ハーレムの名物男で知られた“パンピー"ジョンソンの運転手だった
フランクはジョンソン没後に家族の力を借りて独立する。
彼は革新的な麻薬ルートを考えついたのだ。
それはベトナム戦争で死んだ軍人の棺に麻薬を隠すことで
アメリカへ密輸入するという方法だ。
フランクがもたらした麻薬「ブルーマジック」は
ニューヨークの麻薬市場を席巻し、あっという間に一財産を築いた。
しかし彼は控え目であり、ナイトクラブとアパートを一つずつ、
母親に大きな屋敷を与えるだけに留めた。以降は、自身の血縁者で
構成された組織「カントリー・ボーイズ」を利用して、
着実に頂点へと上り詰めていく。
その後ミス・プエルトリコに選ばれたエバと結婚し、
麻薬市場のトップとなった彼は警察の注意を惹きつけないよう
より保守的なビジネスを展開していく。
しかしこれほど警察を警戒していたフランクもミスを犯す。
妻のためにモハメド・アリとジョー・フレージャーの試合を見るため
とても良い席を用意し、さらに豪華な衣装に身を包んだのだ。
これをたまたま目撃した麻薬取締局に所属するリッチー・ロバーツ刑事は
フランクをマークするようになり、
遂には麻薬を生産している場所を特定される。
激しい銃撃戦の末、フランクは逮捕されるが
リッチー刑事は彼に司法取引を持ちかけ、汚職警官の情報を掲示を求めた。
フランクはこれを呑み、彼の情報提供により
麻薬取締局の4分の3にも及ぶ汚職警官を逮捕することに成功する。
その後フランクは比較的軽い、15年の刑に服すこととなった。
15年後、遂に出所したフランク。
しかし15年という時はニューヨークを様変わりさせていた。
時代に取り残された彼は街を見て、何を思うか…

静かなギャング映画「アメリカン・ギャングスター」。
スカーフェイス」のように成り上がるが
贅沢三昧するわけでなく、「ギャンスターNo.1」のように
トップになるもこれといって不満があるわけでもない。
これらの要素がありながら、フランクは普通のギャングとは違い
派手」さから程遠い人物だ。ここが面白いところで
常にフランクの心情は上記二つの映画における
ロペスやフレディのように古い体制の人間だからだ。
だが古い体制の人間ながら、その根幹には
上記の二つの映画の主人公たちと同じ「攻撃的」な部分が存在しており、
この二つの部分が混在してフランクを構成している。
それゆえに上記二つの映画の登場人物たちと違い、
彼は生き残れたのだ、と筆者は思う。

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