2015年11月30日月曜日

カーンズ(Khans)

ゲーム「Fallout」「Fallout 2」「Fallout:New vegas」に登場。

モンゴル風レイダーの集団。当初はカーンズと名乗っていたが、後にニュー・カーンズに変わり、
現在の名称はグレート・カーンズになっているが、基本的にはカーンズの通称で通っている。
現在、西部のレッドロックキャニオンを拠点にしている。
現存する部族の中でもかなり古い歴史を持ち、暴力的な集団とされているが
実態はヒッピーとアウトローの集団と言った方が適切で、閉鎖的で他勢力を積極的に襲う事は無い。
加入の際には厳しい試練を受けねばならないが、その為もあって各員の戦闘力及びメンバー同士の絆は強い。
その絆はお互いの事を「家族」と呼び合う、仲間の弔い合戦を行う、受けた恩は必ず返す、
決して仲間を見捨てないなどレイダーの中でも倫理を重んじ、掟に従って行動する社会規範を持っている。
エンブレムが入った革のベストを着ており、特殊な格闘術を使う。
ただしこれは現在のグレート・カーンズにいえることであり、新カリフォルニア共和国がない時代では
一つの町を食い物にする、典型的なレイダーだった。
彼らの起源はVault15の住人たちであり、Vaultには異なる信条を持つ人々がいれられており、
後に4つの派閥へと別れることになる。2141年の春にVault15は開かれ、
数年前に既に一つの派閥は出ており、他の派閥も外へと旅立っていった。
その内の一つがカーンズとなった。その後、皮肉なことに同じ先祖を持つ人々を襲撃するようになった。
2141年の冬に結成されたカーンズは当初、冬の厳しさによる食糧難からまとまったものだったが、
Vault15の元住人あってか他のレイダーと違い、比較的文化的な生き方をしていた。
彼らの部族名もモンゴル人のチンギス・カーンに由来し、遊牧民的な生き方と
モンゴル帝国のような存在を目指したものだった。
2161年にリーダーだった父を殺したガルは、父の仕事であるリーダーを引き継いだ。
この残忍な男は仲間を率いて同じVault15の元住人たちが作った村シェイディ・サンズを定期的に襲撃し、
奴隷にすべく誘拐や強盗殺人を繰り返した。また通りすがりの商人への略奪や殺人も行っていた。
だが村のリーダーであるアラデシュの娘タンディを誘拐したのは間違いだった。
たまたま村を訪れた「Vaultの住人」が救出に乗り出し、ガルとその仲間たちはほとんどが皆殺しにされた。
このとき唯一生き延びたのはダリオンという男だけだった。後に彼が第2世代のカーンズの指導者となる。
しかしダリオンが作った、ニュー・カーンズの歴史は長くは続かなかった。
ダリオンは仲間を皆殺しにされて以来、精神を病んでおり、「Vaultの住人」とタンディへの復讐を目論んだ。
当初は生き延びるためにひっそりと暮らしていたが、自分だけ生き残ったことへの罪悪感、
年を重ねる事に被害妄想と強迫観念に駆られた。80年後、人員を集めることだけに時間を割いたダリオンは
遂にニュー・カーンズを結成した。そして新カリフォルニア共和国(NCR)の大統領になったタンディと
「Vaultの住人」への妄執から、より具体的な行動へと移るようになる。
まずNCR議会にファーガスというスパイを置いた。この男は会議内容を報告する役目を担った。
さらにカーンズはNCRやキャラバンを襲うことで水や食料を得て、NCR領内の不法占拠者たちをへと供給した。
不法占拠者たちは見返りにカーンズの住処であるVault15などのアジトを隠蔽した。
そしてNCRが疲弊していく様を見続けるために、高齢のダリオンは誘拐した医師ジョーンズに看護されながら
復讐が完了されるのを待った。しかし運命は皮肉なことに、彼に二度目の悪夢を齎す。
NCR領内の不穏な動きの調査を依頼されて、「選ばれし者」と呼ばれる人物が現れた。
この人物こそ、ダリオンの昔の仲間を殺した「Vaultの住人」の孫であった。
2241年、ニュー・カーンズが結成した年にリーダーであるダリオンは「選ばれし者」によって殺害され、
リーダーを失ったニュー・カーンズもまた、事態解決に動いたNCRにより壊滅させられた。
だが、またしても生き残りはいた。彼らは散り散りになってしまったが時間をかけて力を蓄えた。
自らの生き方を変えることをせず、部族名をグレート・カーンズに改め、
NCRや周辺の人々への襲撃を始め、複数の部落を持つに至った。
新リーダーのパパ・カーン率いるグレート・カーンズは2267年に結成され、
NCR領から離れたモハビ・ウェイストランドに拠点を置いた。
そこで彼らはNCRとは違う、新たな街と勢力に遭遇する。
謎の人物Mr.ハウスと彼の管理するニューベガス・ストリップ地区。
