2024年5月24日金曜日

Gジャン


映画「NOPE/ノープ」に登場。

カリフォルニア州アグア・ドゥルセ。
映画製作のための馬の牧場を経営するヘイウッド一家がいた。
ある日、ラジオでは行方不明になったハイカー集団がニュースになっていた。
その時、牧場主であるオーティス・ヘイウッド・シニアは運悪くも、
空から降ってきた5セント硬貨が直撃し、死亡した。
原因は飛行機からの落下物によるものと判断された。
その6か月後、彼の子供OJことオーティス・ジュニア、
エムことエメラルドの二人の兄妹はとある撮影現場で解雇されて、途方に暮れていた。
馬のラッキーが特殊効果用のVFXボールに映った、自分の目に驚いて暴れたためだ。
OJは牧場を維持するため、リッキー・“ジュープ”・パークに馬を売りに行く。
“ジュープ”は、かつてチンパンジーが主役のシットコム・ドラマ「ゴーディズ・ホーム」という番組で、
子役としてパーク演じていた役名に由来している。あるエピソードの撮影中、主役のチンパンジー・ゴーディが
風船が弾ける音に激しく反応し、共演者のほとんどを殺したが、奇跡的にジュープは無傷のまま、ゴーディは警察に射殺された。
過去のトラウマをバネに、ジュープは「ジュピターズ・クレイム」という西部劇のテーマパークを経営していた。
ジュープに売った馬はラッキー含めて10頭になり、ジュープは経営が苦しければ牧場を買い取ろうと
OJの父が生きてた頃から声をかけていたが、OJはこれを断った。
その日の夜、帰宅したOJとエムは思い出話をしていると、白馬のゴーストが何故か牧場の外へ抜け出ていた。
OJは宥めて連れ戻そうとした時、雲の上で何かが動くのを感じ、直後ゴーストは走り去ってしまう。
馬を追跡したOJは、「ジュピターズ・クレイム」の方角でゴーストの悲痛な鳴き声を聞いた。
そして一瞬だけ、何かが雲の上へと飛び去るのを目撃する。
同時刻、エムがいる自宅では短い停電が発生していた。
兄妹は馬を連れ去ったのが、エイリアンとそれが乗るUFOであると確信し、それを撮影して売ることに決めた。
電気量販店の従業員エンジェル・トレスに依頼して、監視カメラ2台を設置する。
片方が停止すると、もう片方が停止した方角の空を撮影するように設定した。
エンジェルは兄妹がUFOを撮ろうとしていると推測し、密かにカメラ映像を中継して監視する。
エムは囮として「ジュピターズ・クレイム」の等身大の馬の置物を盗み、牧場に設置した。
次の日の夜、馬舎のドアが開いたままになっているのに気づいたOJは、中で何者かが潜んでいることに気づく。
しかしその正体はジュープの3人の子どもたちであり、置物を盗んだことの仕返しに一頭の馬クローバーが外へ出されてしまった。
一方、映像を盗み見ていたエンジェルはカメラの1つが停止したことをエムに伝えるが、
その時もう1つのカメラにはカマキリが張り付いて、決定的な証拠が撮影できない状態に陥ってしまう。
クローバーを捕まえOJだが、家の明かりが一部消えたことに気取られて、クローバーは何かに怯え逃げてしまう。
同時に、OJの背後では囮の置物が静かに上空へと消えた。
それに気づいたOJは、置物についていた連続旗が雲の塊からぶら下がっている様を目撃する。
外へ様子を見に来たエムもその光景を見つめていた。それが“雲の中にいる”ことに気づいたエムは「逃げて」と叫ぶ。
OJが走ると、雲もまた動き始める。雲の中の“それ”は更に上空へと昇っていく。
不気味な黒い影が雲越しにOJを追い始める。OJが間一髪建物に逃げ込むと、円盤状の何かが雲間を通り過ぎる。
“それ”は走り続けているクローバーに狙いを変え、クローバーは突如発生した竜巻に巻かれ、悲鳴を残して消えた。
命の危険を感じたエムは逃げ出そうとするが、OJが牧場から離れる気がないことを知ると、自身も牧場に残ることを決める。
翌日、エムは有名な撮影監督アントレス・ホルストにUFO撮影の協力求めるも、富と名声を求めるエムの姿勢を理由に断られた。
そこへエンジェルが突然やって来た。監視カメラの全映像に、「微動だにしない雲」があることを兄妹に伝えに来たのだ。
OJも半年前から同じ形の雲を毎日見てきたことに気づき、そこがUFOの潜伏先だと推理するエンジェル。
しかしOJは、今までのUFOの動きと行動に違和感を感じていた。
その頃、ジュープは新たなショーを開催しようとしていた。ラッキーを餌に、UFOを誘き出すという。
彼はこの数か月間、買い取ったヘイウッドの馬をUFOに提供し、信頼を得たと妄信し、飼い慣らしたつもりだった。
彼は“それ”が生物だと気づき、かつてゴーディが自身を襲わなかった様に、動物とは心が通じ合うと思い込んでいた。
予定よりも早くやって来た“それ”は、ジュープとその家族、パークのスタッフ、観客全員を吸い上げ、食い尽くした。
ラッキーを取り戻そうとしたOJが見たのは、無人と化したテーマパークと、そこで佇むラッキーの姿だった。
そして“それ”はまだそこにおり、捕食した人々の叫び声を響かせながら漂っていた。
“それ”が去ると、OJの違和感は確信に変わった。“それ”が実際には縄張り意識のある捕食生物であり、
生物の視線を感じ取り、襲い来るのだと。ラッキーやOJを襲わないのは、“それ”に視線を向けなかったから。
ラッキーを運搬車に乗せたOJは、すぐさま自宅にいるエムに電話で伝える。
しかし“それ”は既にヘイウッド牧場の真上にいた。牧場一帯を自身の縄張りと認識しており、
電話は妨害されてしまった。“それ”は嫌がらせのように、食べた人間の所持品などの
消化できないものや血液を兄妹の自宅に吐き出した。ついでとばかりにエンジンが停まっている
OJの乗る運搬車に馬の置物を吐き捨て、日が昇るまで周辺に留まり続けた。
エンジンの復旧を確認してOJが頭上を覗き見ると、“それ”はまだ上空に待機していた。
自宅にいるエムとエンジェルに呼びかけ、車に乗り込む。幸い“見なかった”ことで事なきを得た。
OJは“見た”ものを襲う習性を利用して、撮影を続行しようと意気込むが、
捕食者の恐怖を間近に感じたからか、エムとエンジェルは躊躇う。
その数日後、撮影監督のホルストがテーマパークの集団失踪事件のニュースで興味を持ち、
エムに連絡を取ってきた。ホルストに事情を説明し、撮影の協力を取り付ける。
牧場に集まった4人は、撮影の計画を立てる。“それ”に便宜上の名前をつけることにし、
かつて子供時代にヘイウッド家の厩舎にいた野性的な馬に因んで、「Gジャン」と名付ける。
「Gジャン」はエムが最初に調教するはずだった馬であり、OJはエムの手柄にしたかったのだ。
作戦は電気機器の影響を考えて、ホルストが持参した手作りの手回し式IMAXフィルムカメラで撮影を行い、
Gジャンの位置は牧場内に設置したバッテリー式チューブマンの停止で推測することになった。
エムは自宅で注意を惹くためのスピーカーと監視カメラの監視、エンジェルはホルストのサポート、
OJはラッキーに乗って囮を担当することになった。
またOJは馬の置物とそれについていた連続旗はもう食わないだろうと推測し、
食われるギリギリになったら、旗を展開して追い払う算段をつけた。
実行当日、腹を空かしたGジャンは姿を現した。
途中、電動バイクに乗ったパパラッチがGジャンに食われるアクシデントに見舞われたが、
OJの作戦通り、旗に拒否反応を示し、その全身像が撮影できた。
だが捕食シーンに魅了されていたホルストは、3人の静止を振り切り、
太陽が出てベストショットが撮れると言い、カメラと共にGジャンに飲み込まれた。
その場に残っていたエンジェルが次に襲われ、防水シートと有刺鉄線に絡まることで
無機物と誤認させ、難を逃れた。エムもまた襲われ、自宅を破壊され、隠れ場所を失う。
度重なる捕食の邪魔に、Gジャンは円盤型からクラゲを髣髴とさせる形態へ変化する。
逃げ場がないエムに迫るGジャン。妹を助けるべくOJは敢えてGジャンの目を直視し、
エムに電動バイクで逃げるように促す。電動バイクの起動は妨害されており、
OJはラッキーに乗って、バイクを妨害しないようにGジャンを誘導する。
ラッキーの悲鳴が微かに聴こえる中、エムはバイクで走り出す。
猛追するGジャン。テーマパークに逃げ込んだエムは、妙案を思いつく。
テーマパークの巨大風船マスコットを空へと解放し、井戸型アナログカメラで
捕食シーンを撮影しようとする。人形のウィンクする目に“見られた”と判断したGジャンは
本能から捕食するが、自身と同じくらいの大きさのものを食いきれる訳もなく、
吐き出すこともできず、人形が破裂すると身体が張り裂け、呆気なく絶命した…