Mr.ハウスは自らの所有する旧時代の技術と文化を提供することを条件に
ニューベガス地区周辺のレイダー三部族を纏め上げ、かつてのラスベガスと同様の街を作り上げようとしていた。
グレート・カーンズもまたMr.ハウスから声をかけられた。
しかしカーンズはすでに得ていた自分たちの土地の権利を主張し、Mr.ハウスからの施しを拒否した。
2274年、カーンズはMr.ハウス率いる三部族によって住んでいた土地を強制的に追い払われた。
それから新たにビタースプリングスに居を構え、いつも通り旅人や村への略奪を行った。
そこへどういうわけかNCRの軍勢が現れた。カーンズがNCR領から離れた後、
NCRは急速にその領土を広げるべく進軍を開始、モハビにもその範囲を広げていた。
NCR軍がMr.ハウスと出会うのは必然と言えるだろう。ここで両陣営はニューベガス条約を締結。
こうしてNCRとMr.ハウスの形だけの同盟が結ばれた。
そしてニューベガス地区の周辺地域にNCRの前哨基地が作られ始めたのだ。
これに対してカーンズはNCRが自分たちの土地を侵略したと感じ、NCR市民や前哨基地を襲撃するようになった。
NCRはこの襲撃者たちに対抗すべく主要拠点を叩こうとした。
2278年。両陣営に深い禍根を残す事件、ビタースプリングスの虐殺が起きる。
事件は、NCR軍はビタースプリングスを静かに包囲したことから始まった。
ビタースプリングスのカーンズは戦闘員のみで、これを徹底的に叩くことで
勢力の弱体化とNCRの武力を知らしめるのが狙いだった。
そのため当時、NCR軍でエリートとされる第一偵察隊も作戦に加わっていた。
だが戦闘員の情報は誤報であり、女子供や老人、怪我人といった非戦闘員しか
ビタースプリングスにはいなかったのだ。誤報であるのが伝わる前に、
NCRの包囲に気づいたカーンズの人々は逃げだそうとした。
当時の指揮官ギレス少佐はこれを戦闘の意思ありと判断。カーンズへの一斉攻撃を開始。
結果、非戦闘員への一方的な攻撃が行われ、誤報が伝わったときにはすでに多くの死傷者を出していた。
この事件は陣営を問わず、その場にいた多くの人に深い心の傷を与えることとなった。
皮肉にも同行していた第一偵察隊の冷静な判断により、一部のカーンズは生き延びた。
カーンズは人目のつかない不毛の地レッドロックキャニオンへの退却を余儀なくさせられた。
NCRはこの予期せぬ事態に、カーンズへの正式な謝罪を行い、生存者への支援提供を行った。
だがリーダーであるパパ・カーンはこれを不服とし、虐殺を行って土地を奪い、
わずかな支援提供で、真実を誤魔化そうとしているとした。
事実、NCRはビタースプリングスから撤退はせず、キャンプ地としていた。
しかしカーンズはNCRを非難しても、ビタースプリングスを取り戻そうとはしなかった。
一介のレイダーに過ぎない彼らにとって、虐殺による痛手を癒す方法はなかった。
怨みと怒りを抱えたまま、それを解消することもできないカーンズ。そこに救いの手があった。
アポカリプスの使徒を名乗る集団は無償でカーンズに支援を施し、さらに医療技術を伝授した。
カーンズはこの善良な組織の支援により、幾許かの力を取り戻した。
だがカーンズは与えられた医療技術を、本来とは違う使い方をはじめる。
支援で得た薬品の知識を応用して、各種麻薬を精製することに成功したのだ。
こうして麻薬分野に秀でるようになったカーンズは、次に取引相手を選んだ。
同じレイダーであり、フィーンドと呼ばれる集団は薬物中毒者で構成されており、
カーンズはニューベガス周辺を根城にするこの集団に麻薬を売りつけ、
生活費を稼ぎつつ、NCRへの牽制とした。麻薬の安定した供給はフィーンドを凶暴化させ、
強化されたフィーンドは麻薬代欲しさにニューベガス周辺を荒らしまわった。
またNCRの物資輸送を担うクリムゾンキャラバン社などの商人とも違法取引しており、
NCR内では麻薬の蔓延が深刻化している。弱体化されても彼らはNCRを悩ますには十分な存在であり、
よりNCRとカーンズの溝は深まるばかりだった。しかしパパ・カーンはNCRへのさらなる報復を与えようと、
NCRと敵対するシーザー・リージョンと同盟を視野に入れている。
カーンズの中ではそれに同調する者や、NCRとの仲を改善すべきとする者とで意見が割れている。
しかしリージョンは薬物の使用と製造の禁止および女性を奴隷としているのだが、
あえてその事実を伏せ、カーンズを利用しようとしている。
2281年、さまざまな問題を抱えたまま存続の岐路に立たされているカーンズは
モハビの「運び屋」の存在により、その運命を大きく左右される…
(画像はカーンズのシンボルと、グレートカーンズのシンボル)

主人公の選択により、死か繁栄が齎されるゲーム「Fallout」シリーズ。
カーンズは最古のレイダー部族にして、とてもユニークなレイダーである。
Vault15の住人だった彼らだが、外に出てから一致団結し、モンゴル民族を基にした
遊牧民ならぬ「遊奪民」として、レイダー生活を享受している。
なお、彼らの中に本当のモンゴル人はいない。あくまでモンゴル風のレイダーなのである。
しかし所詮はレイダー、場当たり的な部分が多く、その場のノリと勢いで
近くの村娘を浚っちゃったがために、第一作目の主人公「Vaultの住人」により
ほとんど皆殺しにされた挙句、生き残りはトラウマを抱えて精神的に不穏な生活を送らせられた。
そこで大人しくすればいいものをトラウマ故に、精神の安寧のため八つ当たりを敢行。
村娘への見当違いな復讐を誓った残党が、二作目に名前を改めて復活。
だが、二作目の主人公にして仇の孫「選ばれし者」によって復活直後に崩壊させられる。
さらに心機一転、新天地を目指した彼らだが、戦前の亡霊じみた資産家の企みにより
その新天地を追い出され、かつての村から国へと育ったNCRにより根絶やし一歩手前という
シリーズを重ねるごとに扱いが酷いものになっていく。
しかし弱者を殺したNCRに復讐したいという熱心な心がけも、そもNCRに手を出さなければ
何もそんな目に会う必要もなく、更にいえば善意の団体から支援と知識を得て、
恩返しするでもなく悪用する、極悪麻薬中毒集団フィーンドにビジネスライクとはいえ
手を貸した時点で、最早彼らに立つ瀬はないのかもしれない。
だがこれだけ酷い目に会ったせいか、一作目に比べてだいぶマトモになってきたのも事実。
フィーンドがとある村を襲うのを見て、トラウマからフィーンドを倒そうとしたり、
不満たらたらでも仲間の窮地を救おうとする、受けた恩は必ず返すなど、
決して非道なだけの集団ではなく、また新たな出会いの度につっけんどんな対応の中、
カーンズは出会ってもかなり友好的な対応をしてくれる。
ピンきりではあるが、科学や商売や文学に長けているなど、かなり理性的な集団になった。
悪事をしない理由にカルマに良くないからという集団はコイツらぐらいだろう。
しかし切羽詰ってる彼らにはシーザー・リージョンの魔の手が。
リージョンに取り込まれた部族は、本来の部族名や習慣を全て失い、
代わりにリージョンの文化を突っ込まれる上、薬物は禁止、女は皆奴隷という、
今まで文化を大切に保持してきたカーンズにとって、天敵といえる存在だ。
もしこの小物染みた勢力に愛着を覚えたら(各種薬物の販売はかなり助かるので利用することは多いだろう)
少しばかり贔屓目にしてもいいかもしれない。ただし薬物の用がなければ別段いなくても
問題ない集団でもあるので、絶滅させるのも良しである。
筆者は程よいお付き合いとリージョンの同盟を破棄させる程度にしている。
ちなみに場合によって、帝国を築くほどの存在になる。

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