怪奇!円盤生物襲来!映画「NOPE/ノープ」。
公開前、海外では映画のタイトルは「Not Of Planet Earth 」の略だと
言われたりしていたらしいが、日本じゃ関係ねぇ!
UFO大暴れ映画だ!と思いきや、実際はウルトラQやXファイルな映画でした。
作品自体は「見るものと見られるもの」への批判や風刺が多く見られ、
それが説教臭くならずに、作品のシリアス度を上げる演出になっていて
大変良かったです。新たなモンスター映画史に残る、良い悪役でしたGジャン。
以下、Gジャンの詳細表記。

仮称Gジャン、ジーン・ジャケット。未確認飛行物体(UFO)。
または未確認空中現象(UAP)。観察者。
「Gジャン」という名称はOJが、「観察者」はジュープが名付けた。
学名「Occulonimbus edoequus(オキュラニムバス・エドゥエクス)」。
意味はラテン語で「暗い雲に隠れて、種馬を食べるもの」を意味する。
アグア・ドゥルセのヘイウッド牧場周辺に出没する「円盤状の怪生物」。
光沢のない滑らかな皮膚を持つ円盤であり、出自や起源は一切不明。
肉食性の生物であり、不気味な脈動音とも、鳴き声とも言える音を発し、
空を自由自在に飛行しながら獲物に襲い掛かる。
クラゲが海水で漂うのと同じ原理で、身体を空気と同程度の密度にすることで
空を飛ぶ方法を身に着けている。またどういった原理か不明だが、
雲に擬態する、周辺の電磁波を妨害するなどの能力も持つ。
形状は円盤といっても、実際にはテンガロンハットに近い形である。
一か所だけ縁にスリットのような窪みがあり、そこが感覚器官であり、
周辺の状況はそれで確認しつつ、下部にある穴の中にある目で獲物を観察する。
この穴は同時に捕食するための口であり、地上の「獲物」を上から捕食する。
捕食方法は対象を小規模な竜巻が発生するほどの凄まじい吸引力で吸い上げ、飲み込む。
歯がないため咀嚼せず、消化器官へ直に獲物を丸のみにし、
溶かしながら、体内で押しつぶし体液を啜る。
常に口は開きっぱなしなため、飲み込まれた獲物の悲鳴が響き渡る。
長い時間をかけて生きたまま獲物を消化するが、気まぐれか好みなのか不明だが、
一瞬で体内を圧縮することで獲物の命を奪い、消化する方法もある。
消化後、しばらくすると消化できなかった無機物や体液を口から吐き出していく。
主に音を頼りに獲物を探し、地上にいる生物の「視線」を認識して襲い掛かる。
正確に言えば、目のようなものが二つあるものを「視線」と認識しているため、
生物ではない置物や人形の目、二つの丸い模様のようなものにも反応する。

形状変化
捕食を邪魔されたことへの怒りからか、円盤形態から変化した姿。
どうやら円盤形態は飛行形態のようで、この姿だと飛行形態より移動速度が落ちる。
どこかイカやクラゲを彷彿とさせる姿であり、異形の天使とも言える。
布のような質感の体表は常に蠕動し、まるで幌が風で羽ばたくように動く。
周囲に繊毛のような触手を付けた正方形の目を持ち、それで視線を認識している。

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